Tickチャートを使用し、FX市場での短期トレード戦略を構築する
Tickチャートとは?
Tickチャートは時間の経過と共に左へ移動していく通常のローソク足と異なり、設定した一定のティック(価格の更新)があった場合に左へスライドするチャートで、FXの短期トレーダーに人気のチャートです。
一定のティック数で更新するチャートであるため、価格の更新頻度の少ない場面ではローソク足が次の足に移動するまでに時間がかかり、価格の更新頻度の高い場面では次の足に移動するまでの時間は短くなります。
Tickチャートは価格更新頻度に関わらず、均等な時間で移動する通常のローソク足と比べ、価格の方向性が掴み易いという特徴があります。
OANDAではFXの短期トレード用にMT4(メタトレーダー4)でTickチャートを表示するインジケーターを配布しています。
MT4用Tickチャートインジケーターのダウンロードはこちら
FX市場での短期トレード戦略の構築
今回はOANDAのTickチャートを用いて、FX市場での短期のトレード戦略について考えてみたいと思います。
FXの短期売買では自分なりにルールを構築することが重要です。
相場の状況は日々変化します。
FX初心者の方は、自分でルールを作り、自分なりのルールに変更を加えながら自分なりの取引スタイルを確立できるようになることをまずは目指しましょう。
今回はTickチャートを使用したドル円の短期トレードのルール作りの例を挙げてみたいと思います。
Tickチャートの設定では今回、FX短期トレーダーに人気の高い70Tickを1本の足とするTickチャートを使用します。
また、併せて指数移動平均線を表示させエントリーポイントを探ってみたいと思います。
設定画面では次のように設定します。
<今回の作戦では20に設定した指数移動平均線(EMA)の向き、ローソク足の終値に注目してエントリーポイントを探ってみることにします。
まずは基本的な戦略を考えます。
基本戦略
【エントリーのタイミング】
EMAが上向きで移動平均線にタッチもしくは下抜けてからTickチャートが終値でEMAの上に戻ってきた場合(陽線)に次の足で買いでエントリー
EMAが下向きで移動平均線にタッチもしくは上抜けてからTickチャートが終値でEMAの下に戻ってきた場合(陰線)に売りで次の足でエントリー
【利益確定と損切りの水準】
利益確定は5Pipsとします。
損切りは直近の安値の1pip下(買いでエントリーの場合)、直近の高値の1pip上(売りでエントリーの場合)
損切りまでの水準が5pips以上ある場合はエントリーを見送ります。
(注)戦略はあくまでも一例です。必ず勝てるということを保証するものではありません。
実戦
この内容でエントリーポイントを考えると次のようになります。
印の内容は次の通りとなります。
赤の下向き三角形が売りでエントリーのポイント
青の上向き三角形が買いでエントリーのポイント
赤の点線が損切り水準
黄色の点線が利益確定水準
①EMAが下向きでEMAにタッチし下落したため、次の足でエントリーしています。5pipsの利益をしっかりと獲得することができています。
②①同様にEMAが下向きでEMAにタッチした後下落したため、次の足でエントリーしましたが、-5pipsの損切りに引っかかってしまっています。
③EMAがしっかりと上向きに変わった後にEMAにタッチし反発したため、買いでエントリー。ギリギリ5Pipsの利益確定。
④EMAが上向きとなっている状態を維持したまま移動平均線を下抜けたものの次の足ですぐに反発したためエントリー。利益確定ライン、損切りラインいずれにも届かず。
⑤④同様に移動平均線を割り込むもののすぐに反発する動きとなったため買いでエントリー。5pipsの利益確定。
⑥移動平均にタッチし、反発したためエントリー。ストップが近かったため-3pipsの損失
続き
続いて、今回のエントリールールには加えていませんが、⑦の部分で比較的典型的なな売りパターンが出てきましたのでご案内します。
高値圏でのダブルトップです。
高値の更新に失敗し、直近の安値(ネックライン)を割り込み、その部分がレジスタンスとなり、再度下落というパターンです。
このパターンは短期で買っていた参加者の心が折れるポイントの一つです。
このような場合は売りでエントリーすると勝率が高いという傾向があります。
続いて
⑧EMAがしっかりと上向いた後、EMAにタッチし陽線となっているので買いでエントリー。ギリギリ5pipsの利益確定となりました。
⑨EMAが上向きを維持したままEMAに価格がタッチし反発したため買いでエントリー。5pipsの利益確定となりました。
以上⑦を抜くと8回トレードして5勝2敗1引き分けとなりました。ざっくりとしたPips損益では+17pips程度の利益となっています。
いつもこのような成績となるとは限りませんが、なんとか戦略としては機能しそうです。
引き分けとしたのは④の取引です。そのまま持って入ればストップにかからず、+5pipsとなったのですが、途中揉み合いとなってしまったので±ゼロ付近での撤収としました。
ルールの追加・修正
このような短期トレードの戦略で少し注意したいのは強いレジスタンス、サポートがある場合です。
今回も、111.40付近に上値を数回ブロックしているレジスタンスがあり、買いで持っている場面でストレスを感じました。
このようなレジスタンス、サポートが付近にある場合は注意が必要です。再度この水準がサポート、レジスタンスとなるような場合には損切り水準となっている5pips程度は押し戻される可能性が高まります。
そのような水準がある場合は何回目のトライであるかどうかなどを基準に検討するとよいと思います。
2回機能している水準は3回目でも跳ね返す可能性は高そうですが、4回目、5回目のトライとなると破られる可能性も高まり、また抜けた後の動きも大きくなる傾向があります。
また、上記④の取引のような場合の対処法も決めておいた方が良いと思います。
そのまま保有でも今回のようにリミット到達となる可能性もあり、損失も限定されているため、そのまま保有というのも一つの手です。
また、含み益が一定数増えたら損切り水準を±0付近まで動かすという手も挙げられると思います。今回はそのようにしました。
そして、この戦略が上手く機能しないパターンの一つに次の例のように値動きが狭いレンジ内で膠着してしまう場面があります。
このような場合もこのレンジをしっかりと抜けるまではトレードを見送る必要がありそうです。
このことをルールに加えた例は以下のようになります。
【追加ルール】
レジスタンス、サポートを確認した場合は回避を検討する。
利益が3pips以上になった時点でストップを±0までスライド。
狭いレンジ推移に陥った場合はレンジを抜けるまでエントリーしない。
このようにトレードルールを自分なりに定めていくと、徐々に改善しなければならない点が見えてきます。
それを元に実戦を行い、トレードルールを確立していきます。
自分で考えて作ったルールであれば、どこが問題があり、どこを改善すればよいのかを見つけ易くなると思います。
まとめ
FXのトレード戦略の構築は基本戦略の作成、実戦(デモでも可)、戦略の追加・変更を繰り返すことが重要。
自分なりにルールを定める必要があります。ライフスタイルによりFXトレードに費やせる時間などは人それぞれです。また、自分で考えて作ったものでなければ、どこを改善すればよいか分からなくなってしまいます。
コツコツと努力することが大事です。
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