FX取引の危険性・リスク|初心者向けに5つの対策をわかりやすく解説
FX取引は利益を期待できる反面、為替変動リスクやロスカットリスクなどのリスク(不確実性)があります。
投資するにあたって、リスクを正しく把握することが重要です。
本記事では、リスク・危険性の内容や、どのような対策がとれるかなどについて解説します。
目次
- 1.FX取引のリスク・危険性
- 2.FX取引をやめておいた方が良い人
- 3.FX取引のリスク管理方法
- 4.FX取引で利益を得ているトレーダーはどんなリスク管理を行っている?
- 5.FX取引のリスク・危険性に関するQ&A
- 6.【まとめ】FX取引の危険性・リスク|初心者向けに5つの対策をわかりやすく解説
FX取引のリスク・危険性
FX取引のリスクには主に以下の種類がありますが、正しく理解することでむやみに不安がる必要はないとわかります。
FXはこれらのリスクを負う代わりに、高いリターンを期待できます。
- ・【リスク1】 為替変動リスク
- ・【リスク2】 レバレッジリスク
- ・【リスク3】 ロスカットリスク
- ・【リスク4】 金利変動リスク
- ・【リスク5】 信用リスク
- ・【リスク6】 流動性リスク
- ・【リスク7】 スリッページリスク
- ・【リスク8】 システムに関するリスク
【リスク1】 為替変動リスク
為替変動リスクとは、為替相場の変動により損失が生じるリスクです。
FX取引は、為替変動の予測が当たれば利益を得られ(為替差益)、外れると損失を出します(為替差損)。変動の予測精度をテクニカル分析やファンダメンタルズ分析によって高めることで、為替変動リスクを軽減することができます。
【リスク2】 レバレッジリスク
レバレッジリスクとは、レバレッジ(てこの原理)によって自己資金の何倍もの金額で取引ができる代わりに、損失額も比例して大きくなるというリスクです。
日本のFX会社では、個人口座のレバレッジは最大25倍です(法人口座での上限は通貨ペアや時期ごとに異なります)。
例えば、1ドル150円の時、資金150万円に20倍のレバレッジをかけて3,000万円(20万通貨)分の買いポジションを保有した場合、相場が1円下落すると、20万円の損失になります。
レバレッジ1倍の場合では1万円の損失で済み、20倍の違いがあります。
このように、レバレッジの上昇に比例して損失も大きくなるのが、レバレッジリスクです。
「レバレッジ」については、以下の記事で詳しく解説しています。
FXのレバレッジとは|計算式・注意点・よくある質問をわかりやすく解説【リスク3】 ロスカットリスク
ロスカットリスクとは、証拠金維持率が一定水準を下回ったときに保有ポジションが強制決済され損失が確定するリスクです。
レバレッジを利用した取引ができるFXでは、証拠金維持率(有効証拠金と必要証拠金の割合)により口座の余力が表されます。
OANDA証券では、有効証拠金が必要証拠金以下になった場合(証拠金維持率が100%以下になった場合)に、ロスカットが発動するルールを採用しています。
ロスカットは、投資家の意思にかかわらず行われる強制決済ですが、これはレバレッジ取引の損失が拡大しないように投資家を保護するための仕組みです。
「ロスカット」については、以下の記事で詳しく解説しています。
ロスカットとは|初心者向けに注意点や回避策などを詳しく解説【リスク4】 金利変動リスク
金利変動リスクとは、金利の変動によって損失が発生するリスクです。
FX取引では「2か国間の金利差」によって発生する「スワップポイント」があり、これは金利の変動によって変わります。スワップポイントは通貨ペアの組み合わせによって、以下のようにプラスにもマイナスにもなります。
①:高金利通貨を買い、低金利通貨を売る | プラススワップ |
②:低金利通貨を買い、高金利通貨を売る | マイナススワップ |
金利の変動に応じて、当初はスワップポイントがプラスであった通貨ペアでも、プラススワップが小さくなったり、マイナスに転じる可能性もあります。
「スワップポイント」については、以下の記事で詳しく解説しています。
スワップポイントとは|失敗しないポイントや運用する際の注意点などを解説【リスク5】 信用リスク
