ボラティリティとは|意味・種類・リスクなどをわかりやすく解説
ボラティリティとは、一般的に金融資産の価格変動率を意味します。
市場の値動きの激しさを表し、値幅を稼ぎやすい環境かどうかを判断する材料になります。
本記事では、ボラティリティの意味や分析方法、注意点について詳しく解説していきます。
目次
- 1.ボラティリティとは
- 2.ボラティリティと出来高・流動性との関係
- 3.ボラティリティを活用するメリット
- 4.ボラティリティが高い時に取引するデメリット
- 5.ボラティリティ分析に使うツール・インジケーター
- 6.ボラティリティに関するQ&A
- 7.【まとめ】ボラティリティとは|意味・種類・リスクなどをわかりやすく解説
ボラティリティとは
一般的にボラティリティとは、金融資産の価格変動率のことを指します。
あらゆる金融資産に対して用いられる用語で、相場が大きく動いていると「ボラティリティが高い」、相場の動きが小さいと「ボラティリティが低い」と表現します。
- ・意味
- ・ボラティリティの種類
意味
ボラティリティは、価格変動率(値動きの度合い)が大きいか小さいかを意味します。
ただし、価格変動率だけではなく、値動きの激しさや変動幅(値幅)の大きさを表す場合もあります。
FX取引では、主に為替レートの変動率(または変動幅)を指します。
相場が利益を得やすい環境かどうか、リスクが高いかどうかなどを判断する材料となります。
ボラティリティの種類
ボラティリティには、以下のような種類があります(オプション取引の用語)。
- ・インプライドボラティリティ(IV)
- ・ヒストリカルボラティリティ(HV)
- ・リアライズドボラティリティ(RV)
インプライドボラティリティ(IV)
インプライドボラティリティ(IV)は将来の変動率の値を示し、予想変動率ともいいます。
IVは、主にオプション取引で用いられる言葉で、市場で売買されているオプションの価格等から将来の予想変動率を算出します。
ヒストリカルボラティリティ(HV)
ヒストリカルボラティリティ(HV)は過去の変動率の値を示し、歴史的変動率ともいいます。
HVは、一定期間における値動きから変動率を算出します。
IVとHVは対象期間(将来と過去)、算出方法が違うため、一時的に値が乖離することがあります。
リアライズドボラティリティ(RV)
リアライズドボラティリティ(RV)は実際に観測された値を示します。
RVは、特定期間の実際の値から変動率を算出します。
諸条件はあるものの、一般的にRVはHVより先行する傾向があり、IVはRVに遅行する傾向があります。
ボラティリティと出来高・流動性との関係
ボラティリティと出来高・流動性の関係について、以下の項目で解説します。
- ・出来高(取引量)との関係
- ・流動性(取引しやすさ)との関係
- ・時間・季節との関係
出来高(取引量)との関係
FX取引では一般的に、ボラティリティは出来高(取引量)と正の相関があるとされています。
1つの通貨ペアで考えた場合、出来高が極端に少ない場合はボラティリティが低く、出来高が多くなるに連れてボラティリティが高まります。
例えば、経済指標の発表前には出来高が少なくボラティリティは低い状態になり、発表後には積極的に取引が行われるため、ボラティリティと出来高が共に増加する傾向があります。
【米ドル/円のティック(出来高)とボラティリティの関係】
出典:TradingView
※FX市場では正確な出来高を把握することはできないため、レートの更新頻度(ティック数)を出来高として扱うのが一般的です。
流動性(取引しやすさ)との関係
市場の流動性とは、取引のしやすさを表します。
複数の通貨ペアで考えた場合、市場に売り手も買い手も多い(流動性が高い)通貨ペアでは、希望した価格で売買が成立しやすく安定的で、ボラティリティ(変動率)は相対的に低くなります。
一方、市場に売買の相手が見つかりにくい(流動性が低い)通貨ペアでは、希望価格から離れた売買になることもあり不安定で、ボラティリティ(変動率)は相対的に高くなります。
FXにおいては、米ドル/円やユーロ/米ドルのようなメジャー通貨ペアに比べて、南アフリカランドやトルコリラを含むマイナー通貨ペアはボラティリティが高くなる傾向があります。下図は、米ドル/円、南アフリカランド/円、トルコリラ/円の週足の変動率を比較したチャートです。
出典:TradingView
米ドル/円(赤)はほぼ横ばいであるのに対して、南アフリカランド/円(青)やトルコリラ/円(オレンジ)は大きく動いているのがわかります。
時間・季節との関係
ボラティリティが特に高い時間帯は、主に以下の2つです。
- ・市場が開いた直後(朝)
- ・主要な市場が同時に開いている時間
図にまとめると以下の通りです(ボラティリティが高い時間帯をピンクで示しています)。
