引き続き米国株式市場が堅調、FX市場ではドル安。今週はECB理事会、日銀金融政策決定会合等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年10月25日)
米国株式市場が堅調推移、FX市場はドル安
先週は米国の企業決算等が好調であったこともり、米国株式市場が強い推移となりました。また、FX市場ではリスク選好のドル安が続いています。
【ドルインデックス、S&P500(CFD)、米国債利回り(10年、2年)、原油(CFD)、金(CFD)の推移】
前週まで弱さが目立った円は、週末にかけて反発する動きとなりましたが、依然として弱い状態が続いています。
余談ですが、円安、資源価格上昇等の影響により、本邦の貿易収支は2カ月連続の貿易赤字となりました。かつて貿易赤字が続いた2011年11月から2016年2月には、ドル円の上昇トレンドが続いたこともあり、今後の動向に注目してみても面白いかもしれません。
【本邦の貿易収支の推移】
【ドル円の月足チャート(貿易赤字が続いた2011年11月から2016年2月までをハイライト】
【残存期限別の米国債利回りの推移】
米国債利回りは、短期債利回りの上昇傾向が続いているものの、長期債利回りは伸び悩む状況が続いています。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】
直近5週の金曜日の変化を見ても、前週に続き、短期債利回りが上昇しているのに対し、長期債利回りは伸び悩む状態が続いているのが確認できます。
【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
ECB理事会、日銀金融政策決定会合、米国GDP等に注目
今週は欧州でECB理事会、本邦では日銀金融政策決定会合の発表が予定されています。
いずれも今回の会合における金融政策の変更の可能性は少ないと予想されていますが、米国の金融緩和縮小に向けた動きが注目される中、ECB、日銀との金融政策のスタンスの違いが注目されやすく、各総裁の記者会見等のコメントに市場が過敏に反応する可能性があるため、注意したいです。
経済指標は米国でGDPの速報値、PCEデフレータ、住宅関連、耐久財受注等の重要経済指標、ユーロ圏では、ユーロ圏消費者物価指数の速報値、ドイツのIfo景況指数等、オーストラリアでは消費者物価指数等に注目が集まりそうです。
また、原油等の資源価格の動向や中国恒大集団関連の報道等にも引き続き注意が必要です。
主要通貨の強弱
先週のFX市場は弱い推移が続いていた円が少し反発したほか、スイスフラン、豪ドル、NZドルが比較的強い推移となりました。これに対し、米ドル、カナダドル、ポンドが弱い推移となりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートでは、少し円が反発していますが、依然として、資源国通貨高、円安の傾向が続いています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
先週の米国の株価指数CFDは、US30やUS500等は底堅いものの、US100は少し伸び悩む動きとなりました。
欧州市場
欧州の株価指数CFDは序盤は少し上値が重かったものの、その後は概ね底堅い推移となりました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDは中国やオーストラリアは比較的底堅いのに対し、インドや日本、シンガポール等は上値が重くバラバラな結果となりました。
主要銘柄の相関性分析
先週の主要なドルストレートの通貨ペアの相関性を見ると、前週に続き、円以外の主要通貨は対ドルで比較的強い相関があり、近い動きとなっていたようです。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円、クロス円の相関性を見ると、クロス円同士の相関性は前週に続き高い状態が続いたものの、ドル円とクロス円の相関性は前週に比べ低下しており、ドル円のクロス円の動きは少し異なる動きとなっていたようです。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨ペアと米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、US500と米ドルが逆相関(US500が上昇すると米ドル下落、US500が下落すると、米ドル上昇)の傾向がありました。クロス円との関係では、AUDJPYとの相関は多少あったものの、EURJPYやGBPJPYとの相関は薄い動きとなりました。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は、前半は底堅く、高値を切り上げる動きとなったものの、後半は上値の重い推移に転じ、113円台中盤まで下押しする動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、上昇基調が続いたこともあり、売りポジションに傾く状況が続いていますが、直近の下押しで苦しくなった買いポジションも増えており、安値を切り下げる動きとなると、これらの買いポジションの損切りの売りが増え、下落を後押しする可能性に注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、現在、上昇基調が続く中、安値を結んだトレンドラインに迫る水準で推移しています。まずは、このトレンドラインを守れるか、反発に転じる場面では、高値を切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいところです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の円の通貨先物市場のポジションは円売りポジションが大きく増加していたようです。その後のドル円の下押しは、これらのポジションの利益確定が多少出てきたのかもしれません。今後も円売りポジションが優勢な状況が続くかを見守っていきたいです。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/10/19)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは底堅い動きとなったものの、1.16台に乗せる動きとなった後は、横ばい推移が続いています。
OANDAのオープンポジションを見ると、下落基調が続いたこともあり、依然として買いポジション比率が高い中、反発地合いが続いていることもあり、含み損を抱えた売りポジションが少し増えてきています。このため、高値を切り上げる動きとなると、これらのポジションの損切りが上昇を後押しする可能性に注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、下落基調が続いたものの、直近では安値、高値を切り上げる動きが続いており、流れが変わる可能性に注意が必要な状況と言えそうです。上値を探る場面では直近の高値水準を切り上げることができるか、下押しの際は直近のサポート水準や安値を結んだラインを守れるか等に注目しながら、反発地合い継続の可能性を探っていきたいです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のユーロの通貨先物市場のポジションは売りポジションが優勢ではありますが、その差が徐々に減少し、売買の偏りがほとんどない状況となっています。今後、売買のいずれに傾きが出てくるかに注目したいです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/10/19)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは底堅く、1.38台に乗せる動きとなったものの、後半は上値が重く、1.37台中盤まで下押しする動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買のポジションの偏りは少ないものの、直近の下押しにより、苦しくなった買いポジションが増えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げると、損切りの売りが増え、上値が重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、反発地合いが続いますが、下押しの際は安値を結んだラインや直近の安値水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は高値を切り上げることができるか等に注目しながら上昇基調に変化がないかを探っていきたいところです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは、売りポジション比率が低下し、僅かながら買いポジション優勢に転じています。ただし、依然としてポジションの偏りは少なく、今後、売買のいずれに傾くかに注目したいです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/10/19)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは序盤は底堅い推移が続き、0.755付近まで上昇後、失速する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りの少ない中、直近の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが少し増えており、下押しが続くとこれらのポジションの損切りの売りが増える可能性に少し注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、上昇基調が続く中、直近では小さなスイングですが、高値切り上げに失敗するような動きとなっており、流れが変わる可能性にも少し注意が必要かもしれません。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の豪ドルの通貨先物市場のポジションは、売りポジション比率の増加傾向が続いていましたが、先週火曜日時点では、売りポジション比率が減少となりました。直近では上昇基調が続いている豪ドルですが、依然として売りポジションに大きく傾いているところを見ると、これらのポジションの決済による伸びしろは残されているのかもしれません。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/10/19)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は底堅い推移が続き、高値を切り上げる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないですが、上昇基調が続いているため、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことはできそうです。
4時間足チャートを見ると、上昇基調が続いていますが、下押しの際は、直近の安値水準や安値を結んだトレンドラインを守れるか、上値を探る動きとなった場合は、高値を切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいところです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のS&P500先物市場のオープンポジションは、依然として偏りは大きくないですが、買いポジションが優勢な状況が続いています。
【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/10/19)】
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