リスク回避の巻き戻しの動きは続くか?米国消費者物価指数等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年10月11日)
先週はリスク回避の巻き戻し
先週は米国のデフォルト懸念や中国恒大集団のデフォルト懸念などが後退したことにより、リスク回避の巻き戻しの動きとなり、株式市場が反発に転じたほか、米国債利回りは上昇、FX市場では円が弱い動きとなりました。
また、週末にかけては、米中首脳による年内のオンライン会談の可能性が報じられたことなども市場のリスク許容度改善を後押しする材料となりました。
注目された米国雇用統計は非農業部門雇用者数変化が市場予想を下回ったことにより、発表直後はFX市場では米ドル売りで反応となりましたが、その後は、反発に転じ、影響は限定的でした。
■参考データ
【米国の非農業部門雇用者数の推移】
【米国の失業率の推移】
【ドルインデックス、S&P500(CFD)、米国債利回り(10年、2年)、原油(CFD)、金(CFD)の推移】
【残存期限別の米国債利回りの推移】
全体的に上昇傾向が続いています。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】
全体的に過去5週に比べ上昇しています。
【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
リスク回避の巻き戻しが続くか?経済指標は米国の物価指数、小売売上高等に注目
今週は前週に続き、米国や中国恒大集団のデフォルトリスク後退等によるリスク回避の巻き戻しの流れがどの程度続くかに注目したいです。
経済指標は、米国で消費者物価指数、生産者物価指数の発表が予定されています。米国のテーパリング開始時期、規模、利上げの開始時期を占う上で重要な経済指標となるため、市場が過敏に反応する可能性が考えられそうです。
物価上昇に一服感が出てくるようであれば、利上げ観測が後退、FX市場では米ドルの上値圧迫材料、株式市場にとっては下支え材料と考えられるのに対し、物価上昇がエスカレートしているようであれば、利上げ観測が強まり、米ドルの下支え材料、株式市場にとっては、ネガティブな材料と考えられそうです。
米国では、他にFOMC議事録の公開、小売売上高、NY連銀製造業景況指数等の発表が予定されているほか、FOMCメンバーのコメント機会などにも注目が集まりそうです。
また、ドイツの連立政権樹立に向けた交渉の行方に関する報道や資源価格動向等にも注意が必要となりそうです。
参考データ
【米国の消費者物価指数の推移】
主要通貨の強弱
先週のFX市場は円が全面安となったのに対し、カナダドル、豪ドル、ポンド等が強い推移となりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートでは、原油価格の上昇にも後押しされたカナダドルの強さが目立つほか、米ドルが底堅いのに対し、NZドル、ユーロ、円が弱い推移となっています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
先週の米国の株価指数CFDは、市場のリスク許容度改善により、反発地合いが続きました。
欧州市場
欧州の株価指数CFDも下押しが一段落し、反発に転じる動きとなりました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDも全体的に底堅い動きとなりました。中でも、米中関係の改善期待等が下支えとなった中国、香港の株価指数の上昇が目立ちました。
主要銘柄の相関性分析
先週の主要なドルストレートの通貨ペアは全体的に相関性は薄く、米ドル中心の動きではなかったようです。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
円が全面安となっていたこともあり、ドル円、クロス円の相関性は全体的に強い動きとなりました。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨ペアと米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、US500はUSD/JPYとの相関性が比較的高いほか、AUDUSD、AUDJPYとの相関性が高い動きとなりました。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は、110.80に迫る水準で下げ渋り、反発に転じ、112円台まで上昇する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジション比率が高い中、その多くが含み損を抱えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、上昇基調が続く中、安値を結んだラインや直近の安値水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は、高値を切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の円の通貨先物市場のポジションは売りポジション比率が少し減少したものの、依然として円売り比率が高い状態が続いています。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/10/5)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは序盤こそ底堅い動きとなったものの、その後は上値が重く、安値を切り下げる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、下落基調が続く中、買いポジション比率が高い状態が続いており、その多くが含み損を抱えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
一方で直近の反発で含み損を抱えた売りポジションも少し増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、反発が続く場面では、損切りの買いが増える可能性にも少し注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、下落基調が続いており、下押しの際は、直近の安値水準を守れるか、反発地合いが強まる場面では、高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいところです。
ただし、RSIがダイバージェンス気味の動きとなるなど、下落の勢いが少し弱まっているようにも見え、流れが変わる可能性にも少し注意が必要となりそうです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のユーロの通貨先物市場のポジションは売りポジションが増加し、売りポジションの方が多い状態に変化しています。大きな下落トレンドに発展する可能性も考えられる中、今後も売りポジション比率の増加傾向が続くかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/10/5)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは反発地合いが続き、1.36台を回復する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買のポジションの偏りは少ないものの、反発地合いが続いているため、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、反発地合いが続いており、下押しの際は安値を結んだラインや直近の安値水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は高値を切り上げることができるか等に注目しながら反発地合いが続くかを見守りたいところです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは、売りポジション比率が増加しています。今後も売りポジション比率が増え、ポジションの傾きが増えていくかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/10/5)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは序盤は上値が重く、0.7225付近で下げ止まり、反発に転じる動きとなり、一時は9月後半からのレジスタンスとなる0.732を上抜ける動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が高い中、反発地合いが続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、反発地合いが続いており、下押しの際は安値を結んだトレンドラインや直近の安値水準を守れるか、反発の際は直近の高値水準を突破できるか等に注目しながら上昇基調継続の可能性を探っていきたいところです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の豪ドルの通貨先物市場のポジションは、前週に続き売りポジション比率の増加傾向が続いており、今後もこの傾向が続くかに注目したいです。また、売りポジションへの偏りが過去の水準と比較すると大きな偏りとなっていることを考えると、これらのポジションの決済の取引が増える可能性にも少し注意が必要となりそうです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/10/5)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は横ばい推移が続いたものの、終盤にかけては、反発地合いが強まる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションが少し増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
一方で、依然として買いポジションの比率が高い中、含み損を抱えた買いポジションも残っており、上昇した水準では安堵の利益確定売りが増え、上値が圧迫される可能性にも少し注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、安値を切り上げる動きとなった後に、直近の高値水準を切り上げる動きとなっており、反発地合いが徐々に強まっているように見えます。今週も下押しの際は、安値を結んだラインや直近の安値水準を守れるか、直近の高値水準を突破できるか等に注目しながら、反発地合いが続くかを見守りたいところです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のS&P500先物のオープンポジションは、買いポジションの比率が少し低下となりましたが、依然として、偏りは少ない状態が続いています。
【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/10/5)】
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