FX取引における信用リスクとは、「FX会社」や「FX会社のカバー先の金融機関」の経営破綻リスクを指します。FX会社に問題が起きた際は「新規注文・決済注文を行えない」など、カバー先に問題が起きた際は「レートが提示されない」などのトラブルが起こり得ます。
なお、仮にFX会社が経営破綻になった場合、国内のFX会社では「信託保全」のルールによって投資家の資金は全額が返還されるルールになっています。
【リスク6】 流動性リスク
流動性リスクとは、市場での売買が困難または不可能となる、流動性(売買のしやすさ)に関わるリスクです。
FXは基本的に流動性が高く売買が成立しやすいですが、以下の状況において流動性が下がることがあります。
- ・経済指標の発表前後
- ・主要国の祝祭日
- ・突発的事象によるパニック相場
流動性が下がると、取引自体はできても「希望の価格で約定しない」「スプレッドが大きくなる」などが起こり得ます。
「流動性」については、以下の記事で詳しく解説しています。
流動性とは|意味・確認方法・よくある質問を詳しく解説【リスク7】 スリッページリスク
スリッページリスクとは「想定よりも不利な価格で約定するリスク」です。
スリッページには以下の2種類があり、リスクという場合は「ネガティブスリッページ」の発生リスクを指します。
下図は、150円の買い注文にスリッページが発生した例です。
ポジティブスリッページ | 想定より「有利」な価格で約定する |
ネガティブスリッページ | 想定より「不利」な価格で約定する |
スリッページの発生原因は「注文がFX会社のサーバーに届くまでにわずかなタイムラグがあること」です。
タイムラグの大小は、通信環境やFX会社のサーバーの処理速度などで決まります。
スリッページについては、以下の記事で詳しく解説しています。
スリッページとは|FXで起こる原因やよくある質問などを詳しく解説【リスク8】 システムに関するリスク
システムに関するリスクは、「投資家側の原因によるもの」「FX会社側の原因によるモノ」が考えられます
それぞれの主な原因をまとめると、以下の通りです。
投資家側 | 注文ミス・機器の故障、通信障害など |
FX会社側 | システム障害、通信障害など |
投資家側の注文ミスについては、取引数量、売りか買いか、注文レートなどを再確認することで対策できます。
機器の故障や通信障害については、PCやスマートフォンのメンテナンスを日頃から意識することが大切で、またトレードは常に良好なネット環境で行うことが重要です。
一方、FX会社側の原因によるリスクは「システム障害・通信障害」などで、FX取引を行う際は信頼の置けるFX会社を選ぶことが大切です。
OANDA証券の「システム障害対応ポリシー」「セキュリティーポリシー」については、こちらで確認いただけます。
FX取引をやめておいた方が良い人
FX取引は、リスクを許容した上でリターンを追求することが大切です。自ら設定したリスクを受け入れるためには、自分を律することも必要であり、下記の傾向や性質を持つ人には向いていないと考えられます。
- ・余裕資金での投資ができない人
- ・感情のコントロールをできない人
- ・自分が決めたルールを守れない人
- ・失敗を認められない人
- ・投資の研究をしたくない人
- ・短期間での結果を求める人
FXに限らず、投資は余裕資金で行うことが鉄則です。
減らしてはならないお金を使うということは、リスクを正しく理解できていないと考えられます。
感情をコントロールできない人、自分が決めたルールを守れない人、失敗を認められない人は、トレードが安定しません。
「利益確定や損切りを予定通りにできない」などの問題に対しては、指値注文や逆指値注文などを利用することが推奨されます。
また、テクニカル分析でチャートの値動きを分析し、スキャルピングやデイトレードで利益を稼ぐには、研究や検証が必要です。
ファンダメンタルズ分析で国や通貨の長期的な動向を予測することもポイントであり、これらへの惜しみない努力ができなければFXでの成功は困難です。そして、結果が出るまでの期間について、焦らずに取り組むことが重要です。
