EA(自動売買)のポートフォリオの作成方法や組み合わせるポイント
チームを編成して相場の変化に順応
EAを運用する場合、複数のEAを稼働させるポートフォリオを組みたいという人も多いでしょう。単一のEAだけを運用するよりは、弱点を補い合う構成のポートフォリオで運用する方が、相場環境のさまざまな変化に順応できる可能性があります。では、どんなEAを、どの程度組み合わせれば、より優れた成績を期待できるようになるでしょうか?
ポートフォリオを組む王道は、「EA同士の相関性が低いものを組み合わせる」ということです。つまり性格の異なるEAを組み合わせることで、リスクヘッジしようというわけです。逆に、相関性が高い組み合わせでは、同じようなタイミングでトレードしてしまうためリスクは高く、組み合わせる意味が乏しくなってしまいます。
相関性が低いEAを組み合わせるポイント
では、相関性の低いEAを組み合わせるには、どのような考え方をすれば良いでしょうか? 次のポイントを意識してみましょう。
ポイント①異なるロジックを選ぶ
いわゆる優位性のあるロジックには、次のような種類があります。これらから異なる種類を組み合わせることで、相関性を低くすることができます。下表には、主なロジックをまとめました。
トレンドフォロー | トレンドの続伸を、押し目や戻りのポイントで狙う |
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ブレイクアウト | 相場の節目となる高値や安値を、突き抜ける値動きを狙う |
カウンター | 相場の節目となる高値や安値から、反転する値動きを狙う |
朝スキャルピング | 日本時間早朝に、大きく値動きした後の戻りを狙う |
グリッドトレード | 一定の法則でポジションを積み増す戦略 |
ポイント②異なる通貨ペアを選ぶ
基本的にEA運用では、メジャー通貨ペアを選ぶことが推奨されます。その理由として、スプレッドが狭いこと、流動性が高いことなどが挙げられます。ただし、メジャー通貨ペアの中でも、分散させることが重要です。例えば、一つ目のEAがドル円、二つ目のEAがユーロドルを取引対象としている場合、三つ目にそれらの合成であるユーロ円を選んでしまうと、相関性が強くなってしまいます。それよりは、ポンドや豪ドルがらみの通貨ペアを採用する方が分散できます。
ポイント③異なる時間軸を選ぶ
ポジション保有時間によって、スキャルピング、デイトレード、スイングトレードに分類できます。これらを分散することも、相関性を低くするためには重要です。というのも、同じ時間軸だとロジックやトレードの性質が似通い、エントリーやイグジットのタイミングが重なってしまうからです。
ちなみに、EAの相関分析を行う「Quant Analyzer」というアプリケーションが存在します。このようなツールを用いることで、より正確な相関性を知ることができます。
何種類を組み合わせるか?
ポートフォリオを組む際に悩むのが、どれくらいの数を組み合わせるかということでしょう。
この点も議論があるのですが、EAを増やしすぎると、パフォーマンスが悪くなってしまう傾向があります。正解はありませんが、失敗しない目安として、証拠金が少なければ2~3種類、証拠金が多ければ7~8種類を組み合わせて良いでしょう。EAを増やしすぎると以下のような不都合があります。
総合的なパフォーマンスが低下する
EAの数が多いと、そのときに直面する相場に対して、パフォーマンスが高いものと低いものが現れ、総合的な成績が低くなってしまうということが起こり得ます。リスクを低減できますが、その副作用としてリターンが小さくなってしまう可能性があるのです。
利益と損失が相殺される
EAが多いということは、成績が平均化されるということです。そのときの相場と相性の良いEAが勝ち、相性の悪いEAが負けて損益を相殺するということが積み重なると、スプレッドの負担が大きくなってしまいます。
EAの管理が煩雑になる
EAはほったらかしで運用し続けられるわけではなく、定期的に稼働のチェック、パフォーマンスの確認、設定変更をしたりする必要があります。そのため、EAの数が多いほど、その作業時間や労力が増えてしまいます。
以上の不都合を考慮すると、少数精鋭のポートフォリオを組むのが良策だといえます。少数精鋭ならば、ある程度のリスクを背負わせて、それなりのリターンを狙うことも可能となります。
本記事の監修者・Trader Kaibe(@K_FLASHES)
FXトレード歴は15年(2021年現在)。世界でも有名なFXトレード大会『ロビンスカップ』で、FXトレードの経験と本職の研究開発ノウハウを生かして作った自作自動売買だけで準優勝。
投資雑誌掲載、ラジオ日経出演、投資戦略EXPO登壇など、各種メディアでFX自動売買の良さを発信中。
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