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スワップポイントとは|FX取引における仕組み・計算方法などをわかりやすく解説


スワップポイントとは、2か国間の金利差によって発生する損益です。

FX取引では通常の売買益とは別に、このスワップポイントの蓄積による利益を狙うことができます。

本記事では、スワップポイントの意味や計算方法、活用する上で失敗しないためのポイントを解説していきます。

スワップポイントとは

ここでは、スワップポイントの意味や仕組み、計算方法を解説します。

  • ・意味・仕組み
  • ・計算方法

意味・仕組み

スワップポイント7

スワップポイントは「金利差調整分」とも呼ばれ、2か国間の金利差によって発生する利益のことです。

「金利の高い通貨」と「金利の低い通貨」の金利差が、スワップポイント(利益)になります。

ただし、スワップポイントは必ずしも利益になるとは限りません。

「低金利通貨を売って、高金利通貨を買う」場合はプラスになりますが、逆に「高金利通貨を売って、低金利通貨を買う」場合はマイナス(マイナススワップ)となります。

なお、金利情勢によってはスワップポイントのプラス(受け取り)・マイナス(支払い)関係が逆転する場合や、売り・買い両方ともマイナスとなる可能性もあります。

計算方法

スワップポイントの計算方法は、FX会社によって異なります。

一般的には、短期金利市場の金利、為替レートを参照して算出されます(政策金利を参照せず、日々変動する)。

  • スワップポイント(円)=数量×金利(%)÷365(日)× 円評価レート

日数の部分は、365日が主流ですが、360日とする場合もあります。

1日当たりのスワップポイントが算出された後、その金額を円換算するために「×円評価レート」の計算を行います。

世界のほとんどの通貨は日本円より高金利なので、スワップポイントは外貨で受け取ることになります。

そのため、その外貨の金額を最後に円換算する必要があるわけです。

スワップポイントが発生するタイミング

スワップポイントの付与のルールは、FX会社によって異なります。

下図は、一般的なルールの一例です。

スワップポイントルール

外国為替市場では、基本的に取引した2営業日後に外貨の受け渡しが行われます(スポット取引)。

FX取引においても同様ですが、外貨の受け渡しがあると投資家が困ってしまうので、FX会社によって自動的にロールオーバー(保有ポジションを決済し、新規ポジションを建て、受け渡し日を繰り延べる)が行われます。

この仕組みにより投資家は、受け渡し期限を気にせずに、ポジションを保有し続けることができます

一般的に、ロールオーバーはNYクローズ後の時間に行われ、その際に繰り延べられた日数分のスワップポイントが発生・付与されます。

「ロールオーバー」については、以下の記事で詳しく解説しています。

ロールオーバーとは|注意点やメリット・デメリットなどをわかりやすく解説

スワップポイントが高い通貨ペアの例

上述の様に、スワップポイントは「低金利通貨を売って、高金利通貨を買う」場合に利益が得られます。

以下は、高いスワップポイントが期待できる代表的な通貨ペアです。

  • ・TRY/JPY(トルコリラ/日本円)
  • ・ZAR/JPY(南アフリカランド/日本円)
  • ・MXN/JPY(メキシコペソ/日本円)

この他、取り扱うFX会社は多くありませんが、低金利通貨であるスイスフラン(CHF)と、高金利通貨(トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソ)の組み合わせも、高いスワップポイントの傾向があります。

