米国CPIの結果を受け米ドル下落、株式市場は引き続き堅調 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年8月16日)
米CPIの上昇率鈍化で米金利低下、米ドル下落、米国株上昇
先週は前週末の強い米国雇用統計の余波により、序盤は米国債利回りが上昇、米ドル高となりましたが、発表された米国の消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化していたことを受けてFRBの早期利上げ観測が後退し、米国債利回り低下、米ドル売りが続きました。
また、米国株は底堅い推移を続け、米国の主要な株価指数は史上最高値を更新する動きとなりました。
【ドルインデックス、S&P500(CFD)、米国債利回り(10年、2年)、原油(CFD)、金(CFD)の推移】
【米国の消費者物価指数の推移】
【残存期限別の米国債利回りの推移】
反発の兆しが出ていましたが、直近では失速しています。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【直近5週間の金曜日の米国債イールドカーブの比較】
先週は序盤に全体的に上昇、後半に失速となり、終わってみれば、前週末に近い曲線となりました。
【米国債イールドカーブの変化(3Dグラフ)】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
FOMC議事録パウエル議長の講演、米国小売売上等の経済指標に注目
今週はイベントが多数予定されています。
米国ではFOMC議事録が公開が予定されているほか、パウエル議長の講演が予定されています。今後の米国の金融政策の手がかりとなる材料が出てくると、市場が過敏に反応する可能性があるため、注意が必要です。
さらに、米国では小売売上高、鉱工業生産のほか、NY連銀やフィラデルフィア連銀の景況指数、新規失業保険申請件数などの経済指標の発表が予定されており、注目が集まりそうです。
米国以外では、各中央銀行の金融政策を占う上で重要な消費者物価指数の発表がユーロ圏(改定値)、日本、英国、カナダ等で予定されているほか、英国で雇用統計、小売売上高、オーストラリアで雇用統計、中国では鉱工業生産、小売売上等、重要な経済指標が続くため、関連のある銘柄を取引する際は注意が必要です。
参考データ
主要通貨の強弱
先週のFX市場は前週の流れを引き継ぎ序盤は米ドルが底堅かったものの、米国消費者物価指数の発表後は、ドル売りが続きました。
また、株式市場が堅調な推移となったこともあり、対ドル以外の通貨で売られる場面もありましたが、ミシガン大消費者信頼感指数が大幅に悪化したこと等で週末にかけては円買いが強まり、週間を通して主要通貨の中では、円が一番強い通貨となりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、強かったカナダドルやポンドが伸び悩んでいるのに対し、円やスイスフランが直近では底堅さを見せています。一方で反発地合いが続いていた米ドルは失速しています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
米国の株価指数CFDは底堅く、US500等が市場最高値を更新しています。
欧州市場
欧州の株価指数CFDも高値を切り上げる底堅い推移が続きました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数CFDはバラバラな動きとなりました。オーストラリアやインドの株価指数が堅調なのに対し、台湾の株価指数が軟調な推移となっているほか、日経も鈍い動きが続いています。
主要銘柄の相関性分析
先週の主要なドルストレートの銘柄は、カナダドル以外の通貨は対ドルで比較的相関性が高い動きとなりました。中でも円、ユーロ、スイスフランが対ドルで近い動きとなっていたようです。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円とクロス円も多少の相関関係を見出すことができますが対ドルで円とスイスフランの相関性が高かったこともあり、スイスフラン円はドル円、他のクロス円との相関性は低い動きとなりました。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)との相関関係はバラバラで先週は株価指数とFX市場の値動きの相関性は低かったようです。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、先物市場のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は序盤は底堅い推移が続きましたが、米国消費者物価指数の発表後は上値の重い推移が続き、109円台中盤まで下押して週末を迎えています。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないですが、下押しにより含み損を抱えた買いポジションが増えており、反発した水準では安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、反発地合いが続いた後に深めな下押しとなっており、悩ましい状況です。まずは直近の下押しが続くか、反発に転じるか、反発に転じた際はどの水準まで反発するか等に注目しながら、根気強く方向感を探っていきたいです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の円の通貨先物市場のポジション比率はネットすると円売りポジション比率が少し増加となり、依然として円売りポジションに傾く状況が続いていますが、現時点では、週末にかけてのドル円の下落により、円売りポジション比率が多少低下している可能性も考えられそうです。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/8/10)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
ユーロドルはドル円とは反対に、序盤は軟調な推移となった後、反発地合いが強まり、週末には一時1.18台に乗せる水準まで上昇となりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジション比率が少し高い中、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる場面では損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、下落基調の後の反発ということで、まずはこの反発がどの程度続くか、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、根気強く方向感を探っていきたいです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のユーロの通貨先物市場のポジションは買いポジション比率の低下傾向が続いています。今週もこの傾向が続くか、低下傾向に歯止めがかかるかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/8/10)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは前週に続き上値の重い推移が続いています。米国消費者物価指数やミシガン大消費者信頼感指数後のドル売りで押し上げられる場面もありましたが、1.39に迫る水準では伸び悩む動きが続いています。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買比率が売りに少し傾く中、直近の反発で含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなった場面では損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、緩やかな下落基調が続いていますが、直近では下げ止まり感も少し出てきており、踏ん張れるかどうかを見守りたいところです。下押しの際は直近のサポート水準となる1.38付近の水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合はしっかりと1.39台に乗せることができるか等に注目しながら方向感を探っていきたいです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のポンドの通貨先物市場の買いポジションは増加、売りポジション減少、ネットすると、ポンド買いのポジション比率の方が大きくなりました。今後もポンド買いのポジションが増えるかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/2021/8/10)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは上値の重さは残るものの、0.73台前半では底堅く、0.73台で小動きが続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションに少し傾く中、直近の下げ渋りでストレスを抱えた売りポジションも増えており、下押しした水準では利益確定の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
まずは高値を結んだラインや直近の高値水準を突破できるか、下押しの際は安値を結んだラインや直近の安値水準を守れるか等に注目しながら、反発地合いが続くかを見守りたいところです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋の豪ドルの通貨先物市場のポジションは、前週に続き売りポジション比率の増加傾向が続いており、今後もこの傾向が続くか、これらのポジションの決済が増えるのかに注目したいところです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/2021/8/10)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週もUS500は史上最高値を切り上げる動きが続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションに傾く中、高値圏での推移が続いていることもあり、売りポジションの多くが含み損を抱えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
一方で高値圏での推移が続き、日足チャートのRSIが70に接近する水準まで上昇しており、買いに過熱感も出てきているため、利益確定による調整売りにも少し注意が必要となりそうです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
投機筋のS&P500先物のオープンポジションを見ると、先週は買いポジションに利益確定が増えたため、買いポジション比率が少し減少となりました。今週も利益確定が増えるか、再度買いポジションが増えるかを見守りたいところです。
【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/8/10)】
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