FX取引のレバレッジとは|仕組み・具体例・よくある質問をわかりすく解説
レバレッジとは、FX会社に預けた資金(証拠金)を担保とし、預けた資金以上の金額で取引できる仕組みのことです。
レバレッジには少ない資金で大きな金額を取引できるメリットもありますが、逆に大きな損失を被るリスクもあります。
本記事では、レバレッジの仕組みや計算方法、メリット・デメリット、リスクを抑えるためのポイントを詳しく解説していきます。
目次
- 1.FX取引のレバレッジとは
- 2.FX取引のレバレッジの計算方法
- 3.FX取引でレバレッジを効かせるメリット
- 4.FX取引でレバレッジを効かせるデメリット
- 5.レバレッジを効かせた取引をする際のポイント
- 6.1通貨から取引できるOANDA証券の「ベーシックコース」
- 7.FX取引のレバレッジに関するQ&A
- 8.【まとめ】FX取引のレバレッジとは|仕組み・具体例・よくある質問をわかりすく解説
FX取引のレバレッジとは
ここではまず、FX取引におけるレバレッジについて、以下3つを解説します。
- ・意味・仕組み
- ・最大レバレッジ
- ・実効レバレッジ
意味・仕組み
FX取引のレバレッジとは、FX会社に預けた資金(証拠金)を担保とし、預けた資金以上の金額で取引できる仕組みのことです。
レバレッジ(leverage)は直訳すると「てこの作用」で、小さな力で大きなものを動かすことを意味します。
この意味から「小さな金額で大きな金額の取引をできる」仕組みのことをレバレッジと呼びます。
例えば、外貨預金では、10万円を資金とする場合は10万円分の投資しか行えません。
しかし、FX取引でレバレッジを活用すると、10万円の資金があれば以下のような金額の取引を行えます。
10万円の資金(証拠金)で取引できる金額の例
倍率 | 取引できる金額 |
---|---|
レバレッジ3倍 | 10万円×3倍=30万円 |
レバレッジ10倍 | 10万円×10倍=100万円 |
レバレッジ25倍 | 10万円×25倍=250万円 |
このようにレバレッジを使って取引することを、一般的に「レバレッジをかける」「レバレッジを効かせる」と表現します。
最大レバレッジ
最大レバレッジとは、金融庁の定めるレバレッジ倍率の上限のことです。
個人の場合は通貨ペアの種類を問わず「25倍」と定められています(取引金額に対して4%以上の証拠金を差し入れ、維持する必要がある。これを倍率に換算すると25倍以下となる)。
一方、法人の場合は通貨ペアごとに算出されるため、一概に何倍という数字はありません。
法人口座で取引したい場合は、FX会社ごとに調べる必要があります。
OANDA証券の法人口座のレバレッジは、こちらから確認できます。
実効レバレッジ
実効レバレッジとは、現在の保有ポジションが純資産額に対して何倍になっているかを示す数値です。
実効レバレッジは、トレーダーが自ら設定するものではなく、トレードする際の「取引数量」「有効証拠金額」「為替レート」によってリアルタイムで変動するものです。
FX取引のレバレッジの計算方法
FX取引のレバレッジの計算について、基本の公式は次の通りです。
- ・レバレッジ倍率=(為替レート×取引数量)÷証拠金
以下では、それぞれの項目が変化した場合に、レバレッジ倍率がどのように変化するかを計算例で説明していきます。
- ・取引数量によるレバレッジの変化
- ・証拠金量によるレバレッジの変化
- ・為替レートによるレバレッジの変化
取引数量によるレバレッジの変化
為替レートが100円、証拠金が100万円という部分は固定で、取引数量が1万通貨から「5,000通貨になった場合」「2万通貨になった場合」に、レバレッジがどのように変化するか解説します。
取引数量が少なくなるとレバレッジは低くなり、取引数量が増えるとレバレッジは高くなります。
証拠金量によるレバレッジの変化
為替レートが100円、取引数量が1万通貨という部分は固定で、証拠金が100万円から「50万円になった場合」「200万円になった場合」に、レバレッジがどのように変化するか解説します。
証拠金が少なくなるとレバレッジは高くなり、証拠金が増えるとレバレッジは低くなります。
為替レートによるレバレッジの変化
取引数量が1万通貨、証拠金が100万円という部分は固定で、為替レートが1ドル=100円から「75円になった場合」「150円になった場合」に、レバレッジがどのように変化するか解説します。
為替レートが値下がりするとレバレッジは低くなり、為替レートが値上がりするとレバレッジは高くなります。
FX取引でレバレッジを効かせるメリット
レバレッジをかけてFX取引を行う場合、以下の2つのメリットがあります。
- ・少額の資金で取引できる
- ・資金効率を高められる
少額の資金で取引できる
最大レバレッジの25倍で取引する場合、取引額の「4%(25分の1)」の資金(証拠金)があれば取引できます。
例えば、100万円分の取引をするためには、最低限25分の1の4万円があれば可能です。
1回の取引で最低限必要となる資金を「必要証拠金」と呼びます。
レバレッジ25倍時に、取引額毎の必要証拠金を一覧にすると以下の通りです。
