指値(さしね)注文とは|使い方やメリット・デメリットについて解説
指値注文とは「現状よりも有利な価格を指定して出す注文方法」です。
英語ではリミット・オーダー(limit order)といいます。
指値注文は、FX取引における基本の注文方法であり、最初に覚えるべき基本ルール、基本操作の1つです。
本記事では、指値注文の仕組みや使い方、メリットやデメリットなどを解説します。
指値注文とは
ここでは指値注文の概要について、以下の内容に分けて解説します。
意味
指値注文とは、希望の売買価格を指定する注文方法です。
売り買いともに、現在よりも有利な価格を指定して注文します。
現在の価格よりも上がったら売り、下がったら買いを行います。
新規のポジションを保有するために発注する場合は、売り・買いともに相場の反転を期待して使用します。
一方、保有中のポジションを決済する場合は、売り・買いともに「利益確定」の注文として使用します。
他の注文方法との違い
他の注文方法と指値注文の違いをまとめると以下の通りです。
比較対象(左列の注文方法) | 指値注文 | |
---|---|---|
成行注文との違い | その時点の価格で約定する | 希望の価格で約定する |
逆指値注文との違い | 現在より不利な価格で約定する | 現在より有利な価格で約定する |
IFD注文との違い | 新規注文・決済注文を一度に両方行う | 新規注文・決済注文を一度に片方だけ行う |
OCO注文との違い | 1回の注文で2つの価格を指定する | 1回の注文で1つの価格を指定する |
IFO注文との違い | IFD注文・OCO注文の特徴両方を満たす | IFD注文・OCO注文との違いが両方当てはまる |
成行注文は「その時点での価格」ですぐに約定する注文方法です。
基本的に取引がすぐ成立する反面、指値注文のように価格を指定できないため、相場が大きく変動している時などは、予想外の価格で約定してしまうこともあります。
逆指値注文は指値注文と異なり「現在より不利な価格」で約定するように設定します。具体的には、価格が「上がったら買い・下がったら売り」という注文を行います。
新規注文の場合、このような注文はトレンドに追随しているため「順張り」の発注です。
決済注文の場合、損失の拡大を防ぐ「損切り」となります。
IFD注文は、新規注文と決済注文を。ワンセットで同時に出す注文方法です。指値注文では新規でも決済でも、1回で片方だけの注文を行い、同時に発注することはありません。
OCO注文は、2つの注文を同時に出し、片方が約定したらもう片方がキャンセルされる注文方法です。指値注文では常に1つの注文だけを出すため、この点がOCO注文と異なります。
IFO注文は、IFD注文とOCO注文を掛け合わせた注文方法です。上述の「IFD注文との違い・OCO注文との違い」が両方当てはまります。
指値注文の使い方
指値注文の使い方は「ポジションを保有しているか、していないか」で分かれます。
ここでは、以下の2つのパターンでの使い方を説明します。
ポジションを保有している状態(買い・売り)
保有しているポジションが「買いポジション・売りポジション」のどちらでも、指値注文は「利益確定」に用います。
買いポジション保有時は「○○円まで上がったら売り」という利益確定の注文で用います。
逆に、売りポジション保有時は「○○円まで下がったら買い」という利益確定の注文として使います。
(売りポジションは、価格が下がるほど利益が出ます)
ポジションを保有していない状態(買い・売り)
ポジションを保有していない場合の指値注文は、基本的に「逆張り」や「押し目買い・戻り売り」の新規注文として用います。「価格が上がったら売りポジションを持つ」というのは「これから反落して値下がりすると予測している」ということです。
売り・買いともに反転を期待してポジションを持つ時に利用します。
指値注文のメリット
指値注文のメリットは以下の通りです。
自分の希望通りの価格で取引ができる
指値注文は、為替レートが自身の指定した価格に到達した時点で、自動的に発注を行う注文方法です。
原則、自身の希望通りの価格で取引を行えます。
この希望価格については、わずかにずれた価格で約定する「スリッページ」が起きることもあります。
しかし、一般的には指値注文で起きるスリッページは、有利な方向にずれる「ポジティブスリッページ」が多く、不利な方向にずれる「ネガティブスリッページ」は起こりにくくなっています。
例えば「1ドル140円」で売りの指値注文を入れた場合、「140円以上になったら売る」というルールになります。
このため、下図のように「140円以上」の価格にずれた場合は約定しますが、「140円未満」の価格にずれた場合は約定しません。