スワップポイントで運用するメリット・デメリット

ここでは、買いポジションでスワップポイントを狙って運用する(売買益でなくスワップによる利益をメインとする)メリットとデメリットを解説します。

メリット

スワップポイントを狙って運用するメリットは、通常のキャピタルゲイン(売買益)に加えて、インカムゲイン(資産の保有中に得られる利益)を獲得できることです。

下図の通り、スワップポイントは保有日数に応じて積み上がっていきます。

スワップポイント1

スワップポイントによる利益は、毎日少しずつ積み重なっていくことが期待できます。

ただし、相場の変動が原因でスワップポイントによる利益以上の損失が出る可能性もあります。

一方、売買益も獲得できれば、スワップポイントと合算して二重の収益を狙うことができます。

特に中長期での売買益を狙う場合は、スワップポイントも大きくなるため、このメリットが大きくなります。

デメリット

スワップポイントを狙って運用するデメリットは、通貨ペアによっては「マイナススワップ」になる場合があることです。

この場合、通常のスワップポイントとは逆に、金利差を支払う必要があります

基本的に、「高金利の通貨を買い、低金利の通貨を売る」組み合わせではスワップポイントがプラスになりますが、「低金利の通貨を買い、高金利の通貨を売る」逆の組み合わせではスワップポイントがマイナスとなります。

スワップポイント4 (2)

例えば、2025年4月15日時点での政策金利は、メキシコが9.00%で日本は0.50%です。

仮にメキシコペソ/円のスワップポイントを政策金利で計算すると、「メキシコペソ買い、円売り」は8.50%、「円買い、メキシコペソ売り」は-8.50%となります。

このように、通貨ペアの買いと売りの組み合わせによっては、マイナススワップとなって金利差を支払う必要が生じます。

その他のデメリットとしては「高金利通貨は値動きが不安定になる場合がある」「スワップポイントは課税対象である」などの点が挙げられます。

これらの点については「スワップポイントで運用する際の注意点」の段落で、詳しく解説します。

スワップポイントを運用する際のコツ

スワップポイントを狙った運用をする際のポイントを解説していきます。

  • ・①スプレッドが狭い通貨ペアを選ぶ
  • ・②金利差を考える
  • ・③低いレバレッジで取引を行う
  • ・④分散投資を行う
  • ・⑤証拠金維持率の確認を行う

①スプレッドが狭い通貨ペアを選ぶ

スプレッドとは「売値と買値の差」であり、FX取引における実質的な手数料に該当します。

スワップポイントによる利益を得ても、スプレッドのコストが高ければ手元に残る利益は減ってしまいます。

そのため、スプレッドが狭い(小さい)通貨ペアを選ぶことは、スワップポイントを狙った運用のポイントの1つとなります。

「スプレッド」については、以下の記事で詳しく解説しています。

スプレッドとは|FX取引に与える影響・計算方法を紹介

以下は、OANDA証券が提供する各通貨ペアのスワップポイントとスプレッドです。

●OANDA証券の各通貨ペアのスワップポイントとスプレッド一覧

通貨ペア スプレッド スワップポイント
売りSwap 買いSwap
USD/JPY
(米ドル/日本円)
0.3〜0.7銭 -221.10円 100.80円
EUR/USD
(ユーロ/米ドル)
0.5〜0.8pips 0.38ドル -0.83ドル
EUR/JPY
(ユーロ/日本円)
0.4〜1.8銭 -177.40円 113.20円
AUD/JPY
(豪ドル/日本円)
0.6〜1.8銭 -114.40円 77.20円
GBP/USD
(英ポンド/ 米ドル)
0.8〜1.1pips -0.13ドル -0.06ドル
GBP/JPY
(英ポンド/日本円)
0.9〜2.6銭 -233.20円 197.90円
AUD/ USD
(豪ドル/ 米ドル)
0.9pips -0.04ドル -0.12ドル
ZAR/JPY
(南アフリカランド/日本円)
1銭 -24.10円 4.70円

●スワップポイントについて

※提示しているスワップポイントは、2025年4月15日調査時点で最新の数字を掲載しています。
※ 0.1Lot(10,000通貨)単位のスワップポイントを表示しています。

OANDA証券の各通貨ペアのスワップポイントは、こちらの記事で確認できます。

●スプレッドについて

※スプレッドは急な価格変動によって拡大する恐れがあり、必ずしも上記スプレッドと合致しない場合があります。

OANDA証券の各通貨ペアのスプレッドは、こちらの記事で確認できます。

②金利差を考える

スワップポイントは、2国間の金利差によって発生するため、通貨(国)ペアごとの金利差が重要となります。

スワップポイントを得るには、「高い金利の通貨を買って、低い金利の通貨を売る」のが基本で、金利差が大きければ大きいほど、受け取るスワップポイントの額が大きくなります。

