一目均衡表(いちもくきんこうひょう)とは|見方・活用方法や設定方法をわかりやすく解説
一目均衡表とは、基準線、転換線、先行スパン、遅行スパンといった線で構成されるテクニカル指標です。
各線は相場の中心(相場水準)を表す性質を持ち、また押しや戻りとして機能する傾向があるのが特徴です。
本記事では、一目均衡表の概要や見方、使い方や設定方法を解説していきます。
目次
- 1.一目均衡表とは
- 2.一目均衡表の見方
- 3.一目均衡表の3大理論
- 4.一目均衡表の使い方
- 5.一目均衡表の設定方法
- 6.一目均衡表の注意点
- 7.一目均衡表に関するQ&A
- 8.【まとめ】一目均衡表(いちもくきんこうひょう)とは|見方・活用方法や設定方法をわかりやすく解説
一目均衡表とは
出典:TradingView
一目均衡表は、基準線、転換線、先行スパン1、先行スパン2、遅行スパンの5本の線で構成されます。
各線は相場の中心(相場水準)を表し、チャート上で「売り手と買い手の均衡」を一目で視覚的に読み取れるのが特徴で、「売り手と買い手のバランスが崩れたときに相場は大きく動く」と考えます。
また、多くのテクニカル指標は、価格の変化に重きを置いているのに対し、一目均衡表は「いつ相場が動くか」「いつ目標値が達成されるか」といった時間の概念を重視しています。
一目均衡表の見方
一目均衡表は、以下の5本の線と抵抗帯(雲)で構成されます。
遅行スパン以外は、計算対象期間の半値(相場の中心)の推移を表します。
①基準線
基準線は、過去26日間の最高値と最安値の半値を基準値として算出し、それをつなげた線です。
過去26日の半値(相場の中心)が、上がっているのか、下がっているのか、横ばい(変わらない)のかが読み取れます。
出典:TradingView
トレンド発生時には押し目や戻りとして機能しやすく、ローソク足と絡むときは相場に方向性がないと判断されます。
【求め方】- 基準線=(過去26日間の高値+安値)÷2
②転換線
転換線は、過去9日間の最高値と最安値の半値を転換値として算出し、それをつなげた線です。
過去9日の半値(相場の中心)の動きを表し、基準線よりもローソク足の推移に近い動きを見せます。
出典:TradingView
トレンド発生時には、基準線よりも押しや戻りとして機能する場面が多く見られます。
【求め方】- 転換線=(過去9日間の高値+安値)÷2
③先行スパン1
先行スパン1は、転換線と基準線の半値を26日先行させて、それをつなげた線です。
現在の転換線と基準線が表す「現在性」を、未来に描画するのが特徴です。
出典:TradingView
26日未来の相場水準、押し目や戻りを予測するのに用いられます。
【求め方】- 先行スパン1=(転換線+基準線)÷2を26日先行させる
④先行スパン2
先行スパン2は、過去52日間の最高値と最安値の半値を26日先行させて、それをつなげた線です。
過去26日の半値を表す基準線よりも大局を表すため、明確なトレンドがなければ横ばいで動くことが多いのが特徴です。
出典:TradingView
先行スパン1同様、26日未来の相場水準、押し目や戻りを予測するのに役立ちます。
【求め方】- 先行スパン2=(過去52日間の高値+安値)÷2を26日先行させる
⑤遅行スパン
遅行スパンは、当日の終値を26日後ろにずらして表示させた線です。
出典:TradingView
現在の価格と26日前の価格を比較することで、上げ相場なのか下げ相場なのかを読み取ることができます。
【求め方】- 当日の終値を26日前にずらす
⑥抵抗帯(雲)
抵抗帯とは、先行スパン1と先行スパン2に挟まれた領域のことで、その形状から「雲」とも呼ばれます。
出典:TradingView
先行スパン1と2で説明した通り、両者は未来の押しや戻りの目安となります。
この雲を上抜ける(下抜ける)場合には、相場に大きな方向性(トレンド)が生じていると考えることができます。
一目均衡表の3大理論
一目均衡表の根底にあるのは、時間論、波動論、水準論(値幅観測論)という3つの理論です。