取引額 | レバレッジ25倍時の必要証拠金 |
---|---|
100万円分 | 40,000円 |
50万円分 | 20,000円 |
10万円分 | 4,000円 |
ただし、手持ちの証拠金(有効証拠金)が、この必要証拠金を下回ると、取引が強制決済(ロスカット)される場合があります(ロスカットルールはFX会社によって異なります)。
そのため、安全にFX取引を行うためには、余裕を持った証拠金を預け入れる必要があります。
資金効率を高められる
レバレッジを使った取引の最大のメリットは、取引に成功すれば少ない元手で大きな利益を得られる(資金効率が良い)ことです。
下表は、どちらも証拠金は同じ10万円で、為替レートの変動と売買のタイミングも同じです(1ドル100円で買いポジションを保有し、101円で決済しています)。
レバレッジ倍率のみ「3倍・20倍」と約7倍の差があり、レバレッジ20倍の方は利益も約7倍になっています。
このように、同じ証拠金と売買タイミングでも、レバレッジ倍率が高い方が大きなポジションを建てることができるため、利益も大きくなります。
FX取引でレバレッジを効かせるデメリット
レバレッジを使った取引の主なデメリットは、以下の3つです。
- ・ロスカットが発動し強制決済される
- ・損失が大きくなる
- ・追加証拠金が発生する場合もある
ロスカットが発動し強制決済される
「ロスカット」とは、取引による含み損が拡大して証拠金が一定水準以下となったタイミングに、FX会社が全取引を強制的に決済する仕組みです。
実効レバレッジの把握や、資金管理を行っていないと、どのレートになったらロスカットになるかが分かりません。
本来、ロスカットの危険性がないように、口座の状況をチェックしながら運用することが望ましいです。
損失が大きくなる
同じ証拠金、売買タイミングでも、実効レバレッジが大きいほど損失が大きくなります。
下表は、先ほどの「利益が大きくなる」という説明の表を、損失が出る為替レートに置き換えたものです。
1ドル100円で買いポジションを保有した後、99円で決済した場合のシミュレーションです。
レバレッジ20倍での損失は2万円と、レバレッジ3倍の損失の約7倍となっています。
このようにレバレッジの倍率に応じて、利益だけでなく損失も大きくなります。
追加証拠金が発生する場合もある
口座資金の残高が必要証拠金を下回った場合、ロスカットが行われたり、追加証拠金(追証)を求められたりします(FX会社のルールによって異なります)。
例えば、最低4万円の必要証拠金で、100万円分の取引ができます。
ただし、4万円ギリギリで取引をしていた場合、わずかでも含み損が出た時点で、口座資金は4万円を下回ってしまいます。
仮に、4万円の必要証拠金を維持するように追加証拠金を求めるルールの場合、下回った1万円を口座に入金する必要があります。
レバレッジを効かせた取引をする際のポイント
FX取引でレバレッジを効かせた際のデメリットを抑えるポイントは、以下の通りです。
- ・実効レバレッジを抑える
- ・証拠金(口座資金)に余裕を持つ
- ・取引数量を増やしすぎない
- ・損切り(ストップロス)を行う
実効レバレッジを抑える
FX取引に慣れるまでの間は、レバレッジ倍率は低めに抑えることが推奨されます。
まずは低倍率でFX取引自体に慣れ、取引数量や証拠金によって、レバレッジをコントロールする方法にも慣れるようにします。
相場に慣れ、レバレッジのコントロールもできるようになった段階で、徐々にレバレッジ倍率を上げていくのが王道です。
証拠金(口座資金)に余裕を持つ
必要証拠金に対してギリギリの口座資金(証拠金)で取引を行うと、相場がわずかに不利な方向へ動いただけで、証拠金が不足してしまいます。
これにより、ロスカットを受ける、または追加証拠金の支払いが必要になる、などの可能性があります。
その対策として、証拠金には常に余裕を持たせることが重要です。
また、事前に証拠金のシミュレーションを行うことも有効です。
OANDA証券では、「証拠金シミュレーション」のツールを提供しています。
取引数量を増やしすぎない
証拠金を十分に用意していても、取引量を増やせばレバレッジ倍率は高くなります。
また、個々のポジションの取引量が少なくても、多数のポジションを建てれば、トータルの取引量が増え、実効レバレッジ倍率が高くなります。
このため、個々の取引量はもちろん、全体の取引量もチェックしながら、取引量を増やしすぎないようにすることが望ましいです。
損切り(ストップロス)を行う
高いレバレッジをかけると、含み損が拡大するリスクがあります。
この含み損が一定の段階に達したら、適切な損切り(ストップロス)を行うことが重要です。
損切りを自分の判断で行うのが難しい場合は、あらかじめ逆指値注文(ストップ注文)を設定しておくことも有効です。
逆指値注文を設定すれば、指定の価格まで相場が下落・上昇した場合に、自動的に損切りが実行されます。
また、以下の注文方法によっても、自動での損切り設定を行えます。
注文方法 | 自動の損切りの内容 |
---|---|
