ナンピン(難平)とは|ナンピン買い・ナンピン売りの意味や注意点を解説
ナンピン(難平)とは、保有している通貨の価格が買った時より下がった場合に、買い増しして平均取得単価(平均コスト)を下げる取引方法です。
損益分岐点が引き下がるため、相場が予想通りの動きに戻った際には、含み損が解消されやすくなります。
本記事では、ナンピン(難平)のメリット・デメリットや、注意点などを詳しく解説していきます。
目次
- 1.ナンピン(難平)とは
- 2.ナンピン(難平)買い・ナンピン(難平)売り
- 3.ナンピン(難平)における平均取得単価の計算方法
- 4.ナンピン(難平)のメリット
- 5.ナンピン(難平)のデメリット
- 6.ナンピン(難平)が有効とされる取引タイミング
- 7.ナンピン(難平)する際の注意点
- 8.ナンピン(難平)に関するQ&A
- 9.【まとめ】ナンピン(難平)とは|ナンピン買い・ナンピン売りの意味や注意点を解説
ナンピン(難平)とは
ナンピン(難平)の意味や由来について解説していきます。
- ・意味
- ・由来
意味
ナンピンとは、保有しているポジションに対し、相場が逆に動いた場合に、ポジションを追加して平均取得単価を下げる取引手法です。
平均取得単価を下げることで、損益分岐点が引き下がるため、相場が予想通りの動きに戻った際には、含み損が解消されやすくなります。
また、ポジション数が増えているため、含み損の解消後は利益が大きくなることを期待できます。
しかし、相場が逆行し続ける場合は、含み損が拡大してしまうリスクがあります。
FX初心者には十分な注意が必要な取引手法です。
由来
ナンピンは、漢字で書くと「難平」です。
難とは損を意味し、「損を平均化すること」を表します。
江戸時代の米相場で使われていた、歴史のある古い言葉とされていますが、現在では漢字ではなく、カタカナで表記されることが一般的です。
実際の取引においては、損を平均化するだけなく、利益を期待して行う手法としても利用されます。
ナンピン(難平)買い・ナンピン(難平)売り
ここでは、ナンピン買いとナンピン売りの違いを解説します。
- ・ナンピン(難平)買いとは
- ・ナンピン(難平)売りとは
ナンピン(難平)買いとは
ナンピン(難平)買いとは、保有している買いポジションが値下がりした際に、さらに買い増しをして平均取得単価(損益分岐点)を下げる取引手法のことです。
例えば、上図では1回目に145円で買いポジションを建てています。
この時点では平均取得単価が145円であり、利益を出すためには145円以上で売り決済をする必要があります。
その後、135円まで下落した時点でナンピン買いを実行したとします。
すると、平均取得単価が140円まで下がります。(※1回目と2回目の取引数量が同じ場合)
利益の出る水準(損益分岐点)が下がるため、その後の反転が期待できる相場では、有利になる可能性があります。
より値下がりした価格でナンピン買いをするたびに、平均取得単価は下がっていきます。
ナンピン(難平)売りとは
ナンピン(難平)売りとは、保有している売りポジションが値上がりした際に、さらに売り増しをして平均取得単価を上げる手法です。
例えば、上図では1回目に135円で売りポジションを建てています。
この時点では平均取得単価が135円であり、利益を出すためには135円以下で買い決済をする必要があります。
しかし、145円まで上昇した時点で同じ数量のナンピン売りを実行すれば、平均取得単価が140円まで上がります。
利益の出る水準が上がるため、その後の反転が期待できる相場では、有利になる可能性があります。
より値上がりした価格でナンピン売りをするたびに、平均取得単価は上がっていきます。
ナンピン(難平)における平均取得単価の計算方法
ナンピンはポジションの平均取得単価を下げる取引手法ですが、ここではどのように下がるのかを実際に計算してみます。
ナンピンの計算方法は、以下の通りです。
- 平均取得単価=取引をした価格÷合計ロット数
例えば、1ドル140円の時に買いポジションを1ロット保有したとします。
そして、1ドル120円まで下落したところで、さらに追加で買いポジションを1ロット保有しました。
これを上記の計算式に当てはめると、(140+120)÷2ロット=130です。
この場合、平均取得単価は130円です。
最初に140円で買いポジションを保有していますが、120円でナンピン買いを行ったことにより、130円で買いポジションを保有している状態となるのです。
この場合、130円より上の価格になれば利益を得ることができます。
ナンピン(難平)のメリット
ナンピンを行うメリットは以下の3点です。
