円高・円安とは|メリット・デメリットや覚え方などをわかりやすく解説
円高とは、円の価値が外貨に比べて高くなること、または高くなった状態を指します。
逆に円安とは、円の価値が外貨に比べて低くなること、または低くなった状態を指します。
本記事では、円高・円安の意味や、メリット・デメリット、よくある疑問について詳しく解説していきます。
目次
- 1.円高・円安とは
- 2.円高・円安の覚え方
- 3.円高のメリット・デメリット
- 4.円安のメリット・デメリット
- 5.円高・円安と為替取引
- 6.円高・円安に関するQ&A
- 7.【まとめ】円高・円安とは|メリット・デメリットや覚え方などをわかりやすく解説
円高・円安とは
円高とは「日本円の価値が外貨に比べて高い」状態、円安とは「日本円の価値が外貨に比べて低い」状態を指します。
ここでは円高・円安に関して、以下2点について解説していきます。
- ・円高とは
- ・円安とは
円高とは
日本円の価値が外貨と比べて相対的に高くなることや、高くなった状態を「円高」と呼びます。
例えば、「1ドル=100円」だった為替レートが「1ドル=80円」に変動すると、円高です。
以前は1ドルを両替するのに100円必要だったのに、今では80円で済むようになったということで、差額の20円分だけドルの価値が下落(円の価値が上昇)しています。
日本から米国へ海外旅行する際に、1万円を米ドルに両替したとします。
1ドル=100円の時に両替すると、100ドル(1万円÷100円=100ドル)手に入ります。
これに対して、1ドル=80円の時に両替すると、125ドル(1万円÷80円=125ドル)手に入ります。
このように、円高は円の価値が高くなるので、同じ金額でもより多くの米ドルに両替できます。
円安とは
日本円の価値が外貨と比べて相対的に低くなることや、低くなった状態を「円安」と呼びます。
例えば、「1ドル=100円」だった為替レートが「1ドル=125円」に変動すると、円安です。
以前は1ドルを両替するのに100円でよかったのに、今では125円が必要になったということで、差額の25円分だけドルの価値が上昇(円の価値が下落)しています。
日本から米国へ海外旅行する際に、1万円を米ドルに両替したとします。
1ドル=100円の時に両替すると、手に入るのは100ドル(1万円÷100円=100ドル)です。
これに対して、1ドル=125円の時に両替すると、80ドル(1万円÷125円=80ドル)しか手に入りません。
このように、円安は円の価値が低くなるので、同じ金額でも両替で得られる米ドルが少なくなってしまいます。
円高・円安の覚え方
米ドルと日本円の為替レートを表す米ドル/円は、「1ドルと何円を両替できるか」を表します。
例えば、1ドル=150円を基準として考えます。
為替レートの数字が大きくなり1ドル=160円となった場合、(ドルの価値が上がり)円の価値が下がったこと、つまり円安を意味します。
逆に、為替レートの数字が小さくなり1ドル=140円となった場合、(ドルの価値が下がり)円の価値が上がったこと、つまり円高を意味します。
米ドル/円やクロス円の場合、円安は上昇チャート、円高は下降チャートとなります。
「クロス円」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
円高のメリット・デメリット
円高のメリットとデメリットについて解説します。
円高のメリット
個人にとっての主なメリットは「海外製品を安く購入しやすくなる」「海外旅行や海外留学に安く行きやすくなる」ことなどが挙げられます。
円高によって海外製品が安くなったり、同じ金額の円でより多くの外貨と交換できるので、海外旅行や海外留学に行きやすくなります。
一方、企業にとっての主なメリットは「輸入コストが下がる」ことです。
輸入産業の企業に限らず、輸入品を原料とする商品を提供する企業も、業績の向上を期待できます。
円高のデメリット
個人にとっての主なデメリットは、米ドルやユーロなどの海外資産の価値が減少する(日本円に換算すると資産価値が下がる)点です。
一方、企業にとっての主なデメリットは、「輸出企業、インバウンド関連企業の業績が下がりやすい」ことです。
海外で日本の輸出品が買われにくくなり、国際競争力が落ちることがあります。
円安のメリット・デメリット
円安のメリットとデメリットについて説明します。
円安のメリット
個人にとっての主なメリットは「円安前に外貨建てで資産を保有していた投資家が利益を上げられる」「輸出企業・インバウンド関連企業に勤務する人は会社の業績が上がる」という点です。
企業にとっての主なメリットも「輸出企業・インバウンド関連企業の業績が上がりやすい」ことで、個人と共通します。
円安によって輸出がどの程度増えるかには諸説があるものの、一般論としては「円安は輸出にプラス」と考えられています。
円安のデメリット
個人にとっての主なデメリットは「輸入品の購入価格が上がりやすい」「海外旅行・海外留学に行きにくくなる」ことです。
製品自体が輸入品でなくとも、原材料に輸入品が使われている場合は、それらの商品の価格も上がることがあります。
企業にとっての主なデメリットは「輸入コストが上がること」で、輸入企業以外でも原材料やエネルギーの価格上昇が負担となることがあります。