- ・時間論
- ・波動論
- ・水準論(値幅観測論)
時間論
時間論とは、時間の観点から相場の転換点を分析する考え方です。
一目均衡表では「9」「17」「26」が基本数値として用いられ、その期間で相場が転換しやすいとされています。
これらは基準線(26)や転換線(9)の期間に使用されていることからも、重要な数値であることが分かります。
また、「33」「42」「52」「65」「76」などの複合数値もあります。
波動論
波動論とは、波動の形から相場の方向性を分析する考え方です。
基本となる波動には「I波動」「V波動」「N波動」の3つがあります。
I波動とV波動が繰り返し形成され、最終的にN波動になるとされています。
特に重要なのはN波動で、相場を分析する際はこのN波動を意識することが大切です。
水準論(値幅観測論)
一目均衡表の水準論は、相場の変動幅から上値や下値の目標値を分析する考え方で、別名「値幅観測論」とも呼ばれます。
水準論の代表的な計算方法は「N計算値」「E計算値」「V計算値」「NT計算値」の4つです。
これらの計算方法を用いることで、価格がどこまで上昇するのか、または下落するのかを予測できます。
N計算値:ABの値幅分、押し目Cから上昇する「目標値=C+(B-A)」相場の上昇幅や下落幅を分析できるため、ポジションを決済する際の目安として活用可能な理論です。
一目均衡表の使い方
一目均衡表を利用すれば、他のテクニカル指標とは異なる視点で相場を分析できます。
ここでは基本的な使い方を紹介します。
- ・①日足のみで使用するのが一般的
- ・②ローソク足と各線の位置関係
- ・③押しや戻りの目安
- ・④各線の交差はトレンドの停滞や転換を示唆
- ・⑤抵抗帯(雲)・遅行スパン
- ・⑥準備構成を確認
- ・⑦三役好転・三役逆転
①日足のみで使用するのが一般的
一目均衡表は、日足のみで用いるのが基本とされています。
考案者の一目山人(細田悟一氏)は日足で解説しており、先述の「9・17・26」などの基本数値も、日足を基に算出されています。
とはいえ、応用的に他の種類の足を用いることもあります。
例えば5分足や15分足などの分足や、週足・月足のような長い期間の足を用いることも可能です。
②ローソク足と各線の位置関係
ローソク足と各線の位置関係から、トレンドを判断できます。強い上昇トレンドのときは、ローソク足>転換線>基準線>先行スパン1(上限)>先行スパン2(下限)の順に並ぶのに対し、下降トレンドの場合はこの逆の並びになります。
一方、ローソク足および各線が絡み合っている場合は、相場に方向感が出ていないことを表します。
同時に、各線が絡み合っている水準は相場(もみ合い)の中心と解釈できます。
出典:TradingView
③押しや戻りの目安
トレンドが発生している場合、転換線、基準線、先行スパン1・2が、押し目や戻りとして機能しやすくなります。
出典:TradingView
例えば、上昇トレンド時に押し目として機能していた転換線をローソク足が下抜いた場合、次は基準線、先行スパン1、先行スパン2を押し目の目安として参考にすることができます。
同様に、下降トレンド時に戻りとして機能していた転換線をローソク足が上抜いた場合、次は基準線、先行スパン1、先行スパン2を戻りの目安として活用できます。
④各線の交差はトレンドの停滞や転換を示唆
トレンドが停滞または転換する際には、上記のトレンド時の位置関係が崩れて各線がクロスしていきます。つまり、各線のクロスは相場の停滞または転換を示唆するということです。
各線の位置関係を確認するだけでも、現在の相場がトレンドかどうかの見極めが可能です。
出典:TradingView
⑤抵抗帯(雲)・遅行スパン
ローソク足よりも上に雲がある場合は上値抵抗帯、ローソク足よりも下に雲がある場合は下値抵抗帯として機能する傾向があります。ローソク足が雲を抜けるということは、トレンドの転換(位置関係が入れ替わる)を意味します。
出典:TradingView
