September 30, 2024
【前日の為替概況】ドル円142.07円まで下落、石破新総裁誕生と8月PCEデフレーター+2.2%
27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに大幅反落。
終値は142.21円と前営業日NY終値(144.81円)と比べて2円60銭程度のドル安水準だった。
自民党総裁選で石破茂元幹事長が勝利したことを背景に円高が急速に進んだ東京市場の流れを引き継いだ。
市場では「石破氏の勝利が日銀による追加利上げの道を開いた」との声が聞かれたほか、「自民党総裁選で日銀の利上げに批判的な高市早苗氏が勝利するとの思惑から膨らんでいた円売りポジションを解消する動きが広がった」との指摘があった。
NY市場では8月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)が前年比2.2%と予想の2.3%を下回り、変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターが前月比で予想を下回ったことを受けてドル売りも活発化。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.73%台まで低下したことが相場の重しとなり、4時30分過ぎには一時142.07円と20日以来の安値を付けた。
ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比2560円安の3万7290円まで急落したことも円買い・ドル売りを誘った。
なお、石破自民党新総裁がテレビ番組で「政府と日銀は緊密に協力すべき、金融政策に関して日銀に要請はしない」「緩和的な金融政策の方針は変わらない」と述べたと伝わると、日経平均先物の下げ渋りとともに143.08円付近まで買い戻される場面もあったが、反応は一時的だった。
ユーロドルは小反落。
終値は1.1162ドルと前営業日NY終値(1.1177ドル)と比べて0.0015ドル程度のユーロ安水準だった。
米インフレ指標の結果が「米国のインフレの落ち着きを示した」と受け止められるとユーロ買い・ドル売りが先行。
22時過ぎに一時1.1203ドルと日通し高値を付けた。
ただ、25日の高値1.1214ドルが目先レジスタンスとして意識されると徐々に上値が重くなり、一時1.1146ドル付近まで下押しした。
欧州時間発表のフランスやスペインの9月消費者物価指数(CPI)速報値が予想より弱い内容となり、欧州中央銀行(ECB)が追加利下げに動きやすくなるとの見方が広がる中、ユーロ売りが出やすい面もあった。
ユーロ円は4日ぶりに急反落。
終値は158.79円と前営業日NY終値(161.86円)と比べて3円07銭程度のユーロ安水準。
自民党総裁選での石破氏勝利を受けて、日銀の追加利上げ観測が再燃すると全般円買いが進んだ。
日経平均先物の急落に伴うリスク回避の円買いも入ると、3時30分過ぎに一時158.57円と日通し安値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、「石破トレード(株安・円高)」に要警戒か
本日の東京外国為替市場のドル円は、石破自民党新総裁の誕生を受けた先週末海外市場の円買いの流れが継続すると予想される。
石破自民党新総裁は、デフレ脱却を旗印にした「アベノミクス」(大規模金融緩和・財政出動・円安による成長戦略)が短期的な株価上昇や円安による輸出拡大に成功した一方、長期的には日本の競争力が低下したと評価している。
彼は「アベノミクス」を「都市部優先」だと批判しており、経済成長を都市部から地方へと広げるための内需主導型の経済政策が必要だと主張してきた。
石破自民党新総裁が目指す経済政策「イシバノミクス」は、金融引締め、緊縮財政、円高政策、を指向していると思われる。
日銀の金融政策に関しては、7月の利上げについて「金融緩和という基本的政策を変えないなかで徐々に金利のある世界を実現していくのは正しい政策だ」と利上げを容認しつつも、「日銀の独立性を尊重する。
経済や国民生活に支障が生じない範囲、ペースで正常化されることを期待する」「政府と日銀は緊密に協力すべき、金融政策に関して日銀に要請はしない」「緩和的な金融政策の方針は変わらない」とも述べていた。
適正な為替水準については「常識的に、ドル円は110円から140円と言われている」と述べていた。
財政政策に関しては、「必要であれば財政刺激策を実施する」と述べ、金融所得課税の実施にも肯定的な考えを示していた。
イシバノミクスは、アベノミクスの円安・株高を巻き戻す円高・株安の可能性が警戒されることで、石破内閣の布陣や解散・総選挙に向けて、「石破トレード(株安・円高)」が市場のテーマになる可能性に警戒しておきたい。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している8月分のPCEデフレーターが前年比+2.2%まで低下して、インフレ目標2%に接近したことで、11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%の追加利下げ(※FF金利誘導目標4.25-50%)の可能性が高まっている。
さらに、石破自民党総裁の誕生により、10月30-31日の日銀金融政策決定会合での追加利上げの可能性も高まっていることで、ドル売り・円買いに拍車がかかる可能性に警戒しておきたい。
しかし、石破新総裁が有権者の信任を確保しようと総選挙を断行した場合、日銀は年内の利上げを見合わせる可能性が高まることになる。
また、イシバノミクスにより、債務削減の取り組みや企業再編の波が起これば、日本企業が海外で保有している資産の日本への還流「レパトリエーション」が誘発されることで、円キャリー取引の巻き戻しに拍車がかかることになる。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 8月鉱工業生産速報(予想:前月比▲0.9%/前年比▲1.5%)
○08:50 ◇ 8月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比2.3%)
○14:00 ◇ 8月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲3.6%)
