May 16, 2024
【前日の為替概況】ユーロドル、3/21以来の高値更新 ドル円は154円後半まで大幅反落
15日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3日続伸。
終値は1.0884ドルと前営業日NY終値(1.0819ドル)と比べて0.0065ドル程度のユーロ高水準だった。
月米消費者物価指数(CPI)は前月比で0.3%上昇と予想の0.4%上昇を下回ったほか、前年同月比では3.4%上昇と市場予想と一致し3月から鈍化。
エネルギーと食品を除くコア指数も前月比0.3%/前年比3.6%と市場予想通り鈍化した。
また、4月米小売売上高は前月比横ばいと予想の0.4%増より弱い内容となり、3月分が下方修正された。
米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始が先送りになるとの観測が後退すると、米長期金利が低下し全般ドル売りが優勢となった。
5時30分前に一時1.0886ドルと3月21日以来の高値を付けた。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは104.29と4月10日以来の低水準を付けた。
ドル円は4営業日ぶりに反落。
終値は154.88円と前営業日NY終値(156.42円)と比べて1円54銭程度のドル安水準だった。
米CPIの鈍化や米小売売上高の下振れを受けて、インフレ圧力や消費の落ち着きが意識されると、米利下げ観測が高まった。
米長期金利の低下とともにドル売りが進むと、2時30分過ぎに154.70円と日通し安値を更新した。
5月米NAHB住宅市場指数が予想を下回ったことも相場の重し。
米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.3361%前後と4月10日以来の低水準を記録した。
なお、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は「FRBは現在の金利水準をもう少し長く維持する必要がある」との見解を改めて表明したものの、相場の反応は限られた。
ユーロ円は8日ぶりに反落。
終値は168.58円と前営業日NY終値(169.25円)と比べて67銭程度のユーロ安水準。
ドル円の下落につれた円買い・ユーロ売りが優勢となり、21時30分過ぎに一時168.16円と本日安値を付けた。
ただ、そのあとはユーロドルの上昇につれた買いも入ったため、下げ渋った。
【本日の東京為替見通し】円安一服も円買い要因は少ない、本邦GDP・豪雇用統計に注目
本日のドル円相場は、円売りの勢いが一服となったものの、積極的に円買いにもなりにくくもみ合いとなるか。
一昨日の4月米卸売物価指数(PPI)が予想を上振れたのにもかかわらず、すぐにドル買いの勢いは失速した。
そして、昨日の同月米CPIが予想を下振れるとドルが下げ幅を広げたように、先週の週初から始まったドル円の買いの勢いは息切れがしている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月FOMCまでの利下げ予想が約73%まで上昇しているように、米国の利下げを予想する声は多い。
期待インフレの結果や米連邦準備理事会(FRB)高官の発言を聞いている限りでは、市場は利下げに対してはまだ疑心暗鬼となってはいるものの、インフレ率の低下はドル円の頭を抑えることにはなるだろう。
ただし、積極的に円買いに動くには材料に欠けていることで、ドル円の下値も支えられると予想される。
ここ最近のさえない本邦の経済指標や、本日発表される1-3月期の本邦実質国内総生産(GDP)速報値もマイナスに転じるとの見込み。
13日に日銀の国債買い入れオペ減額により本邦中長期金利が上昇していた。
日銀が今後も長期国債の買い入れ削減を継続したとしても、GDPがマイナスに転じると予想されている国が、断続的に金利を引き上げられる状況ではないのは明白で、敢えて円を買う要素が少ない。
よって、本日のドル円は米金利の低下でドルの上値も限られる反面、円を買える状況ではないことでレンジの中でもみ合いとなりそうだ。
ドル円以外では本日、豪州の4月雇用統計に要注目。
豪政府が14日に発表したインフレ見通しは、豪準備銀行(RBA)より早めのインフレ低下を予想した。
昨日発表された1-3月期の豪賃金指数は市場予想を下回り、前期比も下方修正された。
しかしながら、米金利の低下もあり豪ドルは対ドルで1月以来の水準まで上昇している。
株価上昇により、リスク選好の動きに敏感な豪ドルは買いトレンドが強まってきた。
本日の雇用統計も好結果となれば、ポジティブサプライズに大きく豪ドルは反応するか。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ☆ 1-3月期実質国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比▲0.4%/前期比年率▲1.5%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○13:30 ◇ 3月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 3月設備稼働率
<海外>
○10:30 ◎ 4月豪雇用統計(予想:失業率3.9%/新規雇用者数2.37万人)
○15:00 ◎ 1-3月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○18:00 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演
○18:15 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:00 ◎ グリーン英MPC委員、講演
