成行(なりゆき)注文とは|使い方・メリット・デメリットを解説
成行注文とはFX取引の基本的な注文方法であり、もう1つの代表的な注文方法である指値注文と並んで、最初に理解すべき用語です。
本記事では、成行注文の使い方や、指値注文との違い、メリット・デメリットなどを解説します。
目次
- 1.成行(なりゆき)注文とは
- 2.成行(なりゆき)注文の使い方
- 3.成行(なりゆき)注文のメリット・デメリット
- 4.成行(なりゆき)注文の発注方法
- 5.成行(なりゆき)注文に関するQ&A
- 6.【まとめ】成行(なりゆき)注文とは|使い方・メリット・デメリットを解説
成行(なりゆき)注文とは
成行注文について、意味や指値注文との違いについて解説します。
意味
成行注文とは「売買の価格を指定しない注文方法」のことです。
価格を指定せず、「その時点において売買が成立する価格」で約定(取引成立)します。
成行注文は「現在の価格で売買したい」場面で用います。
ただし、発注から約定までの間に、価格がわずかにずれるスリッページが発生することもあります。
指値注文との違い
現在の価格で注文する「成行注文」と対となるのが、価格を指定する「指値注文」で、両者の違いは以下の図の通りです。
成行注文はチャートや価格を確認しながら「現在の価格で売買したい」と判断した時点で注文します。
対して、指値注文は事前に価格を指定して注文する方法です。
「指値注文」の記事で詳しく解説しています。
成行(なりゆき)注文の使い方
成行注文には、以下2つがあります。
それぞれの違いについて解説します。
新規注文での成行注文
新規注文とは、新たにポジションを建てる(保有する)際の注文です。
新規注文の方法の1つに成行注文があり、その他にも指値注文やOCO注文などがあります。
成行注文の新規発注方法ついては、「成行(なりゆき)注文の発注方法」で後述します。
決済注文での成行注文
FX取引における決済注文とは、保有しているポジションを決済する注文のことです。
決済注文の方法の1つに成行注文があり、その他に指値注文やOCO注文などがあります。
FX取引での新規注文で建てた(保有した)ポジションは、反対売買して決済する必要があります。
その際に、保有しているポジションを選択して決済注文を行います。
成行(なりゆき)注文のメリット・デメリット
ここでは、成行注文のメリットとデメリットを解説します。
メリット
成行注文のメリットは、基本的に約定することと、約定のスピードが速いことです。
成行注文は「価格がいくらであろうと、その時点で成立する価格で売買する」という注文方法です。
指値注文のように「いくらになったら売買する」という条件がないため、ほとんどの場面で約定します。
また、約定スピードも速く、注文とほぼ同時に完了することが多いです。
なお、急激に価格変動した場合には、約定しないケースや、自分の想定とは乖離したレートで約定するケースもあるので注意が必要です。
デメリット
成行注文のデメリットは、売買価格が自分の想定とずれる「スリッページ」が発生する場合がある点です。
スリッページが起きる理由は、注文がFX会社のサーバに到達するまでに、わずかなタイムラグがあるためです。
下図は、米ドル/円の新規売りを成行注文した例です。
トレーダーは12時ジャストに140.00円で注文していますが、それがFX会社のサーバに届くまでに0.05秒要したとします。
すると、そのわずかな間に価格が変動して、「想定より高い(安い)価格での売買になる」こともあります。
この価格が「有利な方向」にずれたら「ポジティブスリッページ」、不利な方向にずれたら「ネガティブスリッページ」といいます。
一般的にスリッページというと「ネガティブスリッページ」を指します。
「スリッページ」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
成行(なりゆき)注文の発注方法
ここでは、MT4(メタトレーダー4)やMT5(メタトレーダー5)を使った以下2種類の成行注文の手順について解説します。
通常の成行注文
MT4(メタトレーダー4)やMT5(メタトレーダー5)における成行注文は、オーダーの発注画面から行います。
出典:MT4
上部にある「新規注文」をクリックすると「オーダーの発注」画面が開きます。
その後の手順は以下の通りです。
①通貨ペアを選択します。
②指定の発注数量を入力します。
③注文種別は「成行注文」を選択します。
④「成行売り」もしくは「成行買い」をクリックして注文完了です。
成行売りと成行買いのボタンの上に表示されている数字が現在の価格で、左側のチャートが現在のティックチャートです。
