オシレーター系とは|FXにおける意味・種類・使い方などを紹介
テクニカル指標は、主に相場のトレンドを見極めるトレンド系と、相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を示すオシレーター系の2つの種類に大別されます。
オシレーター系は相場の転換を示唆するもので、主に逆張り手法の目安として用いられます。
この記事では、オシレーター系の種類と使い方、設定方法などについて詳しく紹介します。
目次
- 1.オシレーター系とは
- 2.オシレーター系の種類と使い方
- 3.オシレーター系の設定方法
- 4.オシレーター系に関するQ&A
- 5.【まとめ】オシレーター系とは|FXにおける意味・種類・使い方などを紹介
オシレーター系とは
ここでは、FXにおけるオシレーター系の意味や、トレンド系との違いについて詳しく解説します。
- ・FXにおけるオシレーター系の意味
- ・トレンド系との違い
FXにおけるオシレーター系の意味
オシレーター系とは、相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を示すテクニカル指標のことです。
オシレーター(Oscillator)は日本語で「振り子」を意味します。
FX相場は、振り子のように一定の範囲内を行ったり来たりする傾向があります。
その値動きを推測するのに有用で、主に逆張り手法の目安として利用されます。
オシレーター系の指標が「買われすぎ」のサインを出している場合、その後の価格下落を予測できるため「売り」を検討できます。
逆に「売られすぎ」のサインを出している場合、その後の価格上昇を予測できるため「買い」を検討できます。
オシレーター系は、特に価格が一定の範囲内で動く「レンジ相場」で、値動きの反転を予測しやすい指標です。
トレンド系との違い
テクニカル指標は、大きく分けるとトレンド系とオシレーター系の2種類に分類されます。
トレンド系は、相場のトレンド(方向性)や強さを見極めることを得意としたテクニカル指標です。
主に順張り手法で用いられ、相場のトレンドに合わせて「買い」または「売り」の判断ができます。
オシレーター系とトレンド系の違いは、下表の通りです。
テクニカル指標の種類 | 特徴 |
---|---|
オシレーター系 | ・相場の過熱感(買われすぎ、売られすぎ)を示す ・値動きの反転を予測できる ・主に逆張り手法で使用 ・短期売買向き |
トレンド系 | ・トレンドの方向性や強さが予測できる ・主に順張り手法で使用 ・中長期売買向き |
オシレーター系の種類と使い方
ここでは、代表的なオシレーター系のテクニカル指標7つの使い方について、詳しく紹介します。
- ・RSI
- ・RCI
- ・MACD
- ・CCI
- ・ストキャスティクス
- ・サイコロジカルライン
- ・DMI
RSI
RSIとは「Relative Strength Index」の略で、日本語で訳すと「相対力指数」です。
一定期間の相場の過熱感を分析するテクニカル指標として人気が高いです。
RSIの数値は0〜100%で表され、70%以上で「買われすぎ」、30%以下で「売られすぎ」と判断します。
下チャートでは、RSIが70%を超えて「買われすぎ」のサインが出たところから価格が下落、RSIが30%を割り込み「売られすぎ」のサインが出たところから価格が上昇しています。
出典:TradingView
そのため、70%を超えたタイミングで「売り」、30%を割り込んだタイミングで「買い」のエントリーをするという戦略を立てることが可能です。
ただし強いトレンドが発生した場合は反転せずに、70%以上や30%以下の水準に張り付いたままとなることもある点に注意が必要です。
「RSI」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
RCI
RCIは「Rank Correlation Index」の略で、日本語で訳すと「順位相関指数」です。
RCIの数値は-100~+100%で表され、その位置から相場の過熱感を読み取ります。
一般的には、ラインが+80%以上で「買われすぎ」、-80%以下で「売られすぎ」を意味します。
また、RCIは価格変動に沿って動きやすいという特徴があるため、以下のように売買タイミングの判断が可能です。
- ・RCIが+100%付近まで上昇した後に反転し、下落し始めたタイミング=「売りシグナル」
- ・RCIが-100%付近まで下落した後に反転し、上昇し始めたタイミング=「買いシグナル」
出典:TradingView
上チャートでは、RCIが+100%付近まで上昇した後に価格が下落、-100%付近まで下落した後に価格が上昇しています。
ただし、トレンド相場においては「ダマシ」が発生しやすいことに注意が必要です。
「RCI」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
MACD
MACD(マックディー)は「Moving Average Convergence Divergence」の略で、日本語では「移動平均収束発散法」と訳されます。
一般的なオシレーターは相場の過熱度を分析するものですが、MACDはトレンド系の性質も併せ持ったテクニカル指標です。
MACDは、MACDとシグナルで構成され、その2つが交差するタイミングがトレンドの発生や転換を示唆します。
- ・ゴールデンクロス:MACDがシグナルを「下から上」に抜けたポイント=買いのサイン
- ・デッドクロス:MACDがシグナルを「上から下」に抜けたポイント=売りのサイン
出典:TradingView
上チャートは、青い線がMACD、オレンジの線がシグナルを表します。
デッドクロス発生後に下降トレンド、ゴールデンクロス発生後に上昇トレンドが発生しています。ただし、相場に方向感がないレンジ相場では「ダマシ」が発生しやすい点に注意が必要です。
「MACD」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
CCI
CCIは「Commodity Channel Index」の略で、日本語で訳すと「商品チャネル指数」です。
「現在の価格が、一定期間の平均価格の移動平均に対して、どの程度乖離しているか」を指数化しています。