また、遅行スパンはローソク足より上に位置すれば上昇トレンド、下に位置すれば下降トレンドを示唆します。
出典:TradingView
⑥準備構成を確認
準備構成とは、長期間の下げ相場から上げ相場に移るときに形成される「底入れパターンの1つ」です。
下図のように、下げ相場がAで底打ちし、CがAを割り込まず(底値固め)、上昇していくパターンを指します。
この準備構成が出現した上で、さらに基本数値の26日を経過すると、一般的には準備構成の「完了」とされます。
⑦三役好転・三役逆転
一目均衡表には、「三役好転」および「三役逆転」という相場状態があります。
「転換線が基準線よりも上」「遅行スパンがローソク足よりも上」「ローソク足が雲よりも上」の3つの条件を満たす三役好転は強い買いサインです。
反対に「転換線が基準線よりも下」「遅行スパンがローソク足よりも下」「ローソク足が雲よりも下」の3つの条件が揃う三役逆転は強い売りサインとなります。
出典:TradingView
三役好転の条件 | 三役逆転の条件 |
---|---|
転換線>基準線 | 転換線<基準線 |
遅行スパン>ローソク足 | 遅行スパン<ローソク足 |
ローソク足>雲 | ローソク足<雲 |
一目均衡表の設定方法
ここでは、各取引ツールにおける一目均衡表の設定方法を解説します。
- ・MT4での設定方法
- ・MT5での設定方法
- ・TradingViewでの設定方法
MT4での設定方法
MT4(メタトレーダー4)で一目均衡表を表示する手順は、以下の通りです。- ・「挿入」を選択(上部メニューより)
- ・「インディケータ」を選択
- ・「トレンド」を選択
- ・「Ichimoku Kinko Hyo」を選択
出典:MT4
MT5での設定方法
MT5(メタトレーダー5)で一目均衡表を表示する手順は、以下の通りです。- ・「挿入」を選択(上部メニューより)
- ・「インディケータ」を選択
- ・「トレンド系」を選択
- ・「Ichimoku Kinko Hyo」を選択
出典:MT5
TradingViewでの設定方法
TradingView(トレーディングビュー)で一目均衡表を表示する手順は、以下の通りです。- ・「インジケーター」を選択(上部メニューより)
- ・「テクニカル」の一覧を見る
- ・「Ichimoku Cloud(一目均衡表)」を選択
検索ボックスに「一目均衡表」と入力して検索すると、素早く見つけることができます。
出典:TradingView
一目均衡表の注意点
一目均衡表を使う際の注意点は、以下の通りです。
- ・雲の中に価格がある時や雲がねじれている時は要注意
- ・一目均衡表が正しいとは限らない
雲の中に価格がある時や雲がねじれている時は要注意
一目均衡表の雲の中に価格があるときや、雲がねじれている場合は、相場に方向性がないことを意味します。
出典:TradingView
この相場環境は、トレンドを狙う戦略には向いていないと考えられます。
買いを狙う場合は、好転(転換線>基準線、遅行スパン>ローソク足、ローソク足>雲)を確認するのが基本的な考え方です(売りの場合は逆の位置関係)。
一目均衡表が正しいとは限らない
どんなテクニカル分析でも「ダマシ」が発生することがしばしばあります。
ダマシとは「テクニカル指標が発するシグナルと逆方向に相場が動く現象」のことです。
ダマシに対しては、以下のような対策を取ることができます。
- ・一目均衡表をさらに分析する
- ・他のテクニカル指標と組み合わせる
- ・ファンダメンタルズ分析と組み合わせる
上記の対策を行っても、ダマシを完全に無くすことはできません。
一目均衡表に限らず「どんなテクニカル指標やチャートパターンも絶対的に正しいものではない」ことを理解する必要があります。
一目均衡表に関するQ&A
一目均衡表に関する、よくある質問に回答します。
- ・一目均衡表の考案者は誰ですか?
- ・パラメーター設定はどうすれば良いですか?
- ・一目均衡表におすすめのテクニカル指標は何ですか?
