週間為替展望(ポンド/加ドル)−ポンド、今年は高いパフォーマンス

市場見通し
◆年末年始で薄商いのなか、ドル高・円安は続きそう
◆ポンド、今年は高いパフォーマンスを記録
◆加ドル、利下げ継続思惑や経済見通しの不透明感で重い動きが続きそう

予想レンジ
ポンド円 195.00-201.00円
加ドル円 108.00-111.50円

12月30日週の展望
 クリスマスが終わり、年末年始で閑散取引は継続。薄商いのなか手がかり以上の大きな値動きが見られる可能性はあるが、基本的には市場参加者が少なく新規材料も乏しいことで手控えムードが続きそうだ。12月の日銀会合後の植田総裁の会見はかなりハト派と市場が受け止めたなか、今週の同総裁の講演が注目されたが、内容はほぼ変わらずだった。薄商いのなかでドル高・円安の流れが続きそうだ。

 今年のポンドは主要通貨のなかでドルに次ぐパフォーマンスとなった。対ドルでは1.27ドル半ばでスタートし、この水準を上回って今年を終えるのはやや厳しくなっているが、179円前半で始まったポンド円は上昇して今年を終えることはほぼ確実。年初、市場ではイングランド銀行(英中銀、BOE)の年内6回の利下げ見通しが大勢だったが、結局、利下げは2回と1月の予想とは大きく異なった2024年。ポンドの高いパフォーマンスにつながった。

 ベイリーBOE総裁は来年に4回の利下げが行われる可能性が高いと述べているが、市場は現在、2-3回にとどまると想定している。来年最初の2月会合で利下げと据え置きに見方が分かれており、経済データなどでBOEの決断を見極めることになる。直近の11月消費者物価指数(CPI)は前年比2.6%と一段と上昇し、10月から伸びが再加速している。また、来年1 月以降、標準的な世帯の光熱費支払額はさらに1.2%程度上昇する見込みであり、私立学校の授業料に付加価値税が課せられ、バス運賃の上限が引き上げられるため、CPIのうちサービスは0.3%程度押し上げられる見通しである。BOEが積極的な利下げ姿勢に転じるのはなかなか難しそうだ。

 今年の加ドルはさえない動きとなった。今年1.32加ドル前半でスタートしたドル/加ドルは12月には1.44加ドル台と2020年3月以来の加ドル安が進んだ。106円半ばで始まった加ドル円は118円後半まで上昇するも一時101円台に失速し、やや上昇して来年を迎えそうだ。

 カナダ中銀(BOE)が主要国のなかで一番積極的に利下げを行ったことが加ドル売りを後押した。BOCは6月会合から5会合連続で利下げを実施。10・12月会合では0.50%の大幅利下げに踏み切った。カナダの雇用市場は依然として軟調で、インフレ見通しも抑制される公算が大きく、現在3.25%の政策金利は来年年央まで2.50%まで引き下げられる可能性がある。また、トランプ次期米政権によるカナダに対する新たな関税の可能性などにより、経済見通しに不確実性が高まっており、加ドルの上値の重い動きが続きそうだ。

12月23日週の回顧
 ドル高・円安地合いが維持されるも、クリスマス休暇で市場参加者も少ないなか、相場全体が小動きとなった。ポンドドルは1.25ドル台、ドル/加ドルは1.44加ドルを挟んでの小動き。ポンド円は198円近辺、加ドル円は109円後半までの小幅高にとどまった。(了)

*FX WEEKLYは本日が年内最終配信となります。2025年年初の配信は1月10日となります。


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