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【2024年】ドル円(USD/JPY)予想・今後の見通し|1年後の値動きを徹底分析


ドル円は、日本国内で圧倒的な取引シェアを誇り、多くの投資家から人気を集めています
流動性も高く、値動きが安定している傾向にあるため、FX初心者でも取引を行いやすい通貨ペアです。

2023年11月時点でのドル円相場は、約150円台で推移しています。
以下は、ドル円の月足チャートです。

ドル円の月足チャート
(出典:TradingView

長期的な目線で見れば、ドル円は上昇トレンドを形成しています。

しかし、150円を超えたことで日銀による為替介入のリスクやアメリカの利上げサイクルが終盤に近づいているなどの影響も懸念され、上昇トレンドが収まるという見方もあります。

今後のドル円は、

上昇トレンドが継続するのか?
上昇トレンドが収まり価格は下がるのか?

など、様々な予測を立てることができ、どのように投資戦略を立てていけばよいか迷う方も多いでしょう。

今回は、来年(2024年前半)のドル円予想や今後の見通し、投資戦略などについて詳しく解説します。

1.ドル円(USD/JPY)のリアルタイムチャート

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>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

ドル(USD)は、アメリカ合衆国の通貨で、アメリカドルやUSドルなどといった名称があります。

基軸通貨としての役割もあるため、信用性が高く他の通貨と比べて圧倒的に取引量(流動性が高い)が多い通貨です。
値動きも安定している傾向にあることから、FX初心者からも人気を集めます

>基軸通貨とは?詳細はこちら

また「有事のドル買い」という言葉がある通り、市場のリスク回避色が強まり資金を安全資産へ移す局面(リスクオフ)では、買われやすい傾向があります。

ただし、アメリカで発生したリスクの場合は、ドルが売られる場合もあるので注意しましょう。
たとえば、2001年に発生したアメリカ同時多発テロでは、ドルが売られました。
リスクオフだからと言ってドルを買うのではなく、どこにリスクがあるのかを把握したうえで対応をする必要があります。

2.【2024年前半】ドル円の予想・今後の見通し

2024年前半のドル円の値動きを予想する前に、2023年はどのような要因で推移してきたのかを、ざっと整理しましょう。

【2023年】
ドル円の振り返り

2023年のドル円相場は、綺麗な上昇トレンドが継続しており、2023年11月現在も続いています。
以下は、2023年のドル円日足チャートです。

2023年のドル円日足チャート
(出典:TradingView

今年(2023年1月)の初めは、128円台で推移していましたが、11月には150円台まで推移しており、約1年間で22円の上昇を見せました。
上昇要因としては、主に日米金利差の拡大が挙げられます。

以下は、米国と日本の政策金利を比較したチャートです。

米国と日本の政策金利を比較したチャート
(出典:国別経済指標

米国ではハイペースな金融引き締め(金利の引き上げ)を行っている一方、日本の金利は変わっていないことが分かります。

日米の金利差が拡大した理由は、新型コロナウイルス(2020年に発生)やロシアウクライナ問題(2022年に発生)などが経済にもたらした影響で世界的なインフレが発生したことによるものです。
日本以外の世界各国の中央銀行は、インフレを抑えるためにハイペースな金融引き締めを実施。
世界各国と日本の金利差が拡大し、対ドルだけではなく、対ユーロや対ポンドなどで大幅な円安を発生させました。

為替相場は、金利の高い通貨が買われ、安い通貨が売られる傾向にあります。
2023年のドル円は、まさにセオリー通りに変動した1年でした。

では、2024年前半のドル円見通しについて見ていきましょう。

2024年前半はFRBの利上げサイクル終焉が鍵

2024年前半のドル円は、FRBの利上げサイクルがいつ終わるかに注目が集まりそうです。
以下は、FRBの政策金利推移チャートです。

FRBの政策金利推移チャート
(出典:国別経済指標

最新(11月1日発表)のFOMCでは、9月と同じ2会合連続での据え置きとなりました。
これは、2022年3月から始まった利上げ局面の中で初めてのことです。
市場の見通しでは、来年の2024年前半には、利上げサイクルの終焉を予測している見方もあります。

また、最新(11月3日発表)の10月米国雇用統計では、市場予想を大きく下回ったことも利上げサイクルの終焉に大きく近づく要因になり得ます。

とは言え、FOMCの声明文では「委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある」との姿勢を維持しており、状況次第では利上げ継続の可能性も見せています。

FRBが公開する「ドットチャート」でも、2023年9月時点で年末の金利が「5.625%」で推移するというのが大方の見通しであり、年内最後のFOMC(12月12日~12月13日開催)で利上げする可能性も考えられます。

ドットチャート
(出典:ドットチャート

まとめると、年内あと一回のFOMCで据え置きが継続されれば、利上げサイクルの終焉が見えてきそうです。
仮に利上げサイクルが終わるのであれば、2024年は円安が終わり、少しずつづつ円高の流れになると予測できます。

