市場のリスク許容度後退 株式市場は軟調、円高、ドル高地合い強まる OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年8月23日)
市場のリスク許容度後退
先週はアフガニスタンで地政学リスクが高まったほか、中国の経済指標が市場予想を下回ったほか、米国の経済指標も冴えないものが続きました。
また、公開されたFOMC議事録で、メンバーの多くが年内のテーパリング開始が妥当と考えていたことや新型コロナの変異種の感染拡大が続いていることなども重なり、各市場でリスク回避色の強い動きとなりました。
株式市場は下落、FX市場ではドル高、円高となったほか、資源価格が下落したことを受けて豪ドル、カナダドル等の資源国通貨が軟調な推移となりました。
【ドルインデックス、S&P500(CFD)、米国債利回り(10年、2年)、原油(CFD)、金(CFD)の推移】
【残存期限別の米国債利回りの推移】
年内のテーパリング開始観測が強まったことを受けて短期債利回りが比較的底堅い推移となったのに対し、市場のリスク許容度が後退したことを受けて長期債利回りは低下しています。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】
先週は短期債利回りが直近5週間の金曜日よりも上昇、長期債利回りは低下しています。
【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
ジャクソンホールのシンポジウムに注目
今週は米国のカンザスシティ連銀が主催するジャクソンホールのシンポジウムが予定されています。
シンポジウムでは、今後の米国の金融政策の手がかりを求めてパウエルFRB議長の講演に注目が集まります。
先週のFOMC議事録に続き、年内のテーパリング開始を意識させるような内容となると、米ドルの下支え材料、株式市場の上値圧迫材料となることが想定されます。
経済指標は週末に発表される米国のPCEデフレータに注目が集まりそうです。消費者物価指数同様に前月比に鈍化傾向が出てきているかに過敏に反応する可能性があります。
このほか、米国の住宅関連の経済指標、欧米のPMIの速報値等にも注意したいです。
主要通貨の強弱
先週のFX市場は市場のリスク回避色が強まったことを受けて、円、ドル、スイスフランが強い推移となったのに対し、豪ドル、NZドル、カナダドルといった資源国通貨が軟調な推移となりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートでも円、スイスフラン、米ドルが強いのに対し、豪ドル、NZドル、カナダドルの弱い推移となっています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
堅調な推移が続いた米国の株価指数CFDは下押しに転じました。中でもUS2000の下落幅が大きくなっています。
欧州市場
欧州の株価指数CFDも上値の重い推移となりましたが、オランダの株価指数は比較的底堅い推移となりました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDはバラバラな動きとなりました。オーストラリアやインドの株価指数が堅調なのに対し、台湾の株価指数が軟調な推移となっているほか、日経も鈍い動きが続いています。
主要銘柄の相関性分析
先週の主要なドルストレートの銘柄は、対米ドルで相関性が高く、米ドル中心の相場となっていたのが確認できます。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円とクロス円では、米ドルが中心の相場であったこともあり、ドル円とクロス円の相関性は低かったものの、クロス円同士の相関性は比較的高い動きとなりました。
ただし、対ドルで円とスイスフランの相関性が高かったこともあり、スイスフラン円はドル円、他のクロス円との相関性は低い動きとなりました。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨ペアと米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)は米ドルと株価指数の強弱が逆相関(株価指数が上昇すると米ドル下落、株価指数が下落すると米ドルが上昇の関係)、クロス円と株価指数の相関性も比較的高い動きでした。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は米ドル、円の双方が強かったため、109円台後半を中心に小動きが続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が少し高い中、方向感を見出しにくい動きが続いていることもあり、現在の価格水準を中心に売買の偏りは少ない状態です。このため、しっかりと均衡が崩れるまでは方向感の読みにくい動きが続く可能性が考えられそうです。
4時間足チャートを見ると、徐々に値動きが収縮するような動きとなっており、高値同士、安値同士をつないだラインや直近の高値、安値水準を突破することができるか等に注目しながら、均衡が上下いずれに崩れるかを見守りたいところです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の円の通貨先物市場のポジション比率は売買双方のポジションが減少となりましたが、ネットすると前週に続き、円売りポジション比率が少し増加となり、依然として円売りポジションに傾く状況が続いています。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/8/17)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
ユーロドルは上値の重い推移が続き、1.16台中盤まで下押しとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が少し高い中、下押しが続いたことにより、その多くが含み損を抱えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができます。
ただし、直近の水準では売りポジションも増えており、安値を切り下げた水準では利益確定の買い戻し、反発に転じると、これらのポジションの損切りの買いが増える可能性にも少し注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、高値、安値を切り下げる動きが続く中、直近では少し反発して週末を迎えています。反発地合いが強まった際は、高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下押しの際は直近の安値水準を守れるか等に注目しながら、下落基調が続くかを見守りたいです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のユーロの通貨先物市場のポジションは買いポジション比率の低下傾向が続いていましたが、前週はユーロ買いポジションの比率が増加となりました。このまま増加傾向に転じるかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/8/17)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは下落基調が続き、1.36付近まで下押しする動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が高い中、下落基調が続いたことにより、その多くが含み損を抱えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
反発の際は高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下押しの際は直近の安値水準を守れるか等に注目しながら下落基調継続の可能性を探っていきたいです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のポンドの通貨先物市場の買いポジション、売りポジションはいずれも減少し、ネットすると、ポンド買いのポジション比率の方が少し低下となりました。今のところ、売買の偏りが少ない状況が続いていますが、今後、いずれに傾くかに注目したいところです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/2021/8/17)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは下落基調が続き、0.71付近まで下押しする動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションが6割を超える中、下落基調が続いたことにより、その多くが含み損を抱えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性が考えられそうです。
一方で週末の小反発により含み損を抱えた売りポジションも少し増えており、安値を切り下げる動きとなった後の利益確定の買い戻し、反発が続いた際のこれらのポジションの損切りの買いが増える可能性にも少し注意が必要となりそうです。
今週は反発地合いが続いた場合、高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下値を探る動きとなった場合は直近の安値水準を守れるか等に注目しながら、下落基調継続の可能性を探っていきたいです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の豪ドルの通貨先物市場のポジションは、前週に続き売りポジション比率の増加傾向が続いており、今後もこの傾向が続くか、これらのポジションの決済が増えるのかに注目したいところです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/2021/8/17)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は序盤に高値を切り上げる動きとなった後は、上値の重い推移となり、4350付近まで下押す動きとなりましたが、週末にかけては反発に転じ、4400台を回復する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りが少ない中、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことはできそうです。
一方で下押しにより含み損を抱えた買いポジションも多く、反発が続いた水準では利益確定の売り、下押しが続いた場合は損切りの売りが増え、上値の重さが残る可能性も考えられそうです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のS&P500先物のオープンポジションを見ると、前週に続き買いポジション比率が少し減少となりました。このまま買いポジションの減少傾向が続くかを見守りたいです。
【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/8/17)】
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