○20:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:15 ◎ ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○21:30 ◎ 4月米住宅着工件数(予想:142.0万件、前月比7.5%)
◎ 建設許可件数(予想:148.0万件、前月比0.9%)
○21:30 ◎ 5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:8.0)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/178.5万人)
○21:30 ◇ 4月米輸入物価指数(予想:前月比0.3%)
○22:15 ◎ 4月米鉱工業生産(予想:前月比0.1%)
◇ 設備稼働率(予想:78.4%)
○23:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、議会証言
○23:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23:30 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○17日01:00 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○17日04:50 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、イベントに参加
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
15日09:22 シュミッド米カンザスシティ連銀総裁
「金利はしばらく高止まりする可能性がある」
「インフレ率は依然として高すぎる」
15日16:38 ブンゲ・スウェーデン中銀(リクスバンク)副総裁
「スウェーデンのインフレ見通しは明るい」
「データは中期のインフレ見通しを支持」
「今後の動向を綿密に監視することが重要」
「スウェーデンクローナの水準はインフレにとって継続した上振れリスク」
15日17:49 ミュラー・エストニア中銀総裁
「6月の利下げはかなり可能性が高い」
「年内の追加利下げは一層複雑」
15日18:15 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「ECBはFRBに依存する度合いが低い」
「ECBの金利判断は、ユーロ圏のデータと予測に基づいて行われる」
「6月以降のECBの利下げペースは、各会合で決められる」
「我々はインフレ危機から徐々に抜け出しつつある」
16日01:23 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「FRBはインフレ率を下げるために経済の潜在的な需要に焦点を当てている」
「大きな問題は現在のFRBの政策がどれほど制限的なものであるか」
「インフレの行方を見極めるためには、もうしばらく現状維持が必要になるだろう」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=上昇した転換線や昨日安値を睨みながらの取引>
大陰線引け。
156円半ばで頭を抑えられると売り戻し優勢となり、基準線を割り込んで154円後半まで下げ足を速めた。
昨日154円前半だった日足一目・転換線は、154.70円台まで上昇してきている。
本日は同線や15日安値154.70円を睨みながらの取引か。
下回って推移するようだと、153円後半の7日安値が意識される。
戻りの上値めどは昨日レンジの半値155.60円台を想定。
レジスタンス2 156.74(5/14高値)
レジスタンス1 155.63(5/15レンジの半値戻し)
前日終値 154.88
サポート1 153.86(5/7安値)
サポート2 152.78(5/6安値)
<ユーロドル=三役好転が点灯、上向き転換線が支持に>
陽線引け。
1.08ドル前半の90日移動平均線を支持に、上値を試した。
1.0885ドルの4月9日高値を僅かに上回った。
日足一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンが実線の上、雲の上でも引けたことで強い買いシグナルとされる三役好転が点灯した。
雲は下向きに幅を広げるため、1.0805ドルまで水準を切り上げてきた転換線までを押し目水準として買いスタンスで臨みたい。
レジスタンス1 1.0943(3/21高値)
前日終値 1.0884
サポート1 1.0805(日足一目均衡表・転換線)
<ポンド円=8日ぶり反落、195円前半の基準線が支持か>
陰線引け。
197円台では伸び悩み、売り戻しが優勢となった。
196円割れで下落は一服し、下げ幅を縮めて終えた。
8日ぶりの反落も前日安値を割り込むことはできず、上昇が続いてきた後なだけに調整の範囲とも受けとめられる。
195.70円台の14日安値を下回ったとしても、195円前半の一目・基準線が支持として働くことも想定。
上サイドは、昨日高値197.10円を超えられるかがポイントとなりそうだ。
レジスタンス1 197.10(5/15高値)
前日終値 196.49
サポート1 195.27(日足一目均衡表・基準線)
<NZドル円=4/29の年初来高値が視野に>
陽線引け。
94円前半で下げ渋り、94.80円台と4月29日以来の水準まで上昇した。
高値圏で引けて、3日続伸となる。
レンジを着実に切りあげてきており、4月29日につけた年初来高値95.40円が視野に入ってきた。
下向きの調整には気を付けながらも、94.20円台の昨日安値をクリアに割り込むまでは買いスタンスで臨みたい。
レジスタンス1 95.40(4/29高値)
前日終値 94.80
サポート1 94.24(5/15安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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