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クロス円とは|定義や特徴・通貨ペア例を解説


クロス円とは、基軸通貨である米ドル以外の通貨と、日本円を組み合わせた通貨ペアのことです。

本記事では、クロス円とは何か、クロス円の主な通貨ペアの例や特徴、よくある疑問について解説していきます。

クロス円とは

クロス円とは、米ドル以外の通貨と日本円を組み合わせた通貨ペアのことです。

ここでは、クロス円に関する以下のテーマについて解説します。

  • ・クロス円の定義
  • ・クロス円の特徴
  • ・ドルストレートとは

クロス円の定義

クロス円とは、外国為替市場で米ドル以外の通貨と、日本円を組み合わせた通貨ペアのことです。

外国為替市場では、基軸通貨である米ドルを介した形で取引されます。

例えば、FXで英ポンド/円を取引する場合、外国為替市場では下図の左側のように、英ポンド/米ドルと米ドル/円の2つの取引を行います。

クロス円の仕組み

英ポンドと円を直接売買するのではなく、基軸通貨(米ドル)を介した形(クロス)で取引するのが特徴です。

このことから、米ドル以外の通貨と日本円の通貨ペアは、クロス円と呼ばれます。

また、米ドルが含まれない通貨ペアのことを「クロス通貨」といいます。

クロス円の特徴

クロス円の特徴として、日本人にとって馴染みやすい「〇〇〇.〇〇円」という形式の価格表示であるという点が挙げられます。

円が含まれない通貨ペアでは、「〇.〇〇ドル」や「〇.〇〇ポンド」と表示価格が異なります。

クロス円の通貨ペアは、世界の取引量シェアランキングのトップ10に入っていません。

国際決済銀行(BIS)が公開した2022年のデータによれば、クロス円の順位は以下の通り「ユーロ円」の14位が最高です。

(米ドル/円は世界第2位の取引量ですが、ドルストレートのため除外しています)

順位 通貨ペア シェア
1位 EUR/USD 23%
2位 USD/JPY 14%
3位 GBP/USD 10%
4位 USD/CNY 7%
5位 USD/CAD 6%
6位 USD/AUD 5%
USD/その他 5%
7位 USD/CHF 4%
8位 USD/HKD 2%
9位 USD/SGD 2%
10位 EUR/GBP 2%
11位 USD/KRW 2%
12位 USD/INR 2%
13位 USD/MXN 1%
14位 EUR/JPY 1%

通貨ペア別取引金額のシェア
出典:BIS(世界の為替取引量調査)

通貨ペアのシェアを世界で比較すると、クロス円の取引量はそれほど多くはありません。

通貨ペアのシェアについては、こちらの記事「国内と海外の通貨ペア別のシェアについて」で、詳しく解説しています。

ドルストレートとは

米ドルとの組み合わせの通貨ペアのことを、ドルストレートと呼びます。

外国為替市場では、ドルストレートの取引が基本(クロス通貨の場合は2つのドルストレート取引の組み合わせになるため)なので、必然的にドルストレートの取引量が多くなります。

ドルストレート

クロス円の主な通貨ペア

ここでは、クロス円の主な通貨ペアに関して解説します。

  • ・クロス円の通貨ペア例
  • ・人気のあるクロス円通貨ペア

クロス円の通貨ペア例

通貨はメジャー通貨マイナー通貨に分類できます。

それぞれの例は、以下の通りです。

メジャー通貨とマイナー通貨

メジャー通貨 マイナー通貨
米ドル:USD(基軸通貨) メキシコペソ:MXN
ユーロ:EUR トルコリラ:TRY
日本円:JPY 南アフリカランド:ZAR
英ポンド:GBP 中国人民元:CNY
豪ドル:AUD 韓国ウォン:KRW
NZドル:NZD ブラジルレアル:BRL
カナダドル:CAD スウェーデンクローナ:SEK
スイスフラン:CHF ノルウェークローネ:NOK