ただ12月のFOMCで利上げが実施されるのであれば、利上げサイクルの終焉は少し遠のく可能性があります
引き続き、マーケットの最新情報や要人発言、重要な経済指標などに注視していく必要があります。

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3.ドル円の3つの価格変動要因

ドルの価格変動要因は、主に以下の3つです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

FRBの金融政策

ドルの大きな変動要因は、FRBの金融政策です。
FOMC(連邦公開市場委員会)によって決定され、約6週間ごとに原則年8回開催(必要に応じて随時開催)されます。

2023年12月と来年2024年の開催日程は、以下の通りです。

                                                           
2023年12月と来年2024年の開催日程
2023年12月12日~12月13日
2024年1月30日~1月31日
3月19日~3月20日
4月30日~5月1日
6月11日~6月12日
7月30日~7月31日
9月17日~9月18日
11月6日~11月7日
12月17日~12月18日

>FOMCの過去の日程について知りたい方はこちら

FOMCでは、主に以下5つの情報が公開されます。

1.声明文
2.FRB議長の記者会見
3.FOMCメンバーの経済見通し
4.議事要旨
5.FOMCメンバーのコメント

声明文では、金融政策の変更の有無や決定事項などが発表されます。
たとえば、アメリカが金融引き締め(利上げ)を行えばドルが買われやすく、金融緩和(利下げ)を行えばドルが売られやすくなるのが一般的です。

>FOMCでの情報収集方法や声明文の見方などはこちら

その他にも、FRB議長の記者会見やFOMCメンバーによる経済見通しなども重要なため、確認しておくと良いでしょう。

>FOMCが為替相場に与える影響についてはこちら
>FOMCで決定される2つの事項についてはこちら
>計11名のFOMC参加メンバーの詳細はこちら
>FOMCの発表直前にチェックすべきことについてはこちら
>FRB議長、ECB総裁、日銀総裁の記者会見のリアルタイム動画はこちら

また、FRBの金融政策動向を分析する上で、以下2つの経済指標も随時確認しておきましょう。

米国雇用統計

米国雇用統計は、米国の労働市場を調査したもので、景気動向を把握するのに重要な経済指標です。
主に、非農業部門雇用者数や失業率などが公表されます。

FRBは、金融政策を決めるうえで、この米国雇用統計の数値を重要視しています。
たとえば、景気が良い場合は、景気の過熱を抑えるため金融引き締めを行います。
金利が上昇すれば、利子が大きくなることからドルを買いたい人が増え、上昇するのが一般的です。
反対に、景気が悪い場合は、景気を良くするために金融緩和を行います。
金利が下落すれば、利子が少なくなることからドルを買いたい人が少なくなり、下落しやすくなります。

>雇用統計とは?についてはこちら
>非農業部門雇用者数や失業率などについてはこちら
>雇用統計時にトレードを行う際の注意点はこちら
>過去13年間のデータから雇用統計発表時にドル円がどのように推移するのかを検証
>雇用統計の事業所調査と家計調査の違いや見方についてはこちら

CPI(消費者物価指数)

CPI(消費者物価指数)は、物価動向を把握するのに重要な経済指標です。
具体的には、国のインフレ(インフレーション)やデフレ(デフレーション)などが分かります。

FRBは雇用だけではなく、物価の安定化も担っています。
CPIも雇用統計と同様に、FRBが金融政策を決めるうえでの重要な経済指標です。
たとえば、CPIが高くインフレ状態が続くと、物価上昇を抑えるために金融引き締めを行います。
反対に、CPIが低くデフレ状態が続くと、物価の上昇を促すために金融緩和を行います。

>CPI(消費者物価指数)とは?についてはこちら
>CPIがマーケットに与える影響についてはこちら
>CPI・PPI・PCEデフレーターの違いについてはこちら
>CPIの算出方法や構成比率についてはこちら
>CPIナウ(CPI Now)とは?についてはこちら

これらの経済指標は、毎月発表されます。
発表日程を抑えておくようにしましょう。

>経済指標カレンダーはこちら

米国債利回りとの関係性

ドルと米国債利回りは、連動して動くケースがあります。
たとえば、米国債利回りが上昇するとドルの買い材料、下落すると売り材料となるのが一般的です。
ただし、ネガティブな要因で米国債利回りが上昇した場合、ドルの売り材料となることもあります。

以下は、ドルインデックスと米国債10年利回り、米国債2年利回りの値動きを比較したチャートです。

ドルインデックスと米国債10年利回り、米国債2年利回りの値動きを比較したチャート
(出典:TradingView

>ドルインデックスのリアルタイムチャートはこちら
>米国債10年利回りのリアルタイムチャートはこちら

相関性が出ている局面と出ていない局面に分かれており、一概に相関性を見出すのは難しそうです。

FXは通貨ペアで取引するので、もう片方の通貨の国債利回りもあわせて確認すると相関性が見えてくる場合もあります。
たとえば以下は、米ドル/ユーロ(ユーロ/米ドルを逆にしたもの)と米国債10年利回りからドイツ国債10年利回りを引いたものを比較したチャートです。

