本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、中東情勢に警戒しつつ植田日銀総裁の発言を見極める展開か(2024年10月2日)

マーケットレポート

October 2, 2024

【前日の為替概況】ドル円一時142.98円まで下落、イランがイスラエルへミサイル攻撃

1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅ながら反落。
終値は143.57円と前営業日NY終値(143.63円)と比べて6銭程度のドル安水準だった。
石破茂首相が1日夜、首相就任後初めての記者会見で「デフレ脱却の実現に向けて金融緩和の基本的な基調は維持されるべき」との考えを表明すると、円売り・ドル買いが先行。
22時過ぎに一時144.07円付近まで値を上げた。

ただ、「イランはイスラエルへの弾道ミサイル攻撃を準備している」との報道が伝わると、中東の地政学リスクが意識されて米国株相場が軟調に推移。
米長期金利も大幅に低下し、為替市場ではリスク回避の円買いが広がった。
23時過ぎは一時142.98円と日通し安値を付けた。
もっとも、そのあとは143円台半ばから後半でのもみ合いに終始した。
イランがイスラエルに向けてミサイルを発射したことが伝わると売りが出たものの、イランのミサイル攻撃が完了したことが分かるとリスク回避の動きはいったん収まった。

なお、イランがイスラエルを直接攻撃するのは4月以来で、市場では「イスラエルの反発は必至とみられ、中東の緊迫度合いを一段と高めた」との声が聞かれた。

ユーロドルは3日続落。
終値は1.1068ドルと前営業日NY終値(1.1135ドル)と比べて0.0067ドル程度のユーロ安水準だった。
前日のラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁に続き、レーン・フィンランド中銀総裁が「10月会合での利下げの根拠は増した」と述べ、追加利下げに含みを持たせたことから、NY市場でもユーロ売りが出やすかった。
中東情勢の緊迫化を背景にリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが強まると、2時30分前に一時1.1046ドルと日通し安値を付けた。

なお、本日発表の米経済指標は9月米ISM製造業景況指数が予想を下回った一方、8月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想を上回るなど、強弱入り混じる結果となった。

ユーロ円は反落。
終値は158.90円と前営業日NY終値(159.94円)と比べて1円04銭程度のユーロ安水準。
ECBの追加利下げ観測から全般ユーロ売りが先行。
ダウ平均が一時380ドル超下落したほか、ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比1170円安の3万7600円まで急落するとリスク・オフの円買いが活発化した。
2時30分前に一時158.38円と本日安値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、中東情勢に警戒しつつ植田日銀総裁の発言を見極める展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、中東の地政学リスクや米副大統領候補テレビ討論会を注視しながら、15時30分からの植田日銀総裁の発言を待つ展開となる。

イランがイスラエルにミサイル攻撃を断行したことで、イスラエルによる反撃などの関連ヘッドラインには警戒しておきたい。

10月27日に衆議院解散・総選挙の投開票が行われるが、その後の30-31日に日銀金融政策決定会合が開催される。

植田日銀総裁が、従来の「経済・物価情勢が見通しに沿って推移すれば、引き続き金利を上げていく」というタカ派的なスタンスに軸足を置くのか、それとも、「利上げの検討にあたってはアメリカ経済や不安定になっている金融市場の動向を慎重に見極めていく」というややハト派的なスタンスに軸足を置くのか、注目しておきたい。

石破総理は、7月の日銀の利上げについて「金融緩和という基本的政策を変えないなかで徐々に金利のある世界を実現していくのは正しい政策だ」と利上げを容認しつつも、「政府と日銀は緊密に協力すべき、金融政策に関して日銀に要請はしない。
緩和的な金融政策の方針は変わらない」とも述べていた。

9月29日の自民党総裁に就任後は、日銀が政策金利を早期に引き上げることに慎重な考えを示しており、10月1日の総理就任後は「金融緩和の基本的な姿勢は維持される。
日銀との意思疎通の上、手法は日銀にゆだねられるべき」と述べている。

ドル円は、9月27日午後の高市ショックで146.49円まで上昇したものの、30日には石破ショックで141.65円まで反落した後、中心値の転換線144.07円付近に収束して、「政治相場」から米雇用統計などの「経済相場」に移行しつつある。

9月調査の日銀短観では、事業計画の前提となるドル円の2024年度の想定為替レートは、全規模・全産業では145.15円、大規模・製造業では144.96円となっており、145円付近ではドル売り圧力が強まることに警戒しておきたい。

11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅(0.25%か0.50%)に大きな影響を与える米9月雇用統計(予想:非農業部門雇用者数+15.0万人、失業率4.2%)の発表を週末4日に控えて、昨日発表された米9月ISM製造業「雇用」指数は43.9と、8月の46.0から悪化していた。
9月シカゴ購買部協会「雇用」指数は5ポイント改善しており、今夜は、9月ADP全米雇用報告に注目することになる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 9月マネタリーベース
○14:00 ◇ 9月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:37.0)
○15:30 ◎ 植田和男日銀総裁、あいさつ

