日銀政策決定会合とは?ドル円相場に及ぼす影響について解説
日銀政策決定会合とは?
日本銀行が日本の金融政策を決める会合です。
基本的に年8回(毎回2日間)開催され、総裁、副総裁2名、審議委員6名の政策委員9名による多数決で決定されます。
毎回、正午前後に政策が発表され、午後3時半から総裁会見が開かれます。
よって、マーケットの反応としては、
- ・結果発表を受けての動き
- ・総裁会見を受けての動き
この2回が大きなものとなる場合が多いです。
例を見てみます。
チャートは2023年6月16日、日銀政策決定会合後のドル円。
結果が発表された12時45分直後にドル円は上昇し、その後会見待ちで動かなくなった後、3時半からの総裁会見を受けてドル円がもう一弾上昇したことが見て取れます。
このように、日銀政策決定会合後の値動きは、典型的な場合、2回に分かれて発生します。
日銀政策決定会合(2023年6月16日)後のドル円の動き
それでは日銀政策決定会合の、ドル円相場に及ぼす影響について見てみましょう。
2021年1月から2023年6月までの日銀政策決定会合結果発表日のドル円のレンジをグラフにしました。
日銀政策決定会合は、会合が終わり、政策が発表される時間が決まっていません。
発表後からのドル円レンジを測定することが困難なので、その日の値幅で代用しています。
明確に言えるのは、2022年4月以降とその前では、日銀政策決定会合時の動きが全く違います。
2022年4月以降の日銀政策決定会合開催日のドル円レンジは、一日平均3.5円と大変広いレンジ幅で、これはFOMCの変動幅よりも大きい数字です。
金融緩和を維持するだけで政策変更をしなかった日銀の会合が、金利を猛烈なスピードで上げていった米FOMCよりも変動幅が大きいというのは興味深い点といえます。
おそらく黒田総裁が「円安はトータルでみて日本経済にプラス」という発言を続けたことも理由の一つでしょう。
大きく変動した日を見ていくと、2022年9月は為替介入の日と重なり、12月は黒田総裁が突然YCCのレンジ幅を0.25%から0.5%に変更したことで相場が大変動しました。
一方、2022年3月以前の日銀政策決定会合は発表時それほど動きませんでした。
1円を超えるレンジの日がほとんどありません。
一日の平均レンジは0.63円です。
なお、2020年以前の日銀政策決定会合も、それほどレンジ幅はありません。
つまり、現下の大きな変動はいずれ収束すると考えられます。
トレードを行う場合は、変動が激しい間に利益を積み重ねて行きたいものです。
政策決定会合の日 | 高値 | 安値 | レンジ幅 |
---|---|---|---|
2023/6/16 | 141.91 | 139.85 | 2.06 |
2023/4/28 | 136.56 | 133.36 | 3.2 |
2023/3/10 | 137 | 134.11 | 2.89 |
2023/1/18 | 131.57 | 127.56 | 4.01 |
2022/12/20 | 137.47 | 130.56 | 6.91 |
2022/10/28 | 147.86 | 145.97 | 1.89 |
2022/9/22 | 145.9 | 140.35 | 5.55 |
2022/7/28 | 136.58 | 134.2 | 2.38 |
2022/6/17 | 135.42 | 132.15 | 3.27 |
2022/4/28 | 131.25 | 128.34 | 2.91 |
2022/3/18 | 119.4 | 118.47 | 0.93 |
2022/1/18 | 115.05 | 114.45 | 0.6 |
2021/12/17 | 113.86 | 113.14 | 0.72 |
2021/10/28 | 113.87 | 113.26 | 0.61 |
2021/9/22 | 109.9 | 109.12 | 0.78 |
2021/7/16 | 110.34 | 109.73 | 0.61 |
2021/6/18 | 110.48 | 109.94 | 0.54 |
2021/4/27 | 108.77 | 108.06 | 0.71 |
2021/3/19 | 109.13 | 108.6 | 0.53 |
2021/1/21 | 103.66 | 103.32 | 0.34 |
2020/12/18 | 103.59 | 103.56 | 0.03 |
2020/10/29 | 104.72 | 104.02 | 0.7 |
2020/9/17 | 105.17 | 104.52 | 0.65 |
2020/7/15 | 107.31 | 106.66 | 0.65 |
2020/6/16 | 107.64 | 107.21 | 0.43 |
2020/5/22 | 107.76 | 107.32 | 0.44 |
2020/4/27 | 107.62 | 106.99 | 0.63 |
2020/3/16 | 107.56 | 105.14 | 2.42 |
2020/1/20 | 110.21 | 110.06 | 0.15 |
2019/12/19 | 109.68 | 109.18 | 0.5 |
2019/10/31 | 108.9 | 107.92 | 0.98 |
2019/9/19 | 108.47 | 107.78 | 0.69 |
2019/7/30 | 108.94 | 108.45 | 0.49 |
2019/6/20 | 108.14 | 107.21 | 0.93 |
2019/4/25 | 112.23 | 111.36 | 0.87 |
2019/3/15 | 111.9 | 111.38 | 0.52 |
2019/1/23 | 109.99 | 109.32 | 0.67 |
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志摩力男(しまりきお)
慶應義塾大学経済学部卒。
ゴールドマン・サックス、ドイツ証券などの大手金融機関でプロップトレーダー(自己勘定トレーダー)を歴任。
その後、香港でマクロヘッジファンドマネージャーを務める。
独立後も世界各地のヘッジファンドや有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍中。
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