本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):本邦実質GDPの大幅下方修正も円安要因、RBA議事要旨に注目(2024年7月2日)

マーケットレポート

July 2, 2024

【前日の為替概況】ドル円、一時161.73円と再び約37年半ぶりの高値を更新

1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。
終値は161.46円と前営業日NY終値(160.88円)と比べて58銭程度のドル高水準だった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.49%台まで上昇すると円売り・ドル買いが優勢となった。
23時発表の6月米ISM製造業景況指数が48.5と予想の49.2を下回ったことが伝わると一時161.01円付近まで下押ししたものの、反応は限定的。

24時過ぎには一時161.73円と1986年12月以来約37年半ぶりの高値を付けた。
市場では「ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに向けて、月初や期初に絡んだドル買いが入った」との指摘もあった。
フィキシング通過後は若干伸び悩んだものの、下押しは161.41円付近にとどまった。

ユーロドルは3日続伸。
終値は1.0740ドルと前営業日NY終値(1.0713ドル)と比べて0.0027ドル程度のユーロ高水準だった。
週末に実施された仏下院選における初回投票の得票率などが伝わるにつれて投資家のリスク回避姿勢が和らぐと全般ユーロ買いが進行。
欧州序盤には一時1.0776ドルまで値を上げた。

ただ、NY市場では上値の重さが目立った。
6月米ISM製造業景況指数が予想を下回ったことを受けて一時1.0768ドル付近まで強含んだものの、ロンドン・フィキシングに絡んだドル買いのフローが観測されると一時1.0720ドル付近まで下押しした。

ユーロ円は4日続伸。
終値は173.40円と前営業日NY終値(172.39円)と比べて1円01銭程度のユーロ高水準。
欧州の政局不安が和らぐと投資家のリスク志向が改善し円売り・ユーロ買いが優勢となった。
22時30分前には一時173.67円と1999年のユーロ導入以来の高値を更新した。
買い一巡後はやや伸び悩んだものの、下押しは173.23円付近にとどまった。

【本日の東京為替見通し】本邦実質GDPの大幅下方修正も円安要因、RBA議事要旨に注目

本日の東京市場でも円安地合いが維持されるか
先月末のロンドン・フィキシングや昨日の動向を見ていても分かるように、現行の円売りは「投機」よりも「実需」の円売りが主要因になっている。

昨日は日銀短観で大企業製造業業況判断が市場予想を上回ったこともあり、本邦長期金利が上昇したにもかかわらず、大きく円買いには結びつかなかった。
すでに、今月(30-31日)の日銀政策決定会合で長期国債の買い入れの減額や短期金利の引き上げを示唆してしまったことで、円安を止める手段も更になくなるなど手詰まり状態だ。

市場は、次の日銀会合である程度の政策変更手段は織り込みつつある。
しかしながら、昨日内閣府が公表した1-3月期の実質国内総生産(GDP)が改定値から大幅に下方修正したことで、大きく政策変更もできないとの声が出てきたことも円安要因。
実質GDPは建設統計のミスとの理由で、前期比で改定値の-0.5%から-0.7%。
前年比で-1.8%から-2.9%へと大幅に修正されている。

もっとも、円安が続いていることもあり、円買い介入を警戒する声は徐々に高まってきている。
本日の日経新聞でも円安時の介入条件について記載されるなど、介入に対する注目度が増している。
しかし一部からは、円安の流れを止められないことで紙上での口先介入により円安を緩やかにしようとしているのではないかとの見方もある。

また円買い介入は、通常はドル売りを意味することでもあり、前回の介入後にイエレン米財務長官が「介入はまれであり、協議が行われると予想される(we would expect these interventions to be rare and consultation to take place)」とドル売りに対して拒絶反応を示している中で、ドル売り介入へのハードルは高い。

ドル円以外では、豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公表されることで、豪ドルの動きに要注目。
声明文では前回と比較しても市場を動意づけるようなものは発表されなかったが、理事会直後のブロックRBA総裁の会見では「今回の会合で利上げを議論した」と述べたことで、豪ドルは強含んだ。
先週発表された豪州の月次CPIは、前年比で市場予想の3.8%を上回る4.0%までインフレが高進したのを確認したため、CPI発表前の理事会で市場の想定よりもタカ派の内容だった場合は豪ドルが強含みそうだ。
なお、今月はRBAの理事会は行われず、次回の理事会は8月5-6日の予定。

