用語解説

FRBとは|今後の見通しやよくある質問などを詳しく解説


FRBは、Federal Reserve Board(連邦準備制度理事会)の略で、米国の中央銀行にあたるFederal Reserve System(連邦準備制度)内の機関です。

FRBの理事はFOMC(米連邦公開市場委員会)の構成員でもあり、FOMCで政策金利が決められます。

本記事では、FRBの役割や、FOMCで話し合われる金融政策、今後の政策金利の見通しなどを解説します。

FRBとは

ここでは、FRBの意味や組織体系を解説します。

  • ・意味
  • ・組織体系

意味

FRB(Federal Reserve Board)とは、米国の連邦準備制度理事会のことです。

米国の中央銀行であるFederal Reserve System(FRS:連邦準備制度)は、一般的にFedという名でも広く知られています。

そのFRSの中心的な機関が、FRBです。

以下の図は、FRSの組織図です。

FRBの組織図

FRSの中には、以下の2つのFRBがあります。

Federal Reserve Board 連邦準備制度理事会
Federal Reserve Banks 連邦準備銀行(地区連銀)

一般的にFRBと呼ぶ場合、「連邦準備制度理事会」のことを指します。

組織体系

FRBの組織体系は、下図の通りです。

議長1名、副議長2名、理事4名の合計7名で構成されます。

議長・副議長を含む理事は大統領が任命し、上院議会の承認を得て正式に就任します。

組織体系

また、12地区の連邦準備銀行を一覧にすると、以下の通りです。

地区 銀行名
第1地区 ボストン連邦準備銀行
第2地区 ニューヨーク連邦準備銀行
第3地区 フィラデルフィア連邦準備銀行
第4地区 クリーブランド連邦準備銀行
第5地区 リッチモンド連邦準備銀行
第6地区 アトランタ連邦準備銀行
第7地区 シカゴ連邦準備銀行
第8地区 セントルイス連邦準備銀行
第9地区 ミネアポリス連邦準備銀行
第10地区 カンザスシティ連邦準備銀行
第11地区 ダラス連邦準備銀行
第12地区 サンフランシスコ連邦準備銀行

FRBの役割

FRBの主な役割は「米国の金融政策の実施」と「国内金融システムの統制」です。

金融政策の実施については、連邦準備法に基づいて金融政策行動の指針を示し、国内外の経済・金融情勢を分析します。

国内金融システムの統制については、地区連銀を監督し、地区連銀とともに国内金融機関を監督します。

また、FRBの理事(議長、副議長を含む)はFOMC(連邦公開市場委員会)の構成員でもあり、FOMCで米国の金融政策を決定します。

ここでは、FRBのメンバーと任期について解説します。

  • ・FRBのメンバー
  • ・任期

FRBのメンバー

FRBは1名の議長、2名の副議長を含む、7名の理事から構成されます。

議長・副議長を含む理事は大統領が任命し、上院議会の承認を得て正式に就任します。

FRBの構成メンバーや役職、任期をまとめると、以下の通りです。

(情報は2024年8月13日時点のもの)

写真 役職・名前 任期

ジェローム・H・パウエル

FRB議長
ジェローム・H・パウエル
理事 2012年5月25日〜
理事(再任) 2014年6月16日~
2028年1月31日
議長(1期目) 2018年2月5日〜
議長(2期目) 2022年5月23日〜
2026年5月15日

マイケル・S・バー

FRB副議長
マイケル・S・バー
理事
2022年7月19日〜
2032年1月31日
副議長
 2022年7月19日〜
2026年7月13日

フィリップ・N・ジェファーソン

FRB副議長(金融機関監督担当)
フィリップ・N・ジェファーソン
理事
2022年5月23日〜
2036年1月31日
副議長
2023年9月13日〜
2027年9月7日

ミシェル・W・ボウマン

FRB理事
ミシェル・W・ボウマン
理事
2018年11月26日〜
理事(再任)
2020年1月30日~
2034年1月31日

リサ・D・クック

FRB理事
リサ・D・クック
理事
2022年5月23日~
理事(再任)
2023年9月8日~
2038年1月31日

アドリアナ・D・クーグラー

FRB理事
アドリアナ・D・クーグラー
理事
2023年9月13日
~2026年1月31日

クリストファー・J・ウォーラー

FRB理事
クリストファー・J・ウォーラー
理事
2020年12月18日~
2030年1月31日

画像引用元 : Federal Reserve History

任期

FRB理事の任期は14年(就任時期によっては14年未満の場合あり)です。

2年おきに1名の理事が任期満了となり、14年かけて全ての理事の任期が満了するように設定されています。

議長・副議長の任期は4年(再任もあり)で、議長・副議長の任期満了後に理事の任期が残っている場合、理事としての任期が満了するまではFRB理事として務めることになります。

FOMCで話し合っている金融政策

約6週間ごとの年8回、FRB理事も参加する連邦公開市場委員会(FOMC、Federal Open Market Committee)が開催され、政策金利等を決定します。

