本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円は9月日銀短観、豪ドルは8月豪小売売上高に要注目か(2024年10月1日)

マーケットレポート

October 1, 2024

【前日の為替概況】ドル円143.91円まで上昇、パウエルFRB議長が大幅利下げ観測を否定

30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は143.63円と前営業日NY終値(142.21円)と比べて1円42銭程度のドル高水準だった。
アジア時間に一時141.65円まで売り込まれた反動でショートカバーが先行。
9月米シカゴ購買部協会景気指数が予想を上回るとさらにドル買いが進み、一時143.37円まで値を上げた。
月末・期末のロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル買いのフローも観測された。
ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するボスティック米アトランタ連銀総裁が「労働市場が引き続き弱ければ、0.50%の追加利下げの可能性も排除しない」と発言すると、142.95円付近まで伸び悩んだ。
グールズビー米シカゴ連銀総裁も複数回の利下げの可能性を示唆した。

もっとも、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「国内総生産(GDP)の下振れリスクは国内総所得(GDI)の修正によるものだが、GDIは上方修正された」と発言すると再び強含む展開に。
市場では「この発言はFRBがよりタカ派的になることを示唆している」との声が聞かれ、3時30分前には一時143.91円と日通し高値を更新した。
さらにパウエル氏は「経済が予想通りに進展すれば、今年はさらに2回の利下げが行われ、合計0.50%となる」と話し、市場の一部で浮上している大幅利下げ観測を否定する見解を示した。

ユーロドルは続落。
終値は1.1135ドルと前営業日NY終値(1.1162ドル)と比べて0.0027ドル程度のユーロ安水準だった。
ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が「最近の物価指標はインフレ率が速やかに目標に戻るという我々の確信を強めるもの」「次回理事会でこれを考慮する」と述べ、追加利下げに含みを持たせると全般ユーロ売りが先行。
予想を上回る米経済指標も相場の重しとなった。
市場では「月末・期末のロンドン・フィキシングに絡んだユーロ売り・ドル買いのフローも観測された」との指摘もあった。

その後、ボスティック氏のハト派的な発言を受けて下げ渋る場面もあったが、パウエル議長の発言が伝わると失速。
3時30分前には一時1.1114ドルと日通し安値を更新している。

なお、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、11月6-7日のFOMCで0.50%の利下げを予想する確率は前週末の53.3%から35%程度まで低下した。

ユーロ円は反発。
終値は159.94円と前営業日NY終値(158.79円)と比べて1円15銭程度のユーロ高水準。
ユーロドルの下落につれた売りが出ると159.23円付近まで値を下げたものの、ドル円の上昇に伴う買いが入ると一時160.13円と本日高値を付けた。

【本日の東京為替見通し】ドル円は9月日銀短観、豪ドルは8月豪小売売上高に要注目か

本日の東京外国為替市場のドル円は、9月調査の日銀短観や9月19-20日開催の日銀金融政策決定会合における主な意見を見極めながら、日銀の追加利上げの時期を探ることになる。

ニューヨーク市場のドル円は、パウエルFRB議長が市場の一部で浮上している大幅利下げ観測を否定して利下げを急がない姿勢を示したことで、141円台から143円台後半まで反発している。

フェドウオッチによると、11月6-7日のFOMCで0.50%の利下げを予想する確率は前週末の53%台から35%程度まで低下した。

日銀の追加利上げの時期も、10月27日の衆議院総選挙の投開票や11月5日の米大統領選を控えて、10月30-31日の日銀金融政策決定会合ではなく、12月18-19日になる可能性が高まっている。

8時50分に公表される日銀・企業短期経済観測調査(短観、9月調査)では、企業の景況感が全体的に悪化すると見込まれている。
大企業製造業の業況判断指数(DI)の予想は13で、6月調査13と変わらず、大企業非製造業の業況判断指数(DI)の予想は32で、6月調査の33からの悪化が見込まれている。
しかし、堅調な設備投資計画や販売価格引き上げの継続意向が窺える内容になれば、日銀にとっては、追加利上げの根拠となる「経済・物価が見通しに沿った経路を辿っている」との判断を裏付ける材料になる。

日銀金融政策決定会合における主な意見(9月19-20日分)では、石破自民党総裁の誕生や衆議院解散総選挙が織り込まれていないものの、年内の追加利上げに対する見解に注目したい。

