リスク選好ムードは続くか?今週はECB理事会、米国生産者物価指数等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年9月6日)
株式市場は高値圏で推移、雇用統計は市場予想を下回る
先週は前週のパウエル議長の講演により強まったリスク選好ムードが続き、株式市場が底堅い推移となったほか、FX市場では米ドル、円、スイスフランが弱く、豪ドル、NZドル、カナダドルなどが強い推移となりました。
一方で、金曜日に発表された米国の雇用統計では、非農業部門雇用者数変化が市場予想を大きく下回ったことにより、週末にかけては株式市場が下落、リスク許容度は後退となりました。
ただし、市場予想は下回ったものの、非農業部門雇用者数は増加を続けているほか、失業率は低下、平均時給も上昇と緩やかな回復基調が続いていることを示しており、今後もリスク回避の動きが続くかを見守りたいところです。
参考データ
【米国の非農業部門雇用者数の推移】
【米国の失業率の推移】
【米国の平均時給変化率の推移】
【ドルインデックス、S&P500(CFD)、米国債利回り(10年、2年)、原油(CFD)、金(CFD)の推移】
【残存期限別の米国債利回りの推移】
米国の短期国債の利回りは伸び悩んだのに対し、長期国債の利回りはリスク許容度の拡大にあわせ、緩やかに上昇となりました。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】
イールドカーブの比較からも先週は前週に比べ、短期債利回りが少し低下したのに対し、長期債利回りが少し上昇となったのが確認できます。
【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
ECB理事会、RBA理事会、米国生産者物価指数等に注目
今週はECB、RBA、カナダ中銀等で金融政策を決定する会合が行われます。ECBでも金融緩和縮小に向けた動きがあるかに注目が集まります。緩和縮小に向かうようであればユーロの下支え材料となりそうです。
米国では、生産者物価指数の発表が予定されています。昨今注目が集まる消費者物価指数の先行指標となるため、普段よりも市場の反応が大きくなる可能性が考えられそうです。強い結果となると、金融緩和縮小が意識され、ドルの下支え材料、株式市場の上値圧迫材料となりそうです。
参考データ
【米国の生産者物価指数の推移】
主要通貨の強弱
先週のFX市場は、前週に続きスイスフラン、米ドル、円が弱く、豪ドル、NZドル、カナダドル等が強いリスク選好型の動きが続きました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートでも、終盤にかけて円、スイスフラン、米ドルが低下傾向、豪ドル、NZドルの上昇傾向が続いています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
欧州市場
欧州の株価指数CFDは高値圏での推移が続きましたが、週末には下押す動きとなりました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDは伸び悩む銘柄が多い中、日本、インドの株価指数CFDを中心に底堅い推移となりました。
主要銘柄の相関性分析
先週の主要なドルストレートの銘柄の相関関係を見ると、円、ドル、スイスフランが近い動きとなっていたこともあり、USD/JPYとUSD/CHFは他のドルストレートとの相関性が低くなっています。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円とクロス円の相関関係は、ドル、円、スイスフランが近い動きとなっていたこともあり、USD/JPYとCHF/JPYは、他の対円銘柄との相関は低い動きとなりました。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨ペアと米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)とEUR/USD、GBP/USD、AUD/USD、EUR/JPY、GBP/JPY、AUD/JPYの間には多少の相関性を見出すことはできるものの、普段に比べると少し低い数値となりました。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は前半は底堅く、110.40付近まで上昇したものの、後半は失速し、109.60付近まで下押す動きとなり、方向感の鈍い推移となりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が少し高い中、直近のレンジの下限付近での推移となっており、含み損を抱えた買いポジションが増えています。
このため、サポート水準を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、下押し圧力が強まる可能性に注意が必要となりそうです。
まずは直近のサポート水準の109.60付近や109.40等を守れるかに注目しながら、根気強く方向感を探っていきたいところです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の円の通貨先物市場のポジション比率は円買いが少し増加、円売りが少し減少し、ネットすると、円売りポジションの比率が減少となりました。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/8/31)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは上昇基調が続き、一時1.19台まで上昇する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の傾きはそれほど大きくありませんが、上昇基調が続いたことにより、売りポジションのほとんどが含み損を抱えています。このため、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、直近では上値詰まり感が出てきているようにも見えますが、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は、先週は7月末にも上値を抑えた1.1908付近を上抜けることができるかに注目しながら、方向感を探っていきたいところです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のユーロの通貨先物市場のポジションは買いポジションが減少、売りポジションが増加となり、買いポジション比率が減少し、売買の偏りがほとんどない状況となりました。このまま買いポジション比率の減少傾向が続くか、買いポジション比率が再度増加するかに注目したいです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/8/31)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週もポンドドルは底堅い推移が続き、1.39に迫る水準まで上昇となりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買のポジション比率の偏りは少ないものの、底堅い推移が続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、ユーロドル同様に直近では上値詰まり感も出てきていますが、下押しの際は安値を結んだラインや直近の安値水準を守れるか等に注目しながら上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のポンドの通貨先物市場ポジションは売買双方のポジションが減少し、ネットすると売りポジションが比率が減少となり、売買の偏りが少ない状態が続いています。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/2021/8/31)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは底堅い推移が続き、0.75に迫る動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買比率の偏りは少ない中、底堅い推移が続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる場面では損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、直近では上値詰まり感が出てきているようにも見えますが、下押しの際は安値を結んだラインを守れるか、上値を探る動きとなった場合は直近の高値や0.75の大台に乗せることができるか等に注目しながら上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の豪ドルの通貨先物市場のポジションは、前週に続き売りポジション比率の増加傾向が続いており、今後もこの傾向が続くか、これらのポジションの決済が増えるのかに注目したいところです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/2021/8/31)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は底堅い推移が続き、4550付近まで上昇する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションに傾く中、底堅い推移が続いているため、そのほとんどが含み損を抱えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性に注意が必要となりそうです。
一方で上昇の勢いが和らいでいることにより、ストレスを抱えている買いポジションも増えており、下押しが強まると、これらのポジションの損切りの売りが増え、下押しが強まる可能性も考えられそうです。
4時間足チャートを見ると、上昇基調が続いていますが、下押しの際は直近のサポート水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は高値を切り上げることができるか等に注目しながら方向感を探っていきたいです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のS&P500先物のオープンポジションを見ると、売買双方のポジションが減少し、ネットすると買いポジション比率が低下となりました。
【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/8/31)】
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。