ブルーウェーブ実現でリスクオン継続⁉(2021年1月11日)
先週はブルーウェーブ実現で株高、米国債利回り上昇、米ドル反発
先週は米国のジョージア州の連邦議会上院の決選投票に注目が集まりました。結果は民主党が勝利し、大統領、上下院を民主党が支配するブルーウェーブ状態となりました。
先週の金融市場では、このブルーウェーブ実現を受けて、バイデン次期大統領による政策の実現可能性が高まり、追加の政策への期待感から株式市場が底堅い推移となったほか、債券市場では、財政出動による国債発行が増える可能性が意識され、米国債利回りは上昇となりました。
また、米国債利回りの上昇を受けて、FX市場では、弱い推移を続けていた米ドルが反発する動きとなりました。
英国、日本株の伸びしろに注目!?
株式市場はFRBをはじめとする主要中央銀行の強力な金融緩和を背景に、リスクオン相場が続く中、今回のブルーウェーブ実現でさらなる資金が市中に投下されることが予想され、今後底堅い状態が続く可能性が考えられそうです。
先週は株式市場全体が強い中、史上最高値を更新し続けている米国株よりも、昨年は英国とEUの通商協議を警戒し、伸び悩む動きとなった英国株、歴史的に伸び悩む状態が続いていた日本株の割安感が意識され、比較的高いパフォーマンスで推移しており、今後も底堅い推移が続くかに注目したいところです。
このほか、コロナ禍からいち早く回復の兆しを見せている中国株も高い上昇率となりました。
ただし、いずれも金融緩和の影響や数年先の業績改善予想までを既に織り込んでしまっており、実体経済との乖離を指摘する声もあり、どこかで大きな調整が入る可能性も考えられるため、値動きの変化には注意したいです。
そういう意味では、先週の米国債利回りの上昇のような動きには少し警戒が必要かもしれません。今週も上昇が続くか、株式市場、FX市場の値動きの流れに変化がないか併せてを見守りたいです。
また、今週は米国の追加の経済政策の規模、パウエルFRB議長のコメント、クリスマス商戦の影響が反映される米国小売売上、米国消費者物価指数等に注目が集まりそうです。
【ドル円、S&P500、米国10年債利回りの動き】
直近30日間の主要通貨の強弱
直近30日間の通貨の強弱では、依然として米ドル、円、スイスフランが弱く、豪ドル、ポンド、NZドルが強いリスク選好型の動きが続いています。
ただし、週後半にかけては、前述の通り米国債利回りが上昇したことを受けて、米ドルが少し反発する動きとなっています。今週は、この米ドルの反発がどの程度続くかに注目したいところです。
【直近30日間の主要8通貨の通貨の強弱チャート】
【直近30日間の主要8通貨の通貨別の騰落率】
直近30日間の株価指数の増減率
米国市場
先週の米国の株価指数はいずれもジョージア州の投票結果を受けて底堅い推移となりました。直近30日では、依然としてRussel2000(US2000)の上昇率が他の米国株価指数よりも高い状況が続いています。
欧州市場
欧州の株価指数も底堅い推移が続き、いずれも上昇となりました。欧州株式の中では年初からは昨年は伸び悩んだ英国FTSE100(UK100)の上昇が目立っています。
【昨年1月からの主要株価指数とUK100の比較】
アジア・オセアニア市場
アジア、オセアニアの株価指数も底堅い推移となりましたが、中国、台湾は週末にかけて利益確定に押されるような動きとなる場面がありました。これに対し、日経225(JP225)はバブル崩壊以来の高値を切り上げる動きが続いています。
主要銘柄の相関性分析
直近1カ月の主要なドルストレートの通貨ペア同士の相関性は引き続き、USD/JPYは対EUR/USD、GBP/USD、AUD/USD、NZD/USDとの関係で逆相関の関係、USD/CAD、USD/CHF、USD/CNHの関係では相関関係が強く、主要通貨は対米ドルでは概ね同じ方向を向いており、ドル中心の動きが続いているようです。
【直近1カ月の主要ドルストレート通貨ペアの相関性】
米ドル円とクロス円の相関関係を見ると、USD/JPYとEUR/JPY、AUD/JPY、CHF/JPYとは逆相関の関係がやや強いほかは相関性を見出すことができず、ドル円が下落すれば、クロス円が下落する、ドル円が上昇するとクロス円も上昇という関係ではなく、むしろ逆の動きになることが多いようです。
ドル円と他のクロス円の関係に対し、クロス円同士はEUR/JPYとAUD/JPY、CHF/JPYなどを中心に多少の相関性を見出すことができます。
【直近1カ月間のドル円、クロス円の相関性】
ただし、先週のドル円とクロス円の相関関係を見ると、ドル円と南アフリカランド円を除くクロス円の相関性が高い動きに変化しており、相場の流れが少し変わってきている可能性が考えられ、今後の変化に注目したいところです。
これまでは株式市場が上昇すると、リスクオンのドル売りでしたが、先週は米国債利回りの上昇に併せて、ドル買いが強まる展開となっており、リスクオン→ドル売りの流れに少し変化が生じているのかもしれません。
【先週のドル円、クロス円の相関性】
続いて、主要なドルストレート、クロス円と代表的な米国の株価指数であるUS500(S&P500)の直近1カ月の相関性をチェックしてみましょう。
US500とドルストレートの通貨ペアの間の相関性は前週と同様にEUR/USD、GBP/USD、AUD/USDとの関係では相関性、USD/JPYとの関係では逆相関性が強く、米国株式市場が上昇すると米ドル売り、米国株式市場が下落すると、米ドル買いという動きになっていたのが確認できます。
また、クロス円とUS500の相関性を見ると、ポンド円を除き高い数値となっており、EUR/JPYとAUD/JPYは株式市場の値動きに近い動きとなっていたようです。
【直近1カ月間の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