- ・平均取得単価を下げられる
- ・損失を抑えられる可能性が高まる
- ・利益が大きくなる
平均取得単価を下げられる
前述の通り、ナンピンを行うと平均取得単価が下がります。
平均の単価が下がれば「ここまで価格が戻れば損失がなくなる」というライン(損益分岐点)も下がります。
このため、チャートパターンなどのテクニカル分析などによって相場が反発することを予想できていれば、有効な手法です。
損失を抑えられる可能性が高まる
ナンピンでは平均取得単価が下がるため、その後の相場展開によっては損失を抑えられる可能性が高まります。
前述の平均取得単価の計算方法で提示した例で見ると、ナンピンをしなければ最初のポジションの為替レート(米ドル/円=140円)に相場が戻るまでは含み損は解消されません。
しかし、ナンピンを行えば130円まで相場が戻った時点で含み損を抜け出せます。
相場が回復するのを待つ期間が短くなることも、メリットといえます。
利益が大きくなる
ナンピンを行うと平均取得単価が下がるうえに、当初よりも多くのポジションを持つことになります。
安く大量に仕入れているということは、相場が上昇すればナンピンを行わない状態(高く少量を仕入れていた状態)よりも、大きな利益を期待できます。
例えば、AさんとBさんが150円で1ロット(1,000通貨)の買いポジションを保有したとします。
価格が140円まで下落してきた時に、Aさんのみ1ロットの買いポジションを追加すると、平均145円で2ロットを持ったことを意味します。
そして、価格が155円に上がった際に、2人とも決済をしました。
この時の最終的な2人の利益は、Aさんが20,000円、Bさんが5,000円です。
このように、ナンピンは成功すれば大きな利益を狙えます。
ナンピン(難平)のデメリット
ナンピンを行うデメリットは以下の3点です。
- ・損失が大きくなる
- ・証拠金維持率低下によるロスカットリスクがある
- ・心理的負荷が大きくなる
損失が大きくなる
ナンピンはより大きな利益につながることがありますが、取引に失敗すれば大きな損失になるリスクが高い取引手法です。
例えば、AさんとBさんが150円で1ロット(1,000通貨)の買いポジションを保有します。
価格が140円まで下落してきた時に、Aさんのみ1ロットの買いポジションを追加すると、平均145円で2ロットを持ったことを意味します。
そして、価格が135円に下がった際に2人とも決済をしました。
この時の最終的な2人の損失は、Aさんが20,000円、Bさんが15,000円です。
1回ナンピンを行ったAさんが、5,000円多くの損失を出しています。
このように、ナンピンの取引に失敗すれば、より大きな損失となります。
証拠金維持率低下によるロスカットリスクがある
ナンピンによるポジション追加や、価格の逆行が進むと、証拠金維持率が低くなります。
証拠金維持率が低い状態では、さらに大きな逆行が発生した場合に強制ロスカットになってしまう可能性があります。ナンピンを行う際は、慎重な資金管理が求められ、仮に証拠金維持率が低下している場合は追加証拠金の準備が必要です。
心理的負荷が大きくなる
ナンピンは「損をしている方向にポジションを増していく」という手法です。
相場が反転するまでは、ポジションを増やした分だけ損失が拡大しやすくなります。
そうした含み損を抱えている状況は、心理的負荷が大きくなりやすいです。
このような負荷は、トレード以外の私生活などに悪影響を及ぼす可能性があるため、ナンピンは慎重に行う必要があります。
ナンピン(難平)が有効とされる取引タイミング
ここでは、ナンピン(難平)が有効とされる取引タイミングについて解説します。
- ・予想に反した値動きが一時的だと判断できる場合
- ・含み損を早めに回収したい場合
予想に反した値動きが一時的だと判断できる場合
ナンピンは、予想に反した値動きが一時的だと判断できる場合に有効です。
不利な値動きが一時的であれば、相場の反転により利益を狙えます。
しかし、不利な値動きが継続する場合は、逆に損失が拡大してしまうので注意が必要です。
「不利な値動きが一時的である」と判断するための分析方法として、各国の経済指標の発表や要人発言などによるファンダメンタルズ分析や、様々な指標を用いたテクニカル分析など場面に応じた分析を的確に行うことが重要です。
含み損を早めに回収したい場合
また、ナンピンは含み損を早めに回収したい場合にも有効な手法です。
ナンピンを行わなければ、最初に保有したポジションの取得水準まで、相場が回復するのを待つ必要があります。
含み損を抱えた状態が長く続くと、経験値の高いトレーダーでも少なからずストレスを感じるものです。