このように売りの指値注文であれば、一般的に「想定より高い価格=有利な価格」のスリッページが起こる可能性があります。
逆に買いの指値注文であれば、「想定より安い価格=有利な価格」のスリッページが起こる可能性があります。
仮にスリッページが起きたとしても、想定より有利な価格になるため、「基本的に希望の価格で取引できること」は指値注文のメリットといえます。
注文を出しておけば自動的に約定する
指値注文を出しておけば、相場がその価格に到達した時、自動的に約定することがメリットの1つです。
このため、FX取引に多くの時間を割けない場合や、多数のポジションを同時に管理したい場合などに適しています。
FX取引の場合、指値注文で「指定の価格に到達したのに約定されない」ということは、原則としてありません。
FXは相対取引であり、FX会社とトレーダーが1対1で取引を行う仕組みで、例外的な相場環境でない限り指定した価格で売買が成立しないことはありません。
(前述の通り、スリッページはわずかに起こり得ます)
指値注文のデメリット
指値注文のデメリットは以下の通りです。
約定までの期間が不確定
指値注文は「指定の価格に到達するまで約定しない」ため、約定までの期間が確定していません。
現在価格に近い価格で指値を入れれば、早い段階で約定することも多くなります。
しかし、現在価格から乖離した指値を入れると、長期間約定しないケースも起こり得ます。
ただ、約定する前であれば指値注文は自由に訂正・取消ができます。
「この指値での約定は難しい」と判断したら、価格を上げる・下げるなどの修正を行うと良いでしょう。
約定しない場合がある
指値注文は、いつ約定するかわからないだけでなく、長期間約定しないこともあり得ます。
例えばロング(買いポジション)の利益確定で指値注文を使う場合、長期間約定しないまま価格が下落を続けると、損失が膨らみ続ける可能性があります。
また、途中で価格が上昇して含み益が出ていたとしても、長期間約定しないということは、その利益を確定するチャンスを逃し続けているともいえます。
このように長期間約定しないことは、「トレードの見通しが立たない」だけでなく、「損失が膨らむ可能性がある」「利益確定のチャンスを逃す」というデメリットもあります。
指値に関するQ&A
指値注文に関してよく見られる疑問点は、以下の通りです。
指値・成行どっちが優先されますか?
注文執行の優先順位は、各社のルールによって異なります。
OANDA証券では、指値注文があっても、他に成行注文がある場合には、成行注文が全て執行された後に処理されます。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
一方、取引所取引(株式取引)では、指値注文と成行注文では、成行注文が優先されます。
優先されるパターンは、以下の2つに分類できます。
- ①:指値が一致しない状態で優先される
- ②:指値が一致する状態でも優先される
この2つのルールの例を図で説明すると、以下の通りです。
①の例では、成行注文の売り手が最も安くなるので、優先して約定します。
②の例では一致する指値がありますが、このような時でも成行注文は優先して約定します。
なお、「最も安い売り手・高い買い手が優先される」「成行注文が指値注文よりも優先される」というルールを、取引所取引では「価格優先の原則」と呼びます。
指値注文は途中でも決済できますか?
指値注文は途中でも決済できます。
例えばMT5の場合、「決済したい指値注文を選んで、決済のボタンを押す」手順で行えます。
- ①:左下の「ツールボックス」を見る
- ②:その中の「取引」タブを選択
- ③:決済したい指値注文を選んで右クリック
出典:MT5
右クリックをすると、以下のようなポップアップメニューが出ます。
この中の「決済」を選べば、それですぐに決済できます。
出典:MT5
MT5の場合、初めて「決済」を押すと「ワンクリック注文を有効にしますか?」という確認画面が表示されます。
有効にすると、今後は「決済」のボタンを押すだけで、すぐに決済されます。
この決済は成行注文(成行決済)であるため、その時点での価格ですぐに約定します。
MT5での指値注文のキャンセルや変更の方法については、こちらの記事で詳しく説明しています。【まとめ】指値(さしね)注文とは|使い方やメリット・デメリットについて解説
指値注文とは「現状よりも有利な価格を指定して出す注文方法」です。
原則的に、希望通りの価格で売買できることがメリットですが、約定までの期間が不確定、約定しない場合があるといったデメリットもあるため、相場の状況に応じて臨機応変に用いる必要があります。
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