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FXで失敗する5つの要因とは|初心者が失敗する要因や失敗例と対策について解説


FX取引は意思決定をし続ける必要がある中で、さまざまな要因から非合理な考え方に陥り、失敗してしまうことがあります。

本記事では、失敗する要因や失敗例、対策について詳しく解説します。

FXで失敗する主な5つの要因

FX取引において失敗してしまう要因はさまざまありますが、人間の心理が関係しているといわれています。

パンローリング刊行の『脳とトレード 「儲かる脳」の作り方と鍛え方』(リチャード・L・ピーターソン )より主な要因を抜粋すると、以下の通りです。

  • ・【要因①】損失回避バイアス
  • ・【要因②】確証バイアス
  • ・【要因③】アンカリング・バイアス
  • ・【要因④】投影バイアス
  • ・【要因⑤】サンクコスト

【要因①】損失回避バイアス

ノーベル経済学賞を受賞したプロスペクト理論とは、行動経済学と呼ばれる心理学と経済学を合わせた理論です。

プロスペクト理論の中に損失回避バイアスがあり、人は損失に敏感となり損失を回避する行動をとりやすいとされています。

利益を追求するよりも、損失を回避する傾向が強いのが特徴です。

FX取引で例えると、含み益を抱えている場合は、含み益が減ってしまうことを回避しようと、早めに利益確定してしまう傾向があります。

一方で含み損を抱えている場合は、さらに含み損が拡大する可能性があるにもかかわらず、損失を確定することができなくなってしまう傾向があります。

このように、人は利益確定は早く、損切りは遅くなるといった、合理的な判断ができなくなることがあります。

【要因②】確証バイアス

確証バイアスとは、自身に都合の良い情報を優先して集めてしまい、自身に不都合な情報を避けてしまうことを指します。

FX取引で例えると、自身が買い(売り)が良いと思い込み、確証バイアスがかかると買い(売り)に有利な情報ばかり集め、反対の情報を無視してしまうことがあります。

このことで正常な判断・決定ができず、取引の失敗につながります。

【要因③】アンカリング・バイアス

アンカリング・バイアスとは、最初に得た情報がその後の意思決定に影響を及ぼすことを指します。

FX取引で例えると、米ドル/円のレートが150円で取引を開始した場合、その最初のレートを基準に考えるようになります。

その後、レートが148円に下がった際、「反発して150円に戻るはずだ」などと判断し、ポジションを取ってしまう傾向があります。

しかし、この判断は150円という最初のレートに影響されたもので、市場の状況で判断したものではありません。

このアンカリング・バイアスが原因で、損失を被る場合があります。

【要因④】投影バイアス

投影バイアスとは、現在の心理状態から将来の心理状態を推測し、将来の判断に影響してしまうことを指します。

FX取引の場合、トレーダーは現在の相場観や強気の感情が将来も続くと考え、ポジションを取ってしまうことがあります。

しかし、市場は常に変動し、将来の相場が現在と同じとは限りません。

このように投影バイアスが影響し、リスクを過小評価して損失を招く可能性があります。

【要因⑤】サンクコスト

サンクコスト(コンコルド効果)とは、損失を拡大させてしまうとわかっていても、これまでつぎ込んだ時間や費用を考えるとやめることができない心理状態を指します。

FX取引でも、これまでつぎ込んだ費用と時間を考えてしまい、損切りすることができなくなってしまうことがあります。

FX初心者が陥る失敗例

  • 失敗例①:勘や値ごろ感で取引をしている
  • 失敗例②:損切りができない
  • 失敗例③:高いレバレッジでのギャンブル的な取引を行っている
  • 失敗例④:さまざまな通貨ペアで取引を行っている
  • 失敗例⑤:取引時間を決めていない
  • 失敗例⑥:スワップポイント狙いの取引を行っている
  • 失敗例⑦:ポジポジ病を誘発している
  • 失敗例⑧:ナンピン(難平)や両建てを行っている
  • 失敗例⑨:情報に流されている