それぞれ市場オープン直後の時間に加え、市場が重なっている時間帯も、ボラティリティが高くなる傾向があります。
また、季節による影響もあり、お盆と年末は市場参加者が少なく、ボラティリティが低くなりやすいといわれています。
ボラティリティを活用するメリット
FX取引でボラティリティを活用する主なメリットは、以下の通りです。
- ・【メリット①】自分の許容リスクに合わせて取引することができる
- ・【メリット②】利確・損切りのタイミングを決めやすい
【メリット①】自分の許容リスクに合わせて取引することができる
FX取引含め、投資のリスクとリターンは比例の関係にあります。
大きなリターンを期待するのであれば、許容リスクの範囲内で、大きなリスクを取ることも必要です。
通貨ペアのボラティリティを確認することは、取引リスクを測る判断材料の1つになり、自身の許容リスクに合わせた対象を選択することができます。
積極的に利益を狙いたい場合は、ボラティリティがより大きな通貨ペアを狙うことが1つの手段として考えられます。
【メリット②】利確・損切りのタイミングを決めやすい
ボラティリティが高い通貨ペアは、為替レートの上下動が大きくなります。
ボラティリティを把握した上でチャートを見れば、値動きを予測するための材料の1つになります。
例えば、ボラティリティが高い状態で為替レートが期待通りの値動きをする場合、利益確定のタイミングを少し遅らせる方法が有効だと考えられます。
一方、不利な方向に進む場合は、早めの損切りが必要な可能性があります。
また、ボラティリティが低くなる兆候がある場合は、為替レートが目標値に届かない可能性があるので、利益確定を早める方法が有効だと考えられます。
利益確定や損切りは、以下の注文方法を用いることでよりルール通りに行いやすくなります。
「FXの注文方法」については、以下の記事で詳しく解説しています。
FXの注文方法とは?代表的な7つのメリット・デメリットなどを詳しく解説ボラティリティが高い時に取引するデメリット
ボラティリティが高い時に取引する主なデメリットは、以下の通りです。
- ・【デメリット①】大きな利益を狙えるが、大きな損失のリスクも伴う
- ・【デメリット②】想定以上の損失を被る可能性がある
【デメリット①】大きな利益を狙えるが、大きな損失のリスクも伴う
FX取引では、ボラティリティのない通貨ペアよりも、ボラティリティがある通貨ペアの方が、値幅を稼ぐ期待ができます。
ただし、ボラティリティの高い通貨ペアは、大きな利益が期待できる反面、大きな損失が生じるリスクもあり、裏表の関係にあります。
またこれは通貨ペアの違いだけに限らず、同じ通貨ペアでも時間帯やイベントの有無などにも共通する考え方です。
【デメリット②】想定以上の損失を被る可能性がある
ボラティリティの高い状況で、売りと買いのバランスが取れている場合、基本は上下に値動きを繰り返しますが、何らかの拍子に売りと買いのバランスが崩れた際に、一方向に大きく急変動することがあります。
この場合は、ストップ注文(損切り注文)で設定した為替レートから乖離したレートで約定するリスクを伴い、想定以上の損失が生じる可能性があります。
そのため、余裕を持った資金管理や、経済指標などの相場が急変動する要因を事前に調べるといったリスク管理も重要です。
「FXの危険性やリスク」については、以下の記事で詳しく解説しています。
FX取引の危険性・リスク|初心者向けに3つの対策を解説ボラティリティ分析に使うツール・インジケーター
ここでは、ボラティリティ分析で使用できるツールやインジケーターを紹介します。
- ・ヒストリカル・ボラティリティ(HV)インジケーター
- ・ボリンジャーバンド
- ・ボラティリティグラフチャート
- ・ADR(日中平均レンジ)
ヒストリカル・ボラティリティ(HV)インジケーター
ヒストリカル・ボラティリティ(HV)は、過去の値動きを基に変動率を計算しチャート上に表示するインジケーターです。
一般的に、相場の値動きが大きいとヒストリカル・ボラティリティも大きく変動し、相場の値動きが小さいと、ヒストリカル・ボラティリティの変動も小さくなる傾向にあります。
出典:TradingView
ヒストリカル・ボラティリティは、値幅を稼ぎやすい環境や、トレンドの発生の分析に有効です。
詳しい設定方法については、以下の記事で解説しています。
TradingView(トレーディングビュー)でヒストリカルボラティリティを設定する方法ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは、移動平均線を中心としてその上下に統計学を用いて計算された標準偏差を表示するテクニカル指標です。
バンド幅が広がった時はボラティリティが高く、バンド幅が狭くなった時はボラティリティが低いと判断できます。
