用語解説

スイングトレードとは|他の取引スタイルとの違い・手法・コツを解説


スイングトレードとは、数日から数週間の期間で売買を行う取引スタイルのことです。

スキャルピングデイトレードよりも時間軸が長く、大きな値幅を狙えるのが特徴です。

本記事では、スイングトレードの概要と合わせ、適した時間足や通貨ペア、損切りの目安を解説していきます。

スイングトレードとは

まず、スイングトレードの意味と、他の取引スタイルとの違いを解説します。

  • ・意味
  • ・他の取引スタイルとの違い

意味

スイングトレードとは、ポジションを数日から数週間保有し、大きな値幅を狙う取引スタイルです。

一般的には、日足や週足などで中長期のトレンドを分析し、その方向へ順張り取引を行います。

スイングトレードとは

中長期のトレンドを狙って取引を行うので、取引の頻度はそれほど多くありません。

他の取引スタイルと比較して、チャート分析に多くの時間を費やす必要がなく、余裕を持った取引が可能とされます。

ただし、1回の取引で大きな利益を狙うため、相対的に損失リスクも大きくなりがちな取引スタイルといえます。

他の取引スタイルとの違い

FXはスイングトレード以外にも、スキャルピングデイトレードポジショントレードといった取引スタイルがあります。

ここではそれぞれの違いを、以下の表でまとめました。

取引スタイル スキャルピング デイトレード スイングトレード ポジショントレード
使用するチャート

1分足~15分足

5分足~日足

1時間足~週足

日足~月足

メリット

・1回のトレードリスクが少ない

・資金効率が良い

・翌日にポジションを持ち越さない

・一回のトレードリスクが少ない

・資金効率が良い

・翌日にポジションを持ち越さない

・一度に狙える利益はデイトレードより大きい

・相場に張り付く必要がない

・取引コストが安い

・ポジショントレードより取引機会が多い

・一度に大きな利益を狙うことができる

・相場に張り付く必要がない

・取引コストが安い

デメリット

・取引回数が増えるためスプレッド分のコストが嵩む

・一度に大きな利益は期待できない

・トレード中は相場に張り付く必要がある

・一度に大きな利益は期待できない

・相場を頻繁にチェックする必要がある

・一回のトレードリスクが大きい

・ポジションを翌日に持ち越すためストレスが大きい

・週を跨いでポジションを持つと週末リスクがある

・一回のトレードリスクが大きい

・トレードチャンスは少ない

・ポジションを翌日に持ち越すためストレスが大きい

・週を跨いでポジションを持つと週末リスクがある

スイングトレードの手法・やり方

スイングトレードで取引を行う際には、それに適した時間足や通貨ペアなどを選ぶことが重要です。

  • ・スイングトレードで見るべき時間足
  • ・通貨ペアを選ぶ
  • ・損切りを設定する
  • ・レバレッジをかけすぎない

スイングトレードで見るべき時間足

スイングトレードでは、長期の時間足を分析して大きなトレンドを狙います。

そのため日足や週足、日足で中長期のトレンド方向を分析するのが重要です。

そして、中長期足のトレンド方向を把握したら、それよりも下位の4時間足や1時間足で、より値幅が稼げそうであったり、優位性の高そうなエントリータイミングを探ります。

スイングトレードで見るべき時間足

中長期の大きなトレンドの中で、押し目や戻りになるタイミング、ブレイクアウトになるタイミングを下位時間軸で探していくのが一般的です。

通貨ペアを選ぶ

スイングトレードは大きなトレンドを狙う取引スタイルです。

複数の通貨ペアをチェックして、トレンドが出そうな通貨ペアを探すことがポイントの1つです。

なお、大きなトレンドが出る場合には、金融政策の変更や地政学リスクなど、ファンダメンタルズが関わることがあります

ファンダメンタルズ分析を行いながら、トレンドが出そうな通貨ペアを探すと優位性が高まる期待が持てます。

「金融政策」や「地政学リスク」については、以下の記事で詳しく解説しています。

金融政策とは|意味・目的・影響などを詳しく解説

地政学リスクとは|意味・市場との関係や過去の事例について解説

損切りを設定する

スイングトレードで取引をする際には、損切りの許容金額を決めることが推奨されます。

大きな損失を避けるため、計画的に損切り幅や取引数量を決めることが大切です。

損失許容額は、下図の計算により求められます。

損切りを設定する

損切り幅を大きくしたい場合は取引数量を少なめに、取引数量を多くしたい場合は損切り幅を狭めに設定します。

「FXの損切り」については、以下の記事で詳しく解説しています。

FX取引の損切りとは|設定目安・ルールの決め方を解説

レバレッジをかけすぎない

スイングトレードを行う際は、低レバレッジでの運用を心がけることもポイントです。

大きなトレンドを狙う場合は、相応の逆行(押し目や戻り)が発生する可能性があります。

その逆行中に損切りすることにならないよう、証拠金に対してポジションを持ちすぎないようにする必要があります。 

「FXのレバレッジ」については、以下の記事で詳しく解説しています。

FXのレバレッジとは|計算式・注意点・よくある質問をわかりやすく解説

スイングトレードのメリット

スイングトレードの主なメリットは、以下の通りです。

スイングトレードのメリット

  • ・チャートへ張り付く必要がない
  • ・成功した場合の獲得利益が大きくなる
  • ・取引コストが安い

チャートへ張り付く必要がない

スイングトレードはポジションを数日~数週間程度保有する方法で、取引頻度が低く、スキャルピングやデイトレードなどの短期間で取引を行う手法と比較してチャートへ張り付く必要がない点がメリットです。