また、本日はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が欧州中央銀行(ECB)フォーラーム(ポルトガル・シントラ)でラガルドECB総裁とともにパネルディスカッションを行う予定。
欧州入り後に相場が急転するリスクも考慮しておきたい。

<国内>
○08:50 ◇ 6月マネタリーベース

<海外>
○07:45 ◎ 5月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○10:30 ◎ 6月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨
○16:30 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、討議に参加
○17:30 ◎ エルダーソンECB専務理事、討議に参加
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.5%)
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.8%)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏失業率(予想:6.4%)
○19:30 ◎ シュナーベルECB専務理事、討議に参加
○22:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ラガルドECB総裁、講演
○23:00 ◎ 5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:791.0万件)
○ECB主催の国際金融会議「ECBフォーラム」(ポルトガル・シントラ、3日まで)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

2日01:20 シムカス・リトアニア中銀総裁
「データが予想通りであれば今年さらに2回の利下げの可能性」
「7月の利下げの根拠はなくなった」
「フランス国債に無秩序な動きは見られない」

2日03:40 ウンシュ・ベルギー中銀総裁
「市場は利下げの軌道を妥当と見込んでいる」
「今年2回以上利下げするには説得力が必要」
「7月利下げは理論上は選択肢だが、実際には慎重になるべき」

2日04:03 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「インフレの不透明性評価には時間が必要」
「ECBの仕事は終わっていない。警戒を維持する必要」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=上昇トレンドの強さを確認、昨日安値が下値めど>

ドル円0702

パラメータ0702

陽線引け。
161円を挟み暫く上下していたが、6月28日高値を超えると上昇に勢いがついた。
一時、161.73円まで約37年半ぶりの高値を更新している。

先週後半は実体が狭いロウソク足が続いたものの、週明けで再び上昇トレンドの強さを確認することになった。
調整を挟みながらも上値余地を試すことになるか。
昨日安値付近を下値めどとし、買いスタンスで臨みたい。

レジスタンス2 163.95(1986/12/16高値)
レジスタンス1 162.37(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 161.46
サポート1 160.63(7/1安値)
サポート2 159.83(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=一目・主要線に挟まれ方向感探る展開か>

ユーロドル0702

パラメータ0702

上影陽線引け。
1.07ドル台で買いが先行し、1.0770ドル台の日足一目均衡表・雲の下限を一時上回った。
もっとも雲の中では伸び悩み、3手連続の陽線ながらも上ヒゲを作って終えている。

上サイドの一目・主要線が抵抗帯として働いているものの、1.0721ドルで横ばいの転換線付近では支えられており、暫くは1.07ドル台で方向感を探る展開か。
ただ、昨日安値1.0711ドルをクリアに割り込むようだと、下押し幅を広げそうだ。

レジスタンス1 1.0809(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0740
サポート1 1.0666(6/26安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=2008年以来の高値更新、押し目買い姿勢継続>

ポンド円0702

パラメータ0702

陽線引け。
203円前半で下値の固さを確かめて、2008年8月以来の204円台乗せ、204.70円台まで上げ足を速めた。

昨日までで11営業日連続の陽線を記録。
日足一目・基準線は週明けに201円手前まで上昇し、同・転換線も202円台で上向きと相場の方向性を示している。
下げたところは拾うというスタンスでまだよさそうだ。
一先ずは、昨日安値を下値めどと見込みたい。

レジスタンス1 204.91(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 204.25
サポート1 203.26(7/1安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=97円台で上向きの転換線が支持となるか>

NZドル円0702

パラメータ0702

小陽線引け。
97円後半で支えられて、98円台に再び乗せた。
98円前半でやや伸び悩むも、大台を維持して終えている。

本日97円半ばで水準を切り上げている日足一目・転換線は明日にも97.70円台に乗せてくる見込み。
上昇スピードは鈍ってきているものの、上向き転換線が支持となれば、上値余地を探る展開は続きそうだ。

レジスタンス1 98.59(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 98.08
サポート1 97.59(日足一目均衡表・転換線)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


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