July 25, 2024
【前日の為替概況】日銀利上げ検討報道で円全面高 対ドル153.11円、対ユーロ166.14円
24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続落。
終値は153.89円と前営業日NY終値(155.59円)と比べて1円70銭程度のドル安水準だった。
「日銀は来週の金融政策決定会合で利上げを検討」「今後数年間で債券購入を半減する計画」との一部報道や、自民党の茂木敏充幹事長が「日本経済再生で強くて安定した円を作ることが必要」と述べたと伝わると、日銀の政策正常化への思惑が高まり円買い・ドル売りが優勢となった。
世界的な株価の下落を背景にリスク・オフの円買いも入り、24時前に一時153.11円と5月6日以来の安値を付けた。
ただ、売り一巡後は下げ渋った。
米長期金利の上昇に伴うドル買いが入ったため、4時過ぎには154.10円付近まで下げ幅を縮めた。
ユーロドルは小幅続落。
終値は1.0840ドルと前営業日NY終値(1.0854ドル)と比べて0.0014ドル程度のユーロ安水準だった。
対円中心にドル売りが優勢になると、ユーロに対してもドル安が進み、23時30分前に一時1.0867ドルと日通し高値を付けた。
ただ、米長期金利の上昇に伴うドル買いが入ると1.0836ドル付近まで押し戻された。
ユーロ円は4日続落。
終値は166.81円と前営業日NY終値(168.88円)と比べて2円07銭程度のユーロ安水準。
30-31日の日銀金融政策決定会合を前に、日銀の政策正常化への思惑が高まると全般円買いが進んだ。
ダウ平均が一時550ドル超下落したほか、ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比1030円安の3万8090円まで下げると、リスク・オフの円買いも活発化し一時166.14円と5月8日以来の安値を更新した。
カナダドル円は110.95円と4月12日以来の安値を付けた。
カナダ銀行(BOC)が市場予想通り政策金利を据え置いた際の声明で「BOCが重視するコア指数は数カ月間3%を下回っており、CPIを構成する複数の品目における物価上昇の度合いは過去の平均水準に近づいている」と指摘し、マックレムBOC総裁が「インフレが予想通りに緩和すれば、追加利下げが可能」と発言するとカナダドル売りが優勢となった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、日銀金融政策正常化への警戒感から弱含みか
本日の東京外国為替市場のドル円は、30-31日の日銀金融政策決定会合への警戒感から円売り持ちポジションの手仕舞いが続いていることで軟調な展開が予想される。
来週の日銀金融政策決定会合では、次期自民党総裁候補と見なされている河野デジタル相や茂木幹事長による利上げ要請発言や「日銀は来週の金融政策決定会合で利上げを検討。
今後数年間で債券購入を半減する計画」という観測報道などから、利上げの可能性が高まりつつある。
ドル円の公表されている売買動向は以下の通りに円買いが約6.1兆円程度多くなっており、現状のドル円の161円台から153円台までの下落基調を裏付けている。
・4-7月の本邦通貨当局のドル売り・円買い介入:約15.4兆円
・1-6月の投資信託を通じた家計の円売り(新NISA少額投資非課税制度):約6.1兆円
・1-6月の貿易赤字:約3.2兆円
公表されている円売り持ちポジションは以下の通りとなっており、日銀が利上げを決定した場合、円売り持ちポジションの手仕舞いとなり円買い圧力が高まることになる。
・7月16日時点のIMM投機筋の円の売り持ちポジション:151072枚(約1.9兆円)
・4月時点の円キャリートレード残高:約10.8兆円
9月に予定されている自民党総裁選に向けて、「総理になってほしい人」ランキングによると、1位石破元自民党幹事長、2位・・・4位、5位河野デジタル相、6位茂木自民党幹事長、7位岸田首相・・・となっていた。
5月7日、岸田首相は、植田日銀総裁を官邸に呼び、円安について「日銀の政策運営上、十分注視をしていくことを確認」し、10日には経済財政諮問会議で「最近の円安の動きを十分注視しており、政府・日銀は引き続き密接に連携していく」と語っていた。
ドル円は16日に153円台に下げた後、7月3日に1986年12月以来の高値である161.95円まで上昇していった。
7月17日、河野デジタル相は、円の価値を高め、エネルギーや食料品のコストを引き下げるために政策金利を引き上げるよう日本銀行に求めた。
ドル円は155.38円まで下落したが、「日銀に対して利上げを直接求めているわけではない。
金利が上がれば円高になるという理論を申し上げただけだ」との釈明を受けて157円台に戻した。
7月22日、茂木幹事長は、日銀について「段階的な利上げの検討も含めて金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と語り、過度な円安の是正へ分かりやすい情報発信を求めた。
ドル円は、茂木幹事長が「日本経済再生で強くて安定した円を作ることが必要」と述べ、河野デジタル相のように釈明しなかったことで153円台まで下落している。
30-31日の日銀金融政策決定会合では、国債買い入れの減額計画(現在6兆円:6月約5.6兆円)は、「相応の規模」(植田日銀総裁)ならば3兆円程度、そうでなければ4~5兆円程度と想定される。
そして、追加利上げ(現在0.0-10%)は+0.15%(0.15-25%)と想定される。
河野デジタル相や茂木幹事長は、おそらく、国債買い入れの減額計画が3兆円程度と、円安阻止のための+0.15%程度の利上げを要請していると思われる。
2013年のアベノミクスによるアコードで、「日銀は政府の子会社」(安倍元首相)の様相を呈してきたが、植田日銀総裁は、次期自民党総裁候補達による利上げ要請を受け入れるのだろうか。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 6月企業向けサービス価格指数(予想:前年比2.6%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○未定 ◇ 7月月例経済報告