仕事や家事などで忙しく、相場に向き合える時間が限られた人でも、取引しやすいスタイルといえます。

成功した場合の獲得利益が大きくなる

スイングトレードでは、大きな値幅を狙うため、取引に成功した時の獲得利益が大きくなります

為替レートは大局で発生したトレンドが継続しやすいとされています。

そのような機会を狙うことで損失を抑えながら大きな利益を追求する「損小利大」のトレードができます。

取引コストが安い

FX取引における取引コストとは、一般的にスプレッド(売値と買値の差)のことを指します。

スキャルピングやデイトレードなど短期取引は取引回数が多くなり、その分取引コストが高くなります。

対して、スイングトレードやポジショントレードなどの長期取引は取引回数が少なく、その分取引コストが安くなります。

ただし、マイナススワップ(高金利通貨を売って、低金利通貨を買う)の通貨ペアの場合、ポジションを保有している間はスワップポイントを支払うコスト負担が生じるため、注意が必要です。

スイングトレードのデメリット

スイングトレードのデメリットは、以下の通りです。

スイングトレードのデメリット

  • ・大きな値幅を獲得するまでに時間がかかる
  • ・突発的な価格変動に直面するリスクがある
  • ・損切りが難しい場合がある

大きな値幅を獲得するまでに時間がかかる

スイングトレードは、大きな値幅を獲得するまでに時間がかかります。

その中の短期的な局面だけで見れば、逆行トレンドが発生する場合もあります。

下の日足チャートでは、青い四角の印をつけた箇所で6日連続の陰線が形成されています。

仮にこの連日の下落をトレンド転換と判断した場合、その後の上昇を逃してしまいます。

スイングトレード中に 短期的に逆行が発生_20250228

出典:TradingView

スイングトレードではこのように一時的な逆行(押し目や戻りの形成)が起こり得るため、長期目線でトレードしていることを、常に意識する必要があります。

突発的な価格変動に直面するリスクがある

スイングトレードではポジションを長期間保有するため、突発的な価格変動に直面するリスクがあります

急騰、急落はいつ起こるかわからないため、損切り注文を発注しておくことが推奨されます。

損切りについては「逆指値注文」を入れておけば、設定した価格まで変動した時点で自動的に損切りが実行されます。

「逆指値注文」については、以下の記事で詳しく解説しています。

逆指値(ぎゃくさしね)注文とは|使い方やメリット・デメリットを解説

損切りが難しい場合がある

スイングトレードは大きな値幅を狙う手法のため、値動きが大きなトレンド相場での取引が一般的です。

しかし、為替レートが一直線に推移するケースは比較的少ない傾向にあり、上がったり下がったりの波形を描きながらトレンドを形成していきます。

そのため、想定した方向と逆に進んでもトレンド形成途中の一時的な押しや戻りだと思い、トレンドが変わったことに気がつかず、損切りの判断を誤ってしまう場合が考えられます。

