本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):円安トレンドは変わらず、米経済指標後のドル売り調整は短命か(2024年5月17日)

マーケットレポート

May 17, 2024

【前日の為替概況】ドル円、東京安値153.60円から155円半ばまで反発 クロス円も堅調

16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は155.39円と前営業日NY終値(154.88円)と比べて51銭程度のドル高水準だった。
東京市場では一時153.60円まで値を下げたものの、海外市場では買い戻しが優勢となった。
この日発表の5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や4月米住宅着工件数、前週分の米新規失業保険申請件数は予想より弱い内容となったものの、4月米輸入物価指数が予想を上回るとドルを買い戻す動きが先行。
米長期金利が上昇に転じたことも支援材料となり、23時前に一時155.53円と日通し高値を更新した。
政府・日銀による為替介入への警戒が後退する中、日米金利差を背景にした円売り・ドル買いが出やすい面もあった。
その後の下押しも155.17円付近にとどまった。

ユーロドルは4営業日ぶりに反落。
終値は1.0867ドルと前営業日NY終値(1.0884ドル)と比べて0.0017ドル程度のユーロ安水準だった。
前日の4月米消費者物価指数(CPI)の結果を受けて米インフレが再加速するとの懸念は薄れているものの、この日は米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出た。
23時過ぎには一時1.0854ドルと日通し安値を更新した。
そのあとは1.0876ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは限定的だった。

なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するバーキン米リッチモンド連銀総裁は「CPIはまだ米連邦準備理事会(FRB)が目指す目標には達していない」「我々は正しい道を進んでいるものの、もう少し時間がかかりそうだ」などと述べた。
メスター米クリーブランド連銀総裁は「政策金利を現在の水準で維持することが、なお高水準で推移するインフレ率を目標の2%に戻すことにつながる」などと話した。

ユーロ円は反発。
終値は168.87円と前営業日NY終値(168.58円)と比べて29銭程度のユーロ高水準。
ドル円と同様にアジア時間には167.33円まで売られたものの、欧米市場では買い戻しが優勢となり、一時168.91円まで値を上げた。

ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。
ポンド円は一時196.92円、豪ドル円は103.82円、NZドル円は95.14円、カナダドル円は114.15円、スイスフラン円は171.77円、メキシコペソ円は9.33円まで値を上げた。

【本日の東京為替見通し】円安トレンドは変わらず、米経済指標後のドル売り調整は短命か

本日のドル円相場は流動性が悪いことで値動きは活発になりそうだが、依然として日米のファンダメンタルズの相違で円安トレンドが続くと予想する。

ドル円は14日に付けた156.74円を高値に、15日に発表された米経済指標発表以後は調整のドル売りが進み、昨日は153.60円まで下押しした。
そして、昨日のアジア時間は終始上値が重かったものの、欧州勢参加後は買いが優勢となり下げ幅の半値(155.17円)を超えて再び強含んだ。

ドル円の下落局面ではドルが買われるのは、日米のファンダメンタルズにいまだ開きがあることが要因。
米国サイドからは15日の経済指標[米消費者物価指数(CPI)や小売売上高]が比較的弱めな結果だったことで、市場では9月からの利下げ期待が高まった。
しかしながら、それ以前に発表された、4月卸売物価指数(PPI)は予想を上振れ、ミシガン大学やニューヨーク連銀が公表した期待インフレはいずれも上昇するなど、今後インフレ低下を予想する声は少ない。

昨日、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が講演で利下げを否定したものの、同時に「現時点で利上げの必要性もない」と述べたように、米連邦準備理事会(FRB)要人も今後のインフレ動向についてはいまだに不透明感がぬぐえず、市場ほど利下げには先走った考えを持っていない。

一方で、本邦のファンダメンタルズの弱さは明らかなことで、円が積極的に買われる要素はない。
先週発表された、さえない本邦の経済指標に続き、昨日発表された1-3月期の実質国内総生産(GDP)は、年率換算で予想の-1.5%をさらに下回る-2.0%となった。
円安を止めるために日銀が今後も長期国債の買い入れ削減をしたとしても、GDPが大幅にマイナスとなるような経済情勢下で、断続的に金利を引き上げるのは不可能だろう。

また、金利引き上げにより短期プライムレートも上昇することになると、住宅ローンも上昇し、底辺で上下している岸田内閣の支持率を更に下げることになり、政府もそれを望んでいないことで、現実的には本邦の金利上昇にも限界がある。

ここ最近の米経済指標後のドル売りの調整は、ごく短期間で終わっていることにも留意したい。
3日に発表された4月の米雇用統計後にドル円は153円台から151.86円まで急落した。
しかし、NY引けにかけては再び153円台に戻し、更に週明け6日には154円台に乗せ、その後じり高となった。
本邦のファンダメンタルズの弱さだけではなく、介入を期待させたことによる円売りの遅れや、需給的にも円売り意欲が旺盛なことで、気が付くと数日で元の水準に戻すパターンが度々見受けられる。
よって、週明けに再び156円後半に戻っていても不思議ではないだろう。

なお、本日は中国から4月の鉱工業生産と小売売上高が発表される以外は主だった経済指標の発表予定はない。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
特になし