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○09:00 ◇ 9月ANZ企業信頼感
○10:30 ◎ 9月中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.5)
○10:45 ◎ 9月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.5)
○10:45 ◎ 9月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:51.6)
○15:00 ◇ 8月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.3%/前年比0.3%)
○15:00 ☆ 4-6月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.6%/前年比0.9%)
○15:00 ◇ 4-6月期英経常収支(予想:330億ポンドの赤字)
○15:00 ◇ 9月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○16:00 ◇ 9月スイスKOF景気先行指数(予想:101.0)
○17:30 ◇ 8月英消費者信用残高(予想:14億ポンド)
○17:30 ◇ 8月英マネーサプライM4
○21:00 ◎ 9月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比横ばい/前年比1.7%)
○21:00 ◎ 8月南アフリカ貿易収支(予想:200億ランドの黒字)
○21:50 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○22:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、議会証言
○22:45 ◎ 9月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:46.3)
○1日02:55 ☆ パウエルFRB議長、講演
○1日05:10 ◎ グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○ニュージーランド(NZ)は29日から夏時間に移行済み
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
27日07:05 クック米連邦準備理事会(FRB)理事
「政策の方向性について、データ、見通し、リスクのバランスを注意深く見ていく」
「経済の正常化、特にインフレの正常化は大歓迎だ」
「労働市場は堅調だが、顕著に冷え込んでいる」
「インフレ圧力の大幅な緩和を見込む」
「インフレの上振れリスクは減少、雇用の下振れリスクは増加」
27日18:13 石破自民党新総裁
「物価上昇を上回る賃金上昇のため新しい資本主義を加速する」
「(衆院解散について)適切な時期を判断する」
27日23:32
「政府と日銀は緊密に協力すべき、金融政策に関して日銀に要請はしない」
「緩和的な金融政策は変わらない」
「必要であれば財政刺激策を実施する」
28日04:30 ムサレム米セントルイス連銀総裁
「今後の利下げは段階的に行うべきだが、必要ならより速いペースが適切になる可能性がある」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
上影大陰線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開となっている。
2手連続陽線の後に抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 146.49(9/27高値)
レジスタンス1 143.47(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 142.21
サポート1 140.32(9/17安値)
サポート2 139.58(9/16安値)
<ユーロドル=横ばいの基準線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
孕み線で反落したものの依然として転換線1.1142ドルを上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は横ばいの基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1214(9/25高値)
前日終値 1.1162
サポート1 1.1108(日足一目均衡表・基準線)
<ポンド円=5日線を抵抗に戻り売りスタンス>
大陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開となっている。
抱き線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は5日移動平均線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 192.01(5日移動平均線)
前日終値 190.19
サポート1 188.73(9/20安値)
<NZドル円=雲の下限を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。
抱き線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線89.90円を念頭に置き、雲の下限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 91.05(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 90.14
サポート1 89.07(日足一目均衡表・雲の下限)
Provided by
DZH Finacial Research
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