イースター明けのスロースタート 米国経済指標、引き続き米国長期金利等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年4月5日)
引き続き市場はリスクオンの状態を維持
先週はバイデン米大統領のインフラ投資計画の発表されたこともあり、市場はリスク許容度が高い状態を維持し、株式市場は上昇、FX市場では円売り、ドル売が進み、ドル円、クロス円は底堅い推移となりました。
【ドルインデックス、S&P500、米国10年債利回りの動き】
米国債利回りは少し上値詰まり感も出てきていますが、依然として上昇基調が続いており、今後もFX市場、株式市場等で注目される指標の一つとなりそうです。
【残存期限別の米国債利回りの推移】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【3Dグラフで見た米国債イールドカーブの推移】
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【ドル円と米国10年債利回り-日本10年債利回りの比較】
また、先週、イースター休暇で市場参加者の少ない中で発表された米国雇用統計は市場予想を上回り、市場の景気回復への期待を後押しする結果となりました。ただし、依然としてコロナ前の水準までの回復には至っておらず、今後も回復が続いていくかに注目したいところです。
雇用統計の主な結果は次の通りです。
【非農業部門雇用者数】
非農業部門雇用者数変化はワクチン接種が進んでいることもあり、サービス業関連を中心に大幅増加となりました。
ただし、新型コロナ流行前の水準への回復まではまだ道半ばと言えそうです。
【平均時給】
平均時給は前月よりも低下し、市場予想を下回る結果となりましたが、コロナ前の水準はほぼ回復しています。
【失業率】
失業率は前月から低下し、6%となりました。ただし、次の労働参加率と併せて考えるとコロナ前の3.5%の状態まで戻すには、まだ時間がかかりそうです。
【労働参加率】
労働参加率は前月よりも上昇しているものの、回復率は低い状態が続いています。
今週は米国経済指標、引き続き米国長期金利に注目
今週は月曜日はイースターで休場となる国も多く、市場参加者が少ないため、序盤は鈍い動きが続く可能性が考えられそうです。
経済指標は米国でISM非製造業景況指数、生産者物価指数などの発表が予定されているほか、FOMC議事録の公開も予定されています。
米国の経済指標が先週末の雇用統計に続き、底堅い結果となると、米国の長期金利の上昇を後押しする材料の一つとなりそうです。
米国の長期金利の上昇が続くと、米ドルの下支え材料と考えられるほか、株式市場では上値圧迫材料となる可能性が浮上します。
また、オーストラリアでは政策金利を決定するRBA理事会が予定されています。今回の会合で金融政策の変更の可能性は低いと考えられますが、声明文における豪経済についての評価や将来の金融政策の手がかり、また、豪ドルの水準等に関しての記述等に豪ドルが過敏に反応する可能性があるため、注意が必要です。
主要通貨の強弱
先週のFX市場は前週に大きく売られたNZドルに買い戻しが入ったほか、引き続きポンド、米ドルといった新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいる国の通貨が強いのに対し、円、スイスフラン、ユーロといったマイナス金利を導入している中央銀行の通貨が弱い推移となりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、大きな流れでは依然として円、スイスフラン、ユーロといった低金利通貨が弱いのに対し、米ドル、カナダドル、ポンド等が強い傾向が続いています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
FRBの強力な金融緩和、新型コロナ対策の追加の経済政策、インフラ整備等の政策への期待感等を背景に、先週も底堅い推移が続きました。
欧州市場
欧州の株価指数も概ね底堅い推移となりましたが、英国のUK100は伸び悩む動きとなりました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数も全体的に底堅い推移が続きました。
主要銘柄の相関性分析
先週のドルストレートの主要銘柄の値動きの相関性を見ると、相関性を見出すことができるペアもありますが、以前に比べるとバラバラで、対ドルでの動きの相関性は強くなかったようです。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
これに対し、ドル円とクロス円の通貨ペア同士の相関性はAUD/JPYが少し低いものの、それ以外は概ね高い相関性を示しており、ドル円、クロス円共に近い動きとなっていたのが確認できます。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、ドルストレートではGBP/USD、クロス円ではEUR/JPYやGBP/JPYが株式市場の相関性が比較的高い動きとなっていたようです。 。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、通貨先物市場(FX)のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は先週後半からの上昇基調が続き、111円に迫る水準まで上昇した後、週末が近づくにつれ、鈍い動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると売買の偏りは少ない中、底堅い推移が続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押しした水準では安堵の買い戻しが増え、また、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
一方で直近の伸び悩みにより、含み損を抱えた買いポジションも少し増えており、下押しに転じると、これらの買いポジションの損切りが増える可能性に少し注意が必要となりそうです。