スイングトレードのコツ

スイングトレードで大きな利益を狙うには、以下がポイントであると考えられます。

  • ・順張りでトレードする
  • ・ブレイクアウトを狙う
  • ・ファンダメンタルズをしっかり確認する
  • ・取引ルールを守る

順張りでトレードする

順張りでトレードする

スイングトレードは順張り」でトレンド方向にポジションを持つのが基本で、「上昇トレンドなら買い」「下落トレンドなら売り」を狙います。

順張りで有利に取引する手法として、押し目買い・戻り売りがあります。

上昇トレンドが小休止して、一時的に安くなったところを狙うのが押し目買いで、これにより利幅を大きくすることができます。

戻り売りは、これを反転させた考え方です。

ブレイクアウトを狙う

また、順張りにはブレイクアウトという手法もあります。

直近高値を上回る、直近安値を下回る動きが見られた際、トレンド方向へ勢いづく流れが発生することがあり、これを捉える考え方です。

なお、ブレイクアウトした後にいったんブレイク水準まで戻る動き(リターンムーブ)を待つ応用も考えられます。

ファンダメンタルズをしっかり確認する

ファンダメンタルズとは、国の経済状況などを表す情報のことです。

スイングトレードは、デイトレードなどの短期取引と比較すると、ファンダメンタルズの影響が強くなります。

重要な経済指標発表や、政策金利の変更、政権交代などのイベントが起こった場合は、トレンドが変化する可能性があります。

「ファンダメンタルズ分析」については、以下の記事で詳しく解説しています。

ファンダメンタルズ分析とは|具体的な分析方法や注意すべきポイントなどを詳しく解説

取引ルールを守る

FXで長期的に利益を得るためには、取引ルールを守りながらトレードする必要があります。

FXの世界において、勝率100%を実現することは非常に困難で、プロトレーダーでも一定の割合で損失を出すといわれています。

先のわからない相場で長期的に利益を出すには、ルールを作り機械的に取引をすることが重要です。

まずはエントリー・決済・ストップロス(損切り)の3つに関して取引ルールを確立し、必ず守りながらトレードすることで成績向上が期待できます。

スイングトレードに関する注意点

スイングトレードに関する主な注意点は、以下の通りです。

  • ・損小利大を意識する
  • ・重要な経済指標の日程を把握する
  • ・週末リスクを考慮する

損小利大を意識する

損小利大を意識する

大きな利益を狙う一方で、損失を小さく限定するよう意識することが大事です。

損小利大のトレードを継続することにより、たとえ勝率が低くても、トータル収支はプラスになることを期待できます。

損失を小さくするには、トレード前に「どうなったら利益確定するのか」「どうなったら損切りするのか」をあらかじめ決め、売買シナリオを作ることが大切です。

重要な経済指標の日程を把握する

経済指標の発表によって相場が乱高下したり、トレンドが変わる可能性があります。

特に、中央銀行による政策金利に関わるイベントFOMCなど)や、米国経済の先行きを読み取る上で重視される指標米国雇用統計CPIなど)には、注意する必要があります。

ポジション保有中の場合、経済指標の発表の前に決済するというのも有効です。

OANDA証券では重要な経済指標の日程をまとめた「経済指標 予測カレンダー」を提供しています。

取引をする前に、今後の重要な経済指標の日程を確認することが推奨されます。

週末リスクを考慮する

スイングトレードは、翌週にポジションを持ち越す場合があります。

週末に相場を動かす大きな要因が出た場合、週末のレートから大きく窓を開けて週初めのレートが動き出すリスクがあります。

例えば、2024年10月27日(日)に投開票が行われた衆院選の結果を受けて、翌28日(月)のドル円は約90pipsの窓を開けてスタートしました。

週末リスクを考慮する

出典:TradingView

世界の国政選挙などでは、この例よりも大きな窓が開く可能性も考えられます。

スイングトレードに関するQ&A

スイングトレードに関するよくある質問に回答します。

  • ・スイングトレードでは何分足を使用するべきですか?
  • ・スイングトレードは勝てないって本当ですか?
  • ・スイングトレードにおすすめの通貨ペアは何ですか?
  • ・スイングトレードは初心者におすすめですか?

スイングトレードでは何分足を使用するべきですか?

スイングトレードでは、「週足・日足」で中長期のトレンドを分析し、「4時間足・1時間足」でエントリーのタイミングを探る方法があります。

複数の時間軸で横断的にチャート分析することにより、優位性が高く、ダマシを回避したトレードを目指せます。

スイングトレードは勝てないって本当ですか?

スイングトレードやポジショントレードなど、長期取引は短期取引に比べて勝ちやすい取引スタイルという検証報告があります。

2018年3月付『金融庁:店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会資料』によると、月間収益率(中央値)は「スキャルピング:-0.298%」「デイトレード:0.310%」「スイングトレード:1.254%」「ロング:1.631%」という結果が出ています。

ただし、同じ報告書の中で収益率の上位10%(大きく利益を出している上位の人)の取引スタイルは、スキャルピングが約59%を占め、デイトレードを含めると約91%を占める結果となっています。

スイングトレードにおすすめの通貨ペアは何ですか?

スイングトレードは、大きなトレンドを狙っていく取引スタイルのため、トレンドが出ている(出やすい)通貨ペアを選ぶことが推奨されます。

複数の通貨ペアを日々分析し、トレンド系のテクニカル指標などを用いて、トレンドの発生を読み取ることが重要です。

スイングトレードは初心者におすすめですか?

スイングトレードは初心者にとって比較的取り組みやすい投資手法と考えられます。

スキャルピングやデイトレードと比べて値動きを頻繁にチェックする必要がなく、数日から数週間の期間で取引を行うため、比較的時間の余裕があります。

ただし、基本的な投資知識や市場分析の学習は必要不可欠で、リスク管理も重要です。

【まとめ】スイングトレードとは|他の取引スタイルとの違い・手法・コツを解説

スイングトレードは、数日~数週間の期間で売買を行う取引スタイルのことです。

スキャルピングデイトレードと比較すると、チャートに張り付く必要がなく、大きな利益を狙いやすいのが特徴です。

ただし、ポジションの保有時間が長くなるため、突発的なリスクに巻き込まれやすくなることや、ファンダメンタルズの影響を受けやすくなるなど、注意すべきこともあります。

トレードのシナリオは、あらかじめ決めておくことが推奨され、特に損切りのルールについてよく考える必要があります。

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