金利差が小さいとプラススワップとマイナススワップが逆転して、スワップポイントを支払わなければならない場合もあります。

なお、スワップポイントはFX会社が独自に設定するものであり、上記の基本パターンとは異なる場合もあります。

そのため、取引する前や、運用中も定期的に通貨ペアのスワップポイントを確認することが推奨されます。

③低いレバレッジで取引を行う

FX取引のレバレッジは、スワップポイントによる利益にも影響します。

例えば、実効レバレッジ10倍で運用した場合、レバレッジ1倍と比較して売買の利益だけでなくスワップポイントも10倍となります。

スワップポイントによる運用は「長期間続けるほど利益が積み重なっていく」性質です。

そのため、相場が大きく変動してもロスカットの危険がないよう、レバレッジは低めに設定することがポイントの1つです。

スワップポイントで利益を得やすい高金利通貨は、ボラティリティが大きい(値動きが激しい)傾向があり、リスク管理が重要です。

「レバレッジ」については、以下の記事で詳しく解説しています。

FXのレバレッジとは|計算式・注意点・よくある質問をわかりやすく解説

④分散投資を行う

高金利通貨は急激な価格変動が起きやすい傾向があるため、1つの通貨ペアに資金を集中させることはリスクがあります。

急激な変動によってスワップポイントの利益以上に為替差損が生じるリスクを避けるためには、複数の通貨ペアに分散して投資することも、1つの選択肢といえます。

相関性が比較的低い通貨ペアであれば、1つのペアが下落した場合にも、他のペアは下落しない、もしくは上昇することもあります。

OANDA証券では通貨ペアの相関性が確認できる「相関性チェックツール」を提供しています。

詳しく知りたい方は、以下のリンクを参照してください。

相関性チェックツールの使い方

⑤証拠金維持率の確認を行う

スワップポイントは、ポジションを決済しない限り毎日発生します。

しかし、ロスカット(強制的に決済されること)によってポジションが解消されると、以降のスワップポイントは得られません。

OANDA証券の場合、証拠金維持率が100%を下回ると、ロスカットが執行されます。

相場が一時的に不利な方向に動いたとしても、ロスカットにならなければスワップポイントの付与は継続するので、証拠金維持率を定期的に確認するなどの対策が必要です。

「ロスカット」については、以下の記事で詳しく解説しています。

ロスカットとは|初心者向けに注意点や回避策などを詳しく解説

OANDA証券が提供するスワップポイントツール

OANDA証券では、スワップポイントを狙った運用を手助けするツールを提供しています。

ここでは以下のツールについて解説します。

  • ・スワップポイントカレンダー
  • ・スワップポイント・シミュレーター

スワップポイントカレンダー

スワップポイントはFX会社によって異なり、一般的には短期金利市場の金利や為替レートを参照して算出されます。

また、スワップポイントの付与のルールもFX会社によって異なります。

OANDA証券では、スワップポイントカレンダーを提供しており、通貨ペアごとに日々のスワップポイントが記録されています。

スワップポイントカレンダーで「いつ」「どのくらい」スワップポイントが付与されたのか、確認することで運用計画が立てやすくなります。

以下は、米ドル/円のスワップポイントカレンダーです。(掲載日:2025年4月15日)

スワップポイントカレンダー
>スワップポイントカレンダーはこちら

スワップポイントカレンダーを確認すると、2025年4月14日に買いスワップで100.80円が付与されています(10,000通貨のスワップポイント)。

付与日数を先に確認することもできるので、スワップポイントを狙ったFX取引の計画に使用すると良いでしょう。

スワップポイント・シミュレーター

OANDA証券では、スワップポイントを狙った運用をした場合のシミュレーターを提供しています。

ここでは、日本でも人気の高い高金利通貨を例に、シミュレーターの紹介をします。

高金利通貨の代表格はトルコリラやメキシコペソ、南アフリカランドなどで、低金利通貨の代表格は日本円です。

以下は、トルコリラやメキシコペソ、南アフリカランドと日本円の金利差を比較した表です。

通貨ペア 政策金利 金利差
トルコリラ/日本円 トルコリラ:42.50%
日本円:0.50%
42.00%
メキシコペソ/日本円 メキシコペソ:9.00%
日本円:0.50%
8.50%
南アフリカランド/日本円 南アフリカランド:7.50%
日本円:0.50%
7.00%