- ・一目均衡表は意味がないのですか?
- ・一目均衡表は日足を使うべきですか?
一目均衡表の考案者は誰ですか?
考案者は、日本の株式評論家である細田悟一(ほそだごいち)氏です。
細田氏は1898年の戦前生まれで、都新聞(現在の東京新聞)の商況部部長を務められていました。
戦後に、ペンネームとして「一目山人(いちもくさんじん)」を用いるようになり、日証新聞などに不定期に記事を掲載しています。
そして、1969年(昭和44年)に『一目均衡表』第一巻を発刊し、一目均衡表を一般公開しました。
7年の歳月と約2000人を費やした成果として世に出されています。
パラメーター設定はどうすれば良いですか?
TradingViewなどのメジャーな取引ツールでは、パラメーターの初期設定(デフォルト)は、以下のようになっていることが多いです。項目 | TradingViewでの表記 | 数値 |
---|---|---|
転換線 | Conversion Line Length | 9 |
基準線 | Base Line Length | 26 |
先行スパン2 | Leading Span B Length | 52 |
遅行線 | 遅行線 | 26 |
上記の数値は、一目均衡表の基本数値である「9、17、26」に沿ったものであり、通常変更する必要はありません。
テクニカル指標は、多くの人が利用するからこそ機能するとされています。オリジナルの数値に変更するよりも、多くの人が利用するデフォルト設定の方が、押し目や戻りの目安や、売買サインの参考になりやすいと考えられます。
一目均衡表におすすめのテクニカル指標は何ですか?
「順張り・逆張り」を例に出すと、以下のテクニカル指標との組み合わせが有効と考えられます。
順張りでMACD・RSIと組み合わせるのは、一目均衡表で「三役好転」を見逃してしまったときです。
一目均衡表だけではエントリーポイントが分かりにくくなるため、エントリーポイントを判断できるMACD・RSIを用います。
一方、逆張りでRCI・ストキャスティクスと組み合わせるのは、一目均衡表ではサインが出ないときです。
そのようなケースでは「レンジ相場」の可能性があるため、レンジ相場に適したオシレーター系のテクニカル指標を組み合わせるのが有効と考えられます。
一目均衡表は意味がないのですか?
一目均衡表は、FX取引に限らず株式投資など、あらゆる分野で活用されている、代表的なテクニカル指標の1つです。
しかし、一目均衡表に限らずどのテクニカル指標でも、その指標を単独で用いる限りは、分析の精度に限界があります。
テクニカル指標は複数の種類を組み合わせて分析するのが基本であり、この基本は一目均衡表でも変わりません。
一目均衡表と組み合わせる代表的なテクニカル指標は、上述した通りMACD・RSI・RCI・ストキャスティクスなどです。
一目均衡表は日足を使うべきですか?
『一目均衡表』第一巻では、著者である細田悟一氏は日足で解説しています。
当時は、現代のようにリアルタイムの相場価格を知ることができるチャートソフトはなく、ラジオや新聞で日足終値を確認できるのみでした。
前述した基本数値(基準線や転換線に用いられる数値)である「9、17、26」も、日足を基に算出された数値です。
上記の理由から、一目均衡表では日足を用いるのが一般的です。
とはいえ、現代では日足以外に応用した解説も多く見られ、応用の余地があると考えられます。
【まとめ】一目均衡表(いちもくきんこうひょう)とは|見方・活用方法や設定方法をわかりやすく解説
一目均衡表は、売り手と買い手の均衡を一目で見抜くことができるテクニカル指標です。
転換線、基準線、先行スパン1、先行スパン2、遅行スパンの5本の線で構成され、先行スパンで挟まれた領域は「雲」と呼ばれます。
各線は、押しや戻りとして機能する特徴を持ちます。
上昇トレンド発生時は、ローソク足>転換線>基準線>先行スパン1>先行スパン2の順に並び、各線や雲は押し目や戻りの目安となります。
また、「三役好転」は強い買いサイン、「三役逆転」は強い売りサインです。
一目均衡表による分析の精度は、他のテクニカル指標を併用することによって高められます。
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