週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、米中関税合戦が重し

市場見通し
◆豪ドル、米国の90日間関税猶予も米中関税合戦激化が重しに
◆豪ドル、通常は注目度が高い雇用統計も関税相場で値動き限定か
◆ZAR、国内政治不安で米相互関税延期も支えにならず

予想レンジ
豪ドル円 85.00-92.00円
南ア・ランド円 7.00-7.80円

4月14日週の展望
 豪ドルは引き続き乱高下する中で上値は限られそうだ。リスク許容度に敏感な通貨ということで今週半ばまでは大幅に下落したが、トランプ米大統領が「米国に対して報復措置を取っていない国・地域を対象に関税(上乗せ分)引き上げを90日間一時停止する」と発表すると、リスク回避の動きが収まり急反発した。来週も、関税がらみの報道で不安定な動きを繰り返すだろうが、リスク回避は簡単には収まりそうもなく、豪ドルの上値は限定的となる可能性が高い。

 米国の上乗せ関税は延期されたが、基本税の10%は継続。中止ではなくあくまでも90日間の猶予が与えられた状況。中国への関税は引き続き高賦課であり、市場はリスク選好地合いにはなれない。10日には米国の対中関税は145%、中国の対米関税は84%まで引き上げられた。2大経済大国の貿易戦争の長期化はリスク回避傾向を高め、豪ドルの売り要因になる。また、豪州にとって中国が重要な通商パートナーということもあり、米中間の摩擦も重しだ。

 なお、来週豪州からは15日に豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公表され、17日には3月の雇用統計が発表される。通常であれば雇用統計に市場は動意づくが、相互関税という大きな波に相場が影響されており、結果への反応も限定的となるだろう。また、ニュージーランドからは16日に3月貿易収支、17日に1−3月消費者物価指数(CPI)が発表される。

 南アフリカ・ランド(ZAR)も上値が重そうだ。週前半に一時対ドルでは過去最安値を更新したが、90日間の関税延期が発表されると急反発した。市場が大幅にZARを売り越していたこともあり、買い戻しの反動は大きかったが、引き続き、積極的に買う要素は少ない。来週もZARは売り場探しになりそうだ。

 南アへの30%に上る米国の上乗せ関税は一時的に回避されたものの、米国が南アに対して手を緩めることはないだろう。南アは米国と密接な関係のイスラエルに対し国際司法裁判所(ICJ)に訴えを起こした。また、トランプ政権の閣僚が南アをアパルトヘイト時代に戻すような発言を繰り返しているほか、南アの駐米大使が強制送還になるなど、トランプ政権の対応は厳しさを増している。90日後の南アに対する高賦課関税復活の可能性にも留意しておく必要がある。
 また、関税だけでなく、国民統一政府(GNU)に加わっている第2党・民主同盟(DA)が連立を離脱する可能性が高まるなど、国内の政治情勢が悪化していることもZAR売り要因。なお、来週の経済指標では、16日に2月小売売上高が発表される。

4月7日週の回顧
 豪ドルは乱高下。米国の相互関税を嫌気し下値を広げ、9日には対ドルで2020年以来、対円では2022年以来の水準まで下落した。ただ、米政権が上乗せ関税に90日間の猶予を与えたことで急反発した。ZARは9日には対円では2023年6月以来、対ドルで過去最安値まで弱含んだが、豪ドル同様に関税延期の発表が伝わると一転大きく買い戻された。(了)(執筆:4月11日、9:50)


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