用語解説

利食いとは|FXにおける意味・利食いのポイントなどを詳しく解説


利食いとは、利益を確定する決済取引のことで、英語ではテイクプロフィット(TP)と言います。

FXで継続的に利益を積み重ねるには、トレード前に利食いと損切り(ストップロス)の計画をしておくことが重要とされます。

本記事では、利食いの意味や、利確位置の決め方、ポイントについて、詳しく解説していきます。

FX取引における利食いとは

利食いの意味と、損切りとの違いについて解説します。

  • ・意味
  • ・利食いと損切りの違い

意味

利食いとは、含み益が出ているポジションを決済して、利益を確定することです。

利益確定、利確、テイクプロフィット(TP)などとも呼ばれます。

「利食い千人力」「利食い千両」といった投資の格言が存在し、含み益のままでなく、実現益にすることが大事だと伝えています。

利食いと損切りの違い

利食いと損切りの違い

損切りは利食いの逆で、含み損のポジションを決済して損失を確定することを指し、「ストップロス」とも呼ばれます。

含み損の状態では損失が確定していませんが、損失がさらに拡大してしまう可能性があります。

それを防ぐために、損切りで損失を確定させることが重要です。

FX取引での利食い位置の決め方

FX取引での利食い位置の決め方として、以下の方法を解説します。

  • ・利益額や値幅(pips)で決める
  • ・テクニカル分析で決める

利益額や値幅(pips)で決める

利食いする位置(価格)について、利益額や値幅(pips)で決める考え方があります。

利益額の場合は「エントリー時点から、利益が〇円になる価格」、値幅の場合は「エントリー時点から、〇pipsの値幅になる価格」を目標にします。

これらを利益の目標とする場合には、それよりも損失が小さくなるようにするべきとされています。

そのためには「最初に損切り額(幅)を決め、それよりも大きくなるように利益額(幅)を決める」という考え方が有効です。

なお、利益はトレーリングストップ注文を用いることで、伸ばすこともできます。

トレーリングストップ注文とは、含み益の増加に伴ってストップ注文(損切り)の位置を含み益の方向にずらしていく手法です。

トレーリングストップ注文

トレーリングストップ注文であれば、最終的に逆指値注文が約定しても、利食い幅を確保できます。

テクニカル分析で決める

テクニカル指標によっては、利食いの目標を決めることを得意としたものもあります。

利食いのサインを出すものもあれば、利食いの目安を表示するものもあります。

例えば、移動平均線をはじめとしたゴールデンクロス・デッドクロスのシグナルを出すテクニカル指標の場合、「買いサイン」が点灯したらエントリーし、「売りサイン」が点灯したらエグジット(決済)します(ロングの場合)。