FX取引のリスク管理方法
FX取引のリスクは、正しく理解すれば恐れることはありません。主なリスク管理として、以下の方法が推奨されます。
- ・【リスク管理1】FXに関する基礎知識を習得する
- ・【リスク管理2】低レバレッジで少額から取引を始める
- ・【リスク管理3】余裕資金でFXを始める
- ・【リスク管理4】損切りの注文方法を覚える
- ・【リスク管理5】流動性の高い通貨ペアで取引をする
【リスク管理1】FXに関する基礎知識を習得する
FXは、誰でも気軽に始めることができ、レバレッジも利用できるため、そのリスクを正しく理解しないままに失敗してしまう人が多いようです。しかし、基礎知識を身につけることで、当記事で解説したような初歩的なリスクを回避しやすくなります。
OANDA証券では「FX/CFD初心者コーナー」や公式YouTubeチャンネルで、FXの基礎知識をわかりやすく解説しています。
これらのコンテンツで基礎知識を学び、デモトレードで基本操作を習得した上で、リアルトレードで実践経験を積むことも重要です。
また、投資関連の優良書籍を多数出版しているパンローリング社とタイアップし、書籍のプレゼントキャンペーンなどを提供しています。
詳しくは、以下のページをご確認ください。
OANDA Lab×パンローリング|FX投資家向け良著をご紹介【リスク管理2】 低レバレッジで少額から取引を始める
国内のFX会社では、レバレッジを最大25倍(個人口座の場合)までかけられますが、そのリスクを理解していない段階では、できるだけレバレッジをかけすぎないことが大切です。
預け入れた証拠金のうち、わずかな割合の金額でポジションを保有すれば、低いレバレッジの運用となります。
この低レバレッジで取引に慣れてから、徐々にポジションを大きくし、レバレッジを高めていくことが推奨されます。
またその際、ロスカットの判定に関わる証拠金維持率に着目すると、どんな取引(ポジションの持ち方)が安全か危険かの判断がつくようになります。
【リスク管理3】余裕資金でFXを始める
FXに限らず、株式投資などの投資は余裕資金で行うのが鉄則です。余裕資金とは「大半または全額を失っても生活に支障をきたさない資金」のことです。
レバレッジを利用できるFXでは、歴史的な暴落に直面した場合、大きな含み損を抱えたり、損失を出したりする可能性が考えられます。
たとえそうなった場合でも、余裕資金なら日常生活が立ちゆかなくなることはありません。
【リスク管理4】損切りの注文方法を覚える
FXのトレードで百戦百勝することは難しく、機関投資家などのプロのトレーダーでも勝ったり負けたりを繰り返しながら、トータルでプラスの成績を収めます。トレードは一定の割合で負けるものと考え、その前提のもと損切り(ストップロス)を行うことが重要です。
とはいえ、初心者のうちから損切りを躊躇なく実行するのは難しいことです。
そこで、逆指値注文(ストップ注文)などの予約注文が役に立ちます。
逆指値注文とは「ここまで価格が下がったら売る」「ここまで価格が上がったら買う」という予約注文を出す方法で、これなら損切りを自動で行うことが可能です。
なお、逆指値注文以外では、以下の注文方法も損切りの予約注文として活用できます。
注文方法 | 内容 |
---|---|
IFD注文 | 新規注文と決済注文を同時に予約する |
OCO注文 | 利益確定と損切りの予約注文を同時に出す |
IFO注文 | IFD注文とOCO注文を合わせた注文方法 |
トレーリングストップ注文 | 含み益が増える度に損切りの予約注文のラインを現在価格に追随させる |
これらの注文方法については「FXの注文方法」の記事で詳しく解説していきます。
【リスク管理5】流動性の高い通貨ペアで取引をする
流動性リスクを避けるためには、流動性の高い通貨ペアで取引をすることが重要です。
以下のようなメジャー通貨を含む通貨ペアは、流動性が高い傾向があります。
米ドルを含む通貨ペアはドルストレート、日本円を含む通貨ペアはクロス円と呼びます。
これらの通貨ペアを選べば、流動性リスクを回避しやすくなります。
FX取引で利益を得ているトレーダーはどんなリスク管理を行っている?
