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日銀のバランスシートをのぞいてみよう


日銀のバランスシートとは?


日銀(日本銀行)は日本の中央銀行です。中央銀行とは、一般の銀行とは異なり、その国の通貨の流通量を管理し、物価を安定させるという役目を持っている特別な機関です。

中央銀行のバランスシート(貸借対照表)は中央銀行の行う金融政策や業務の結果が反映されています。

具体的には、景気を刺激するために、金融緩和を行い、国債などの資産を購入すると、バランスシートの国債等の資産の項目が増加するの対し、日銀にとっては、負債となる当座預金の残高も増加し、バランスシートが拡大します。

逆に、景気過熱を抑制するための金融引き締めにより、国債等の資産の売却を行うと資産の項目は減少し、国債の資産の項目は減少するのに併せ、負債となる当座預金の残高も減少し、バランスシートが縮小するという関係になります。

 

【金融緩和、金融引締め時の日銀のバランスシートのイメージ】

日銀のバランスシート

 

このため、バランスシートの変化をチェックすると、中央銀行の金融政策の状況、世の中に出回っているお金の量を把握することができます。

次のグラフは、日銀のバランスシートの資産側の推移を示したものです。

右肩上がり推移が続いていますが、これは、ここ数年続いている大規模な金融緩和により、国債やETFなどの資産を市場から、日銀が買い取った結果により、資産が増加したことを示しています。

 

【日銀のバランスシートの資産の部の推移】

日銀のバランスシート

 

その一方で、資産を購入した代金として、市中にお金が供給されるため、負債の部では、当座預金残高が増加しています。

簡単に言えば、世の中に出回っているお金が増えたということです。

【日銀のバランスシートの負債、資本の部の推移】

日銀のバランスシート

 

次のグラフは、国債の保有量の推移のみを表示したものです。ここでは、強力な金融緩和により、国債の保有量が大幅に増加しているのが確認できます。

また、直近では、中長期の金利を下げるために短期国債の保有量を減らし、長期国債の保有量を増やしているといったことも確認できます。

日銀のバランスシート

 

また、国債と併せて購入されている、ETF(指数連動型上場投資信託)や不動産投資信託の保有量も同様に右肩上がりで増加しているのも確認できます。

日銀のバランスシート

 

なぜ、日銀がこのような金融政策を行っているかというと、日本の物価上昇率が低いからです。

日本の物価上昇率は、安定した経済成長に必要とされる前年比2%程度を下回る状態が長く続いています。

このため、日銀は金融緩和を行い、物価を上昇させようとしています。

具体的には、国債等の債券を買うことで、金利を低下させ、お金を借りやすくします。

また、ETFなどを購入することで、株価を下支えしながら、市場にお金を供給します。

これにより、景気を改善させ、結果として、モノの値段を上げようと考えています。

ただし、今のところ、物価の上昇はそれほど進んでおらず、効果を疑問視する声が上がっているほか、政策の副作用も指摘され始めています。

FX市場では、基本的には、ある国の中央銀行が金融緩和を行うと、その国の通貨は他の国に比べ、下落しやすいという傾向があります。

他の主要国の中央銀行のとの金融政策の差にもよりますが、ドル円をはじめとする円絡みの通貨ペアの取引を行うのであれば、まずは日本の中央銀行がどのような金融政策を行っていて、バランスシートがどのような状況になっているかをチェックしておくと、今後の値動きの予想に役立つかもしれません。

 

日銀のバランスシートの状況は日銀のウェブサイトで確認することができるほか、OANDAラボのウェブサイトの国別経済指標のページの中でも主要国の中央銀行のバランスシートの推移をチェックすることができます。


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