オシレーター系のテクニカル指標の場合は、買われすぎ・売られすぎの水準を目標にできます。

また、ボリンジャーバンドやフィボナッチ・リトレースメント、ピボットなどは、チャート上に表示するラインで利食い目標を示唆してくれます。

以上のように多種多様なテクニカル分析があり、自分に合ったものを選ぶ必要があります。

FX取引ツールで利食いを設定する方法

FXで利食いする注文方法の1つに、指値注文があります。

ここでは、指値注文の発注方法を、以下の3つの取引ツールで解説します。

  • ・MT4
  • ・MT5
  • ・TradingView

MT4

MT4での指値注文は、下の手順で設定します。

MT4の画面
出典:MT4

ポジションを保有している状態で、画面左下①の「ターミナル」を確認します。

次に②の通り、一番左にある「取引」のタブを選択します。

選択すると保有ポジションが全て表示されるので、③の通り指値注文を設定したいポジションを選んで右クリックをします。

右クリックをすると、下図のようなメニューがポップアップで表示されます。

MT4の画面
出典:MT4

メニューの中から「注文変更または取消」を選択します。

選択すると、下図のような画面がポップアップで表示されます。

MT4の画面
出典:MT4

①の「決済指値(T/P)」の数値を設定して利食い位置を決定します。

設定後、②の変更ボタンを押します。

このボタンを押すとポップアップ画面が消え、指値注文が発注されます。

「取引」のポジション一覧を見ると「決済指値(T/P)」の欄に、先ほど設定した指値が入力されています。

MT4の画面
出典:MT4

MT5

MT5での指値注文の手順もMT4とほぼ同じで、下図のように設定します。

MT5の画面
出典:MT5

ポジションを保有した状態で、画面左下の①「ツールボックス」の欄を見ます。

次に一番左にある②「取引」のタブを選択します。

選択すると保有ポジションが全て表示されるので、③の通り指値注文を設定したいポジションを選んで右クリックをします。

右クリックをすると、下図のようなメニューがポップアップで出ます。

MT5の画面
出典:MT5

メニューの中から「注文変更または取消」を選択します。

選択すると、下の画面がポップアップで表示されます。

MT5の画面
出典:MT5

利食いの場合は、①の「Take Profit」の欄を操作します。

②の部分で操作でき、為替レートまたは利幅(ポイント)で決済位置を決めます。

金額を設定したら③の変更ボタンを押します。

このボタンを押すと、下図のように「オーダーは受理されました」という表示が出ます。

MT5の画面
出典:MT5

画面が消えたら指値注文が確定します。

「取引」のポジション一覧を見ると「決済指値(T/P)」の欄に、先ほど設定した指値が入力されています。

MT5の画面
出典:MT5

TradingView

TradingViewで指値注文を設定する手順は、下図の通りです。

TradingViewの画面
出典:TradingView

まず①の通り、下段のメニューの一番左にある「ポジション」を選びます。

保有ポジションの一覧が表示されるので、②の通り、指値注文を設定したいポジションの右側にある「鉛筆マーク」をクリックします。

クリックすると、下図のような注文画面がポップアップで表示されます。

TradingViewの画面
出典:TradingView

まず①の「利益確定」にチェックを入れ、②の部分で指値注文の内容を設定します。

設定は「pips・価格・ドル・パーセント」の4通りの方法で行えます。

設定したら③の「変更」を押して確定します。

確定したら下図のように、ポジションのデータの中の「利益確定」の欄に、設定した内容が反映されます。

TradingViewの画面
出典:TradingView

FX取引で利食いする際のポイント

FX取引における、利食いをする際のポイントは以下の通りです。

  • ・利益幅を決めておく
  • ・テクニカル指標を活用する

利益幅を決めておく

取引の際、利食いと損切りの条件をあらかじめ明確にすることが重要です。

設定した利食い条件を満たした場合に、利食いを実行します。

含み益がある時に、利益を失いたくないと考えて早く決済したくなっても、条件を満たすまで待つことが大切です。

テクニカル指標を活用する

テクニカル指標の1つであるボリンジャーバンドを活用した利食いの方法について解説します。

TradingViewの画面
出典:TradingView

上のチャートは、2024年5月2日の米ドル/円における30分足チャートです。

2日の午前4時台に、米ドル/円が約157.5円から約4.5円下落する急落(急な円高)の動きを見せました。

この急落は政府・日銀市場介入によるものと考えられます。

急落後、ローソク足が-2αライン(オレンジの線)を割り込んだことから、短期筋の買いを期待しての買いエントリーが考えられます。

利食いポイントは、急落前の安値水準(青いライン)の付近か、この線を超えてさらに上昇した場合は、+2αライン(反対側の青い上限バンド)となります。

また、フィボナッチ・リトレースメントで利食いポイントを決めることもできます。

以下は、同じチャートでフィボナッチ・リトレースメントを表示したものです。

TradingViewの画面
出典:TradingView

急落部分の始めから終わりにフィボナッチ・リトレースメントを適用すると、61.8%のところまで反転上昇していることが分かります。

このように、フィボナッチ・リトレースメントなどで意識されるポイントを、利食い条件とすることも有効です。

FX取引で利食いに関するQ&A

ここでは、FX取引の利食いに関してよく見られる、以下の疑問点に回答します。

  • ・利食い千人力とは何ですか?
  • ・利食いと利益確定の違いは何ですか?
  • ・利食いしないとどうなりますか?
  • ・利食い売りとは何ですか?

利食い千人力とは何ですか?

千人力とは、千人の力に匹敵するという意味で、利食いの重要性を指摘している言葉です。

利食いしようと考えていた矢先に相場が逆行してしまい、含み益が一転して含み損となり、利食いのつもりが損切りになってしまうということは往々にしてあります。

それほど利食いは難しいということを表しています。

同様の意味の格言に、「利食い千両」があります。

利食いと利益確定の違いは何ですか?

利食いと利益確定は、同じ意味で使われています。

どちらも、含み益ポジションを決済して利益を確定させるという意味です。

利確、テイクプロフィット(TP)という言葉が使われることもあります。

利食いしないとどうなりますか?

利食いしないことで起こりうるのは「含み益が増大する」「含み益が縮小する」「含み損になってします」です。

含み益が増える可能性もあれば、含み損に転じてしまう可能性もあります。

また、利食いをしなければ、そのポジションを保有するために使っている資金が拘束されることを意味します。

FX取引をする際は、あらかじめ利食いと損切りの条件を決めておくことが推奨されます。

利食い売りとは何ですか?

利食い売りとは、売りの決済注文で利益を確定させることです。

利益確定売り」とも呼ばれます。

新規注文で買いポジションを建てた場合、利益確定の決済注文は利食い売りになります。

逆に新規注文で売りポジションを建てた場合、利益確定の決済注文(買い注文)は「利食い買い」といいます。

【まとめ】利食いとは|FXにおける意味・利食いのポイントなどを詳しく解説

利食いとは、含み益が出ているポジションを決済し、利益を確定することです。

FX取引では、エントリーや損切りも重要ですが、利食いも同等に重要な要素です。

利食いを的確に行うために欠かせないテクニカル分析の手法は「テクニカル分析解説一覧」のページで、多数紹介しています。

OANDA証券では、テクニカル分析の精度をさらに高めやすくなる独自開発のインジケーターなど、オリジナルのツールを豊富に提供しています。

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