週間為替展望(ドル/ユーロ)-植田日銀総裁の講演に注目

市場見通し
◆ドル円、植田日銀総裁の講演や日銀金融政策決定会合(18-19日)「主な意見」に注目
◆ドル円、トランプ次期大統領の円安牽制や本邦通貨当局の円買い介入などに警戒
◆ユーロドル、フランスの予算案の採決に注目

予想レンジ
ドル円   155.00-160.00円
ユーロドル 1.0100-1.0500ドル

12月23日週の展望
 ドル円は、クリスマス週で閑散取引の中、植田日銀総裁の講演や日銀金融政策決定会合(18-19日)の主な意見で、来年の追加利上げの時期を探る展開となる。

 18-19日の日銀金融政策決定会合では、現状の金融政策の維持が決定されたが、「主な意見」では、追加利上げの時期が来年1月20日の第2次トランプ米政権発足後の1月会合になるのか、それとも春闘での賃上げ動向が判明した後の3月ないし4月になるのかを見極めることになるだろう。

 植田日銀総裁は会合後の会見で「次の利上げの判断に至るには、もう1ノッチ(段階)欲しい」と述べた。利上げの判断材料として、「来年の春闘賃上げ動向や米国のトランプ次期米政権の経済政策を見極めたい」との姿勢を示したことで、時間的余裕を復活させている。さらに、「輸入物価が上がっていないから円安を気にしていない」と述べて円安を加速させた。

 ただ、「現在の実質金利は極めて低い水準にある」との認識を示し、今後、「日銀の経済・物価見通しが実現していけば、それに応じて利上げを行い、金融緩和度合いを調整していく」と発言。見通し通りなら利上げの姿勢を強調しながら、すぐ利上げではないとのはっきりしない姿勢となっている。

 25日には植田日銀総裁の講演が予定されているが、11月の全国CPIを受けて、実質政策金利や実質10年債利回りがマイナス圏で推移していることに対する見解などを確認したい。また、米国の12月消費者信頼感指数では、雇用関連指数やインフレ見通しにも注目している。

 日米の金融政策決定会合を受けて、ドル高・円安に拍車がかかりつつあるが、歯止めをかける要因としては、トランプ次期米大統領による円安牽制発言や本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入があげられる。また、トランプ次期米大統領は来年1月に復活する債務上限の撤廃を求めているため、格付け機関による米国債格下げの可能性にも警戒しておきたい。

 ユーロドルは、バイル新仏首相による予算案の採決やウクライナ戦争の動向に注意。極右政党・国民連合の事実上の代表を務めるルペン氏は、予算案への条件付きの支持を表明しているものの、年末までに暫定予算が成立しなければ、ユーロの下値リスクが高まることになる。ドイツとフランスの政局への警戒感や、トランプ関税により欧州全体の景況感悪化と物価上昇懸念が高まっているなか、ECBの追加利下げへの観測がユーロの上値を抑えている。

12月16週の回顧
 ドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派的利下げに続き、日銀金融政策決定会合で利上げが見送られたほか、植田日銀総裁が追加利上げに慎重な姿勢を示したことを受けて、153.16円から157.93円まで急伸している。ユーロドルは、FOMC後の米金利急騰につれて、1.0534ドルから1.0344ドルまで下落した。(了)


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