円高・円安と為替取引
外国為替市場では、円高・円安への値動きを利用して、為替差益を得ることができます。
ここでは、FX取引における円高・円安のポイントについて解説します。
- ・円高・円安を利用した為替取引
- ・円高に変動する要因
- ・円安に変動する要因
円高・円安を利用した為替取引
為替差益とは、為替相場が円高や円安に変動した時に生じる利益のことです。
例えば、1ドル=155円で米ドルを購入し、後に為替相場が円安に動いて1ドル=156円になった時に売却(決済)すれば、1円の利益が発生します。
逆に、為替相場の変動によって生じる損失のことを為替差損と呼びます。
1ドル=155円で米ドルを購入し、後に円高に動いて1ドル=154円になった時に売却すれば、1円の損失です。
円高に変動する要因
為替は経済、政治、国際関係など、さまざまな要因によって変動します。
その中でも円高に変動しやすい要因として「政策金利の上昇」「貿易黒字」「リスクオフ」等が挙げられます。
一般的に、ある国の政策金利が上昇した場合は、高い利回りを求めて同国の通貨が買われやすくなります。
日本の利上げは、円買いの動きを呼ぶものと考えられます。
また、貿易黒字とは、輸出額が輸入額を上回る状況を指します。
輸出額が多い場合は、輸出企業が多くの外貨を獲得し、その利益を日本に持ち帰るため、外貨を円に交換することで、円高になりやすいと言われています。
さらに、日本円は世界から安全通貨という位置付けがなされています。
経済や政治に不安が広がりリスクオフが進んだ時に避難通貨として買われ、円高が進みやすい傾向があります。
円安に変動する要因
円安に変動しやすい要因として「政策金利の低下」「貿易赤字」「リスクオン」等が挙げられます。
一般的に、ある国の政策金利が低下した場合、同国の通貨は売られやすくなります。
また、貿易赤字とは、輸入額が輸出額を上回る状況を指します。
輸入額が多い場合は、輸入企業が海外に対する支払い用に円を売って外貨を準備するため、円安が進みやすい傾向があります。
なお、日本円はリスクオフが進んだ時に避難通貨として買われることがある一方、リスクオフが後退しリスクオンとなった場合は買われた円が売り戻され、円安が進みやすい傾向にあります。
円高・円安に関するQ&A
円高・円安に関してよくある疑問について詳しく解説していきます。
- ・円高と円安はどちらが良いですか?
- ・今は円高と円安どちらですか?
- ・円高・円安の最高値と最安値は?
- ・為替リスクとは何ですか?
円高と円安はどちらが良いですか?
円高と円安は、それぞれメリット・デメリットがあり、立場によって円高が良いのか、円安が良いのか変わります。
円高 | 円安 | |
---|---|---|
輸出企業・海外からの旅行 | × | 〇 |
輸入企業・海外への旅行 | 〇 | × |
円高の場合、輸入企業や海外旅行をする人にとっては嬉しいことですが、輸出企業や海外からの旅行者にとっては厳しい状況となります。
これに対して、円安の場合は逆の関係になります。
今は円高と円安どちらですか?
今が円高か円安かについては、どのタイミングと比較するかによって異なります。
1985年9月、米ドル高を是正することを目的としたプラザ合意が発表されると、円高ドル安が進みました。
プラザ合意前に1ドル約240円であったのが、1986年4月には1ドル約180円になりました。
この時点と比べると、2025年2月現在の1ドル150円付近は円高水準と言えます。
一方、最も円高が進んだ2011年10月には、1ドル75円台を記録しています。
この時点と比べると、2025年2月現在の1ドル150円付近は円安水準と言えます。
出典:TradingView
円高・円安の最高値と最安値は?
最も円安が進んでいたのは、戦後の固定相場制の時期で、1ドル360円で固定されていました。
その後、1973年に変動相場制に移行し、1985年のプラザ合意を経て円高が進行。
2011年10月31日に1ドル75円台を記録し、最も円高が進んだ日となりました。
為替リスクとは何ですか?
為替リスクは、以下の3種類に大別されます。
為替取引リスク | 取引時の通貨の為替レートが変動することで損失が発生するリスク |
為替換算リスク | 外貨建ての資産や負債の金額が為替レート変動によって変化し、会計上の損失が生じるリスク |
為替経済性リスク | 為替レートの変動が企業の収益や競争力に影響を与え、企業の構造に変化をもたらすリスク |
【まとめ】円高・円安とは|メリット・デメリットや覚え方などをわかりやすく解説
円高とは日本円の価値が外貨に比べて高くなることや高くなった状態、円安とは日本円の価値が外貨に比べて低くなることや低くなった状態を指します。
円高は、輸入企業や海外旅行へ行く人にとってメリットに、輸出企業や海外からの旅行者にとってデメリットになります。
一方、円安の場合は、その関係が逆になります。
円高・円安は、各国の経済・政治・国際関係などの諸要因によって変動するため、それらを総合的に考慮したファンダメンタルズ分析を行うことが必要です。
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