新興国にも緩和マネーの流入が継続⁉(2021年1月4日)
新興国関連の銘柄が上昇中
新型コロナウイルスの感染拡大が続いてはいるものの、主要国の強力な金融緩和の影響により、歴史的な低金利が続く中、金融市場では、株式市場をはじめとするリスク資産への投資が活発化しており、先進国の株式市場はもちろん、新型コロナウイルスの感染拡大前は資金流出が続いていた新興国にも投資資金の流入が続いているようです。
関連する銘柄の値動きを見ると、FX市場では新興国通貨が底堅いほか、CFD市場では新興国の株価指数が堅調な推移となっています。
次のチャートは米ドル/南アフリカランドの週足チャートですが、安値を結んだトレンドラインを割り込む水準まで南アフリカランド高が進んでいます。
【米ドル/南アフリカランド(USD/ZAR)の週足チャート】
次の南アフリカランド/円の週足チャートでも、同様に高値を結んだトレンドラインを一時上抜ける水準まで南アフリカランドが上昇し、対円でも強い推移が続いているのが確認できます。
【南アフリカランド/円(ZAR/JPY)の週足チャート】
株価指数CFDでは底堅い銘柄が多いですが、最近ではTWIX(台湾株価指数)やINDIA50(インド株価指数50)等の底堅さが目立っています。
【TWIXの週足チャート】
アジア・オセアニアの株価指数の直近3カ月の変動率を比較すると、日経(JP225)も比較的強いですが、INDIA50、TWIXの上昇も目立っています。
【アジア・オセアニアの株価指数の2020年9月からの変化率】
依然として新型コロナウイルスの感染者の拡大が続く中、変異種が発見されるなど、リスク要因も残っており、先が見えにくい状況がではありますが、主要国の強力な金融緩和の影響により、過去に例がないほどの低金利状態が続いており、今後もしばらく続くことが予想されています。
このため、高い利回りを求めて債券市場から株式市場や新興国市場へ向けての投資資金が向かうという流れが続いています。
このリスクオンの地合いがまだまだ続くのか、バブルの崩壊が近いのかは現時点ではわかりませんが、これらのデータに日々注目していると、市場の大きな流れの変化に気づくことができるかもしれません。
直近30日間の主要通貨の強弱
米国の追加経済対策、中国とEUの投資協定合意への期待感、根強い 主要国の金融緩和長期化観測により、リスク許容度が高い状況が続いており、FX市場では米ドル、円が弱いのに対し、豪ドルが底堅い推移が続いています。
英国とEUの通商協議への警戒感により上値が圧迫されていたポンドも終盤にかけては合意に向けた期待感、年内の合意達成により、徐々に盛り返す動きとなりました。
ただし、直近では英国をはじめとする各国で、感染力のより強い新型コロナウイルスの変異種の発生が報じられており、今後は感染拡大による経済への影響に注意が必要となりそうです。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
【直近30日間の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の株価指数の増減率
米国市場
米国の株価指数は新型コロナウイルス用のワクチン、主要国の強力な金融緩和への期待感等により、緩やな上昇基調が続いています。米国の株価指数の中でもRussel2000(US2000)が高い上昇率となりました。
欧州市場
欧州の株価指数は底は堅いものの、新型コロナの感染拡大に歯止めがかからないこと、変異種の発生への警戒感、英国とEUの通商協議難航への警戒感等から伸び悩む推移となりました。
アジア・オセアニア市場
アジア、オセアニアの株価指数は日経225(JP225)、台湾、インド、中国が底堅いのに対し、オーストラリア、シンガポールは横ばい推移が続いています。これまで伸び悩む動きが続いていた香港も先週は底堅い動きとなりました。
主要銘柄の相関性分析
直近1カ月の主要銘柄の相関性を見ると、USD/JPYは対EUR/USD、GBP/USD、AUD/USD、NZD/USDとの関係で逆相関の関係、USD/CAD、USD/CHF、USD/ZAR、USD/CNHの関係では相関関係が強いほか、その他通貨ペアの組み合わせを見ても概ね対米ドルでは同じ方向を向いており、ドル中心の動きとなっていたのが確認できます。
ただし、英国とEUの通商協議に関する報道等で一喜一憂する場面が多かったGBP/USDやUSD/CADは比較的相関性の薄い動きとなりました。
【直近1カ月の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
【直近1カ月間のドル円、クロス円の相関性】
米ドル円とクロス円の相関関係を見ると、USD/JPYとAUD/JPY、ZAR/JPYとは逆相関の関係が比較的強いほか、EUR/JPYやGBP/JPYとの関係でも逆相関がやや強い関係となり、ドル円の値動きとクロス円の相関性がなく、むしろ逆相関性の方が強い相場が続いています。
ドル円と他のクロス円の関係に対し、クロス円同士はEUR/JPYとAUD/JPY、ZAR/JPYなどを中心に多少の相関性を見出すことができます。ただし、 CAD/JPYやCHF/JPYは他のドル円、クロス円とも相関性が薄い推移となりました。
続いて、主要なドルストレート、クロス円と代表的な米国の株価指数であるUS500(S&P500)の直近1カ月の相関性をチェックしてみましょう。
US500とドルストレートの通貨ペアの間の相関性はEUR/USD、GBP/USD、AUD/USDとの関係では相関性、USD/JPYとの関係では逆相関性が強く、米国株式市場が上昇すると米ドル売り、米国株式市場が下落すると、米ドル買いという動きになっていたのが確認できます。
株式市場が下落し、リスク許容度が低下すると円買いというイメージが強いですが、直近1カ月のFX市場では、リスク許容度が低下すると、米ドル買が強まり、ドル円は上昇となり、逆に株式市場が上昇し、リスク許容度が拡大する場面では、米ドル売りが強まり、ドル円は下落という傾向があるようです。
また、クロス円とUS500の相関性を見ると、ドルストレートの通貨ペアに比べると少し弱いですが、相関性を見出すことができ、株式市場が上昇しリスク許容度が高まる場面では、クロス円は上昇しやすく、株式市場が下落し、市場のリスク許容度が低下するような局面では、クロス円は下落する傾向があり、米ドル以外に対しては依然として円はリスク許容度拡大の場面では弱い傾向があるようです。
まとめると、直近1カ月の市場では、株式市場が下落し、リスク許容度が低下する局面における通貨の強弱は米ドル>円>その他通貨、株式市場が上昇し、リスク許容度が拡大する局面では逆にその他通貨>円>米ドルとなる傾向があり、今後もこのような傾向が続くかもしれません。
