テクニカル分析とは|基本的な種類や使い方などを初心者向けに詳しく解説
テクニカル分析とは、過去の値動きを分析し、将来の値動きを予測する相場分析方法です。
FX取引において非常に重要であり、基本的なやり方を理解しておくことが必要です。
また、テクニカル分析と並んで重要な方法として、ファンダメンタルズ分析も挙げられます。
本記事では、ファンダメンタルズ分析との違いも含め、テクニカル分析の意味ややり方、よく用いられる指標などを解説します。
目次
- 1.テクニカル分析とは
- 2.テクニカル分析を動画で解説
- 3.テクニカル分析の基本知識
- 4.テクニカル分析の種類と使い方
- 5.テクニカル分析を使う際の注意点
- 6.テクニカル分析を組み合わせた取引の例
- 7.テクニカル分析に関するOANDAのサービス一覧
- 8.テクニカル分析に関するQ&A
- 9.【まとめ】テクニカル分析とは|基本的な種類や使い方などを初心者向けに詳しく解説
テクニカル分析とは
テクニカル分析とは、過去の値動き(チャートの推移)を分析した上で、将来の価格変動を予測する分析手法です。
主にチャートを用いて分析するため、「チャート分析」と呼ばれることもあります。
過去の値動きは理由なくランダムに生まれたものではなく、トレーダーの投資心理や行動の結果が反映されたものです。
そのため、過去に類似した値動きの傾向やチャートパターンが見られれば、将来も同様の値動きが生まれる可能性があると考えられます。
また、投資家心理を利用した相場予測ができる場合もあります。
テクニカル分析で用いる指標は、テクニカル指標(インジケーター)と呼ばれます。
代表的なテクニカル指標は、移動平均線、一目均衡表、ボリンジャーバンド、ストキャスティクスなどです。
テクニカル分析を動画で解説
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テクニカル分析の基本知識
テクニカル分析の基本となる、ローソク足、サポートライン・レジスタンスラインについて解説します。
- ・ローソク足
- ・サポートライン・レジスタンスライン
ローソク足
チャートの表示方法にはいくつかあり、日本で最も有名なのはローソク足チャートです。
ローソク足はその名の通り、蝋燭(ろうそく)のような形をしたチャートです。
1本の足で「始値」「高値」「安値」「終値」を確認でき、何本かを組み合わせることでトレンドや転換点を分析できます。
始値よりも終値が高いローソク足を「陽線」、逆に始値よりも終値が低いローソク足を「陰線」と呼びます。
色分けして表示されるため、初心者でも相場分析をしやすいのが特徴です。
ローソク足については、以下の記事でも解説しています。
サポートライン・レジスタンスライン
出典:TradingView
チャートで値動きを確認すると、特定の水準まで上昇または下落するたびに、値動きが反転している箇所が見つかります。
下落が反転する水準は、安値を結ぶことで視覚化されます。
この線をサポートライン(下値支持線)といいます。
為替レートがサポートラインまで下落すると、近い将来に反発上昇すると期待できます。
また、上昇が反転する水準は、高値を結ぶことで視覚化されます。
この線をレジスタンスライン(上値抵抗線)といいます。
為替レートがレジスタンスラインまで上昇すると、近い将来に反転下落すると予測可能です。
【山中康司氏監修】
サポートライン・レジスタンスラインの基本的な見方やトレーディングアイデアを紹介
テクニカル分析の種類と使い方
テクニカル分析を行う際には、一般的にテクニカル指標を用います。
テクニカル指標とは、将来の値動きを予想するために用いる指標(グラフやライン)のことです。
テクニカル指標を大別すると、以下の3種類に分けられます。
トレンド系 | トレンドの発生や転換など相場の方向性を分析する |
オシレーター系 | 買われすぎ・売られすぎを分析する |
出来高系 | 約定した売買数量から相場を分析する |
トレンド系指標
トレンド系指標は、相場のトレンドを判断するために用いられます。
以下のようなテクニカル指標が代表的です。
- ・移動平均線
- ・ボリンジャーバンド
- ・一目均衡表
- ・DMI(Directional Movement Index)
- ・パラボリック
- ・フラクタル
- ・エンベロープ
それぞれの指標の特徴や、使い方を解説します。
移動平均線
出典:TradingView
移動平均線は、一定期間の為替レートを平均して線で結んだグラフです。
