October 3, 2024
【前日の為替概況】ドル円146.51円まで上昇、石破首相発言と9月ADP全米雇用報告
2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は大幅に反発。
終値は146.47円と前営業日NY終値(143.57円)と比べて2円90銭程度のドル高水準だった。
欧州市場では、石破茂首相が植田和男日銀総裁との会談後、「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」「これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展することを期待している」と述べたことをきっかけに全般円売りが進行。
NY市場でもこの流れが継続した。
さらに、9月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が14.3万人増と予想の12.0万人増を上回ったことが伝わると、米長期金利の上昇とともにドル買いが活発化。
9月27日の石破ショック前に付けた高値146.49円を上抜けて、一時146.51円まで上値を伸ばした。
なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するバーキン米リッチモンド連銀総裁は「経済が予想通りに進展すれば、今年さらに2回の0.25%の利下げは合理的な道筋とみている」などと語った。
ユーロドルは4日続落。
終値は1.1045ドルと前営業日NY終値(1.1068ドル)と比べて0.0023ドル程度のユーロ安水準だった。
良好な米雇用指標を受けてユーロ売り・ドル買いが先行。
前日の安値1.1046ドルを下抜けると一時1.1033ドルまで下げ足を速めた。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.81%台まで上昇したことも相場の重し。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時101.69まで上昇した。
ユーロ円は大幅反発。
終値は161.76円と前営業日NY終値(158.90円)と比べて2円86銭程度のユーロ高水準。
石破首相が日銀の追加利上げについて慎重な姿勢を示すと全般円安が進んだ。
米国株相場の持ち直しや日経平均先物の大幅上昇も相場の支援材料となり、5時前に一時161.88円まで値を上げた。
なお、ナイト・セッションの日経平均先物は大証終値比990円高の3万8740円まで上昇する場面があった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、日銀の早期利上げ観測後退で底堅い展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀の早期の追加利上げ観測の後退で上昇が見込まれる日経平均株価やリフレ派の野口日銀審議委員の講演などで底堅い展開が予想されるものの、中東の地政学リスクへの警戒感や明日発表の米9月雇用統計を控えて上値は限定的だと予想される。
ドル円が140円を割り込んだ要因は、日銀の早期の追加利上げ観測と米連邦公開市場委員会(FOMC)での雇用情勢悪化を受けた0.50%の大幅追加利下げ観測だった。
昨日は、石破首相と植田日銀総裁の会談での早期利上げに対する慎重姿勢を受けて、27日の衆議院議員選挙直後の10月30-31日の日銀金融政策決定会合での利上げの可能性はほぼなくなったと思われる。
11月6-7日のFOMCでの追加利下げ幅(0.25%か0.50%)に関しては、明晩発表される米9月雇用統計を見極めることになる。
ドル円は、9月27日午後の「高市ショック」で146.49円まで上昇した後、30日には「石破ショック」で141.65円まで反落し、昨日は「逆石破ショック」で146.51円まで上昇しており、「政治相場」が続いている。
昨日は、石破首相が、植田日銀総裁との会談の後、日本銀行の金融政策について、「現在、追加の利上げをするような環境だとは思っていない」と述べた。
植田日銀総裁も、「2%の物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく」と、9月の日銀金融政策決定会合後のややハト派的な見解を繰り返した。
10時30分からのリフレ派の野口日銀審議委員の講演では、7月の日銀金融政策決定会合で利上げに反対した理由「賃金上昇の広がりによる経済状況の改善を、データをみてより慎重に見極める必要がある」の説明が予想される。
中東の地政学リスクに関しては、イスラエルが「数日内にイランに報復攻撃」と報じられていることで、昨年ハマスが奇襲攻撃を断行した「10月7日」を念頭に警戒しておきたい。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◇ 野口旭日銀審議委員、あいさつ
<海外>
○10:30 ◇ 8月豪貿易収支(予想:55.00億豪ドルの黒字)
○15:30 ◎ 9月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○16:00 ◎ 9月トルコCPI(予想:前月2.20%/前年比48.30%)
○16:50 ◎ 9月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:48.3)
○16:55 ◎ 9月独サービス部門PMI改定値(予想:50.6)
○17:00 ◎ 9月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:50.5)
○17:30 ◎ 9月英サービス部門PMI改定値(予想:52.8)
○18:00 ◎ 8月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比▲2.4%)
○20:30 ◇ 9月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/183.2万人)
○22:45 ◎ 9月米サービス部門PMI改定値(予想:55.4)
○22:45 ◎ 9月米総合PMI改定値(予想:54.3)
○23:00 ☆ 9月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:51.7)
○23:00 ◎ 8月米製造業新規受注(予想:前月比横ばい)
○23:00 ◎ シュミッド米カンザスシティー連銀総裁、あいさつ
