日銀介入によりドル円急落 今週は日欧の金融政策等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2022年10月24日)
先週のFX市場の動き
先週のFX市場では、週末の日銀の介入の影響もあり、米ドルが最弱通貨となりました。これに対し、豪ドル、NZドル、カナダドルといった資源国通貨が底堅い動きとなりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】【直近1ヶ月の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近1ヶ月の通貨強弱チャートを見ると、ポンド、ユーロが強いのに対し、円、豪ドルが弱い状態が続いています。
【先週のFXの主要28通貨ペアの騰落率ランキング】
主要銘柄の相関性分析
先週のドルストレートの相関性を見ると、全体的に多少の相関はありますが、ドル円は介入の影響もあり、他のドルストレートとの相関は比較的低い値になりました。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円、クロス円の通貨ペアの相関性は全体的に多少の相関はあるものの、低い部分もあり、円の強弱がはっきりとしているというほどではなかったようです。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
ユーロを含む主要な通貨ペアを見ると、全体的に相関はバラバラで、ユーロの強弱ははっきりとしていなかったようです。
【先週のユーロを含む主要な通貨ペアの相関性】
先週の株価指数CFDの動き
米国市場
先週の米国の株価指数CFDは下押した水準では底堅く、反発地合いが続きました。
欧州市場
欧州の株価指数も底堅い動きがきました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数は、日本やオーストラリアの株価指数が底堅い推移となったのに対し、中国、香港、台湾、シンガポールの株価指数は軟調な推移となりました。
【株価指数CFDの騰落率ランキング】
最新の騰落率ランキングはこちら先週の商品CFDの動き
先週の商品市場では、EUがガス価格の上限設定へ向けて動いているとの報道により、天然ガスが大きな下落となりました。
その他は貴金属が比較的堅調なのに対し、農産物が軟調な推移となりました。
【商品CFDの騰落率ランキング】
最新の騰落率ランキングはこちら米国債利回りの推移
【残存期限別の米国債利回りの推移】
先週も米国債利回りは、全体的に上昇基調が続きました。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】
直近5週の金曜日のイールドカーブの比較を見ると、上昇の勢いは落ち着いたものの、依然として短期債利回りが長期国債利回りを上回る「逆イールド」状態が続いています。
【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【直近5営業日のFedWatchToolにおける次回FOMC会合時の政策金利予測の推移】
CMEグループが公表するFedWatchToolでは、次回(2022年11月開催)のFOMCでは75bp(0.75%)利上げの確率が90%台の状態が続いています。
出所:CMEグループFedWatchToolにおける次回FOMC会合時の政策金利予測の推移
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円はジリジリと高値を切り上げる動きが続いた後、金曜日に152円に迫る水準まで上昇したところで日銀の為替介入が入り、146円付近まで急落する動きとなった後、147円台で週末を迎えています。
OANDAのオープンポジションを見ると売買の偏りは少ない中、大きな下落となったため、含み損を抱えた買いポジションが増えており、反発した水準では利益確定の売り、安値を切り下げる動きとなった場合は損切りの売りが増え、上値の重い動きとなる可能性を見出すことができそうです。
ただし、短期的に大きな下落となった後だけに、しばらくは嵐の後の不安定な状況が続くことが想定され、悩ましい動きとなりそうです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点における投機筋の円の通貨先物市場のポジションは、円売りポジションが増加し、偏りが大きくなりました。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2022/10/18)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは、0.97から0.9875付近を中心とした、方向感の鈍い動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、直近のレンジの高値圏で推移しているため、含み損を抱えた売りポジションが多い状態です。
このまま高値を切り上げる動きとなると、これらのポジションの損切りの買いが増え、上昇を後押しする可能性を見出すことができそうです。
このため、まずは、直近の高値水準をしっかりと超えることができるか、下押しの際は直近のサポート水準の0.97付近を守れるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。
【EUR/USDの4時間足チャート】表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のユーロの通貨先物市場のポジションは前週から大きな変化はありませんが、買いポジションが少し増加となりました。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2022/10/18)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは、序盤は上昇し、その後は上値が重く、緩やかに下押した後、週末には少し戻し、週間を通しては方向感の鈍い動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションが少し多い状態です。
このため、高値を切り上げるような動きとなると、これらのポジションの損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、徐々に値動きが収縮し、方向感を見出しにくい動きが続いています。