線の向きや角度から、現在の相場が上昇トレンドなのか、下落トレンドなのか、どちらでもないのかなどを判断できます。
また、ローソク足と線の位置関係から、トレンドの方向性や強弱を読み取ることもできます。
英語では、Moving Average(MA)と訳します。
【山中康司氏監修】
移動平均線の基本的な見方・使い方、トレーディングアイデアを紹介
ボリンジャーバンド
出典:TradingView
ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心としてその上下に標準偏差のバンドを描画したテクニカル指標です。
「為替レートの大部分はバンドの中に収まる」という特徴があります。
ボリンジャーバンドでは、バンドのスクイーズ(収縮)やエクスパンション(拡大)から、トレンドの発生や継続、終了などを読み取ることができます。
【山中康司氏監修】
ボリンジャーバンドの基本的な見方、使い方、トレーディングアイデアを紹介
一目均衡表
出典:TradingView
一目均衡表は、売り手と買い手の均衡を一目で読み取ることができるテクニカル指標です。
5本のライン(転換線・基準線・先行スパン1・先行スパン2・遅行スパン)を使って分析します。
また、時間論、波動論、水準論(値幅観測論)の3つの理論に基づいています。
「売り手と買い手のバランスが崩れたときに相場は大きく動く」と考えるのが特徴です。
DMI(Directional Movement Index)
出典:TradingView
DMI(Directional Movement Index)は、上昇を表す「+DI」、下降を表す「-DI」、トレンドの強さを表す「ADX」の3つで構成されています。
価格が上昇すると「+DI」と「ADX」が上昇し、価格が下落すると「-DI」と「ADX」が上昇します。
つまり「+DI」と「ADX」が上昇すると買い目線、「-DI」と「ADX」が上昇すると売り目線と判断することが可能です。
【山中康司氏監修】
DMIとADXの基本的な見方、使い方、トレーディングアイデアを紹介
パラボリック
出典:TradingView
パラボリックは、ローソク足の上または下に放物線状のドット(ライン)を表示するテクニカル指標です。
主にトレンド転換の分析で用いられます。
放物線はSAR(Stop And Reverse)といい、このSARと価格が交差するポイントが、トレンドの転換点を示します。
フラクタル
出典:TradingView
フラクタルは、高値には上向きの矢印マーク、安値には下向きの矢印マークが表示されるテクニカル指標です。
高値のマークを「UPフラクタル」、安値のマークを「DOWNフラクタル」と呼びます。
目立つ高値と安値にそれぞれマークがつくため、トレンドラインを引く際の目安として使うことも可能です。
【山中康司氏監修】
フラクタルの基本的な見方、使い方、トレーディングアイデアを紹介
エンベロープ
出典:TradingView
エンベロープは、移動平均線の上下に一定の幅で乖離させた線を引き、バンド幅として表示するテクニカル指標です。
基本的な使い方は、為替レートが上下どちらかの線に到達するとトレンド反転のサインとみなし、「上限のバンドに到達したら売りシグナル」「下限のバンドに到達したら買いシグナル」と考えます。
エンベロープとは|見方・使い方やボリンジャーバンドとの違いなどを解説
オシレーター系指標
オシレーター系指標は、相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を判断するために用いられます。
以下のテクニカル指標などが代表的です。
- ・RSI(Relative Strength Index)
- ・RCI(Rank Correlation Index)
- ・CCI(Commodity Channel Index)
- ・MACD(Moving Average Convergence Divergence)
- ・ストキャスティクス
- ・サイコロジカルライン
- ・ウィリアムズ%R
- ・モメンタム
それぞれの指標の特徴や使い方を解説します。
RSI(Relative Strength Index)
出典:TradingView
RSI(Relative Strength Index)は、日本語で「相対力指数」と呼ばれます。
RSIは0%~100%の範囲でラインを表示し、一般的に70%以上で買われすぎ、30%以下で売られすぎと判断されます。
【山中康司氏監修】
RCI(Rank Correlation Index)