FOMCの責務は2つあり、金融政策の調整を通じて雇用の最大化と物価の安定を同時に目指します。

FOMCの構成員は、FRBの理事7名、ニューヨーク連銀総裁、そして地区連銀総裁から選ばれた4名の合計12名です。

ここでは以下2点の金融政策について解説します。

  • ・利上げ・利下げ
  • ・QE・QT

利上げ・利下げ

FOMCは、政策金利であるFF金利(フェデラル・ファンド金利)の誘導目標を決定します。

一般的にFF金利を引き上げると消費が抑制され、引き下げると消費が促されます。

また、FF金利を引き上げると貸出金利が上昇して、企業の借り入れコストが増加し、企業活動の抑制を通じて物価の上昇を抑えることができます。

反対に、FF金利を引き下げると貸出金利が低下して、企業の借り入れコストが減少し、企業活動の活性化を通じて経済の拡大が見込めます。

QE・QT

QEとはQuantitative Easingの略で量的緩和を意味し、QTとはQuantitative Tighteningの略で量的引き締めを意味します。

QT・QEは、マネタリーベース(市場に供給されるお金)の「量」を調節することで、金融市場の安定や経済の発展を目指します。

政策金利の見通し

2024年8月13日時点で、最新のFOMCは7月30〜31日に開催されました。

今回のFOMCでは、政策金利であるFF金利(フェデラル・ファンド金利)の誘導目標が、現在の「5.25~5.50%」で据え置かれています。

FOMCでFF金利の誘導目標が据え置かれるのは、これで8会合連続です。

今回の据え置きは、参加者12名の全会一致によって決定しました。

この据え置きは市場の予想通りのものでした。

一方で、会合後のパウエルFRB議長による会見は、9月に利下げを行う可能性を示唆する内容となっています。

9月利下げの可否に関するパウエル議長のコメントを要約すると、以下の通りです。

  • ・9月の利下げの可否は今後のデータ次第であり、今回の会合では何も決定を下していない
  • ・政策金利の引き下げが適切な時点が近づいている(今回はまだその時点ではない)
  • ・9月の会合で利下げが議題に上がる可能性がある(インフレ率が急速に低下し、労働市場で現在と同じ状況が続く場合)
  • ・今回の会合でも利下げすべきかの議論があった
  • ・インフレ率を引き下げることを考えるのであれば、これ以上労働市場を冷え込ませる必要はない

今回の金利目標は据え置きとなったものの、上記のコメントは、FOMCの金融政策の局面が変わりつつあることを示しています。

FOMCの今後の予定や為替相場に与える影響については、以下の記事で詳しくまとめています。

FOMC参加者による今後の見通しについては「FOMC参加者の政策金利、GDP、失業率、PCEインフレ率見通し」の記事でデータをまとめています。

FRBに関するQ&A

FRBに関してよくある以下の疑問について解説します。

  • ・FOMCとの違いは何ですか?
  • ・FRBとFEDの違いは何ですか?
  • ・FOMCで利上げが行われるとどうなりますか?

FOMCとの違いは何ですか?

FRBもFOMC(連邦公開市場委員会)も、FRS(連邦準備制度)内の機関です。

FRSは金融政策を実施するために3つの手段(割引率、支払い準備制度および公開市場操作)を有しており、2つの機関に担当させています。

FRBは割引率と支払い準備制度の運用に責任を持ち、FOMCは公開市場操作に責任を持ちます。

FOMCの役割については「FOMCでは何が決まる?」の記事で詳しく解説しています。

FRBとFEDの違いは何ですか?

Fed(Federal Reserve System)は米国の中央銀行であり、FRBはFedの中の機関です(FedはFRSと呼ぶ場合もあります)。

Fedは3つの機関(FRB、FOMC、地区連銀)で構成されており、金融市場の安定等を目指して活動しています。

双方の違いは「FED・FRBの仕組み」の記事で詳しく解説しています。

FOMCで利上げが行われるとどうなりますか?

FRB理事も参加するFOMCで利上げが行われると、「円安ドル高が進行する」可能性があります。

円安ドル高が進行しやすい理由は、米ドルの需要が高まるためです。

FOMCが利上げを行うと、米国の債券・ドル預金の金利が上昇する傾向にあります。

これにより、米ドルでの利子収入を得やすくなるため、米ドルの需要が高まります。

米ドルの需要が高まると、相対的に日本円の需要が下がり、円安が進行する可能性があります。

【まとめ】FRBとは|今後の見通しやよくある質問などを詳しく解説

FRBとは「Federal Reserve Board」の略で、米国の連邦準備制度理事会です。

米国の中央銀行にあたる連邦準備制度(FRS)内の機関であり、金融政策行動の指針を示し、国内外の経済・金融情勢を分析します。

FRBは、議長1名、副議長2名を含む7名の理事で構成されており、議長と副議長の任期は4年、理事の任期は14年です。

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