FXのリスク管理方法はさまざまありますが、代表的な方法の1つとして「リスクリワード比率(1回の取引における利益と損失の比率)」による管理があります。OANDA証券ではユーザーの取引データを活用し、口座資産評価額の増減率を基に、成績上位トレーダーと下位トレーダーのトレードを分析しています。
下表は、成績の順位クラス別に、リスクリワード比率の平均をまとめたものです。
リスクリワード比率の見方として、勝ちトレードの平均利益と、負けトレードの平均損失が同額であれば、リスクリワード比率は「1」です。
成績上位トレーダーのリスクリワード比率を見ると「1」を上回り、成績下位トレーダーは「1」を下回っていることがわかります。
つまり、両者の1回のトレードには、以下の明確な違いがあります。
- ▼成績上位トレーダー
- 平均損失よりも、平均利益が大きい
- ▼成績下位トレーダー
- 平均利益よりも、平均損失が大きい
リスクリワード比率が高ければ、勝率が低くても利益を得やすい傾向があります。
一方、リスクリワード比率が低ければ、高い勝率がないと利益を得るのは難しいです。
目指すべきは、リスクリワード比率「1」以上であり、これをコントロールすることがリスク管理につながります。
OANDA証券ではリスクリワード比率の他にも、勝率や取引回数などさまざまな観点から成績上位トレーダーと成績下位トレーダーのトレードを分析しています。
より詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
先月の上位、下位200口座のトレード分析【2025年3月7日】リスクリワード比率や勝率の具体的な改善方法については、以下の記事を参考にしてください。
FXのリスクリワードとは|意味・計算式や目安について解説FX取引のリスク・危険性に関するQ&A
FX取引のリスク・危険性に関して、よくある疑問点は以下のようなものです。- ・FX取引はギャンブルですか?
- ・FX取引で借金ができるのはなぜですか?
- ・FX取引が向いている人の特徴は?
FX取引はギャンブルですか?
FXはギャンブルと同列に語られることがありますが、株式投資や投資信託などと同じ投資です。レバレッジの仕組みがあるため、ハイリスク・ハイリターンの取引ができてしまいますが、その一方でローリスク・ローリターンの安定した取引をすることも可能です。
ファンダメンタルズやテクニカル指標を分析し、根拠を持ったトレードを行うのがFX取引の基本であり、ギャンブルとはかけ離れたものです。 レバレッジを適正にコントロールし、根拠のある売買を行えば、リスクを抑えた投資ができます。FX取引で借金ができるのはなぜですか?
FXにはロスカットという投資家保護のルールがあり、通常のロスカットは口座残高が残る価格水準で強制決済が行われます。しかし、例外的に極端な値動きが発生した場合には、口座残高を超える損失額が発生する価格水準でロスカットが実行されてしまう可能性がゼロではありません。
証拠金以上の損失が確定して口座残高がマイナスになると、それを返済する義務(借金)が生じます。とはいえ、こうした事態に陥るのはハイレバレッジで取引している場合であり、その対策として口座残高に余裕を持ちレバレッジを抑えて運用することが重要です。
FX取引が向いている人の特徴は?
FXに向いている人の特徴として、以下のタイプが考えられます。- ・投資に回せる余裕資金がある人
- ・感情のコントロールをできる人
- ・自分が決めたルールを守れる人
- ・失敗を認められる人
- ・投資の研究や分析ができる人
- ・長期的な結果で考えられる人
- ・海外の経済、金融情報に詳しい人
- など
FXのみならず、株式投資や債券、暗号資産(仮想通貨)などの他ジャンルも含めて、投資は余裕資金で行うことが鉄則です。
また、感情や精神面が安定し、長期的な結果を見据えて熱心な研究ができること、経済市場に詳しいなどが備わっていると望ましいと考えられます。
【まとめ】FX取引の危険性・リスク|初心者向けに5つの対策をわかりやすく解説
FX取引にはさまざまリスクがありますが、その内容を正しく理解すればやみくもに不安になることはありません。リスク管理を適切に行うことができれば、FX取引は決して危ないものではありません。
FXは危険なギャンブルではなく、資産運用の選択肢を広げられる投資手法です。
長期的な目線で、徹底的にリスクを排除しながらFX取引を行うことが推奨されます。
FX初心者の方がリスクを抑えて取引を行う上で、必要な知識は以下のコンテンツで詳しく解説しています。また、OANDA証券では初心者の方でも利用しやすいよう、独自に開発した取引ツール「fxTrade」を提供しています。
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