出典:TradingView
RCI(Rank Correlation Index)は、時間と価格の相関関係を表す指標で、相場の過熱感や、投資家心理の変化を推し量るのに役立ちます。
RCIは、±100%の範囲でラインを表示するテクニカル指標です。
RCIが+100%付近で推移した後に下がってくれば売り、-100%付近で推移した後に上がれば買いと判断します。
【山中康司氏監修】
CCI(Commodity Channel Index)
出典:TradingView
CCI(Commodity Channel Index)は、日本語で「商品チャンネル指数」と呼ばれます。
統計学の平均偏差の考え方を組み込んだテクニカル指標で、「一定期間の平均価格の移動平均から、現在値がどれくらい乖離しているか」を表します。
上限や下限がなく、+100%と-100%を基準として相場分析するのが特徴です。
【山中康司氏監修】
MACD(Moving Average Convergence Divergence)
出典:TradingView
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、日本語では「移動平均収束発散法」と訳されます。
「MACD」「シグナル」が表示されるテクニカル指標で、トレンド系として使われる場合もあります(TradingViewではヒストグラムも表示)。
MACDがシグナルを下から上に突き抜ける現象をゴールデンクロスと呼び、買いサインと判断します。
逆に、MACDがシグナルを上から下に突き抜ける現象をデッドクロスと呼び、売りサインと判断します。
【山中康司氏監修】
MACDの基本的な見方、使い方、トレーディングアイデアを紹介
ストキャスティクス
出典:TradingView
ストキャスティクスは、英語で「Stochastic Oscillator」表記され、日本語に訳すと「推計統計学的なオシレーター」です。
「一定期間の最高値と最安値を基準に、終値の水準を判断する」という指標です。
「%K」と「%D」という2本のラインを表示するテクニカル指標で、80%以上で推移している場合は買われすぎ、20%以下で推移している場合は売られすぎと判断します。
【山中康司氏監修】
ストキャスティクスの基本的な見方、使い方、トレーディングアイデアを紹介
サイコロジカルライン
出典:TradingView
サイコロジカルラインは投資家の心理が表された指標で、「投資家が抱くセンチメント(心理)を数値で表した指標」と言われています。
0%~100%の間でラインを表示するテクニカル指標です。
ラインが75%以上で買われすぎ、25%以下で売られすぎと判断します。
【山中康司氏監修】
サイコロジカルラインの基本的な見方、使い方、トレーディングアイデアを紹介
ウィリアムズ%R
出典:TradingView
ウィリアムズ%Rは、著名投資家ラリー・ウィリアムズが開発したテクニカル指標です。
「一定期間の最高値と最安値の範囲を基準に、直近の終値が相対的にどの水準にあるか」を示します。
0%~-100%の範囲で数値が変動し、-20%以上なら買われすぎ、-80%以下なら売られすぎと判断します。
【山中康司氏監修】
ウィリアムズ%Rの基本的な見方、使い方、トレーディングアイデアを紹介
モメンタム
出典:TradingView
モメンタムは、現在と過去の価格差を分析することで、相場の勢いを判断するテクニカル指標です。
0%よりもラインが上にあれば上昇の勢いが強く、0%よりもラインが下にあれば下落の勢いが強いと判断します。
また、モメンタムの角度が急なほど、トレンドの勢いが強いことを表します。
【山中康司氏監修】
モメンタムの基本的な見方、使い方、トレーディングアイデアを紹介
出来高系指標
出典:TradingView
出来高系指標は、出来高の増減と価格変動を組み合わせて分析する方法です。
主に株式市場で使われる一方、FXやCFDでも利用可能です。
【山中康司氏監修】
出来高系指標の基本的な見方、使い方、トレーディングアイデアを紹介
テクニカル分析を使う際の注意点
FX取引において、100%期待通りに機能するテクニカル分析は存在しません。
テクニカル分析と異なる値動きをすることは、「ダマシ」と呼ばれます。
例えば、移動平均線でゴールデンクロスが発生しても、必ず上昇するとは限らず、下落するケースもあります。
必ず利益を得られる手法や分析方法は存在しないため、常に損失リスクを考慮した取引を意識することが重要です。
テクニカル分析を組み合わせた取引の例
テクニカル分析にはダマシのリスクがあります。