※MT5も同様の手順で発注できます。
ワンクリック取引による成行注文
MT4(メタトレーダー4)やMT5(メタトレーダー5)には「ワンクリック注文」があり、上述した通常の注文方法よりも簡単な操作で注文できます。
ワンクリック注文のボタンは、初期設定で画面の左上に、下図のように表示されます。
出典:MT4
成行売りは左側の「SELL」のボタン、成行買いは右側の「BUY」のボタンをクリックします。
レートの数字は、その時点の売値・買値で、スリッページが発生しなければ、この価格で売買できます。
売買する数量(取引数量)は、中央の数字の部分で設定します。
単位はロット(Lot)で、1ロットが何通貨に相当するかはFX会社や通貨ペアによって異なります。
(OANDA証券の米ドル/円の場合、0.01ロット=1,000通貨です)
ボタンの色は、青が「直近より値上がりした」ことを、赤が「直近より値下がりした」ことを意味しています。
上図の右下に示した通り、赤・青の配色については4通りのパターンがあります。
なお、ワンクリック注文を使うためには、以下の初期設定が必要です。
出典:MT4
「ツール」→「オプション」→取引タブで「ワンクリック取引」をチェック。
ワンクリック取引にチェックを入れると、以下のような免責事項が出てきます。
出典:MT4
利用規約に同意して「OK」を押すと、ワンクリック取引が使用可能になります。
しかし、ワンクリック取引が有効になると、誤操作でワンクリック注文ツールをクリックした場合にポジションを持ってしまうため注意が必要です。
成行(なりゆき)注文に関するQ&A
成行注文に関してよく見られる疑問点は、以下の通りです。
指値注文との違いは何ですか?
成行注文と指値注文の違いは、以下の通りです。
- ・価格を指定するかしないか
- ・スリッページがあるかないか
- ・約定がほぼ確実か、確実でないか
- ・約定のスピードが速いか遅いか
それぞれの違いを表にまとめると、以下の通りです。
違い | 成行注文 | 指値注文 |
---|---|---|
価格の指定 | しない | する |
スリッページ(ネガティブ) | 起きる | 起きない |
約定の確実性 | 確実性が高い | 不確実 |
約定のスピード | 速い | 遅い |
約定の確実性とスピードについては、指値の価格を「いくらにするか」にもよります。
現時点から乖離した価格に設定すれば、長期間その価格に到達しない可能性もあるため、約定は不確実で、スピードは遅くなります。
逆に、現時点に近い価格に設定すれば、確実性は高く約定までのスピードも速くなります。
「約定」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
成行注文と指値注文はどちらが優先的に約定されますか?
成行注文と指値注文では、成行注文が優先して約定されます。
その理由は、「取引所取引」か「相対取引」かによって異なります(株式は取引所取引、国内FXは相対取引が主流です)。
取引所取引には「価格優先の原則」と呼ばれるルールがあります。
これは「安い売り注文・高い買い注文」ほど優先されるというルールです。
そして、成行注文はその性質上、自動的に「最も安い売り注文・最も高い買い注文」となります。
このため、下図のようにどのような場面でも、指値注文より優先されます。
①については、一番安い売り手が成行であるため、指値よりも優先されます。
②については、140円の安い売り手がいるものの、成行が優先して140円で約定します。
価格優先の原則では「成行注文は指値注文よりも優先する」というルールが決まっているためです。
取引所取引では、市場を通して不特定多数の売り手と買い手が取引を行い、上図のような仕組みで成行が指値より優先されます。
一方、FX取引では、各社のルールによって指値注文と成行注文の優先順位が定められています。
OANDA証券では、指値注文があっても、成行注文がある場合には、成行注文が先に執行されます。
「OANDA証券の取引ルール」については、こちらの記事で解説しています。
【まとめ】成行(なりゆき)注文とは|使い方・メリット・デメリットを解説
成行注文とは「レートを自分で指定せず、現在提示されているレートで発注する注文方法」のことです。
成行注文は、新規注文と決済注文のどちらでも使うことができます。
成行注文には約定のスピードが速いというメリットと、売買価格が自分の想定とずれる「スリッページ」が発生する場合があるなどのデメリットがあります。
FX取引を行う前に、成行注文についてしっかりと理解しておきましょう。
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