ただし、こちらも先週の相関性を見ると、株式市場とドルストレートの銘柄の相関性を見出すことは難しいのに対し、クロス円との相関性は高い数値となっており、リスクオン→ドル売り、リスクオフ→ドル買いという流れに変化が生じていることを示しています。
【先週の主要銘柄と米国株価指数の相関性】
OANDA、通貨先物市場(FX)のポジションの動向
FX
米ドル/円(USD/JPY)
先週の米ドル/円は序盤こそ上値の重い推移となったものの、後半は米国債利回りの上昇に併せて底堅い推移が続き、一時は104円台に乗せる水準まで反発する動きとなりました。
日足チャートを見ると、大きな流れは依然として下落基調く中、OANDAのオープンポジションを見ると、買いポジションの比率が高い状態が続いているものの、直近の反発により、含み損を抱えた売りポジションが目立っており、反発地合いが続くと、これらのポジションの損切りの買いを絡めた上昇に注意が必要となりそうです。
投機筋の円の通貨先物ポジションは前週よりも円買い、円売り双方が少し増加していますが、売買のバランスは前週から大きな変化はなく、円買いが優勢な状況が続いています。
【投機筋の通貨先物市場の円のポジションの推移(最終更新日2021/01/05)】
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
先週末のユーロドルは後半は上値が重く、下押す動きが続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、高値圏での推移が続いていることもあり、売りポジションの比率が高いですが、直近の下押しで苦しくなった買いポジションも増えており、再度高値を探る動きとなった場合は安堵の利益確定売り、下押しが続くと、これらのポジションの損切りの売りが増え、上値の重い推移が続く可能性を見出すことはできそうです。
大きな流れでは依然として上昇基調と考えられますが、しっかりと高値を切り上げることができるか、下押しの際は直近のサポート水準や過去のレジスタンス水準等を守れるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
OANDAのオープンポジションがユーロ売りに傾く状況が続いているのに対し、投機筋のユーロの通貨先物ポジションは、先週火曜日時点でも大きな変化はなく、ユーロ買いポジションが優勢な状況が続いています。
【投機筋の通貨先物市場のユーロのポジションの推移(最終更新日2021/01/05)】
ポンド/米ドル(GBP/USD)
先週のポンド/米ドルは高値圏に踏みとどまっているものの、伸び悩む動きが続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りはほとんどありませんが、直近の伸び悩みで苦しくなった買いポジションが少し目立っており、上値を探る動きとなると、利益確定の売り、安値を切り下げる動きとなると、損切りの売りが増え、下落を後押しすることが想定され、上値の重い推移となる可能性を見出すことができそうです。
大きな流れでは依然として上昇基調が続いていますが、しっかりと前週の高値を突破できるか、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
OANDAのオープンポジション同様に通貨先物市場のポジションも売買の偏りは少なく、売買の力が均衡する状態が続いています。
【投機筋の通貨先物市場のポンドのポジションの推移(最終更新日2021/01/05)】
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
先週の豪ドルは底堅い推移が続きました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の偏りは少ない中、底堅い推移が続いているため、含み損を抱えた売りポジションが多く、下押しの際は安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことができそうです。
一方で直近の伸び悩みで含み損を抱えた買いポジションも少し出ており、下押しが続くと、これらのポジションの損切りの売りが増える可能性にも少し注意が必要となりそうです。
今週も高値を切り上げることができるか、下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
OANDAのオープンポジションは売買の偏りがほとんどないのに対し、投機筋の通貨先物のポジションも偏りが少ない状況が続いています。前週は売買双方が微増となっており、今後は均衡がいずれに崩れるかを見守りたいところです。
【投機筋の通貨先物市場の豪ドルのポジションの推移(最終更新日2021/01/05)】
CFD
米国S&P株価指数500(US500)
先週のS&P500は前週に続き底堅く、最高値を更新する動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売りポジションの比率が63.6%まで上昇し、そのほとんどが含み損を抱えており、下押した水準では安堵の買い戻し、高値を切り上げる動きとなると、損切りの買いが増え、底堅い推移が続く可能性を見出すことはできそうです。
ただし、上昇基調が続いているため、短期的には利益確定の売りも出てくる可能性にも少し注意が必要となりそうです。下押しの際は安値を結んだラインや直近のサポート水準を守れるか、高値をしっかりと切り上げることができるか等に注目しながら、上昇基調継続の可能性を探っていきたいです。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。