まずは高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週の投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは売りポジション比率が増加となりました。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2022/10/18)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは、上値は重いものの、下押した水準では底堅く、安値、高値をわずかに切り上げるような動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに傾いていますが、安値圏で揉み合った後、週末に直近の高値を少し上抜ける水準まで上昇したことにより、含み損を抱えた売りポジションが目立つ状況です。
このため、下押した水準では、安堵の買い戻し、高値を切り上げる場面では損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、下落基調が一段落し、直近では高値、安値を切り上げるような動きに転じています。今週もしっかりと高値、安値を切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調に転じるかを見守りたいところです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の豪ドルの通貨先物市場のポジションは、売りポジション比率の増加傾向が続いています。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2022/10/18)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は底堅く、3800に迫る水準まで上昇する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに少し傾く中、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションが増えています。
このため、下押した水準では売りポジションの安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことはできそうです。
4時間足チャートを見ると、直近では高値、安値を切り上げる動きに転じています。このまましっかりと高値、安値を切り上げることができるか等に注目しながら、反発地合いが続くかを見守りたいです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のS&P500先物市場のポジションは、売りポジション比率が増加となりました。
【投機筋の先物市場のS&P500 E-miniのポジションの推移(最終更新日2022/10/18)】
今週の注目材料
今週は欧州ではECB理事会、本邦では日銀の金融政策決定会合が予定されています。
ECB理事会では前回に続き75bpの利上げとの予想が中心となる中、ラガルド総裁の記者会見等で次回以降の利上げ幅や量的緩和引き締めに関する内容に注目が集まりそうです。
これに対し、日銀金融政策決定会合は、これまでの黒田総裁の発言等によると金融政策の変更の可能性は低いと考えられますが、黒田総裁の会見内容次第では相場が過敏に反応し、神経質な動きとなる可能性も考えられるため、注意したいです。
米国では11月開催のFOMCのブラックアウト期間に突入するため、FRB関係者の金融政策に関するコメント機会はありませんが、GDPの速報値や消費者信頼感指数、新築住宅販売件数、個人消費支出等の重要経済指標に注目しながら、今後の金融政策の手がかりを探っていきたいです。
このほか、英国の政局に関する報道や発表が延期になり、悪化が懸念される中国のGDP等の経済指標に関する報道、ウクライナや北朝鮮情勢に関する最新の報道にも注意したいです。
今週の主な経済指標
米国
10/24 22:45 米国10月製造業PMI、サービス業PMI
10/25 22:00 米国8月住宅価格指数(S&Pケースシラー、FHFA)
10/25 23:00 米国10月消費者信頼感指数
10/25 23:00 米国10月リッチモンド連銀製造業指数
10/26 20:00 米国MBA住宅ローン申請件数
10/26 21:30 米国9月卸売在庫
10/26 23:00 米国9月新築住宅販売件数
10/27 21:30 米国7-9月期GDP速報値
10/27 21:30 米国9月耐久財受注
10/27 21:30 米国週間新規失業保険申請件数
10/28 21:30 米国9月個人消費支出、個人所得、PCEデフレーター
10/28 21:30 米国7-9月雇用コスト指数
10/28 23:00 米国9月住宅販売保留件数
10/28 23:00 米国10月消費者信頼感指数
ユーロ圏
10/24 16:15 フランス10月製造業・サービス業PMI(速報値)
10/24 16:30 ドイツ10月製造業・サービス業PMI(速報値)
10/24 17:00 ユーロ圏10月製造業・サービス業PMI(速報値)
10/25 17:00 ドイツIFO景況指数
10/27 15:00 ドイツ11月GFK消費者信頼感指数
10/27 21:15 ECB理事会 政策金利発表
10/27 21:45 ラガルドECB総裁記者会見
10/28 14:30 フランス7-9月期GDP(速報値)
10/28 15:45 フランス10月消費者物価指数、生産者物価指数(速報値)
10/28 17:00 ドイツ7-9月期GDP(速報値)
10/28 18:00 ユーロ圏消費者信頼感指数
10/28 21:00 ドイツ10月消費者物価指数(速報値)
日本
10/26 8:50 企業向けサービス価格指数
10/26 14:00 景気先行・一致指数(改定値)
10/27 8:50 対外対内証券売買契約等の状況
10/28 8:30 10月東京都区部消費者物価指数
10/28 8:30 9月失業率
10/27−28 日銀金融政策決定会合 終了後、金融政策・展望レポート公表
10/28 15:30 黒田日銀総裁記者会見
英国
10/24 17:30 英国10月製造業・サービス業PMI(速報値)
オーストラリア
10/26 9:30 オーストラリア7-9月期消費者物価指数
10/27 9:30 オーストラリア7-9月期輸入物価指数
10/28 9:30 オーストラリア7-9月期生産者物価指数
カナダ
10/26 23:00 カナダ銀行政策金利発表
10/28 21:30 カナダ8月GDP
スイス
10/28 16:00 10月KOF景気先行指数
中国
未定 中国7-9月期GDPを含む延期されていた経済指標が発表される可能性あり
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