<海外>
○15:45 ◇ 7月仏企業景況感指数(予想:99)
○17:00 ◎ 7月独Ifo企業景況感指数(予想:88.9)
○18:30 ◇ 6月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.2%/前年比4.8%)
○20:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:30 ☆ 4-6月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率2.0%)
◎ 4-6月期米個人消費(速報値、予想:前期比年率2.0%)
◎ 4-6月期米コアPCE(速報値、予想:前期比年率2.7%)
○21:30 ◎ 6月米耐久財受注額(予想:前月比0.3%/輸送用機器を除く前月比0.2%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.8万件/186.0万人)
○24:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○26日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ブラジル・リオデジャネイロ、26日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
24日19:48 ショルツ独首相
「カマラ・ハリス氏が米大統領選に勝利する可能性が非常に高い」「私は再び首相選に出馬する予定」
24日21:36 茂木自民党幹事長
「日本経済再生で強くて安定した円を作ることが必要」
24日22:45 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「世界経済は2026年まで年率約3%で拡大し続けると予想」
「インフレ率はほとんどの先進国で依然として中銀の目標を上回っているものの、徐々に緩和すると予測」
「米国では、予想されていた経済減速が現実のものとなり、消費の伸びは鈍化している」
「米国のインフレ率は再び下降傾向に戻ったようだ」
「世界的な金融状況は緩和しており、利回りは低下、株価は上昇し、企業債務の発行は堅調」
「カナダドルは比較的安定しており、原油価格は4月の金融政策報告書(MPR)で想定された水準付近にある」
「カナダは、今年上期に経済成長が1.5%程度まで上昇する見込み」
「労働市場には緩みの兆候がある」
「失業率は6.4%に上昇し、雇用は労働力人口の成長率を下回り続け、求職者は職を見つけるのに長い時間を要している」
「賃金の伸びは鈍化の兆候が見られるが、依然として高い水準にある」
「コアインフレ指標は、2024年後半に約2.5%に減速し、2025年にかけて徐々に緩和すると見込む」
「ガソリン価格に対する基準年の影響が主な理由で、今年後半にCPIインフレがコアインフレを下回ると予想」
「これらの影響が薄れると、CPIインフレは再び上昇し、来年には2%の目標付近に落ち着く可能性がある」
「幅広い価格圧力が緩和し続け、インフレが2%に近づくと予想されるため、理事会は政策金利をさらに0.25%引き下げることを決定」
「継続的な過剰供給により、インフレ圧力が低下している」
「理事会は、インフレに対するこれらの相反する力を慎重に評価」
「金融政策の決定は入手される情報と、それらがインフレ見通しに与える影響に関する評価に基づいて行われる」
「物価安定を回復するという確固たる決意を維持」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
大陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
3手連続陰線で転換線を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 156.80(日足一目均衡表・雲の上限)
レジスタンス1 155.99(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 153.89
サポート1 153.11(7/24安値)
サポート2 152.78(5/6安値)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0887(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0840
サポート1 1.0807(日足一目均衡表・基準線)
<ポンド円=7/23安値を抵抗に戻り売りスタンス>
大陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。
4手連続陰線で低下している転換線を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日は23日の安値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 200.75(7/23安値)
前日終値 198.62
サポート1 197.78(7/24安値)
<NZドル円=200日線割れ、7/24高値を抵抗に戻り売り>
大陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
4手連続陰線で、200日移動平均線を割り込み、転換線を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日は24日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 92.79(7/24高値)
前日終値 91.24
サポート1 89.96(4/19安値)
Provided by
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