失敗例①:勘や値ごろ感で取引をしている

勘や値ごろ感で取引

FX初心者は、しばしば「価格が上がりそう」「下がりそう」といった、確証バイアスやアンカリング・バイアスがかかった値ごろ感に頼って取引を行う傾向があります。

ビギナーズラックで一時的に利益を得られることもありますが、長期的に安定して利益を上げるのは困難です。

さらに、直感や値ごろ感に基づいた取引では、ポジションを持つと価格が逆に動くことに悩まされることがよくあります。

例えば、買いポジションを持った直後に価格が下落するような状況です。

このような状況が続くと、まるで誰かにトレード内容を見られているかのような錯覚に陥ることもあります。

こうしたリスクを避けるためにも、勘や値ごろ感に頼るのではなく、しっかりと相場分析や戦略を持った取引を心がけることが重要です。

失敗例②:損切りができない

損切りできない

「これ以上損失を出したくない」「今までの損失を取り戻したい」という損失回避バイアスのかかった感情から、損切りができない方は少なくありません。

しかし、感情に流されて損切りを先延ばしにし、含み損のポジションを持ち続けると、さらに損失が拡大する可能性があります。

FXで長期的に利益を上げ続けるには、利益を追うよりも損失をいかに抑えるかが重要です。

損切りは必ず行うように心がける必要があります。

失敗例③:高いレバレッジでのギャンブル的な取引を行っている

FX初心者の中には、「簡単に利益を得たい」「すぐに稼ぎたい」という考えから、高いレバレッジでギャンブル的な取引を行う方が多く見られます。

レバレッジを活用すれば資金効率が上がり、成功すれば大きな利益が期待できますが、一方で、誤った使い方をすると大きな損失を招くリスクも高まります。

特に初心者の方が高いレバレッジで取引すると、損益の変動が大きいため精神的に負担がかかりやすく、冷静な判断ができずに大きな損失を出してしまうこともあります。

中上級者であっても、高いレバレッジは精神的に負担の大きい取引です。

初心者の方は、できるだけ低いレバレッジでの取引を心がけることが重要です。

失敗例④:さまざまな通貨ペアで取引を行っている

FXには約50種類以上の通貨ペアがあり、初心者の方はどの通貨ペアを選べばよいか迷ってしまいがちです。

複数の通貨ペアで取引を行ったり、適当に選んで取引を行うことで損失を出してしまうのは、初心者に多い失敗パターンです。

通貨ペアはそれぞれ異なる値動きをします。

ボラティリティが高い通貨ペアもあれば、低いものもあります。

通貨ペアの特徴を理解せずに取引を行うと、予期せぬ損失を招くことがあります。

適当に通貨ペアを選ぶのではなく、それぞれの特徴をしっかり理解した上で選ぶことが大切です。

失敗例⑤:取引時間を決めていない

fx 失敗例 取引時間を決めていない 202408

FX初心者の多くは、取引時間を決めずに適当な時間で取引を行ってしまいがちです。

FXは24時間取引が可能ですが、常に取引に適しているわけではありません。

その理由は、市場の流動性が低い時間帯が存在するためです。

流動性が低いと、値動きが鈍くなるだけでなく、スプレッドの拡大や急な価格変動といったリスクが生じることもあります。

こうした活発でない時間帯で無理に取引を行うと、予期しない損失を招くことがあり、これは初心者が陥りがちな失敗の1つです。

失敗例⑥:スワップポイント狙いの取引を行っている

FXでは、スワップポイント(金利差)を利用して利益を得る方法もあります。

スワップポイント狙いの取引では、キャリートレードを行うことで、通貨ペアを保有しているだけで利益が発生します。