多くのオシレーター系指標は0~100%(あるいは-100~+100%)の間で示されますが、CCIは数値の上限や下限がないことが特徴です。
相場の過熱感を判断するテクニカル指標ですが、逆張りだけでなく順張りにも利用できます。
取引方法の判断としては、CCIが±100を超えた場合には順張りでエントリーします。
- ・+100%を上回ったとき=買いサイン
- ・-100%を下回ったとき=売りサイン
また、CCIが±200を超えた場合には逆張りでエントリーします。
- ・+200%を上回ったら「買われすぎ」=売りサイン
- ・-200%を下回ったら「売られすぎ」=買いサイン
下チャートでは、ラインが+100%を下から上に抜けたときに「買いサイン」と判断し、再度+100%に戻ってきた時点で「売りサイン」と判断しています。
出典:TradingView
注意したいのは、相場が大きく変動した際には、±200%を超える場合があることです。
「CCI」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ストキャスティクス
ストキャスティクスは英語表記で「Stochastic Oscillator」と表し、日本語で訳すと「推計統計学的なオシレーター」です。
%Kと%Dの2本のラインが表示されるテクニカル指標で、相場の過熱感を分析します。
ストキャスティクスは0~100%で表され、一般的には80%を上回ると「買われすぎ」、20%を下回ると「売られすぎ」と判断されます。
また、以下のように2本のラインの交差で売買シグナルを読み取ることができます。
- ・2本のラインが80%よりも上にあり、%Kが%Dを下抜けたら「売りサイン」
- ・2本のラインが20%よりも下にあり、%Kが%Dを上抜けたら「買いサイン」
出典:TradingView
上チャートは、青線が「%K」、オレンジ線が「%D」を表しています。
2本の線が20%以下の箇所は「売られすぎ」と判断できるため、「買い」のエントリーが有効です。
また、2本の線が80%以上の箇所は「買われすぎ」と判断できるため、「売り」のエントリーが有効です。
「ストキャスティクス」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
サイコロジカルライン
サイコロジカルラインは、心理的(サイコロジカル)という言葉が含まれるように、相場参加者の心理を数値化したテクニカル指標です。
オシレーター系として代表的な「RSI」や「ストキャスティクス」の原型とも言われているテクニカル指標で、相場の過熱感を見るための指標です。
サイコロジカルラインは0~100%の間で表され、25%以下なら「売られすぎ」、75%以上なら「買われすぎ」を意味します。
ただし、サイコロジカルラインが75%や25%を超えた後に、遅れて値動きが反転する傾向もあります。
出典:TradingView
上チャートでは、サイコロジカルラインが75%以上になった後に価格がピークを迎えて下落し、25%以下になった後にボトムをつけて上昇していることが分かります。
「サイコロジカルライン」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
DMI
DMIとは「Directional Movement Index」の略称で、日本語では「方向性指数」と訳されます。
オシレーター系指標ですが、トレンド系指標に分類されることもあります。
DMIでは、トレンドの方向性とその強弱を測ることができます。
RSIなどの主要なオシレーター系指標はトレンド相場の分析に弱いため、その短所を補う目的で開発された指標です。
DMIで用いる3本のラインは、それぞれ以下のような意味を持ちます。
+DI | 上昇トレンドの強さを表す |
-DI | 下落トレンドの強さを表す |
ADX | トレンドの強弱を測る |
3本のラインからシグナルを読み取る方法は、以下の通りです。
①:買いシグナル | ADXが上昇している状態で、+DIが-DIを下から上に突き抜ける |
②:売りシグナル | ADXが上昇している状態で、-DIが+DIを上から下に突き抜ける |
出典:TradingView
上チャートの①と②は、いずれもADX(赤い線)が上向いています。
その状態で、①では+DI(オレンジの線)が-DI(緑の線)を下から上に突き抜け、②では-DIが+DIを上から下に突き抜けています。
「DMI」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
オシレーター系の設定方法
ここでは「RSI」を例に、MT4(メタトレーダー4)、MT5(メタトレーダー5)、TradingView(トレーディングビュー)といった取引プラットフォームに表示する方法を紹介します。
- ・MT4での設定方法
- ・MT5での設定方法
- ・TradingViewでの設定方法
MT4での設定方法
MT4を開き、左上の「挿入」から「インディケータ」→「オシレーター」→「Relative Strength Index」を選択します。
RSIのダイアログが表示されるので、「OK」を選択します。
出典:MT4
「MT4」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
MT5での設定方法
MT5を開き、左上の「挿入」から「インディケータ」→「オシレーター」→「Relative Strength Index」を選択します。
RSIのダイアログが表示されるので、「OK」を選択します。
出典:MT5
「MT5」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
TradingViewでの設定方法
TradingViewを開き、左上の「インジケーター」をクリックし、検索窓に「RSI」と入力→「RSI(相対力指数)」を選択します。
出典:TradingView
「TradingView」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
オシレーター系に関するQ&A
オシレーター系に関する、よくある質問は以下の3つです。
- ・オシレーター系でおすすめの組み合わせはありますか?
