米国債利回りの動きに要注意。パウエルFRB議長コメント、米国雇用統計等に注目 OANDAラボ-マーケット最新情報(2021年3月1日)
米国債利回り上昇に対し、株式市場が下落
【S&P500(CFD)週足チャート】
先週はパウエルFRB議長等が現在の長期金利上昇は市場の景気回復へ向けた期待によるものとし、市場では長期金利上昇を容認ととらえられたことにより、株式市場が急落、FX市場では米国債利回りの上昇を受けて米ドルが底堅い推移となりました。
米国10年債利回りは、一時1.5%を超える水準まで上昇となり、市場の警戒感が強まりました。今週も、長期金利の上昇傾向が続くのか、また、それに対しての株式市場、FX市場の反応に注目が集まりそうです。
【ドルインデックス、S&P500、米国10年債利回りの動き】
パウエルFRB議長のコメント機会、米国雇用統計等の米国経済指標に注目
今週もパウエルFRB議長のコメント機会が予定されています。先週に続き、長期金利に関するコメントや今後の金融政策に関する手がかりが出てくると市場が過敏に反応することが想定されます。
また、今週は米国でISM景況指数、週末には雇用統計等の重要経済指標の発表が予定されています。
いずれも、米国経済の回復を確認することができれば長期金利の上昇を下支えする材料となりそうです。
直近30日間の主要通貨の強弱
先週のFX市場は米国債利回りの上昇を受けて米ドルが強い推移となったほか、ユーロ、ポンドも比較的強い推移となりました。
これに対し、豪ドルの弱さが目立ったほか、スイスフラン、円も比較的弱い推移となりました。
【先週の主要8通貨の通貨別の騰落率】
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
直近30日間の株価指数の増減率
米国市場
先週の米国株式市場は上値の重い推移となり、主要な株価指数は直近30日間の上昇分の多くを吐き出してしまう動きとなりました。
欧州市場
欧州の株価指数は序盤こそ底堅い推移となったものの、その後は上値の重い推移が続く展開となりました。
アジア・オセアニア市場
アジア、オセアニアの株価指数も上値の重い銘柄が多くなっています。少し前に強い推移が続いた中国、台湾の下落幅が大きいほか、日本株も軟調な推移が続きました。一方で、シンガポールの株価指数は比較的底堅い推移となっています。
主要銘柄の相関性分析
先週のドルストレートの主要銘柄の値動きの相関性を見ると、USDJPYとUSDCHFの相関性が高いのに対し、この2つのペアは他の銘柄との相関性は低く、また、この2つのペア以外の銘柄同士の相関性が高い動きとなっているところを見ると、対ドルでは円とスイスフランの2つとその他の主要通貨で少し異なる動きとなっていたのが確認できます。
【先週の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
ドル円とクロス円の通貨ペア同士の相関性を見ると、USDJPYとEURJPY、CADJPY等の相関性が高い動きとなったものの、USDJPYとAUDJPY、CHFJPYの相関性は低い動きとなりました。
また、円とスイスフランが対ドルで相関性の高い動きとなったこともあり、AUDJPYは他のクロス円とは比較的高い相関性となっているのに対し、CHFJPYは他のクロス円のとの相関性が低い動きとなっています。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
先週の主要通貨と米国株価指数(ここでは代表的なUS500との相関性を表示しています)の相関性を見ると、ドルストレートではGBPUSD、AUDUSDとの相関性が高いほか、クロス円ではAUDJPYの相関性が高いようです。
これに対し、USDJPYと株価指数の相関性は低く、株式市場下落→USDJPY下落という動きにはなっていないのが確認できます。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、通貨先物市場(FX)のポジション、主要銘柄の値動き
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週のドル円は底堅い推移が続き、106円台中盤まで上昇となりました。
OANDAのオープンポジションを見ると買いポジションの比率が59.5%と比較的高い中、底堅い推移が続いたことにより、含み損を抱えた売りポジションが増えており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、上昇基調が続く可能性を見出すことができます。
一方で高値圏で構築された買いポジションも増えており、高値圏では利益確定の売り、下値を探る動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増える可能性にも少し注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、緩やかな上昇基調が続いており、今週もこの上昇基調が続くかを見守りたいところです。
【USD/JPYの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の円の通貨先物ポジションは円売りポジションが増加となりました。
売買をネットすると、依然として、円買いポジションの方が優勢な状況ですが、このところ減少傾向が続いており、今後もこの傾向が続くかを見守りたいところです。
円買いポジションがまだ多く残っているところを見ると、円売り地合いが進むと、円買いポジションの損切りが増え、円の下落余地はまだ残されているのかもしれません。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/02/23)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週のユーロドルは底堅い推移となったものの、後半は失速し、1.2台まで下押しする動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りはあまり大きくない中、直近の下押しにより、苦しくなった買いポジションが増えているのが確認できます。
反発した水準ではこれらのポジションの安堵の決済売り、下押しが続くとこれらのポジションの損切りの売りが増え、上値の重い状態が続く可能性を見出すことができそうです。
4時間足チャートを見ると、緩やかな上昇基調が続いていたものの、安値を結んだラインを少し割り込む状態となったほか、日足チャートのパラボリックも売りに転じる状態となっており、流れが変わる兆しも出てきており、流れが変わる可能性も視野に入れながら方向感を探りたいところです。
【EUR/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点における投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションは前週からほぼ横ばいとなりました。ピーク時に比べると、ある程度調整が入り、買いポジション比率が減少していますが、今後、値動きの動きと合わせて、再度買いポジションが増加するか、減少傾向が続くのかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/02/23)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週もポンドドルは底堅い推移を続けましたが、後半は失速し、1.4を割り込む水準まで下押しする動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると売買の偏りは少ないですが、直近の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが増えており、反発した水準ではこれらのポジションの利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増える可能性に注意が必要となりそうです。
4時間足チャートを見ると、上昇基調が続いていますが、直近では少し大きな下押しとなっており、反発の際にしっかりと高値を超えることができるか、下押しの際は直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいところです。
【GBP/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点における投機筋のポンドの通貨先物市場のポジションは前週から買いポジションが増え、買いポジションへの偏りが大きくなりました。
今後も買いポジションの増加傾向が続くかに注目したいところです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/02/23)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは前半は高値を切り上げる動きが続いたものの、後半は上値の重い推移となり、大きく値を下げる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ないものの、下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが増えており、反発した水準では、これらのポジションの利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、これらのポジションの損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
底堅い推移が続いた豪ドルですが、少し大きな下押しとなっており、流れが変わる可能性にも注意が必要となりそうです。まずは、下押しがどの程度続くか、反発に転じた際はどの程度の反発になるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。
【AUD/USDの4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
先週火曜日時点の投機筋の通貨先物市場における豪ドルのポジションは前週から横ばいとなり、引き続き売買の偏りが少ない状況が続いており、今後、売買の偏りが売買いずれに傾くかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/02/23)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のUS500は上値の重く、反発に転じる場面でも高値を超えることができず失速する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率がやや高い中、下押しにより、含み損を抱えた買いポジションが多く、反発した水準では安堵の決済売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性も考えられそうです。
4時間足チャートを見ると、上値の重い状態が続いており、この流れが続くかに注目したいところです。これまでのように下押しした水準でしっかりと買いが入るか、反発の際は高値更新できるか等に注目しながら、方向感を探っていきたいです。
【US500の4時間足チャート】
表示しているインジケーター:OANDA_Orderbook3、OANDA_Multi_Parabolicの日足、OANDA_Multi_RSIの日足
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