パウエル議長の議会証言、米国経済指標、引き続き米国長期債の動向に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年3月22日)
先週は日米の金融政策に注目集まる
先週は米国でFOMCが行われました。今回の会合では、現在の金融政策を維持すること決定しました。また市場が注目するFOMCメンバーによる経済見通しで実質GDP見通しを上方修正したのものの、政策金利に関しては、2023年までゼロ金利を維持するとの見通しが中心となりました。
この結果を受け、米国株式市場が底堅い推移となったほか、米国債利回りは上昇となりました。
【FOMC参加者の実質GDP成長率見通し】
今回の会合では、前回よりも2021年の成長率見通しが大幅上昇となりました。
出所:FRB
【FOMC参加者の金利見通し(前回と今回の比較)】
前回から多少の変化はあるものの、2023年まで現在の金利水準が続くとの見通しが中心となっています。
出所:FRB
また、本邦では日銀の金融政策決定会合が行われ、金融政策の「点検」を公表し、政策の修正を決定しました。修正の内容はETFの買い入れに関し、従来の「年間で原則6兆円、上限12兆円」から原則6兆円の削除や許容する長期金利の変動幅を±0.25%と明記等の、概ね事前に報じられていた内容となりましたが、ETF買い入れについては、指数の構成銘柄が最も多いTOPIXに連動するもののみを買い入れることとするとされたことを受けて日経平均が下落する展開となりました。
米国債利回りの上昇基調が継続
先週は週間を通して株式市場は底堅いものの、伸び悩む動きとなったほか、米国債利回りが引き続きジリジリと上昇を続けました。
FX市場では、米ドルが米国債利回りの上昇が下支えとなり、底堅い推移となったほか、米国をはじめとする主要国の中央銀行が緩和的な金融政策を継続することを示したこともあり、新興国の通貨が比較的強い推移となりました。
【ドルインデックス、S&P500、米国10年債利回りの動き】
【残存期限別の米国債利回りの推移】
景気回復への期待感、米国政府の財政悪化への懸念、FEDの物価上昇容認等の様々な要因により、長期債を中心に上昇傾向が続いています。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
【3Dグラフで見た米国債イールドカーブの推移】
イールドカーブの推移を3Dグラフで見ると、長期国債が上昇傾向にあるのが、把握し易いと思います。
出所:U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY
今週はパウエル議長の議会証言、米国経済指標、引き続き米国長期債の動向に注目
今週は米国でパウエルFRB議長の議会証言が予定されています。先週の記者会見から大きく乖離するような内容にはならないと考えられますが、コメント内容に市場が過敏に反応する可能性もあるため、注意が必要となりそうです。
また、米国では、耐久財受注や個人消費支出、住宅関連の経済指標等の発表が予定されています。ワクチン接種が進み、景気回復への期待感が強い状態が続いているため、経済指標の市場へのインパクトは限定的となりそうですが、米国経済の状況を把握する上で重要な指標であるため、注目したいです。
市場では引き続き米国長期債利回りの動向に注目が集まりそうです。株式市場、FX市場の反応を確かめながら、上昇基調が続くかを見守りたいところです。
主要通貨の強弱
先週のFX市場は米ドルが底堅い推移となったほか、円やスイスフランが強い推移となりました。これに対し、ユーロやポンド、豪ドル等が弱い推移となりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の主要通貨の通貨の強弱チャートを見ると、大きな流れでは依然として円、スイスフランといった通貨が弱いのに対し、米ドル、カナダドル、ポンド等が強い状態が続いています。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の変化率
米国市場
先週の米国株式市場は全体的に底は堅いものの、終盤にかけては伸び悩む動きとなりました。
欧州市場
欧州の株価指数も概ね上昇基調が続いていますが、週末にかけては上値の重い推移となりました。
アジア・オセアニア市場
先週のアジア・オセアニアの株価指数は中国の株価指数が軟調なほか、全体的に伸び悩む動きとなりました。ただし、シンガポールの株式市場は前週に続き、底堅い推移が続いています。
主要銘柄の相関性分析
先週のドルストレートの主要銘柄の値動きの相関性を見ると、USDJPY以外のドルストレートの通貨ペアは、比較的相関性が高く、対ドルで似た動きをしていたようです。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円とクロス円の通貨ペア同士の相関性を見ると、ドル円とクロス円の間の相関性は低いのに対し、クロス円同士(ZAR/JPYを除く)の相関性は比較的高く、クロス円は似たような値動きとなっていたのが確認できます。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、多少の相関性は見られるものの、いずれも前週よりも相関性は低く、株式市場とFX市場の相関性は薄れていたようです。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、通貨先物市場(FX)のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は108円台後半から109円台前半までの狭いレンジの中で伸び悩む動きが続きました。4時間足チャートを見ると、横ばい推移が続いています。
OANDAのオープンポジションを見ると売買の偏りは少ない中、伸び悩む動きが続いたことにより、含み損を抱えた買いポジションが少し増えています。
安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが下落を後押しし、また、高値を追う動きとなるばめんでは利益確定の売りが増え、上値を圧迫すう可能性に注意が必要となりそうです。
サポート水準をしっかりと守れるか、高値を切り上げる動きとなった後に利益確定売りがどの程度入ってくるかに注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいところです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の円の通貨先物ポジションは円売りポジションが増加したほか、円買いポジションが大幅に減少し、ネットすると、円売りポジションの方が多い状況に転じています。
今後も、この円売りポジションの増加傾向が続くかに注目したいところです。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/3/16)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは方向感の鈍い推移が続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、直近のレンジの下限付近で推移していることもあり、含み損を抱えた買いポジションが多い状況となっており、反発した水準ではこれらのポジションの利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが下落を後押しする可能性に注意が必要となりそうです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションは買いが少し減少、売りが少し増加となり、ネットしたポジションでは、買いポジションの比率が減少しています。
依然として、ユーロ買いのポジションが多く残っているところを見ると、これらのポジションの決済によるユーロの下落余地はまだ残されているかもしれません。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/3/16)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンドドルはユーロドル同様に方向感を見出しにくい動きが続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると売買の偏りは少ないですが、直近の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが少し多い状況となっており、反発した水準ではこれらのポジションの利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増える可能性があり、上値の重い推移となる可能性に注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、方向感を見出しにくい状況が続いており、まずはレジスタンスとなっている1.4をしっかりと突破できるか、下押しの際はレジスタンスからサポートに転じた1.376-1.3775付近の水準を守れるか等に注目しながら、根気強く方向感を探っていきたいところです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点における投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは前週から売買双方のポジションが少し減少となる中、売買の比率が比率は買いポジションが少し減少となりました。
買いポジションの増加に一服感が出てきており、流れが変わる可能性にも注意したいところです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/3/16)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは高値を切り上げるも上値は重く、伸び悩む動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないものの、直近の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが少し増えており、反発した水準では、これらのポジションの利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、反発地合いが続いており、この流れが続くかをまずは見守りたいところです。安値を結んだラインや直近の安値水準を守れるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場における豪ドルの売買のポジションの偏りは少なく、横ばい状態が続いています。今後は、価格が上下のいずれに動き、売買いずれのポジションが苦しくなるかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/3/16)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は前半は底堅い推移となったものの、後半は失速となりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、直近の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが増えており、下押しが続くと、これらのポジションの損切りの売り、高値を切り上げる動きとなると、利益確定の売りが増え、上値の重い推移となる可能性も考えられそうです。
まずは高値をしっかりと切り上げることができるか、下押しの際は、直近の安値水準を守れるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいところです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
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