メジャー通貨と組み合わせたクロス円の例

  • ・EUR/JPY(ユーロ/円)
  • ・GBP/JPY(英ポンド/円)
  • ・AUD/JPY(豪ドル/円)
  • ・CAD/JPY(カナダドル/円)
  • ・CHF/JPY(スイスフラン/円)
マイナー通貨と組み合わせたクロス円の例
  • ・MXN/JPY(メキシコペソ/円)
  • ・TRY/JPY(トルコリラ/円)
  • ・ZAR/JPY(南アフリカランド/円)
なお、FX会社によって取引できる通貨は異なります。

人気のあるクロス円通貨ペア

人気のあるクロス円通貨ペアはEUR/JPY(ユーロ/円)で、先述で紹介したBISによる世界の取引量シェアランキング(2022年)で、14位に入っています。

14位より上の通貨ペアは、EUR/GBP(ユーロ/英ポンド)のクロス通貨を除いて、全てドルストレートです。

そのためユーロ/円は、クロス通貨のペアの中では世界で2番目に人気があり、クロス円ペアの中では最も人気があることがわかります。

2024年に発表された金融先物取引業協会によるデータでは、日本のFX取引における通貨ペア別シェアは、以下図の通りです。

通貨ペア別シェア

順位 通貨ペア シェア
1位 USD/JPY 84.6%
2位 EUR/JPY 4.7%
3位 AUD/JPY 4.0%
4位 GBP/JPY 3.9%
5位 MXN/JPY 0.9%
6位 EUD/USD 0.6%
7位 NZD/JPY 0.5%
8位 その他 0.7%

出典:金融先物取引業協会

EUR/JPY以外では、AUD/JPY(豪ドル/円)とGBP/JPY(英ポンド/円)が上位です。

クロス円に関するQ&A

クロス円に関するよくある疑問について解説します。

  • ・クロス円に影響を与える要因は?
  • ・クロス円を取引する際の注意点は?
  • ・クロス円における円安・円高とは?

クロス円に影響を与える要因は?

クロス円に影響を与える1つの要因は、日本銀行金融政策です。

一般的に、日銀が緩和政策を実施すると円安が進み、引き締め政策を実施すると円高が進むと考えられています。

日銀の金融政策以外にも、日本政府による政策や、日本の経済指標の結果なども、クロス円に影響を与える場合があります。

クロス円を取引する際の注意点は?

クロス円は、世界的に見ると取引量が少ない通貨ペアです。

取引量が少ないということで、相場が急激な値動きを見せる場合があります。

値動きが激しい相場では、大きな利益が期待できる反面、損失のリスクも同時に大きくなるため、損切りロスカット)を的確に設定するなどの対策が必要です。

クロス円における円安・円高とは?

クロス円の通貨ペアをチャートで見た場合、円安は上昇、円高は下落となります。

円安と円高のグラフ

例えばユーロ/円の場合、ユーロが買われて円が売られている場合が円安で、チャートは上昇します。

対して、ユーロが売られて円が買われている場合が円高で、チャートは下落します。

【まとめ】クロス円とは|定義や特徴・通貨ペア例を解説

クロス円とは、基軸通貨である米ドル以外の通貨と、円の組み合わせの通貨ペアのことです。

日本人には馴染みのある通貨ペアですが、世界的に見ると取引量のシェアは少なく、取引量が少ないことから急激な値動きになることがあるので注意が必要です。

人気のクロス円はEUR/JPY(ユーロ/円)、GBP/JPY(英ポンド/円)、AUD/JPY(豪ドル/円)などが挙げられます。

米ドル/円は世界取引量第2位のシェアで、円を含む通貨ペアの取引量の約90%を占めますが、基軸通貨である米ドルとの組み合わせのため、ドルストレートに分類されます。

クロス円の相場は、特に日本銀行による金融政策に大きく影響されます。

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