【直近1カ月間の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、通貨先物市場のポジションから見る主要銘柄の動向
FX
米ドル/円(USD/JPY)
クリスマス後の米ドル/円は上値の重い状況が続き、103円台前半で2020年を終える動きとなりました。
大きな流れでは緩やかな下落基調が続く中、OANDAのオープンポジションは買いポジションの比率が68.5%まで上昇し、その多くが含み損を抱えている状況です。このため、反発した水準では、安堵の利益確定売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、下押し余地は残されているように見えます。
直近の安値水準の下や高値を結んだライン、直近の高値水準等、突破すると売買双方のポジションの損切りが増えそうな水準での攻防には注意したいです。
OANDAの顧客のポジションが円売りに傾いているのに対し、年末年始を挟み、最終の更新日が12月21日分と少し古いデータではありますが、投機筋の通貨先物ポジションは依然として、円買いが優勢な状況が続いています。
通貨先物のポジションはトレンドフォロー型のポジションが多いことで知られており、今後も円買いに傾く状況が続くのかを見守りながら、ドル安トレンド継続の可能性を探っていきたいです。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2020/12/21)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
年末のユーロ/米ドルは底堅い推移が続き、一時は1.23台に乗せる動きとなった後、週末には失速し、1.22台後半で2020年を終えました。
OANDAのオープンポジションを見ると、高値圏での推移が続いていることもあり、売りポジションの比率が高く、その多くが含み損を抱えている状況が続いており、引き続き、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、これらのポジションの損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
一方で直近の下押しにより、含み損を抱えた買いポジションも増えており、上昇した水準では安堵のやれやれ売り、安値を切り下げる動きとなると損切りの売りが増え、上値の重い推移となる可能性も考えられそうです。
大きな流れでは上昇基調が続いていますが、しっかりと高値を切り上げることができるか、下押しの際は直近のサポート水準や過去のレジスタンス水準等を守れるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
OANDAのオープンポジションがユーロ売りに傾く状況が続いているのに対し、ユーロの投機筋の通貨先物ポジションは、依然としてユーロ買いポジションが優勢な状況が続いています。ただし、ユーロ売りのポジションの微増も続いており、今後の推移に注意が必要となりそうです。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2020/12/21)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンド/米ドルは底堅い推移が続き、1.36台後半で2020年を終えました。
OANDAのオープンポジションを見ると、上昇基調が続いていることもあり、売りポジション比率が優勢な中、その多くが含み損を抱えている状況です。このため、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができます。
大きな流れでは上昇基調が続いていますが、しっかりと前週の高値を突破できるか、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
OANDAのオープンポジションはポンド売りに傾いているのに対し、通貨先物市場のポジションは買いポジションが少し優勢な状況が続いています。出来高の微減が続いていることからも手を出しにくいと判断されているのかもしれません。今後、傾き、出来高がどのように変化していくかを見守りたいです。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2020/12/21)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは序盤に底堅い推移が続き、高値を切り上げる動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、上昇基調が続いていることもあり、売りポジションの比率が多く、その多くが含み損を抱えており、下押しした水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
一方で直近の下押しで含み損を抱えた買いポジションも少し出ており、下押しが続くと、これらのポジションの損切りの売りが増える可能性にも少し注意が必要となりそうです。
今週も高値を切り上げることができるか、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
OANDAのオープンポジションが豪ドル売りがやや優勢なのに対し、豪ドルの投機筋の通貨先物ポジションも売買双方のポジションが減少となる中、売りポジションがやや優勢な状況が続いていますが、直近(12月21日時点)では豪ドル買いのポジションも増えており、売買の比率の逆転の可能性も出てきており、今後のポジションの変化に注目したいです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2020/12/21)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のS&P500は底堅く、最高値を更新する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションの比率が62.2%まで上昇しており、下押した水準では前週のように安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことはできそうです。
ただし、上昇の勢いが和らいでいるようにも見えるため、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか、高値をしっかりと切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
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