バンド幅が広がることを「エクスパンション」(拡散)、狭くなることを「スクイーズ」(収束)と呼び、ボラティリティとの関係性は以下のようになります。
- ・エクスパンション=ボラティリティが高い
- ・スクイーズ=ボラティリティが低い
ボリンジャーバンドはエクスパンションとスクイーズを繰り返す特徴を持ち、スクイーズの後にエクスパンションが発生する局面は優位性の高いエントリータイミングといえます。
出典:TradingView
「ボリンジャーバンド」については、以下の記事で詳しく解説しています。
ボリンジャーバンドとは|見方・使い方・活用方法について紹介ボラティリティグラフチャート
ボラティリティグラフチャートとは、FXやCFDの各銘柄ごとにボラティリティ(変動幅)を確認できるグラフです。OANDA証券では、FXは28通貨ペア、株価指数CFDは14銘柄、商品CFDは10銘柄を、日・時間・曜日別に表示できます。
ボラティリティグラフチャートを利用すれば、時間帯ごとの価格変動の特徴を把握できるので、値幅を狙いやすい取引のタイミングや、避けるべきタイミングを見極める判断材料の1つとして活用できます。
【米ドル/円の1日の変動幅の推移グラフ】
ボラティリティグラフチャートは、OANDA証券の取引口座を持っていなくてもWebサイトから確認できます。
ADR(日中平均レンジ)
ADR(Average Daily Range・日中平均レンジ)は、相場のボラティリティを測定するシンプルなテクニカル指標です。
過去一定期間の高値の平均値と安値の平均値の差から算出し、平均のレンジ幅を表示します。
出典:TradingView
「ADR(日中平均レンジ)」の設定方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
TradingView(トレーディングビュー)でADRを設定する方法ボラティリティに関するQ&A
ボラティリティに関するQ&Aについて、以下4点にまとめました。
- ・ボラティリティは時間帯によって変わりますか?
- ・ボラティリティが高いとはどういう意味ですか?
- ・ボラティリティが高い通貨はありますか?
- ・ヒストリカルボラティリティとインプライドボラティリティの違いは?
ボラティリティは時間帯によって変わりますか?
ボラティリティは時間帯によって、変動します。
これは、ボラティリティと市場の流動性が関係します。
FX市場では、時間帯により市場参加者が入れ替わります。
日本の株式市場がオープンする9時より前の時間帯は、マーケット参加者がオセアニア(豪州やニュージーランドなど)中心となり、取引量が低下することから、ボラティリティは低くなる傾向があります。
一方で、日本時間21時ごろからは米国の参加者が増え取引量が増加することから、ボラティリティは高くなる傾向があります。
ボラティリティが高いとはどういう意味ですか?
「ボラティリティが高い」とは、価格の変動率(または変動幅)が大きいことを意味し、これは リスク(投資における不確実性や損失の可能性)が高い状態とも考えられます。
ボラティリティが高いほど期待できる利益は大きくなりますが、その一方で損失を被る可能性も高くなります。
とはいえ、FXで利益を得るためには、ある程度ボラティリティの高い銘柄を選ぶことが重要です。
「ボラティリティグラフチャート」では、各銘柄ごとのボラティリティが確認できます。
ボラティリティが高い通貨はありますか?
主な通貨の中では、以下の2種類が「ボラティリティが高い通貨」として知られています。
その他の通貨では、MXN(メキシコペソ)やGBP(英ポンド)もボラティリティが高い通貨に含まれる場合があります。
ヒストリカルボラティリティとインプライドボラティリティの違いは?
ヒストリカルボラティリティ(HV)は過去の変動率の値を算出しており、対してインプライドボラティリティ(IV)はオプション価格から推定される将来の変動率の値を算出しています。
【まとめ】ボラティリティとは|意味・種類・リスクなどをわかりやすく解説
ボラティリティとは、一般的に価格変動率のことを指します。
金融資産の価格変動率が大きいことを「ボラティリティが高い」、小さいことを「ボラティリティが低い」と表現します。
ボラティリティが高い相場では大きな値幅の獲得が期待できる反面、その逆もあり得るため注意が必要です。
ボラティリティを見極めるテクニカル指標やツールを利用して、利益を得やすい場面を探すことが推奨されます。
ボラティリティを含めたFX取引の基礎的な用語や、FX初心者の方が取引を行う上で役立つポイントは、以下のコンテンツでわかりやすく解説しています。
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