今週も引き続き、下押しの際は、上昇トレンドラインや過去のサポート水準をしっかりと守れるか、高値を探る動きとなった場合は高値を切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいところです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の円の通貨先物ポジションは前週に続き円売りポジションが増加し、ネットの円売りポジション比率が増加しています。このまま円売り比率の高い状況が続き、円安トレンド継続となるかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/3/30)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは前半は上値の重い推移となり、安値を切り下げる動きとなったものの、後半は下げ渋る動きとなりました。
4時間足チャートを見ると下落基調が続いていますが、OANDAのオープンポジションを見ると、引き続き売買の偏りは少ない中、直近の反発により、苦しくなった売りポジションが増えており、高値を切り上げる動きとなると、これらの売りポジションの損切りの買いが増え、また、下押した水準ではこれらのポジションの利益確定の買い戻しが増え、底の固い動きとなる可能性にも注意が必要となりそうです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションは売りポジションが増加し、ネットすると、買いポジション比率が低下となりました。
依然として、ユーロ買いのポジションが優勢な状況ではありますが、買い比率の低下が続いており、この傾向が続くかに注目したいです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/3/30)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルは下押した水準では底堅く、4時間足チャートでは、安値を切り下げることなく、反発地合いが続いています。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションの比率が少し増える中、反発地合いが続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが少し増えており、下押した水準ではこれらのポジションの安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、これらのポジションの損切りの買いが増える可能性が考えられ、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
まずは反発地合いがどの程度続くか、再度下値を探る動きとなった場合は、安値を結んだトレンドラインや直近の安値水準を守れるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいところです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点における投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは売買の双方のポジションが減少する中、売りポジションの減少が多かったため、ネットすると、買いポジションの比率が上昇に転じています。
このまま買いポジション比率が増加していくのかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/3/30)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは上値の重い推移となり、安値を切り下げる動きとなりましたが、終盤にかけては底堅さを見せ、週間を通しては方向感を見出しにくい動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、下落基調が続いたことにより、含み損を抱えた買いポジションが多く、下押しした水準では損切りの売り、反発した水準では利益確定売りが上値を圧迫し、上値の重さが残る可能性を見出すことができそうです。
一方で直近の下げ渋りによりストレスを抱えた売りポジションも増えており、高値を切り上げる動きとなると、これらのポジションの損切りの買いが増える可能性にも注意が必要となりそうです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場における豪ドルの売買のポジションの依然として偏りは少ない中、買いポジションが少し増加となりました。今後もこの傾向が続くかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/3/30)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は前半は伸び悩んだものの、後半は底堅い推移となり、4000台にしっかりと乗せる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションに少し傾く中、上昇により、売りポジションの多くが含み損を抱える状況となっており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
下押しの際は安値を結んだトレンドラインや直近の安値水準を守れるか、上値を探る動きとなった場合は、しっかりと高値を切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調が続くかを見守りたいところです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
S&Pの先物市場における投機筋のポジションを見ると、売買の偏りの少ない状況が続いています。今後、ポジションの偏りが出てくのかを見守りたいところです。
【投機筋の先物市場のS&P500 consolidatedのポジションの推移(最終更新日2021/3/30)】
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