キャリートレードとは|初心者向けに仕組みをわかりやすく解説
FXにおけるキャリートレードとは、低金利の通貨で資金を調達し、高金利の通貨で運用して金利を稼ぐ手法のことを指します。
本記事では、キャリートレードの仕組みや例、メリット・デメリットなどを解説します。
目次
- 1.キャリートレードとは
- 2.キャリートレードの例
- 3.キャリートレードのメリット・デメリット
- 4.キャリートレードに関するQ&A
- 5.【まとめ】キャリートレードとは|初心者向けに仕組みをわかりやすく解説
キャリートレードとは
まず、キャリートレードの仕組みや、ポジティブキャリーとネガティブキャリーについて解説します。
- ・仕組み
- ・ポジティブキャリー
- ・ネガティブキャリー
仕組み
FXにおけるキャリートレードは、低金利の通貨で資金を調達し、高金利の通貨で運用して金利を稼ぐ手法のことを指します。
金利の低い通貨を売り、金利の高い通貨を買うことで、その金利差によって利益を得るという仕組みです。
金利の安い円を売り、高金利通貨を買う取引のことを「円キャリートレード」と呼びます。
景気の拡大局面では、市場のリスク許容度が上昇するため、キャリートレードが活発化する傾向があります。
逆に、景気の減速局面では、市場のリスク許容度が低下するため、キャリートレードが解消されやすくなる傾向にあります。
ポジティブキャリー
ポジティブキャリーは金利の低い通貨を売り、金利の高い通貨を買う取引方法を指します。
例えば、メキシコペソ/円の取引において、低金利の日本円を売って高金利のメキシコペソを買った場合、政策金利はそれぞれメキシコが10.75%、日本が0.25%です(※金利は2024年9月時点)。
翌日以降までポジションを保有した場合には、金利差として10.50%のスワップポイントが受け取れます(実際の受取額は、短期金融市場の状況等を反映した額となります)。
ネガティブキャリー
ネガティブキャリーは、金利の高い通貨を売って、金利の低い通貨を買うトレードのことです。
例えば、メキシコペソ/円の取引において、高金利のメキシコペソを売って低金利の日本円を買うとします。
翌日以降までポジションを保有すると、トレーダーは10.50%のスワップを支払わなくてはなりません(実際の支払い額は、短期金融市場の状況等を反映した額となります)。
キャリートレードの例
キャリートレードの成功例と失敗例を紹介します。
まず、キャリートレードの成功例として、2009年以降の米ドル/円の取引が挙げられます。
米国は日本より金利が継続的に高いため、米ドル/円を買って保有すればスワップポイントはおおむねプラスになります。
下のチャートは2009年以降を示しており、円高が進んだ場面もありますが、2024年9月現在まで円安が進んでいます。
スワップポイント益に加えて為替差益も得られる相場で、キャリートレードをしていれば成功した可能性があります。
出典:TradingView
一方、キャリートレードの失敗例として、2017年以降のトルコリラ/円の取引が挙げられます。
トルコリラは高金利通貨であるため、円を売りトルコリラを買うことで高いスワップポイントを得られます。
しかし、トルコリラ/円は2017年半ばに32円台を記録後、2024年5月時点では5円を下回る水準へ通貨価値が低下しました。
そのため、2017年頃にキャリートレードを始めた場合は、為替差損がスワップポイント益を大きく上回っている可能性があります。
出典:TradingView
キャリートレードのメリット・デメリット
ここではキャリートレードのメリットとデメリットについて解説します。
- ・メリット
- ・デメリット
メリット
キャリートレードのメリットは、高金利通貨を保有し続けることで金利差分の収益を毎日得られることです(例外となる通貨ペアもあります)。
デイトレードやスキャルピングなどの手法のように、頻繁に取引を行って利益を狙うスタイルとは異なります。FXでキャリートレードによって得られる金利差収入は「スワップポイント」と呼ばれます。
デメリット
キャリートレードのデメリットは、高金利通貨の価値が下落し、損失が発生するリスクがあることです。
高金利通貨は流動性が低く、値動きが荒い特徴があります。
金利差による収益が発生していても、通貨価値が下落して為替差損が生じると、トータルでの損益はマイナスとなる可能性があります。
キャリートレードに関するQ&A
キャリートレードに関してよく見られる質問は、以下の通りです。
- ・円のキャリートレードとは何ですか?
- ・キャリートレードの巻き戻しとは何ですか?
- ・円以外でもキャリートレードはできますか?
円のキャリートレードとは何ですか?
円のキャリートレードとは、日本円で調達した資金を、米ドルやNZドルなどの高金利通貨に替えて運用する取引のことです。
低金利の日本円で資金を調達し、高金利通貨で多くの金利収入を得ることで、その金利差を収益とします。
国内の個人投資家の場合、手元の日本円で外貨建ての投資信託や金融商品を購入するケースがあります。
一方、外国人投資家の場合は、日本円で資金を調達し、自国や他国の高金利通貨で運用するケースがあります。
FXにおいては、円を売って高金利通貨を買うというトレードを指します。
キャリートレードの巻き戻しとは何ですか?
キャリートレードの巻き戻しとは、キャリートレードを行っていた投資家が取引を解消し、高金利通貨を売って低金利通貨を買い戻すことを指します。
この結果、高金利通貨の価格は下落し、低金利通貨の価格は上昇しやすくなります。
円キャリートレードの場合、円を高金利通貨に替えて運用していますが、その取引を解消するために高金利通貨を円に戻します。
円が多く買われることになり、円の価値が上昇し、逆に高金利通貨は売られるため、価格は下落します。
円以外でもキャリートレードはできますか?
円以外でもキャリートレードは可能です。
低金利の通貨を売って高金利の通貨で運用することで利益を狙えます。
円以外の代表的な低金利通貨は、スイスフランが挙げられます。
また高金利通貨については、先進国ではオーストラリアドルやニュージーランドドル、新興国ではトルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソが代表的です。
【まとめ】キャリートレードとは|初心者向けに仕組みをわかりやすく解説
FXにおけるキャリートレードとは、異なる国の通貨の金利差を利用して利益を得る取引方法を指します。
金利の低い通貨を売り、金利の高い通貨を買うことで、その金利差によって利益を得るという仕組みです。
高金利通貨を保有することでスワップポイント益を得られるメリットがありますが、為替差損が発生するリスクもあるため、取引する場合には注意が必要です。
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