- ・オシレーター系の注意点は何ですか?
- ・オシレーター系とトレンド系の違いは何ですか?
オシレーター系でおすすめの組み合わせはありますか?
オシレーター系でおすすめの組み合わせは、「RSI」と「MACD」です。
RSIは相場の過熱感を分析できる指標で、MACDはトレンドの発生や転換を分析できる指標です。
両者を併用することによって、サインが出やすいRSIの弱点をMACDでカバーできるため、トレードの精度が向上します。
出典:TradingView
上チャートの赤丸で記した箇所では、まずRSIが70%以上で「買われすぎ」のサインが発生し、次にMACDのデッドクロスが発生した後に価格が下落しています。
そのため、両者のサインが出たタイミングが「売り」のエントリーポイントとして有効です。
また、青丸で記した箇所では、まずRSIが30%以下で「売られすぎ」のサインが発生し、次にMACDがゴールデンクロスをした後に価格が上昇しています。
RSIとMACDのサインが出たタイミングで「買い」のポジションを保有することにより、利益を伸ばせます。
オシレーター系の注意点は何ですか?
オシレーター系の注意点は、売買のサインが頻繁に出てダマシが多いことです。
FX取引におけるダマシとは「売買サインが出ているのに、サイン通りにならず逆の方向に動くこと」をいいます。
例えば、以下のチャートではRSIでダマシが生じています。
出典:TradingView
①でRSIは「買われすぎ」のサインを示しているものの、ローソク足は下落せずに上昇し続けています。
このようなダマシを防ぐためには、複数のテクニカル指標を組み合わせてチャート分析することが推奨されます。
取引の根拠が増えるため、精度の高い取引戦略を立てられます。
オシレーター系とトレンド系の違いは何ですか?
オシレーター系は相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を判断する指標で、トレンド系はトレンドの方向性を判断する指標です。
両者の違いを表でまとめると、以下の通りです。
比較項目 | オシレーター系 | トレンド系 |
---|---|---|
わかること | 相場の過熱感(値動きの反転) | トレンドの方向性・強弱 |
適した投資スパン | 短期売買 | 中長期売買 |
適した手法 | 逆張り | 順張り |
適した相場 | レンジ相場 | トレンド相場 |
ダマシの多さ | 比較的多い | 比較的少ない |
相場転換への反応 | (トレンド系より)早い | (オシレーター系より)遅い |
それぞれの主な指標をまとめると、以下の通りです。
オシレーター系 | RSI・MACD・ストキャスティクス・サイコロジカルライン・RCI・移動平均線乖離率・DMIなど |
トレンド系 | 移動平均線・ボリンジャーバンド・一目均衡表・パラボリック・エンベロープなど |
オシレーター系とトレンド系はそれぞれに一長一短があるため、双方を組み合わせて相場を分析することが推奨されます。
【まとめ】オシレーター系とは|FXにおける意味・種類・使い方などを紹介
オシレーター系は、相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を示すテクニカル指標です。
相場のトレンドを見極めるトレンド系に対して、オシレーター系は値動きの反転を予測するのに役立ち、主に逆張り手法で用いられます。
主なオシレーター系として、RSI、RCI、MACD、CCI、ストキャスティクス、サイコロジカルライン、DMIの7つが挙げられます。
オシレーター系は値動きの反転を捉えやすい一方で、売買サインが出やすくダマシが多いのがデメリットです。
トレードの精度を高めるためにも、トレンド系など他のテクニカル指標と組み合わせて使うことが推奨されます。
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