自民党の石破新総裁は、27日に衆議院選挙の投開票を行うと表明した。

27日の投開票で石破政権が敗北した場合、日銀の利上げを容認しているイシバノミクスへの風当たりが強まることで、10月30-31日の日銀金融政策決定会合では、現状の金融政策の維持の可能性が高まることになる。

10時30分に発表される8月豪小売売上高(予想:前月比+0.4%)では、11月4-5日の豪準備銀行(RBA)理事会での金融政策への材料を見極めることになる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ◎ 8月完全失業率(予想:2.6%)
○08:30 ◎ 8月有効求人倍率(予想:1.24倍)
○08:50 ☆ 日銀・企業短期経済観測調査(短観、9月調査)
     ☆ 大企業製造業の業況判断指数(DI、予想:13)
     ◎ 大企業非製造業の業況判断指数(DI、予想:32)
     ◎ 大企業製造業DI・12月見込み(予想:12)
     ◎ 大企業非製造業DI・12月見込み(予想:30)
     ◎ 大企業全産業設備投資計画(前年度比、予想:11.9%)
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(9月19-20日分)
○臨時国会召集、首相指名選挙

<海外>
○06:45 ◎ 8月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○10:30 ◎ 8月豪住宅建設許可件数(予想:前月比▲4.3%)
○10:30 ◎ 8月豪小売売上高(予想:前月比0.4%)
○15:30 ◇ 8月スイス小売売上高
○16:00 ◇ 9月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○16:30 ◇ 9月スイス製造業PMI(予想:48.0)
○16:50 ◎ 9月仏製造業PMI改定値(予想:44.0)
○16:55 ◎ 9月独製造業PMI改定値(予想:40.3)
○17:00 ◎ 9月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:44.8)
○17:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○17:30 ◎ 9月英製造業PMI改定値(予想:51.5)
○18:00 ☆ 9月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.8%)
○18:00 ☆ 9月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.7%)
○22:45 ◎ 9月米製造業PMI改定値(予想:47.0)
○23:00 ☆ 9月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:47.5)
○23:00 ◇ 8月米建設支出(予想:前月比0.1%)
○23:00 ◎ 8月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:765.5万件)
○23:00 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○24:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○2日00:10 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○2日00:30 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演
○米副大統領候補テレビ討論会(日本時間2日10時)
○香港、中国(国慶節)、メキシコ(新大統領就任日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

30日22:05 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「欧州の回復は逆風に直面している」
「ディスインフレが過去2カ月間で加速した」
「インフレ目標の2%を速やかに達成できる確信がより増した」
「次回インフレ率はベースラインを下回る可能性が高い」

1日01:34 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「労働市場が弱まれば0.50%の追加利下げを排除せず」

1日01:53 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「港湾閉鎖が続く可能性を心配している」
「FRBが利下げに踏み切るのは、経済が正常化したからだ」
「雇用市場は持続可能」
「金利の引き下げは時代の要請」
「雇用市場に関する指標を注意するべき」
「利下げで最も重要なのは緩和のプロセス」
「多くの利下げが行われるだろう」
「インフレ率は目標に近づいている」
「利下げのケースは明確で、政治とは関係ない」

1日02:55 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「政策は時間をかけて中立的姿勢に移行する」
「FRBは会合ごとに決定を下す」
「労働市場はこの1年落ち着いてきたが、依然力強い」
「経済はディスインフレが一段と進む情勢にある」
「2%のインフレ率を達成するには雇用市場のさらなる冷え込みは必要ない」
「9月の利下げは、堅調な雇用市場による低インフレ達成への自信を反映したもの」
「経済は堅調、その水準を維持するために手段を使うつもりだ」
「インフレリスクと雇用目標はほぼ均衡」
「GDPの下振れリスクはGDIの修正だったが、GDIは上方修正された」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ドル円1001

パラメーター

陽線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開となっている。
孕み線で反発して転換線143.47円を上回って引けたものの、本日の転換線144.07円を下回っているため、反落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 146.49(9/27高値)
レジスタンス1 144.07(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 143.63
サポート1 141.65(9/30安値)
サポート2 140.32(9/17安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=9/25高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル1001

パラメーター

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線1.1142ドルを念頭に置き、9月25日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.1214(9/25高値)
前日終値 1.1135
サポート1 1.1033(日足一目均衡表・雲の上限)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロ円1001

パラメーター

陽線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開。
孕み線で切り返したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 160.64(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 159.94
サポート1 158.11(9/30安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

豪ドル円1001

パラメーター

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。
孕み線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 100.72(9/27高値)
前日終値 99.30
サポート1 98.36(日足一目均衡表・転換線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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