<海外>
○07:15 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、コリンズ米ボストン連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○10:00 ◎ 米副大統領候補テレビ討論会
○16:15 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:00 ◎ 8月ユーロ圏失業率(予想:6.4%)
○18:30 ◎ カザークス・ラトビア中銀総裁、講演
○18:30 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○18:45 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◎ エルダーソンECB専務理事、講演
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%で据え置き)
○21:15 ☆ 9月ADP全米雇用報告(予想:12.0万人)
○22:00 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、あいさつ
○23:05 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、あいさつ
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○24:00 ◇ 9月メキシコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○24:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○3日01:00 ☆ 4-6月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比4.1%)
○3日01:00 ◎ 8月ロシア失業率(予想:2.4%)
○3日01:45 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演
○中国(国慶節)、インド(マハトマ・ガンジー生誕日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

1日08:55 日銀金融政策決定会合における主な意見(9月19-20日分)
「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、金融緩和の度合いを調整していくという基本的な考え方に変わりはない」
「金融市場は引き続き不安定な状況にある」
「最近の円安修正に伴って、輸入物価上昇による物価上振れリスクも減少しているので、見極めるための時間的余裕はある」
「本格的な引き締め政策への転換を連想させるような追加的な政策金利の変更は望ましくない」
「金融緩和の一段の調整は不確実性が低下した段階にすることが妥当」
「現在の緩和的な金融環境を粘り強く続ける我慢の局面」
「経済・物価がオントラックで推移していく場合、早ければ2025年度後半の1.0%という水準に向けて段階的に利上げ」
「市場にサプライズを起こさぬよう、データの変化を点検し、改善に応じて金融政策を修正」
「追加的な利上げを行う局面では、市場との対話を従来以上に丁寧に行う必要」
「市場とのずれが生じない発信、ずれが生じた場合の適時の修正等、コミュニケーションの改善に努めるべき」

1日09:33 ニュージーランド(NZ)財務省
「経済サイクルの底またはその近くにいることを示唆」
「インフレの緩和、金利の低下開始、将来の状況に対する企業や消費者の期待の改善が見られた」
「企業は2024年の残りの期間の需要と活動が弱いことを予想しているが、2025年には回復を見込んでいる」

1日10:13 鈴木財務相
「円安、どちらかと言えばマイナスのこと懸念していた」
「為替レートは市場で決定されるべきもの」
「為替介入はまれでなければならない」
「経済成長と財政再建を両立させることが重要」

1日13:27 三村財務官
「(為替)経済のファンダメンタルズを反映し、安定的に推移することが望ましい」
「できる限り不確定要因なくすのが我々の役割」
「直近の為替変動について申し上げると影響でるので評価・分析は申し上げない」
「振れ幅が大きければ企業活動や投資に良くない」
「無秩序で過度な動きは望ましくない、必要なら必要な行動しなければならない」
「為替介入は、属人的に変わるわけではない」

1日17:08 レーン・フィンランド中銀総裁
「利下げのペースと規模は会合ごとに決定」
「ユーロ圏のインフレ率は2025年中にECBの目標である2%で安定すると予想」
「我々の金融政策スタンスはより緩やかになりつつある」

1日17:46 赤沢経済再生相
「経済を冷やすようなことはしばらくやってはいけない」
「金利の引き上げ、慎重に判断していただきたい」

1日21:30 石破首相
「金融緩和の基本的な姿勢は維持される」
「日銀との意思疎通の上、手法は日銀にゆだねられるべき」

1日23:09 イスラエル軍報道官
「防空システムは完全に準備されている」
「同盟国とともに高度な準備態勢にある」
「イスラエル国防軍は攻撃と防御の準備ができている」
「今のところ追加的な脅威は特定されない」
「多くのミサイルを迎撃。一部は着弾した」
「イランの攻撃は深刻な結果を伴う」
「イランの攻撃で報告された負傷者はいない」

2日01:08 シュレーゲル・スイス国立銀行総裁
「先週の会合で、我々はさらなる金利引き下げの可能性を排除しなかった」
「強いフランがすべての輸出業者にとって状況を困難にしていることはわかっている」
「輸出業者にとって最初の主な問題は、海外での需要の低下」
「いかなる措置も排除できないが、マイナス金利を好む人はいない」
「SNBはマイナス金利を排除することはできないし、我々は何も排除しない」

2日01:37 イスラエル国防軍
「イランからイスラエルにミサイルが発射された」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=10/1高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ドル円1002

パラメーター

陰線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開となっている。
孕み線で反落して転換線を下回っているため、続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線144.07円を念頭に置き、1日高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 146.49(9/27高値)
レジスタンス1 144.53(10/1高値)
前日終値 143.57
サポート1 141.65(9/30安値)
サポート2 140.32(9/17安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル1002

パラメーター

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、3手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.1130(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.1068
サポート1 1.0934(日足一目均衡表・雲の下限)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ポンド円1002

パラメーター

陰線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けて、転換線を下回っていることで、売りシグナルが優勢な展開。
孕み線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 192.35(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 190.73
サポート1 189.85(日足一目均衡表・基準線)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=10/1高値を抵抗に戻り売りスタンス>

NZドル円1002

パラメーター

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は1日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 91.51(10/1高値)
前日終値 90.16
サポート1 89.28(日足一目均衡表・基準線)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


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