キャリートレードとは、金利の低い通貨を売り、金利の高い通貨を買う取引のことです。

しかし、高金利通貨は政治や財政面での不安定さから価格変動リスクが高く、価格が下落すればスワップポイントの利益を上回る為替差損が発生する可能性があります。

リスクを十分に理解せず、戦略の無い取引を行ってしまい、スワップポイント狙いで損失を出すのは初心者によく見られる失敗です。

失敗例⑦:ポジポジ病を誘発している

根拠もなく値ごろ感だけで何度も取引を繰り返す「ポジポジ病」に陥り、大きな損失を出すのはFX初心者に多い失敗です。

経験の浅い初心者は、価格が動いているのを見ると、常に取引チャンスだと思い込みがちです。

また、損失を取り返そうと焦り、何度も取引を重ねてしまうことも少なくありません。

ポジポジ病は感情に流された取引であり、続けると損失が増える一方です。

冷静な判断と根拠に基づいた取引を行い、感情に左右されないよう心がける必要があります。

失敗例⑧:ナンピン(難平)や両建てを行っている

無計画なナンピン(難平)両建ての取引で大きな損失を出すのは、FX初心者に多い失敗です。

ナンピンとは、ポジションを追加して平均コストを下げる(上げる)手法で、成功すれば利益を期待できますが、失敗すれば損失が拡大します。

また、両建ては同時に売りと買いのポジションを持つ取引方法で、初心者には難しいといわれています。

これらの手法は、相場経験が浅い初心者には推奨できない取引方法です。

特に両建ては、多くのFX会社で推奨されていないため、注意が必要です。

失敗例⑨:情報に流されている

SNSやWeb上の情報に惑わされて取引し、大きな損失を出すのは、FX初心者に多い失敗です。

例えば、SNSやWebには「今後の値動きを予測するもの」や「確実に利益を得られる取引手法」といった真偽不明の情報があふれています。

経験の浅い初心者は、自信がないためにこうした外部情報に頼り、流されやすくなります。

しかし、FX相場を正確に予測できる人はおらず、必ず成功する取引手法も存在しないと考えておくことが大切です。

情報に依存せず、自分の相場観や取引スキルを磨くことが、失敗を防ぐ手段となります。

FX初心者が失敗を防ぐリスク対策

  • 対策①:少額から取引を始めて経験を積む
  • 対策②:注文方法を覚える
  • 対策③:相場の分析方法を覚える
  • 対策④:各通貨ペアの特徴を覚える
  • 対策⑤:値動きが活発になりやすい時間帯を覚える

対策①:少額から取引を始めて経験を積む

初めから大きな資金で取引を行うのではなく、少額から取引を始めることで、失敗した場合の損失を抑えることができます。

FXは、FX会社によって取引を始められる金額が異なります。

最小取引数量が1単位から取引できるFX会社であれば、米ドル/円を約6円から取引可能です(米ドル/円が150円の場合)。

FXで長期的に利益を上げ続けるには、取引スキルの向上などが必要です。

まずは少額から取引を始め、基本的なスキルを身につけることが推奨されます。

また、デモトレードを利用するという手段も考えられます。

対策②:注文方法を覚える

FXのリスク管理として、あらかじめ損切りを設定するという方法があります。

その注文を使いこなすためには、注文方法を覚える必要があります。

FXにはさまざまな注文方法がある中で、全て覚えるのは難しいので、まずは以下3つの基本的な注文方法を覚えると良いでしょう。

  • 成行注文:今すぐ取引を始めたい時に使う注文方法
  • 指値注文:現在の価格よりも有利な価格を指定して発注する注文方法
  • 逆指値注文:現在の価格よりも不利な価格を指定して発注する注文方法

