ドルペッグ制とは|採用している国や地域やメリット・デメリットをわかりやすく解説
ドルペッグ制とは、自国通貨の価値を米ドルと連動させる制度のことです。
自国経済の安定化や発展を目的としています。
本記事では、ドルペッグ制の意味や、メリットなどについてわかりやすく解説します。
目次
- 1.ドルペッグ制とは
- 2.為替相場制度の例
- 3.ドルペッグ制のメリット・デメリット
- 4.ドルペッグ制に関するよくある質問
- 5.【まとめ】ドルペッグ制とは|採用している国や地域やメリット・デメリットをわかりやすく解説
ドルペッグ制とは
まず、ドルペッグ制の意味や採用している国や地域について解説します。
- ・意味
- ・採用している国や地域
意味
ドルペッグ制とは、外国為替の分野で使われる用語で、自国通貨の価値を米ドルに連動させることです。
対米ドルの為替レートはおおむね固定化される一方、その他の通貨とは固定されません。
ペッグ制にはいくつかの種類があり、各国は自国の実情に応じて使い分けています。
採用している国や地域
ドルペッグ制を採用している国は新興国が多いです。
一方、OECD加盟国などは、一部を除いて変動相場制を採用する傾向にあります。
2022年に発行されたIMFの報告書によると、採用している国や地域の数は37で、全体の20%弱を占めます。
ドルペッグ制を採用する主な国と地域 |
---|
・香港 ・UAE ・カタール ・グレナダ ・サウジアラビア ・ドミニカ国 ・バーレーン |
為替相場制度の例
為替相場は、大きく2つに区別でき、さらに細かく分類可能です。
- ・固定相場制
- ・変動相場制
固定相場制
固定相場制とは、為替レートの変動を一定の範囲内で抑える制度のことです。
「ペッグ制」と呼ばれることもあります。
以下はドルペッグ制を含めた、主な固定相場制の一覧です。
固定相場制 | 解説 |
---|---|
ドル化 | 自国内で米ドルが流通し、自国通貨を持ちません。 または、自国通貨と米ドルが対等に扱われます。 |
カレンシーボード制 | 自国通貨と特定の外貨の為替レートを固定化します。 これを実現するために、自国が保有する外貨の量を上限として、国内通貨を発行します。 |
従来のペッグ制 | 自国通貨と外貨の交換レートを固定化し、わずかな価格変動を容認します。 |
通貨バスケット制 | 複数の外国通貨のまとまり(通貨バスケット)に対して、自国通貨との交換レートを固定化します。 |
クローリング・ペッグ制 | 自国通貨と特定の外貨の交換レートを固定化しつつ、交換レートを随時見直します。 |
「固定相場制」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
変動相場制
変動相場制とは、為替レートを市場に任せて自由に変動させる制度のことです。
「フロート制」と呼ばれることもあります。
以下は、主な変動相場制の一覧です。
変動相場制 | 解説 |
---|---|
管理変動相場制 | 通貨当局が積極的に外国為替制度に介入し、為替レートを誘導します。 |
自由変動相場制 | 為替レートは市場が決定します。 通貨当局による介入は限定的で、特定の為替レート実現でなく安定化のために介入します。 |
「変動相場制」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ドルペッグ制のメリット・デメリット
ドルペッグ制のメリット・デメリットについて解説します。
メリット
ドルペッグ制の主なメリットは以下の通りです。
- ・為替レートの安定と経済の発展
- ・インフレの沈静化
ドルペッグ制を採用すると、自国通貨と米ドルの交換レートがおおむね固定化され、為替レート変動を心配する必要がなくなります。
為替差損益を考慮しない貿易が可能で、経済発展に寄与します。
また、インフレ率が高い国がドルペッグ制を採用すると、インフレ率が沈静化すると期待できます。
デメリット
ドルペッグ制のデメリットは、以下の通りです。
- ・自国の判断で自由に金融政策を実行できない
ドルペッグ制を採用すると、自国通貨と米ドルの交換レートを固定しなければならず、自由な金融政策を実行できなくなります。
自国と米国の景気循環が同一の場合、この問題は大きくありません。
自国も米国も不景気ならば、米国の金融政策が自国にも好影響をもたらすと期待できます。
しかし、自国と米国の景気循環が逆になる場合には、問題が生じます。
自国が不景気になるとき、本来ならば経済を刺激する金融政策を実施すべきですが、自由に実行できません。
景気回復には、通常よりも長い時間が必要な可能性があります。
ドルペッグ制に関するよくある質問
ドルペッグ制に関するよくある質問に回答していきます。
- ・ドルペッグ制を廃止した国はありますか?
- ・ドルペッグ制は米ドル以外に適応されることはありますか?
ドルペッグ制を廃止した国はありますか?
ドルペッグ制を廃止した国はいくつか存在します。
例えば、クウェートの自国通貨ディナールは、2007年5月にドルペッグ制を廃止し、通貨バスケット制に変更しました。
その他に、ナイジェリアのナイラ、中国の中華人民元、マレーシアのリンギットなどもドルペッグ制を廃止しています。
ドルペッグ制は米ドル以外に適応されることはありますか?
米ドル以外の通貨にペッグさせる例も珍しくありません。
IMFの報告書によると、ユーロとペッグさせている国の数は26です。
ユーロ以外にも、複数国の通貨やシンガポールドルとペッグしている国や地域が存在します。
ペッグ制を採用する主な国や地域 | ペッグ対処位通過 |
---|---|
デンマーク | ユーロ |
シンガポール | 通貨バスケット(複数の国の通貨) |
ブルネイ | シンガポールドル |
IMF加盟国全体のうち、ペッグ制を採用している国の割合はおよそ60%です。
【まとめ】ドルペッグ制とは|採用している国や地域やメリット・デメリットをわかりやすく解説
ドルペッグ制とは、外国為替の分野で使われる用語で、自国通貨と米ドルの交換レートを固定化する制度です。
インフレを沈静化させ、経済を発展させる効果を期待できる一方、自国の自由な金融政策を阻害するデメリットがあります。
ペッグ制は複数の分類が可能で、各国は自国の実情に沿う制度を採用しています。
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