IFD注文 | 新規注文の予約と同時に、損切りの決済注文を予約 |
OCO注文 | 利益確定の決済注文の予約と同時に、損切りの決済注文を予約 |
IFO注文 | 新規注文の予約と同時に、利益確定・損切り両方の決済注文を予約 |
トレーリングストップ注文 | 値動きに合わせて逆指値注文を自動で変更 |
各注文方法については、「FXの注文方法」の記事で詳しく解説しています。
1通貨から取引できるOANDA証券の「ベーシックコース」
FX会社によっては、1回で10,000通貨以上(1ドル150円の場合、150万円以上の取引額)の取引が必要と定めているFX会社があります。
しかし、「FX取引でレバレッジを効かせるデメリット」で述べたように、ハイレバレッジの取引になると、その分損失が大きくなるリスクも高まります。
取引に慣れていないうちは、少額から取引できるFX会社を選ぶことが推奨されます。
FX初心者向けのコース
OANDA証券の「ベーシックコース」では、1通貨から取引が可能です。
そのため、初めてFX取引をする方でも、少額から始めて徐々に慣れることができます。
「ベーシックコース」は、OANDA証券の口座をお持ちであれば利用可能です。
口座をお持ちでない方は、以下のボタンより口座開設をご検討ください。
FX取引のレバレッジに関するQ&A
レバレッジに関する疑問として、次のような内容が多く見られました。
- ・レバレッジ25倍での取引は危険ですか?
- ・なぜ25倍が最大レバレッジなんですか?
- ・レバレッジが低くても追加証拠金が発生することはありますか?
- ・維持率とは何ですか?
- ・レバレッジとロットの違いは何ですか?
レバレッジ25倍での取引は危険ですか?
レバレッジ25倍での取引は、国内のFX会社を個人で利用する場合、最大のレバレッジに該当します。
最大のレバレッジで取引すると、わずかな相場変動でも証拠金が不足し、ロスカットが執行される可能性があります。
また、ロスカットまで至らなかった場合でも、大きな損失が生じるリスクがあります。
プロや上級者であればこのような取引も選択肢に含まれますが、FX初心者のうちはレバレッジ25倍での取引は推奨されません。
初心者の方が理解すべき知識やFX取引の勉強方法については、以下の記事でそれぞれ詳しく解説しています。
なぜ25倍が最大レバレッジなんですか?
国内のFX取引で最大レバレッジが25倍となった理由は、金融庁による規制にあります。
金融庁は2010年8月に証拠金規制を導入し、2011年8月以降のレバレッジを最大25倍と規定しました。
金融庁がこの規制を導入した目的は「顧客保護・業者のリスク管理・過当投機の抑制」の3点にあります。
顧客と業者の双方のリスクを抑えつつ、過剰な投機を抑えることで市場の健全化を図っています。
■参考資料
レバレッジが低くても追加証拠金が発生することはありますか?
レバレッジが低くても、相場の動きによっては追加証拠金が発生することはあり得ます。
低レバレッジで運用していたとしても、相場が大きく変動して含み損が大きくなり、有効証拠金が不足する可能性はあります。
高レバレッジのケースと比較すると可能性は低くなりますが、リスク自体は常に存在することを認識しておく必要があります。
維持率とは何ですか?
FX取引をする際に、ポジションを保有するために必要な資金のことを必要証拠金と言います。
この必要証拠金に対して、資産(有効証拠金)がどのくらいの割合なのかを示した数字が維持率(証拠金維持率)です。
維持率(証拠金維持率)の計算式は、以下の通りです。
- ・証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金×100
維持率(証拠金維持率)は%(パーセント)で表示され、一定水準(FX会社によって異なる)を下回ると強制ロスカットとなります。
OANDA証券のMT4では、以下の画像のように証拠金維持率が表示されます。
出典:MT4
レバレッジとロットの違いは何ですか?
レバレッジとロットの違いは「仕組みか、数量の単位か」という点です。
レバレッジは、最大で証拠金の25倍の金額の取引を行える「仕組み」のことです。
ロットは、1,000通貨や1万通貨などの「数量の単位」のことです。
ロットについては「FXのロット」の記事や「FXの1,000通貨」の記事で詳しく解説しています。
【まとめ】FX取引のレバレッジとは|仕組み・具体例・よくある質問をわかりすく解説
レバレッジには金融庁が定める最大レバレッジや、現在の取引状況(現在のレバレッジ)を表す実効レバレッジがあり、リスク管理のためには実効レバレッジを常に把握することが重要です。
リスクを抑え、レバレッジの利点を活かすためには、取引に慣れないうちは低レバレッジでの運用が推奨されます。
取引に慣れて相場の感覚を掴めるようになった段階で、徐々に倍率を上げていくことが、賢いレバレッジの用い方の1つと言えます。
相場の感覚を掴むためには、様々なテクニカル指標によるテクニカル分析を行うことも重要です。
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