FX資金管理のやり方③1日の最大損失額、連敗数の設定
第3回目では資金管理を考える上で、リスクリワード比率やポジションサイズに続き重要な1日の最大損失額、連敗数の設定についてご案内いたします。FXで資産運用を考えるのであれば、1日の最大損失額、連敗数の設定は資金管理において外せない項目の一つです。
損失を取り戻すために焦っていませんか?
資金管理の一つとして、無駄なトレードを行わないことは重要です。中級者以上の方であれば計画性の無い無駄なトレードを行ってしまったために、コツコツと貯めていた利益以上のものを短期間で吐き出してしまった、という経験がある方は少なくないと思います。
特に多いのは短期間に負けトレードを繰り返してしまい、口座資産を短期間で大きく目減りさせてしまうパターンです。
画像1/コツコツと貯めてきたを短期間で放出…
このパターンに陥りやすいのは、1日の負けが嵩み、頭に血がのぼっている場合など精神状態が安定していないときです。つまり損失が増えたので取り戻そうと必死になっている状態でトレードを続けた場合、このような失敗をしてしまいます。
人間の本能として、トレードに負けた場合の精神的ショックはトレードに勝った場合の2倍のインパクトがあると言われています。このように精神状態が不安定な状況に陥っている場合は、普段エントリーしないような場面でポジションを持ってしまい、損失を拡大させてしまうという悪循環に陥りがちです。
焦っているのでチャンスまで待てずにエントリーしてしまうという人もいれば、損失を取り戻すためにいつもより大きなポジションを持ってしまうという方もいると思います。このような状態で相場が反対に進むと、ストレスがさらに増え、精神状態がさらに悪化して悪循環に陥りがちです。
損失を出したという事実を受け止める
トレードで負けたときに重要なのは、トレードで負けたという事実を受け入れることです。どんな有名なトレーダーでもトレードに負けることはあります。基本的にトレード計画は負けるトレードがあることを前提に組み立てていくものです。
つまり1度や2度のトレードで負けたとしても悔しがる必要はなく、冷静に対応しなければなりません。会社が利益を上げるためには経費が必要というと同じように、負けトレードは勝つための経費のようなものと考える癖をつけましょう。
このことをしっかりと理解し、負けたときは負けを受け入れることが損失スパイラルに陥らないための第一歩です。何としても負けているときに負けを取り戻そうと焦ってしまい傷口を広げ、さらに精神状態が悪化し損失を埋めるために必死になり、さらに深みにはまっていくというスパイラルに陥ってしまうパターンに陥ってはいけません。
損失スパイラルに陥らないための対策
このパターンに陥らないための対策は、負けたという事実を受け入れることが前述の通り前提にあります。その上で取引成績が一定のパフォーマンスを下回る内容となった場合は、その日の取引を休止し翌日以降にリフレッシュした状態になってから取引の再開というルールを作り、悪い流れを断ち切ることが重要です。
余程のことがない限り市場は無くなりません。負けが込んだときはそのままの状態でトレードを続けるよりも、相場から一時的に離れ気分をリフレッシュした後に相場に戻ってきた方が、パフォーマンスが向上する可能性も高いでしょう。
このため取引のパフォーマンスが一定の水準を下回るような場合は、一度相場を離れるというようなルール作り実行すれば1日の損失額が限定され、1日で回復困難な水準まで大きく負けてしまうというリスクを大幅に軽減できます。具体的には「1日の最大損失額」、「1日の最大連敗数」で設定する方法があります。
【対策①】1日の最大損失額を設定する
1日の最大損失額を設定します。設定の方法としては、様々ありますが、口座資産に対して、一定の割合で考えるのが一般的です。
例:口座資産の5%
損失が設定した金額に到達したらその日はトレードをやめ、リフレッシュした翌日以降にトレードを再開するようにします。設定する割合は、口座資産に対して大きな数字にはせずに、連敗しても「今日は調子悪いけど、明日がんばれば、取り返せる」と思える程度の割合に設定するのがポイントです。
この設定金額が大きいとせっかく設定したものの、悔しさで負トレードを受け入れられず、取り戻そうという考えが先行しルールを破ってしまうキッカケになってしまいますので注意しましょう。そしてこの金額は毎日、口座資産に変動がある度に再計算し、最新の口座資産に対して一定の割合を保つようにします。
そうすれば口座資産が減った場合は1日の最大損失額も低下し、口座資産に合わせて1日あたりのリスクを下げられ、仮に負ける日が続いた場合でも口座資産の減少を和らげられるでしょう。短期間に大きく資産を減らしてしまう方の多くがこの逆の行為を行う傾向があります。
つまり損失を取り戻すために取引量を増やす等、より大きなリスクを取ってしまい、それが失敗しさらに傷口を広げ、これを繰り返してしまう損失スパイラルに陥ってしまうというパターンです。
次のチャートは1日の損失限度額を5万円に固定した場合、口座資産に対して5%に設定した場合における連敗時の資産推移を示したものです。口座資産に対して一定の割合で設定した場合の方が、連敗が続いても資産の減少が緩やかであると確認できます。
ここでは例として5%で説明しましたが、さらに低い数値で設定すれば資産の減少はさらに少なくなるでしょう。FX市場に慣れていない方はとくに、この割合を低い数値にして行うことをおすすめします。
画像2/1日の損失限度額を5万円に固定した場合と5%に設定した場合の連敗時資産推移
【対策②】1日の最大連敗数を設定する
1日の最大連敗数を設定しておくというのも一つの手です。例えば、1日の最大連敗数が3回を超えたら、その日はトレードを行わないというようなルールです。連敗が続く原因はその日の相場が、使っている取引手法に合わない相場である可能性が高いと言えます。
取引手法に合わない相場で取引を続けてもパフォーマンス改、損失が嵩むことにより、前述のように精神状態が悪化し、損失を取り戻すために無理したトレードを繰り返してしまう可能性があります。このような場合は一度相場を離れ、リフレッシュした状態でトレードを再開した方がうまくいく可能性も高いので、一度相場を離れるように心がけましょう。
お勧めツール
OANDAのMT4用アラームツール「Oanda Alarm Manager」では、口座資産や有効証拠金が一定の水準になった場合や一定の連敗数に到達した場合にアラートで通知します。
画像3/Oanda Alarm Manager
まとめ
損失が増え、精神状態が不安定な状態でのトレードや取引手法に合わない相場状況のときに無駄なトレードを避けるために、次の2つのルールを設定します。
①1日の最大損失金額
口座資産に対し一定の割合で最大損失額を設定し、最大損失額に到達した場合はその日のトレードを行わない。
②1日の最大連敗数
1日の最大連敗回数を設定し、最大連敗数に到達したら、その日はトレードを行わない。
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OANDA Lab編集部
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