(2025年4月15日時点)

スワップポイントで運用する際の注意点

スワップポイントで運用する際の注意点は、以下の通りです。

  • ・スワップポイントはマイナスとなる可能性がある
  • ・スワップポイントが高い高金利通貨は値動きが不安定な傾向にある

スワップポイントはマイナスとなる可能性がある

「デメリット」の段落で解説した通り、基本的には「低金利通貨を買い、高金利通貨を売る」というポジションを持つと、スワップポイントがマイナスになります。

毎日マイナススワップを支払う必要があり、当該ポジションを保有しているだけで口座資金が減少します。

相場変動による売買益が、マイナススワップによる損失を十分にカバーできる場合は問題はありませんが、大きな売買益が見込めない場合、マイナススワップの発生は極力回避すべきといえます。

スワップポイントが高い高金利通貨は値動きが不安定な傾向にある

スワップポイントが高い高金利通貨とは、政策金利が高い通貨です。

政策金利が高い通貨は、「高い金利を設定しないと購入(保有)してもらえない通貨」と考えることができます。

そのような通貨の国は、経済が不安定なことが多く、為替の値動きも激しくなる傾向があります。

例えば、2025年4月時点でトルコは政策金利が42.50%と非常に高い水準で、スワップポイントも高水準に設定されています。

しかし、2021年の1年間で、対ドルでの価値は半分以下に下落しました(1月の1ドル=7リラ台から、12月に一時1ドル=18リラ台まで下落)。

このように、スワップポイントの蓄積よりも大きな為替差損が発生する場合があるので、注意が必要です。

スワップポイントに関するQ&A

スワップポイントに関するよくある質問に回答していきます。

  • ・スワップポイントは課税対象ですか?
  • ・スワップポイントは毎日もらえますか?
  • ・スワップポイントはいつ付与されますか?

スワップポイントは課税対象ですか?

FX取引では、ポジションを「保有しているだけ」なら課税対象になりません。

含み益が出ていても、その利益を確定しない限りは課税されない仕組みです。

一方、スワップポイントが口座に反映された場合、その確定した利益は課税対象となります(FX会社によってはポジションを決済することで、スワップポイントが口座に反映される場合もあります)。

スワップポイントの利益がいくらになると納税や確定申告の義務が生じるかは、その人の他の所得などの諸条件によってルールが異なります。

詳しくは、以下の記事を確認してください。

スワップポイントは毎日もらえますか?

原則としてスワップポイントは、ポジションを決済しない限り毎日のロールオーバー時に付与されます。

しかし、スワップポイントがマイナスとなった場合は、逆に毎日マイナススワップを支払う必要があるので、注意が必要です。

スワップポイントはいつ付与されますか?

スワップポイントの付与のルールは、FX会社ごとに異なります。

一般的に、スワップポイントの付与タイミングは、毎営業日NY市場がクローズするタイミング=ロールオーバー時(日本時間の午前7時頃、サマータイム中は午前6時頃)です。

【まとめ】スワップポイントとは|FX取引における仕組み・計算方法などをわかりやすく解説

スワップポイントとは、2か国間の金利差によって発生する損益のことです。

「低金利通貨を売って、高金利通貨を買う」場合は受け取り、逆に「高金利通貨を売って、低金利通貨を買う」場合は支払い(マイナススワップ)となるのが一般的です。

スワップポイントは、ポジション保有に応じて毎日受け取れるインカムゲインに該当します。

スワップポイントを狙った運用では中長期の投資が適していますが、FX取引で中長期の投資を行うためには、基本的な専門用語や相場分析の方法などを、一通り理解しておく必要があります。

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