米ドル/ユーロ(ユーロ/米ドルを逆にしたもの)と米国債10年利回りからドイツ国債10年利回りを引いたものを比較したチャート
(出典:TradingView

>TradingViewで通貨ペアを逆に表示する方法はこちら
>米国債10年利回りからドイツ国債10年利回りを引くやり方はこちら

綺麗な相関性があるとは言い難いですが、同じ方向に動く時もあり、トレンドを把握する際の参考にすることもできます。
たとえば、ドル円なら米国債と日本国債の利回り差、ポンドドルなら英国債と米国債の利回り差と比較するとよいでしょう。

金市場とは逆相関

ドルと金市場は、逆相関の関係になる傾向があります。
たとえば、ドルが上昇すると金価格が下落、ドルが下落すると金価格が上昇するという動きです。

以下は、ドル円と金価格(ドル建て)の上昇率を比較したチャートです。

ドル円と金価格(ドル建て)の上昇率を比較したチャート
(出典:TradingView

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら
>金のリアルタイムチャートはこちら

比較的分かりやすい逆相関になっていることが見て取れます。

ドルと金が逆相関になる理由は、金価格がドル建てであることも影響します。
ドルが高くなれば金は安くなり、ドルが安くなれば金は高くなります

また、金は保有していても金利がつかないという側面があります。
アメリカの景気が良く金利が上昇している場合、ドルへ投資するほうが魅力的です。
しかし、世界経済や米国の景気が不安定になり、各国が金利を引き下げる局面では安全資産として金が買われるケースもあります。
たとえば、リーマンショックやコロナショックなど経済不安のリスクが高まった時、ドルやドル建ての資産が大きく下落する反面、金価格が上昇することもありました。

なお原油価格も米ドルと逆相関することはありますが、原油市場は他の要因で上下することも多いので、金市場のほうが逆相関は出やすいです。

4.ドル円の過去の価格推移(2003年~2023年)

2003年~2023年の20年間、ドル円はどのような要因によって変動してきたのかを見ていきましょう。

ドル円の過去の価格推移(2003年~2023年)
(出典:TradingView

【2007年~2008年】
サブプライムローン問題・リーマンショック

2007年のサブプライムローン問題をきっかけに、2008年にリーマンショックが発生。
アメリカの大手投資銀行であるリーマンブラザーズが破綻したことで、世界中の金融市場に影響を及ぼすほどの大規模な金融ショックとなりました。

ドル円は、約122円台(2007年6月時点)で推移していましたが、約76円台(2011年8月時点)まで下落しています。

【2012年~2015年】
アベノミクス

2012年12月には、第2次安倍政権が発足し、アベノミクス(3本の矢)による経済政策を実施。
大胆な金融政策・機動的な財政政策・民間投資を喚起する成長戦略を行い、リーマンショックにより円高基調となっていた相場を、円安方向へとシフトさせました。

ドル円は、約77円台(2012年9月時点)で推移していましたが、約124円台(2015年5月時点)まで上昇しています。

【2015年】
チャイナショック

2015年には、中国の景気減速を起因とするチャイナショックが発生。
2000年代に入り、中国政府の買い煽りによって個人投資家たちの信用買いを集め、急速に成長していた中国経済ですが、ひとたび下落に転じると投資家たちのロスカットなどによりバブルがはじけました。

ドル円は、約123円台(2015年6月時点)で推移していましたが、約101円台(2016年9月時点)まで下落しています。

【2020年】
コロナショック

2020年には、中国で発生した新型コロナウイルス感染症により、コロナショックが発生。
世界中で感染が拡大し、海外旅行の禁止など各国では経済活動の制限を余儀なくされ、世界経済は低迷しました。

ドル円は、約108円台(2020年1月時点)で推移していましたが、約103円台(2020年12月時点)まで下落しています。

【2022年】
ロシアウクライナ問題

2022年には、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟阻止などを理由に、ロシアがウクライナ国内に軍事侵攻を実施。
世界的なサプライチェーンの混乱を招き、世界各国で大規模なインフレを発生させました。

インフレを抑えるべく、日本以外の世界各国ではハイペースな金融引き締め(利上げ)を実施。
日本と世界各国の金利差は拡大し、大幅な円安を発生させました。

ドル円は、約114円台(2022年2月時点)で推移していましたが、約150円台(2023年10月時点)まで上昇しています。

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6.まとめ

最後に、本記事で解説した内容についてまとめます。

  • 1.2024年前半は、FRBの利上げサイクルがいつ終わるかに注目
  • 2.利上げサイクル終焉の見通しが立てば、ドル安円高の可能性もある
  • 3.利上げサイクル終焉の見通しが立たなければ、ドル高円安が継続か
  • 4.2023年11月時点では、2024年前半に利上げサイクル終焉の見通し

ドル円の投資戦略を立てる際に重要なのは、見通しだけではありません。
エントリータイミングやどこに損切りを設定するのかも大切です。
リスク管理や相場分析などを学びたい初心者の方は、ぜひ以下の記事を読み進めて下さい。

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