市場見通し
◆豪ドル、RBAのタカ派スタンス弱まり軟調
◆豪ドル、中国の人民元安容認が上値を抑える
◆ZAR、中国の景気浮揚策で底堅い
予想レンジ
豪ドル円 93.00-99.00円
南ア・ランド円 8.40-8.80円
12月16日週の展望
豪ドルは上値の重い動きとなりそうだ。今週、中国が金融政策のスタンスを「穏健な」から「適度に緩和的」に変更すると発表。財政政策についても「より積極的な」とし、従来の「積極的な」から表現を強めたことで、中国経済回復への期待から豪ドルが買われる場面があった。ただ、一方で、「中国当局はトランプ関税をにらみ、2025年の人民元安容認を検討している」と報道されたほか、豪準備銀行(RBA)理事会では政策金利は予想通りに据え置かれたが、声明文で「インフレの上振れリスクは緩和。消費者物価指数(CPI)は持続的に目標に戻ると確信」とハト派的な見解が示された。RBAのタカ派スタンスが弱まったことや、人民元安容認などが豪ドルの重しになると思われる。
なお、RBAの次回理事会は2月17−18日まで行われないが、市場では、1月29日に発表が予定されている10−12月期のCPIに注目している。多くの市場参加者は、来年の利下げは数回程度に留まるとの声も多いが、1月のインフレ指標の結果次第では市場の流れが変わる可能性があることを今から留意しておきたい。
来週は17日に12月のウエストパック消費者信頼感指数、19日にメルボルンインスティテュートが12月のインフレ期待(トリム平均値)を発表する程度で、豪州からは市場を動意づけるような経済指標の発表が予定されていない。多くの経済指標(7−9月経常収支、GDP他)が発表されるニュージーランドや、日米の金融政策決定会合、中国の景気浮揚策等、豪州国外の動向が豪ドルを左右することになるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅い動きが予想される。中国政府が景気浮揚策に本腰を入れたことはZARには好材料。南アにとって中国は最大の輸出国で、中国経済が回復すれば南アの鉱業輸出の伸びも期待される。今週発表された中国の財政・金融政策の変更はG7国の株価などには影響は限られたが、南ア株やZARは堅調な動きを示した。第1次トランプ政権時は、BRICS各国は米国の顔色をうかがっていたが、現状では加盟国も拡大し、各国の経済力も強まっている。トランプ次期米大統領の高圧的交渉が通じなくなってくる可能性もある。人口ではG7の5倍弱の規模をもつ国が集まっていることもあり、脱米国が進む可能性にも留意しておきたい。
12月9日週の回顧
豪ドルは弱含み。RBA理事会でタカ派スタンスが弱まったことで、豪ドル/ドルは昨年11月以来となる0.63ドル前半まで弱含んだ。対円では95円半ばから98円台で方向感がなく上下を繰り返した。11月の雇用統計が失業率、新規雇用者数ともに市場予想を上回る好結果だったことは豪ドルの支えになった。
ZARは強含み。中国の景気浮揚策で対ドルでは先月中旬以来の水準まで買われた。また対円でも8円半ばを回復している。なお、南アのCPI、PPIは市場予想を下振れ、次回1月での南ア準備銀行(SARB)の0.25%の利下げをほぼ織り込んだ。(了)
(執筆:12月13日、9:00)
(関口)
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本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
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◆豪ドル、中国の人民元安容認が上値を抑える
◆ZAR、中国の景気浮揚策で底堅い
予想レンジ
豪ドル円 93.00-99.00円
南ア・ランド円 8.40-8.80円
12月16日週の展望
豪ドルは上値の重い動きとなりそうだ。今週、中国が金融政策のスタンスを「穏健な」から「適度に緩和的」に変更すると発表。財政政策についても「より積極的な」とし、従来の「積極的な」から表現を強めたことで、中国経済回復への期待から豪ドルが買われる場面があった。ただ、一方で、「中国当局はトランプ関税をにらみ、2025年の人民元安容認を検討している」と報道されたほか、豪準備銀行(RBA)理事会では政策金利は予想通りに据え置かれたが、声明文で「インフレの上振れリスクは緩和。消費者物価指数(CPI)は持続的に目標に戻ると確信」とハト派的な見解が示された。RBAのタカ派スタンスが弱まったことや、人民元安容認などが豪ドルの重しになると思われる。
なお、RBAの次回理事会は2月17−18日まで行われないが、市場では、1月29日に発表が予定されている10−12月期のCPIに注目している。多くの市場参加者は、来年の利下げは数回程度に留まるとの声も多いが、1月のインフレ指標の結果次第では市場の流れが変わる可能性があることを今から留意しておきたい。
来週は17日に12月のウエストパック消費者信頼感指数、19日にメルボルンインスティテュートが12月のインフレ期待(トリム平均値)を発表する程度で、豪州からは市場を動意づけるような経済指標の発表が予定されていない。多くの経済指標(7−9月経常収支、GDP他)が発表されるニュージーランドや、日米の金融政策決定会合、中国の景気浮揚策等、豪州国外の動向が豪ドルを左右することになるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅い動きが予想される。中国政府が景気浮揚策に本腰を入れたことはZARには好材料。南アにとって中国は最大の輸出国で、中国経済が回復すれば南アの鉱業輸出の伸びも期待される。今週発表された中国の財政・金融政策の変更はG7国の株価などには影響は限られたが、南ア株やZARは堅調な動きを示した。第1次トランプ政権時は、BRICS各国は米国の顔色をうかがっていたが、現状では加盟国も拡大し、各国の経済力も強まっている。トランプ次期米大統領の高圧的交渉が通じなくなってくる可能性もある。人口ではG7の5倍弱の規模をもつ国が集まっていることもあり、脱米国が進む可能性にも留意しておきたい。
12月9日週の回顧
豪ドルは弱含み。RBA理事会でタカ派スタンスが弱まったことで、豪ドル/ドルは昨年11月以来となる0.63ドル前半まで弱含んだ。対円では95円半ばから98円台で方向感がなく上下を繰り返した。11月の雇用統計が失業率、新規雇用者数ともに市場予想を上回る好結果だったことは豪ドルの支えになった。
ZARは強含み。中国の景気浮揚策で対ドルでは先月中旬以来の水準まで買われた。また対円でも8円半ばを回復している。なお、南アのCPI、PPIは市場予想を下振れ、次回1月での南ア準備銀行(SARB)の0.25%の利下げをほぼ織り込んだ。(了)
(執筆:12月13日、9:00)
(関口)
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DZH Finacial Research
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