特に逆指値注文は、損切りの設定に使うので、覚えることが推奨されます。

FXの注文方法について詳しく知りたい方は、「FXの注文方法とは?代表的な7つのメリット・デメリットなどを詳しく解説」をご覧ください。

対策③:相場の分析方法を覚える

勘や値ごろ感での取引を避けるには、相場の分析方法を覚える必要があります。

FXの相場分析方法には、「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」の2種類があります。

テクニカル分析とは、過去の値動きを分析して将来の値動きを予測する分析方法です。

テクニカル分析について詳しく知りたい方は、「テクニカル分析とは|基本的な種類や使い方などを初心者向けに詳しく解説」をご覧ください。

また、OANDA証券ではテクニカル分析の使い方を詳しく解説しています。

テクニカル分析については、「テクニカル分析解説一覧」をご覧ください。

一方のファンダメンタルズ分析とは、国の政治や経済状況など通貨の値動きに影響するあらゆる情報から将来の値動きを予測する分析方法です。

ファンダメンタルズ分析について詳しく知りたい方は、「ファンダメンタルズ分析とは|FXでの値動きの要因や分析方法などを詳しく解説」をご覧ください。

対策④:各通貨ペアの特徴を覚える

FXは、通貨ペアによって取引量の違いがあります。

取引量の少ない通貨ペアでは、値動きが安定しづらく価格変動リスクがあります。

一方、取引量の多い通貨ペアなら、値動きが安定しやすく価格変動リスクを抑えた取引が行えます。

取引量が多く初心者向けの通貨ペアは、米ドル/円(USD/JPY)です。

国内の取引シェアが高く、日本人に馴染みがあり情報を取得しやすい特徴があります。

米ドル/円以外の通貨ペアについて詳しく知りたい方は、「FXの通貨ペアとは|通貨ペアごとの特徴・選び方を解説」をご覧ください。

対策⑤:値動きが活発になりやすい時間帯を覚える

対策⑤:値動きが活発になりやすい時間帯を覚える

戦略を持たないまま、適当な時間で取引をするよりも、市場の流動性が高い時間帯を狙って取引すると成績を向上できる期待が持てます。

市場の流動性が高い時間帯は、以下の通りです。

  • 東京市場:日本時間8時~10時
  • ロンドン市場:日本時間16時~19時
  • ニューヨーク市場:日本時間21時~早朝2時

特にロンドン市場とニューヨーク市場が重なる日本時間21時~24時の間は、1日の中で最も取引量が多い時間帯です。

値動きが活発になりやすいからといって、必ず利益を上げられるわけではありませんが、値動きが少ない時間帯よりは、効率よく値幅を稼ぎやすいといえます。

東京市場やロンドン市場、ニューヨーク市場の特徴についても詳しく知りたい方は、「FXの取引時間は何時?相場が活発に動く時間帯や注意すべき時間帯などを詳しく解説 」をご覧ください。

FXでの失敗に関するQ&A

FX取引での失敗に関するよくある疑問は、以下の通りです。

  • ・FXではどのくらいの人が失敗しますか?
  • ・FXで失敗しないために役立つ方法はありますか?

FXではどのくらいの人が失敗しますか?

OANDA証券では、顧客の取引データを用いて、過去12カ月分の口座資産評価額の増減率を分析しています。

そのデータによれば、過去12カ月で約半数の人が資産を減らしています。

以下の比率は、「過去12カ月の口座資産評価額の増減率の分布」です。

FXではどのくらいの人が失敗しますか?202408

赤枠を見ると、口座資産の評価額を大きく減少させてしまうトレーダーがいるのも事実です。

口座資産評価額の増減率について詳しく知りたい方は、「先月の上位、下位200口座のトレード分析」をご確認ください。

FXで失敗しないために役立つ方法はありますか?

FXで失敗をしないためには、少額取引やデモトレードを活用して経験を積むことが重要です。

OANDA証券では、デモトレードの提供を行っています。

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【まとめ】FXで失敗する5つの要因とは|初心者が失敗する要因や失敗例と対策について解説

FX取引において失敗してしまう要因はさまざまありますが、人間の心理が関係しているといわれています。

人は合理的な意思決定をしているつもりで、非合理な考え方をしてしまうことがあります

失敗してしまう主な要因としては、「損失回避バイアス」「確証バイアス」「アンカリング・バイアス」「投影バイアス」「サンクコスト」があります。

これらを知っておくことで、失敗を回避する考え方ができるようになるでしょう。

また、少額で始めたり、デモトレードで試すことで、FX取引での失敗を体験することも重要です。

その体験をもとに、同じミスを繰り返さないようにトレーニングしていくことが推奨されます。


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