用語解説

アービトラージ(裁定取引)とは|意味や具体例・よくある質問を解説


アービトラージ(裁定取引)とは、異なる市場間(または業者間)における、同じ商品の価格差を利用して利ざやを稼ぐ手法です。

本記事では、アービトラージの意味や、具体例などについて詳しく解説します。

アービトラージとは

ここでは、アービトラージの意味や、同義語について詳しく解説します。

  • ・意味
  • ・同義語

意味

アービトラージとは、英語表記「Arbitrage」の日本語読みで「裁定取引」「サヤ取り」のことを意味します。

株式市場や商品市場、FX市場など多くのマーケットで使われる手法で、市場によって手法(戦略)は多岐にわたります。

代表的なのは、同一商品(または値動きの相関性が高い商品)の、市場間での価格差を狙う方法です。

市場間で一時的な価格差がある場合に、割安な価格の方で買う取引と、割高な価格の方で売る取引を行い、その価格差が縮小したとき(適切な価格に戻ったとき)に決済することで利ざやを稼ぎます。

手法の性質上、損失リスクを抑えた取引ができるのが特徴で、この戦略を用いる機関投資家も多く存在します。

同義語

アービトラージの同義語として、主に以下の3つが挙げられます。

  • ・裁定取引
  • ・サヤ取り
  • ・スプレッド取引

また、アービトラージは省略して「アビトラ」と呼ばれることもあります。

アービトラージの例

以下は、アービトラージの代表的な例です。

  • ・現物市場と先物市場(同一の商品、株価指数、金利)
  • ・2つのFX会社の価格差(同一の通貨ペア)
  • ・2つの取引所の価格差(同一の証券など)

現物市場と先物市場

現物市場と先物市場では、価格差が生じる場合があります。

一般的に、先物価格は現物価格に収れんするとされており、「割高な先物を売って、現物を買う」(裁定買い)、「割安な先物を買って、現物を売る」(裁定売り)といった戦略が狙えます。

アービトラージ現物市場と先物市場

2つのFX会社の価格差

FX会社は、独自のレートを配信しており、一時的に他社と価格差が生まれる場合があります。

以下の図をご覧ください。

2つのFX会社の価格差(開始時)

同じ通貨ペアでこのように価格差が生まれた場合、差は埋まる可能性が高いといえます。

差が埋まるパターンは以下の3通りです。

  • ①:A社が下がる
  • ②:B社が上がる
  • ③:A社が下がり、B社が上がる

どのパターンでも「割高なA社を売り、割安なB社を買い」にしておけば利益が出ます。

アービトラージ 差が埋まるパターン①

A社が下がる場合、A社の売りによって利益が出ます。

B社の買いは損益なしか、微損です。

アービトラージ 差が埋まるパターン②

B社が上がる場合、B社の買いによって利益が出ます。

A社の売りは損益なしか、微損です。

アービトラージ 差が埋まるパターン③

A社が下がり、B社が上がる場合、どちらのポジションからも利益が出ます。

また、FXの場合はスワップポイントを狙う方法もあります。

スワップポイントが高いA社で買いポジションを持ち、売りスワップの絶対値が小さいB社で売りポジションを持つことで、スワップポイントのサヤ取りができます(差額がプラスになる場合)。

アービトラージ スワップポイント

2つの取引所の価格差

例えば仮想通貨などでは、取引所によって価格差が大きい場合があります。

割安な取引所Aで買い、それを割高な取引所Bに送金して売却することで、利ざやを稼ぐことができます。

2つの取引所の価格差を活かしたアービトラージ

アービトラージに関するQ&A

アービトラージに関するよくある質問は以下の2つです。

  • ・アービトラージの特徴は何ですか?
  • ・アービトラージは初心者でもできますか?

アービトラージの特徴は何ですか?

アービトラージでは損失リスクを抑えつつ利益を狙えることが最大の特徴です。

アービトラージはさまざまな市場で行われており、その手法(戦略)もさまざまです。

一般的に、価格差(歪み)はすぐに適正な水準に落ち着くので、取引は短時間で完了します。

アービトラージは初心者でもできますか?

アービトラージを狙う市場や商品、戦略によります。

一時的な価格差を利用するアービトラージの場合は、システムなどを利用して市場の歪みを発見し、即座にトレードする必要があります。

一方、システムに頼らずとも発見でき、裁量取引できる手法の場合は、その限りではありません。

【まとめ】アービトラージ(裁定取引)とは|意味や具体例・よくある質問を解説

アービトラージ(裁定取引)とは、異なる市場間(または業者間)における同一商品の価格差に注目して利ざやを稼ぐ手法です。

「サヤ取り」や「スプレッド取引」と呼ばれることもあります。

アービトラージは損失リスクを抑えられるのが特徴で、機関投資家が採用している戦略でもあります。

株式市場や商品市場、FX市場など多くのマーケットで使われる手法で、市場によって手法(戦略)は多岐にわたります。


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