ダマシの対策として、複数のテクニカル指標を組み合わせる分析方法を解説します。
MACDとRSIの組み合わせ
MACDの売買シグナルは、ゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売りです。
一方、RSIの売買シグナルは、70%以上で買われすぎ、30%以下で売られすぎと判断します。
RSIが70%以上で推移しているとき、MACDのデッドクロスを待って売りのエントリーを仕掛けます。
逆に、RSIが30%以下で推移している場合、MACDのゴールデンクロスを待って買いのエントリーを仕掛けます。
出典:TradingView
上のチャートにおいて、RSIが70%以上で推移しており、買われすぎのサインを出しています。
その後、MACDがデッドクロスするのを待って売りを仕掛けます。
このように複数のテクニカル分析を組み合わせることで、ダマシに遭う可能性を軽減できます。
ただし、複数の指標を組み合わせても、確実に成功するわけではないので注意が必要です。
テクニカル分析に関するOANDAのサービス一覧
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- ・オリジナルインジケーターを豊富に提供
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また、このような書籍からの学び方については「FX初心者の勉強方法」の記事で詳しく解説しています。
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テクニカル分析に関するQ&A
テクニカル分析に関する、よくある疑問点について解説します。
- ・テクニカル分析は初心者でも使えますか?
- ・ファンダメンタルズ分析との違いは何ですか?
- ・テクニカル分析とファンダメンタルズ分析のどちらが初心者におすすめですか?
テクニカル分析は初心者でも使えますか?
テクニカル分析は初心者でも使えます。
ローソク足チャートや、テクニカル指標の使い方を覚えれば、値動きの分析ができるようになります。
初心者が使いやすいテクニカル指標には、移動平均線、RSI、ボリンジャーバンドなどが挙げられます。
また、FX初心者の方向けの基礎知識は、以下の記事で詳しく解説しています。
ファンダメンタルズ分析との違いは何ですか?
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の違いは、「何を基に値動きを予測するか」です。
テクニカル分析ではチャートを使用し、値動きの傾向やチャートパターン、テクニカル指標(インジケーター)などを基に分析します。
一方、ファンダメンタルズ分析では、各国の金融政策・経済データ・要人発言・政治情勢など、FX市場に影響を与える様々な要素を基に分析します。
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析を比較すると、ファンダメンタルズ分析はより長期の分析で使われる傾向があります。
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析のどちらが初心者におすすめですか?
テクニカル分析はチャート上の情報のみで分析できるのに対して、ファンダメンタルズ分析は取引する通貨ペアに関する多方面の最新情報を収集する必要があります。
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析はどちらも重要な分析手法であり、双方に優劣はありません。
FX初心者でも、最終的に双方の分析手法を使いこなせるようになることが推奨されます。
まずは相場分析を行いやすいテクニカル分析から始めて、慣れてきたらファンダメンタルズ分析を覚えるようにすると良いでしょう。
【まとめ】テクニカル分析とは|基本的な種類や使い方などを初心者向けに詳しく解説
テクニカル分析とは、過去の値動きを分析し、将来の値動きを予測する分析手法です。
テクニカル分析で用いるテクニカル指標は、「トレンド系・オシレーター系・出来高系」の3種類に大別できます。
多くのテクニカル指標があり、これらを組み合わせることによって、分析の精度を高められます。
さらに、テクニカル分析だけでなくファンダメンタルズ分析も行うことで、中長期の取引でも利益を上げやすくなります。
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