○23:40 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○中国(国慶節)、韓国(建国記念日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
2日06:56 アラグチ・イラン外相
「イスラエルのさらなる報復がない限り軍事行動は終了」
2日09:10 石破首相
「今朝、バイデン米大統領と電話会談を行った」
「米大統領との電話会談で日米地位協定は話題になっていない」
「日米同盟のさらなる強化を図っていきたい」
2日19:36
「現在は追加利上げをするような環境にはない」
「日銀の政策についてあれこれ言う立場にはない」
2日11:07 林官房長官
「デフレ脱却最優先の経済財政運営を行う」
「日銀と緊密に連携し経済財政運営に万全を期す」
2日11:53 赤沢経済再生相
「石破首相が金利引き上げに前向きというのは正しくない」
「金融政策、まだ正常とは言えない状況」
「金利引き上げ、慎重に判断してほしい」
「金融政策正常化が必要との石破首相の発言、色々な条件付きと理解してほしい」
2日15:33 植田日銀総裁
「景気は一部に弱めの動きが見られるものの緩やかに回復している」
「現在は2%以下とみられる基調的な消費者物価、徐々に高まっていく」
「見通し期間後半には物価目標とおおむね整合的な水準で推移」
「米国を始めとする海外経済の先行きは引き続き不透明」
「金融市場も引き続き不安定」
※石破首相との会談を終え
「緩和的な状態で経済をしっかり支えていることを伝えた」
「政府と日銀が緊密に連携することで一致、アコードについては話はしなかった」
「経済物価が見通し通り動けば緩和の度合いを調整するが、本当にそうか見極める時間があるので丁寧にやる」
2日16:21 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「成長リスクは引き続き下振れ方向」
2日17:24 加藤財務相
「デフレから脱却し、成長型経済を実現しなければならない時期にある」
「経済成長と財政健全化の取り組みが重要」
「賃上げと投資がけん引する経済成長を実現したい」
3日01:20 バスレ・スロベニア中銀総裁
「さらなる利下げはあるだろうが、それはデータ次第」
「10月の利下げを除外したり約束したりはできない」
3日01:27 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「インフレはECBの目標に近づいた」
「ユーロ圏のインフレは安定している」
3日01:28 バイデン米大統領
「イランのイスラエル攻撃を議論するG7オンライン会議に参加」
「G7はイランへの制裁を含む対応策を議論」
3日01:48 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事
「成長への逆風を無視することはできない」
「依然として賃金の伸びは堅調」
「サービスインフレは依然として高い」
「インフレ率が2%まで持続的に低下する可能性が高まっている」
3日04:18 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「米国の債務水準は長期的には懸念事項」
「経済が予想通りに進展すれば、今年さらに2回の0.25%の利下げは合理的な道筋とみている」
「失業率とインフレ率は今年後半はほぼ安定すると予想」
「米連邦準備理事会(FRB)の利下げにより労働力と需要が再び引き締まり、来年のインフレ率は2%を超える可能性があるとみている」
「現在の金利引き下げは政策の適切な再調整だが、完全な正常化にはインフレ率が2%に達する必要がある」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=9/26高値を支持に押し目買いスタンス>
大陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の下で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。
抱き線で反発して転換線を上回っているため、続伸の可能性が示唆されている。
本日は9月26日の高値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 148.05(8/19高値)
レジスタンス1 147.11(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 146.47
サポート1 145.21(9/26高値)
サポート2 144.08(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、4手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1124(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.1045
サポート1 1.0934(日足一目均衡表・雲の下限)
<ユーロ円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
大陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。
抱き線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は161.48円に低下した雲の下限を念頭に置き、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 163.49(9/27高値)
前日終値 161.76
サポート1 160.80(日足一目均衡表・転換線)
<豪ドル円=三役好転、雲の上限を支持に押し目買い>
大陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
抱き線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は雲の上限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 101.78(7/30高値)
前日終値 100.84
サポート1 99.76(日足一目均衡表・雲の上限)
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