週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、雇用・物価データに注目

市場見通し
◆対円・対ドルとも、今年最後の日米金融政策イベントに注目
◆ポンド、英中銀会合前に発表される雇用・物価データに一喜一憂
◆加ドル、加中銀政策イベントを通過しドルと円の動きに左右

予想レンジ
ポンド円 191.00-197.00円
加ドル円 106.00-110.00円

12月16日週の展望
 対ドル・対円で来週は今年最後の日米金融政策イベントが注目される。日銀の利上げと据え置きをめぐり思惑が交錯しており、どんな結果になっても円相場は一時的に荒い値動きになる可能性が高い。当然、据え置きとなれば円売りが進むが、仮に利上げに踏み切ったとしても積極的に追加利上げ実施は見込めないこともあり、円買いは一時的にとどまり、徐々に「イベント通過での円売り」圧力が強まる可能性がある。また、今週発表された11月米消費者物価指数(CPI)はほぼ予想通りの結果となり、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想に変化はないものの、米インフレ高への警戒感を示す内容になる可能性があり、日米金融政策イベントはドル高・円安に傾きやすいと見ている。

 イングランド銀行(英中銀、BOE)は来週の19日に政策金利の発表が予定されているが、金利を占う上で重要な経済指標である12月製造業・サービス部門PMI速報値が16日、11月雇用データが17日、11月CPIが18日に発表される予定。ポンドは指標の結果に一喜一憂する動きが予想される。現時点では来週の会合で利下げより据え置き予想が優勢で、来年3-4回の利下げが見込まれている。なお、10月の雇用データでは賃金が高い伸びを維持し価格上昇圧力が残されたほか、10月CPIは予想以上に伸びが加速し、「積極的な利下げ」ではなく「段階的な利下げ」を支持する内容となった。また、英政権の財政拡張的な予算案やトランプ次期米大統領の関税引き上げなどによる物価の上昇で、今後は利下げのシナリオに修正を余儀なくされる可能性もある。

 加国内では、来週に11月CPIや10月小売売上高の指標結果が注目されるが、今週にカナダ中銀(BOC)の金利発表を通過し、加ドルは日米金融政策イベントを受けたドルや円の動きに左右されそうだ。BOCは今週の会合で政策金利を2会合連続での0.50%利下げを決定した。ただ、声明では「今後の利下げについてより緩やかなペースになる」との見解を示し、「成長支援に向けて継続的な金融緩和が必要」という従来の方針から転換した。市場では来年1月での0.25%利下げ確率が7割程度になっている。また、マックレム総裁はトランプ次期米政権が課す可能性のある関税が「新たな大きな不確実要因」との認識を示した。カナダのトルドー首相は、トランプ次期米大統領が同国からの輸入品に新たな関税を課した場合には「対応する」と表明し、第1次トランプ政権で鉄鋼とアルミニウムに関税をかけられた際に「報復関税が成功した」と強調している。

12月9日週の回顧
 中国が景気支援策を強化すると表明しリスク選好ムードが強まったことや、日銀が来週の会合で利上げを見送るとの観測が高まったことが円売りを後押し。ポンド円は195円近辺、加ドル円は108円近辺まで切り返した。ポンドドルは底堅い動きもポンド独自の手がかりが乏しく1.27ドルを挟んで方向感は限られた。

 加ドルはBOCのタカ派寄りの声明文を受けて買いが入る場面もあったが、米加通商摩擦懸念でドル/加ドルは1.42加ドル台まで加ドル安が進んだ。(了)

(執筆:12月13日、9:00)

(関口)


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