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スタグフレーションとは|原因・事例・対策などを初心者向けにわかりやすく解説


スタグフレーションとは、「不景気(景気停滞)」と「継続的な物価上昇」が同時に起きる現象です。

本記事では、スタグフレーションの意味、原因、事例などを解説します。

スタグフレーションとは

  • ・意味・仕組み
  • ・インフレーションとの違い
  • ・デフレーションとの違い

意味・仕組み

スタグフレーションとは、「不景気(景気停滞)」と「継続的な物価上昇」が同時に起きる現象です。

景気の停滞を意味するスタグネーション(stagnation)と、物価上昇を意味するインフレーション(inflation)を組み合わせて作られた言葉です。

具体的には、高い政策金利、高い消費者物価上昇率、不十分な生産、経済全体の沈滞を特徴とします。

スタグフレーションが発生する典型的な仕組みとして、供給の急減が挙げられます。

何らかの理由で供給が減って需要を満たせなくなるので価格が上がり、同時に企業の生産活動が停滞するので不景気になります。

インフレーションとの違い

インフレーションは継続的な物価上昇を指し、景況感については考慮しません。

一般的に、景気が過度に良くなると、インフレ率が高まる可能性があります。

一方、不景気の中でもインフレーションが発生する場合があり、こちらがスタグフレーションです。

デフレーションとの違い

デフレーションとは「継続的な物価下落」を意味し、デフレとも呼ばれます。

インフレーションと逆であり、デフレ対策はインフレ対策に比べて難しいとされます。

スタグフレーションの主な原因

スタグフレーションの原因は、主に以下の通りです。

それぞれの要素が単独でスタグフレーションを引き起こすのではなく、相互に影響を及ぼしあい、結果としてスタグフレーションが発生します。

  • ・供給ショック
  • ・インフレーション
  • ・金融政策

供給ショック

供給ショックとは、何らかの理由で供給が急減することです。

需要を満たせないほどに供給が減少すると、物価は上昇しやすくなります。

また、供給側は生産活動が停滞するので不景気になります。

供給ショックは、供給の減少と物価上昇を同時に引き起こしうるもので、スタグフレーションの直接的な原因として考えられます。

インフレーション

インフレーションは、スタグフレーションの2要素(不景気と物価上昇)のうちの1つを構成します。

インフレーションの発生が必ずしもスタグフレーションを引き起こすわけではありませんが、推移に注意を要します。

金融政策

インフレーションが進行すると、金融当局は物価上昇を抑えるために金融を引き締めます。

金融政策が期待通りに機能すると、景気が減速して物価上昇率は低下します。

しかし、期待通りの効果を上げられない場合、政策金利をさらに引き上げたり高金利の状態を継続したりします。

この場合にスタグフレーションに陥る可能性が考えられます。

スタグフレーションの事例

スタグフレーションの典型的な事例として、1970年代のオイルショックが挙げられます。

1973年、石油輸出国機構(OPEC)は原油価格を引き上げるとともに、輸出量を制限しました。

1974年には国際原油価格が4倍に上昇し、企業は生産活動を抑制せざるを得ませんでした。

この結果、1974年の実質GDPはマイナスに落ち込んでいます。

実質GDPの推移

また、同時期の物価上昇率を見ると、以下の通りです。

  • ・1972年:4.9%
  • ・1973年:11.7%
  • ・1974年:23.2%
  • ・1975年:11.7%
  • ・1976年:9.4%

1973年は景気が過熱気味で、インフレが高進しつつありました。

これにオイルショックが加わったことで、インフレ率は20%を超える数字を記録しています。

景気後退とインフレーションが同時に発生しており、典型的なスタグフレーションだといえます。

スタグフレーションが生活に及ぼす影響と対策

スタグフレーションが生活に及ぼす影響と、政策担当者の対策は以下の通りです。

  • ・影響
  • ・対策

影響

消費者にとって、支出面・収入面の両方で生活が苦しくなります。

支出面においては、価格が上昇するので生活に必要なコストが上昇します。

物価上昇が続けばコストがさらに上がるので、国民による生活必需品の買い占めが顕在化します。

収入面においては、企業の生産活動が停滞するので、給与の伸びが望めなくなります。

給与が増えるとしても物価上昇に追いつかない場合、実質的には給与の減額を意味します。

対策

政策担当者が取りうる政策として、需要を減少させることと供給を増やすことがあります。

供給量が需要量を上回れば、インフレは落ちつくと期待できるためです。

需要を減少させる手段として、政策金利の引き上げがあります。

金利の上昇により、需要の減少が期待できるからです。

供給量を増やす手段としては、各種規制の緩和や、研究開発等を促進する税制等が考えられます。

研究開発等の即効性は期待できない可能性があるものの、スタグフレーションに陥りづらい強靭な経済の構築に有効な可能性があります。

【まとめ】スタグフレーションとは|原因・事例・対策などを初心者向けにわかりやすく解説

スタグフレーションとは、「不景気(景気停滞)」と「継続的な物価上昇」が同時に起きる現象です。

発生する主な原因は、「供給ショック」「インフレーション」「金融政策」などです。

スタグフレーションの典型的な事例として、1970年代のオイルショックが挙げられます。

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