しかし、ナンピンを行うことで平均取得単価が下がるため、含み損が早く解消されることに期待できます。
ナンピン(難平)する際の注意点
ナンピンは、リスクを伴う取引手法です。
ここでは、ナンピンを使う際の注意点について詳しく紹介します。
ナンピンを使う際の注意点は、以下の通りです。
- ・資金管理を必ず行う
- ・戦略的にナンピンを利用する
- ・許容できる損失を超えたらすぐに損切りを行う
資金管理を必ず行う
ナンピンを行う際には、証拠金余力や証拠金維持率を管理する必要があります。
証拠金に余裕があり、資金管理のもとで計画的にポジションを増やしていれば、強制ロスカットのリスクを減らすことができます。ただし、含み損を抱えている間の資金拘束は免れないので、一長一短の戦略だといえます。
戦略的にナンピンを利用する
ナンピンは、「どうなったらナンピンするか」「どうなったら損切りするか」という計画を立て、戦略的に行うことが推奨されます。
撤退のシナリオがあれば、強制ロスカットを防ぐことができます。
なお、戦略的なナンピンを行うには、チャート分析によるトレンドの予測ができていることが重要です。
許容できる損失を超えたらすぐに損切りを行う
ナンピンでは、許容できる損失を超えたら、すぐに損切りを行うことも重要です。
資金を守るために、あらかじめ損切りのルールを決めておくなどの対策があります。
主に利用される方法は以下の2つです。
- ・損失額で決める方法:「〇〇円の損失が出たら損切り」
- ・値幅で決める方法:「〇〇pips逆行したら損切り」
含み損を抱えた状態で相場が戻ると期待してポジションを増やし、損失を拡大させてしまうことには注意が必要です。
FXで安定して利益を上げていくためには「損小利大」の考えが重要です。
ナンピン(難平)に関するQ&A
ナンピンに関してよく見られる疑問点は、以下のようなものです。
- ・ナンピンがダメだとされるのはなぜですか?
- ・ナンピン買いの逆は何といいますか?
- ・初心者にナンピンはおすすめですか?
- ・ナンピンに向いてる人の特徴は何ですか?
ナンピンがダメだとされるのはなぜですか?
一般的にナンピンがダメだとされる理由は、FX初心者にとっては難易度が高く、リスクの高い手法であるためです。
相場が反転する可能性があれば有効な手法ですが、相場が反転せずに下落や上昇を続ければ、買い増し・売り増しをした分、損失が拡大していきます。
投資の世界では、「下手なナンピンはスカンピン」という格言もあり、FX取引の経験が浅いうちは推奨されない手法です。
ナンピン買いの逆は何といいますか?
ナンピン買いの逆は「ナンピン売り」です。
ナンピン買いが下がるたびに「買い増し」するのに対して、ナンピン売りは上がるたびに「売り増し」する取引方法です。
なお、ナンピン売りの場合は平均取得単価が上がります。
あるいは、売り買いという意味の逆ではなく、「損失を確定させる」という意味の場合では「損切り」が対義語ともいえます。
初心者にナンピンはおすすめですか?
初心者が安易にナンピンを行うことは推奨されません。
どうしても行う場合には、「いくらまで下がったら(上がったら)止める」「買い増し(売り増し)は何回までにする」といったルールが必要です。
ナンピンに向いてる人の特徴は何ですか?
ナンピンに向いてる人の特徴は、主に以下の2つが挙げられます。
- ・資金管理のルールを守れる人
- ・十分にFXの知識や経験がある人
計画的にトレードを行い、損切りや資金管理などのルールを守れる人は、ナンピンを効果的に使える可能性があります。
一方、トレードに計画性がなく、「相場が回復するかもしれない」と損切り(ストップロス)をためらってしまうような人は、大きな損失を出してしまうリスクがあります。
取引経験の浅いうちは、心理的負担を感じやすく、冷静な判断ができなくなりやすいので、十分に知識や経験が身についてから活用することが推奨されます。
【まとめ】ナンピン(難平)とは|ナンピン買い・ナンピン売りの意味や注意点を解説
ナンピンは、ポジション保有時に相場が逆行した際に、ポジションを追加する取引手法のことです。
ナンピン買いなら平均取得単価が下がり、ナンピン売りなら平均取得単価が上がり、含み損を解消しやすくなるメリットがあります。
ただし、相場の逆行が続いた場合には損失が拡大するため、大きなリスクがあります。
無計画にナンピンを繰り返すと、強制ロスカットのリスクが高まるので注意が必要です。
ナンピンを行う場合、様々なテクニカル指標によるテクニカル分析や、ファンダメンタルズ分析が助けになる場合があります。
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