<海外>
○11:00 ◎ 4月中国鉱工業生産(予想:前年比5.5%)
○11:00 ◎ 4月中国小売売上高(予想:前年比3.8%)
○15:30 ◇ 1-3月期スイス鉱工業生産
○16:00 ◎ バスレ・スロベニア中銀総裁、講演
○16:20 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:30 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○17:00 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17:30 ◎ 1-3月期香港域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比2.3%/前年比2.7%)
○18:00 ☆ 4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.4%)
○18:00 ☆ 4月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比2.7%)
○21:30 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、カザークス・ラトビア中銀総裁、講演
○21:30 ◇ 3月対カナダ証券投資
○23:00 ◎ 4月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.3%)
○23:15 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○18日01:00 ☆ 1-3月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比5.3%)
○18日01:00 ◎ 4月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%)
○18日01:15 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○ノルウェー(独立記念日)、休場

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

6日08:43 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「満足を得るには良好なインフレデータが数カ月続く必要がある」

16日11:20 林官房長官
「資産価格や為替変動による国内物価押し上げリスクに注意が必要」
「(GDPの結果を受けて)景気は緩やかな回復が続くことを期待」

16日18:57 デコス・スペイン中銀総裁
「中心シナリオは6月の利下げ」
「6月以降の金利見通しを立てたくない」

16日19:09 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「当面利下げの必要性はない」
「現時点で利上げの必要性もない」
「インフレ率が2%になるまで政策緩和を待つ必要はない」
「インフレが2%に持続的に向かうという確信が依然として欠けている」

16日19:49 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「インフレ率は低下傾向にある。インフレ目標2%への到達が現実味を帯びている」
「金融政策の決定は、各会合ごとに行われる」
「利下げの道筋はまもなく決定される」
「徐々に利下げしていくことが望ましい」
「6月の利下げ開始期待が高まっている」

16日20:39 グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「インフレの持続性が弱まり続けることを立証する必要がある」
「私が昨年7月にMPCに加わって以来、インフレの持続性は弱まっている」
「失業率の上昇が急速になれば、より緩和的な政策が正当化される」
「成長が弱い場合、失業率は英中銀の予想を上回る可能性」

16日20:58 カザークス・ラトビア中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)は6月に利下げを開始する見込み」

16日23:25 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「CPIはまだFRBが目指す目標には達していない」
「労働市場全体は正常化しつつある」
「我々は正しい道を進んでいるものの、もう少し時間がかかりそうだ」
「問題は金利をどの程度の期間維持する必要があるかということ」

17日01:19 メスター米クリーブランド連銀総裁
「インフレ率が2%に向かうという確信を得るにはさらに時間がかかるだろう」
「FRBがさらなるデータを精査する中、金融政策は良好な位置にある」
「インフレ面のリスクが増大」
「成長と雇用に対する下振れリスクは低下」
「現在の政策はインフレを低下させるだろう」
「最新のCPIデータはインフレ抑制の兆しとして歓迎」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=155円前半まで上昇の転換線を念頭に置いた取引>

ドル円0517

パラメータ0517

下影陽線引け。
売りが先行し、153円後半の7日安値を割り込み、153.60円まで下げ幅を拡大。
もっとも一巡後は買い戻し優勢となり、155円半ばまで反発した。

昨日154円後半だった日足一目・転換線は155.17円まで上昇。
本日は同線と155.30円台で上向きの21日移動平均線を念頭に置き、昨日作った長い下ヒゲを頼りに買い目線で臨みたい。
156円付近の基準線をしっかり超えると上昇に勢いが増しそうだ。

レジスタンス2 156.74(5/14高値)
レジスタンス1 156.02(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 155.39
サポート1 154.15(ピボット・サポート1)
サポート2 153.60(5/16安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=転換線から雲の上限までを支持帯と見込む>

ユーロドル0517

パラメータ0517

陰線引け。
1.0890ドル台で上昇が一服し、1.08ドル半ばまで押し戻された。
4日ぶりの反落となる。

日足一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンが実線の上、雲の上でも引け、強い買いシグナルの三役好転が点灯中。
転換線1.0810ドルから90日移動平均線や雲の上限が位置する1.08ドル手前までを支持帯とし、買いスタンス。
1.07ドル後半まで低下した雲の下限を割り込んだら手仕舞い。

レジスタンス1 1.0943(3/21高値)
前日終値 1.0867
サポート1 1.0802(日足一目均衡表・雲の上限)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=三役好転が点灯、上値余地を試す展開か>

ユーロ円0517

パラメータ0517

下影陽線引け。
167円前半まで売り先行も、167円割れに位置する日足一目・基準線が支持となり反発。
169円手前まで買われ、そのまま高値圏で引けた。

昨日166円後半だった一目・転換線は167円半ばまで上昇し、基準線を上回った。
遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため強い買いシグナルの三役好転が点灯。
長い下ヒゲも支えに上値余地を試すことになるか。

レジスタンス1 169.95(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 168.87
サポート1 167.52(日足一目均衡表・転換線)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=5/15高値を超えると年初来高値が視野に>

豪ドル円0517

パラメータ0517

下影小陽線引け。
102.81円まで下落後に103円後半まで切り返した。
前日の極小陽線も含めて4日続伸となる。

一目・転換線は102円半ばから昨日安値水準まで上昇し、地合いの強さを示している。
昨日下ヒゲを頼りに買いスタンスで臨みたい。
上値は104円付近の15日高値を超えていくと、4月29日につけた年初来高値104.94円が意識される。

レジスタンス1 104.48(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 103.78
サポート1 102.81(日足一目均衡表・転換線=5/16安値)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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